1. 【2024年版】年末調整の壁!103万円、130万円、150万円などを徹底解説
  2. 「103万円の壁」って何?配偶者控除の基本
    1. 所得税の非課税ライン、103万円から最大160万円へ!
    2. 配偶者控除・配偶者特別控除の最新情報
    3. 住民税の「壁」も知っておこう
  3. 意外と知らない「130万円の壁」と社会保険
    1. 社会保険の加入義務!「106万円の壁」の拡大
    2. 扶養から外れる?「130万円の壁」の基本と特例
    3. 社会保険加入で得られるメリット・デメリット
  4. 扶養控除の注意点!150万円、201.6万円の壁とは
    1. 特定親族特別控除で「150万円の壁」が変わる?
    2. 配偶者特別控除の恩恵!201.6万円の壁
    3. 扶養の範囲、誰が誰を扶養できる?
  5. パート・アルバイトのための年末調整シミュレーション
    1. あなたの年収はどの「壁」にぶつかる?
    2. 事例で学ぶ!賢い働き方シミュレーション
    3. 年末調整で損しないためのチェックリスト
  6. 賢く節税!年末調整で活用できる控除の種類
    1. 年末調整で利用できる主な控除をチェック!
    2. 控除の申請方法と必要書類
    3. 控除を活用して手取りを最大化する方法
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 年末調整でよく聞く「103万円の壁」とは何ですか?
    2. Q: 103万円を超えると、必ず税金がかかりますか?
    3. Q: 「130万円の壁」とは、どのような意味がありますか?
    4. Q: 配偶者控除以外に、年末調整で利用できる控除はありますか?
    5. Q: 年収900万円以上の場合、年末調整で注意することはありますか?

【2024年版】年末調整の壁!103万円、130万円、150万円などを徹底解説

2024年度(2025年実施)の年末調整は、働き方や税金の計算に大きな影響を与える改正が目白押しです。特にパートやアルバイトで働く方にとって、「年収の壁」は手取り収入を大きく左右する重要な要素となります。

これまで意識してきた「103万円の壁」や「130万円の壁」に加えて、新たな控除の創設や既存の制度の変更により、働き方の選択肢が広がる一方で、より複雑な理解が求められるようになりました。

本記事では、2024年の年末調整(2025年実施)に向けて知っておきたい、最新の「年収の壁」を徹底的に解説します。あなたの働き方やご家族の状況に合わせて、賢く節税し、手取り収入を最大化するためのヒントを見つけましょう。

「103万円の壁」って何?配偶者控除の基本

所得税の非課税ライン、103万円から最大160万円へ!

これまでパートやアルバイトの象徴的な「壁」として知られていた103万円。これは主に所得税の非課税ラインを指していました。給与所得控除55万円と基礎控除48万円の合計103万円までは所得税がかからない、という基準でした。

しかし、2025年度(令和7年度)の年末調整から、この所得税の非課税ラインが大きく見直され、最大160万円まで引き上げられることになりました。これは、物価上昇や人手不足への対応として、政府が働き控えの解消を目指すための重要な改正です。

具体的には、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられ、さらに基礎控除も合計所得金額に応じて最大95万円まで拡大されます。特に年収200万円以下の層では、基礎控除額が大幅に増加するため、多くのパート・アルバイトの方が所得税の負担軽減の恩恵を受けられるでしょう。

これらの改正に加え、「特定親族特別控除」という新たな制度も創設されます。これにより、特定の扶養親族がいる場合には、さらに控除が適用され、税負担が軽減される仕組みです。この大きな変更は、より柔軟な働き方を後押しし、手取り収入アップに繋がる可能性を秘めています。

配偶者控除・配偶者特別控除の最新情報

103万円の壁は、納税者本人が配偶者控除を受けられるかどうかの判断基準でもありました。配偶者の年間合計所得が48万円(給与収入で103万円)以下の場合に、納税者本人は配偶者控除を受けることができました。

2025年度の年末調整からは、この基準も変更されます。配偶者控除の対象となる配偶者の合計所得金額の上限が、48万円から58万円に引き上げられます。これにより、配偶者の給与収入が103万円を超えても、約113万円までなら納税者は配偶者控除を受けられる可能性が出てくることになります。

さらに、配偶者特別控除についても変更があります。配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除の対象から外れても、一定の範囲内で納税者が控除を受けられる制度です。その対象となる配偶者の所得金額の上限も、従来の133万円以下から133万円以下に引き上げられました

ただし、配偶者控除や配偶者特別控除の金額は、納税者本人の合計所得金額によって段階的に減額されたり、適用されなかったりします。例えば、納税者本人の合計所得が1,000万円を超えると、控除が受けられなくなります。ご自身の世帯状況と照らし合わせて、最も有利な働き方を検討することが重要です。

住民税の「壁」も知っておこう

所得税の非課税ライン以外にも、住民税における「壁」も存在します。住民税の非課税ラインは、地域によって多少異なりますが、一般的に年収100万円が目安とされてきました。

2025年度の年末調整に関連し、2025年度から住民税(所得割)の非課税ラインが、従来の100万円から110万円に引き上げられることが決定しました。これは、所得税と同様に、国民の負担を軽減し、より多くの人が働きやすい環境を整備するための改正です。

ただし、住民税は前年の所得に対して課税されるという特性があります。そのため、この非課税ラインの引き上げは、2026年度に支払う住民税から適用されることになりますので注意が必要です。例えば、2025年の収入が105万円の場合、2026年度の住民税(所得割)は非課税となる可能性があります。

所得税と住民税では、それぞれ異なる非課税ラインが設定されているため、両方の「壁」を意識しておくことが大切です。年収が110万円を超えると、所得税だけでなく住民税の負担も発生することになりますので、ご自身の収入と照らし合わせながら、最適な働き方を検討しましょう。

意外と知らない「130万円の壁」と社会保険

社会保険の加入義務!「106万円の壁」の拡大

「106万円の壁」は、パート・アルバイトの方が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務が生じる年収の目安です。これは所得税とは異なり、将来の年金や医療保障に関わる重要な制度です。

この壁には、いくつかの要件があります。具体的には、以下の全てを満たす場合に社会保険への加入義務が生じます。

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
  • 雇用期間が2ヶ月以上見込まれる
  • 学生ではない
  • 企業規模が従業員数51人以上の企業

特に注目すべきは、最後の「企業規模」の要件です。これまで従業員数101人以上の企業が対象でしたが、2024年10月からは従業員数51人以上の企業に拡大されます。これにより、さらに多くのパート・アルバイトの方が社会保険加入の対象となる可能性があります。

将来的には、企業規模の要件が撤廃され、週20時間以上の勤務という「週20時間の壁」のみで社会保険加入が義務付けられる方向で議論が進められています。社会保険に加入すると、保険料負担は増えますが、将来の年金額が増えたり、医療保障が手厚くなったりといったメリットも得られます。

扶養から外れる?「130万円の壁」の基本と特例

「130万円の壁」は、主に配偶者や親の扶養に入っている場合に意識すべき社会保険上の壁です。これは、上記の106万円の壁の要件(企業規模、労働時間など)を満たさない場合でも、年収130万円を超えると、原則として配偶者や親の社会保険上の扶養から外れることになります。

扶養から外れると、自分で国民健康保険や国民年金に加入し、保険料を全額自己負担しなければなりません。これにより、手取り収入が大きく減少する可能性があります。そのため、多くの人が130万円を超えないように働き方を調整してきました。

しかし、2025年度からは重要な特例が設けられます。19歳以上23歳未満の学生については、年収130万円を超えても、特例として社会保険上の扶養の範囲内にとどまることができるようになります。この上限は、年収150万円までとされています。

この特例は、学業と両立しながらアルバイトをする学生にとって、非常に大きな朗報と言えるでしょう。学業に専念しつつ、ある程度の収入を得ながらも社会保険料の負担を避けることが可能になります。ただし、この特例はあくまで学生に限定されるため、その他の扶養者の方は引き続き130万円の壁を意識する必要があります。

社会保険加入で得られるメリット・デメリット

社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入は、単に保険料の負担が増えるという側面だけでなく、将来にわたる安心を得られるというメリットも多く存在します。そのため、年収の「壁」を越えて社会保険に加入するかどうかは、慎重に検討すべきポイントです。

社会保険加入の主なメリットは以下の通りです。

  • 将来もらえる年金額が増える:厚生年金に加入することで、国民年金のみの場合よりも将来受け取る年金額が手厚くなります。
  • 傷病手当金・出産手当金が受けられる:病気や怪我で仕事ができない期間や、出産で仕事を休む期間に賃金の一部が補償されます。
  • 遺族年金・障害年金が手厚い:万が一の際にも、家族の生活を支えるための保障が充実しています。
  • 健康保険料の一部を会社が負担:保険料の半分を会社が負担してくれるため、全額自己負担となる国民健康保険よりも個人の負担が軽減されます。

一方で、デメリットとしては、手取り収入が一時的に減少する点が挙げられます。給与から健康保険料と厚生年金保険料が天引きされるため、額面収入が変わらなくても、手元に残る金額は少なくなります。しかし、長期的な視点で見ると、充実した社会保障は大きな安心材料となります。ご自身のライフプランや将来設計を踏まえ、賢い選択をしましょう。

扶養控除の注意点!150万円、201.6万円の壁とは

特定親族特別控除で「150万円の壁」が変わる?

「150万円の壁」は、これまで主に配偶者特別控除の満額が受けられる配偶者の年収の目安として認識されてきました。配偶者の年間所得が一定額を超えると、納税者が受けられる配偶者特別控除の額が減額されていく仕組みです。

しかし、2025年度(令和7年度)の年末調整からは、新たに創設される「特定親族特別控除」が、この「150万円」という数字に新たな意味合いを持たせることになります。この制度は、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に、所得金額の基準を超えても一定額が控除できるという画期的なものです。

特に注目すべきは、前述の社会保険における学生の特例です。19歳以上23歳未満の学生については、2025年度から年収150万円までが社会保険上の扶養の範囲内となります。これは、学業とアルバイトを両立する学生にとって、社会保険料の自己負担なしで、より多く稼げるチャンスを広げるものです。

特定親族特別控除の創設と社会保険における学生の特例により、「150万円の壁」は単なる控除額の変動点から、学生がより多くの収入を得ながら扶養にとどまることができる、具体的な目標ラインとして認識されるようになるでしょう。ご家族に該当する方がいる場合は、この新しい制度を最大限に活用することをおすすめします。

配偶者特別控除の恩恵!201.6万円の壁

配偶者特別控除は、配偶者の年間所得に応じて納税者が受けられる控除額が変動する制度です。配偶者の年収が103万円を超えて配偶者控除の対象から外れても、一定の範囲内で納税者の税負担を軽減してくれる重要な仕組みです。

この配偶者特別控除は、配偶者の年間所得が133万円(給与収入で約201.6万円)まで適用されます。具体的には、配偶者の所得が48万円を超えると控除額が徐々に減っていきますが、所得が133万円(給与収入201.6万円)までは、何らかの控除を受けられる可能性があります。この「201.6万円」が、配偶者特別控除がゼロになる最終的な「壁」となるわけです。

2025年度の年末調整からは、配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得金額の上限も133万円以下に引き上げられています。これにより、より広い範囲で配偶者特別控除の恩恵を受けられるようになりました。ただし、納税者本人の合計所得金額によって控除額が変動し、納税者本人の所得が1,000万円を超えると、配偶者特別控除も適用されなくなります。

配偶者の方がこの201.6万円の壁を意識して働くことで、世帯全体の手取り収入を最適化することが可能です。ご自身の配偶者の働き方や収入状況と照らし合わせながら、最適な控除額となるよう調整を検討しましょう。

扶養の範囲、誰が誰を扶養できる?

扶養控除とは、納税者が経済的に扶養している家族がいる場合に受けられる所得控除のことです。税法上の扶養親族に該当するかどうかは、年齢や所得など、いくつかの要件によって決まります。年末調整では、この扶養親族の範囲を正しく申告することが非常に重要です。

扶養親族の主な要件は以下の通りです。

  • 配偶者以外の親族:6親等内の血族及び3親等内の姻族
  • 生計を一にしている:必ずしも同居している必要はありませんが、生活費などを送金している場合も該当します。
  • 年間合計所得金額が48万円以下:給与収入のみであれば103万円以下です。(ただし、公的年金等については異なる基準があります。)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でないこと。

2025年度の年末調整では、給与所得控除や基礎控除の計算方法が変更されるため、この扶養親族の判定基準も細かく見直す必要があります。特に、お子様がアルバイトを始めた場合や、ご両親を扶養している場合など、扶養親族の年間所得が48万円を超えないか、常に確認することが大切です。

また、前述の特定親族特別控除は19歳以上23歳未満の扶養親族が対象となるため、この年齢に該当するお子様がいるご家庭は、改めて扶養の範囲や適用条件を確認しておくことで、賢く節税できる可能性が高まります。

パート・アルバイトのための年末調整シミュレーション

あなたの年収はどの「壁」にぶつかる?

パート・アルバイトとして働く際、ご自身の年収がどの「壁」に該当するかを知ることは、手取り収入を最大化するための第一歩です。2024年の年末調整(2025年実施)では、複数の「壁」が連動して影響するため、総合的な視点が必要です。

主な「年収の壁」とその影響をまとめると、以下のようになります。

年収の目安 主な影響 2024年版のポイント
〜110万円 所得税・住民税(所得割)が非課税となる可能性が高い 所得税の非課税ラインが最大160万円に拡大。住民税の非課税ラインも110万円に引き上げ(2026年度支払い分から)。
106万円〜 社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が生じる可能性 2024年10月から従業員数51人以上の企業に適用拡大。
130万円〜 配偶者や親の社会保険上の扶養から外れる 19〜23歳の学生は150万円まで扶養に留まれる特例あり(2025年度から)。
150万円〜 配偶者特別控除の控除額が減少 特定親族特別控除の創設や学生の社会保険扶養特例で、この壁の考え方が複雑化。
201.6万円〜 配偶者特別控除が適用されなくなる 配偶者の所得133万円(給与収入約201.6万円)で控除ゼロ。

ご自身の現在の年収や、今後どのくらい稼ぎたいかを考慮し、どの「壁」が最も影響を与えるのかを把握しましょう。特に、社会保険の加入は手取り額に大きく影響するため、慎重な検討が必要です。

事例で学ぶ!賢い働き方シミュレーション

具体的な事例を通じて、賢い働き方をシミュレーションしてみましょう。ご自身の状況に近いケースを参考に、最適な年収額を考えてみてください。

【事例1:夫の扶養内で働く主婦Aさんの場合】

Aさんは、夫の社会保険の扶養に入りながらパートで働いています。従来の「130万円の壁」を意識して、年収125万円に抑えていました。しかし、2025年度の改正により、所得税の非課税ラインが実質的に上がり、住民税の非課税ラインも110万円になりました。

Aさんが年収を130万円に増やしても、社会保険の扶養からは外れますが、所得税の負担は以前より軽くなります。もしAさんの勤務先が従業員数50人以下の企業であれば、106万円の壁は適用されず、130万円までは扶養内で働くことができました。しかし、今は扶養から外れ、ご自身で社会保険に加入する必要があります。

Aさんは、年収150万円まで増やすことを検討。これにより、社会保険料の自己負担は発生するものの、手取り額は増加し、将来の年金額もアップするメリットを選びました。

【事例2:大学生Bくんの場合】

Bくんは、親の社会保険と税法上の扶養に入りながらアルバイトをしていました。今までは「103万円の壁」を意識していましたが、2025年度の改正で、19歳以上23歳未満の学生は年収150万円まで社会保険上の扶養にとどまれることになりました。さらに、親は特定親族特別控除を受けられる可能性もあります。

Bくんは、年収を103万円から145万円に増やすことにしました。これにより、所得税は多少発生するものの、社会保険料の負担なく手取りを大幅に増やすことができ、学費や生活費の足しにすることが可能になります。

このように、個々の状況や目標に応じて、最適な年収ラインは異なります。ご自身の働き方やご家族の状況を具体的に当てはめて、シミュレーションしてみましょう。

年末調整で損しないためのチェックリスト

2024年の年末調整(2025年実施)は、例年以上に変更点が多いため、以下のチェックリストを活用して、漏れなく正確な申告を行いましょう。

  1. 申告書の様式変更の確認:

    新しい様式や、複数の申告書が統合された様式が導入される可能性があります。勤務先からの案内をよく確認し、最新の様式を入手しましょう。

  2. 所得計算方法の変更の理解:

    給与所得控除や基礎控除の計算方法が変わります。ご自身の年収で控除額がどのように変わるか、おおまかに把握しておくと安心です。

  3. 扶養範囲の再確認:

    ご家族が扶養親族に該当するかどうか、年齢や所得要件を改めて確認しましょう。特に、扶養に入っている方の年収が「年収の壁」を超えていないか、最新の基準でチェックが必要です。

  4. 特定親族特別控除の適用確認:

    19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合、特定親族特別控除が適用される可能性があります。対象となるかを確認し、必要であれば申告書に記載することを忘れないでください。

  5. その他の控除の確認:

    生命保険料控除、地震保険料控除、iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済等掛金控除、住宅ローン控除など、適用できる控除はすべて申告しましょう。控除証明書などの必要書類の準備も忘れずに。

不明な点があれば、会社の担当者や税務署、税理士に相談するなど、早めに確認するようにしましょう。正確な年末調整を行うことで、適切な税負担となり、手取り収入を最大化できます。

賢く節税!年末調整で活用できる控除の種類

年末調整で利用できる主な控除をチェック!

年末調整は、所得税を正しく計算し、払いすぎた税金が還付される手続きです。様々な所得控除を適用することで、課税所得を減らし、結果的に納税額を抑えることができます。2024年の年末調整(2025年実施)では、特に以下の控除が重要となります。

  • 基礎控除:

    すべての納税者に適用される基本的な控除で、2025年度からは合計所得金額に応じて最大95万円まで拡大されます。年収が低いほど控除額が大きくなるため、パート・アルバイトの方には特に恩恵があります。

  • 給与所得控除:

    給与収入に応じて自動的に差し引かれる控除で、2025年度からは最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。これも課税所得を減らす重要な要素です。

  • 配偶者控除・配偶者特別控除:

    配偶者を扶養している場合に適用される控除です。配偶者の所得要件が緩和され、より多くの世帯で恩恵を受けられるようになりました。配偶者の年間所得が48万円(給与収入103万円)以下で配偶者控除、それ以上でも133万円(給与収入約201.6万円)以下で配偶者特別控除が適用されます。

  • 特定親族特別控除:

    2025年度から新設される控除で、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に適用されます。学生のお子さんを持つ家庭にとって、節税の新たな選択肢となります。

これらの控除を正しく申告することで、課税対象となる所得が減り、最終的な納税額を抑えることが可能です。年末調整の際には、ご自身の状況に合わせて適用できる控除がないか、必ず確認しましょう。

控除の申請方法と必要書類

年末調整で控除を申請するには、会社から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「給与所得者の保険料控除申告書」などの書類に必要事項を記入し、適切な添付書類を提出する必要があります。2025年度の年末調整では、申告書の様式が変更される可能性があるため、特に注意が必要です。

主な控除と、その申請に必要な書類は以下の通りです。

控除の種類 主な必要書類
配偶者控除・扶養控除 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入
社会保険料控除 健康保険料・国民年金保険料などの控除証明書(国民年金は必ず必要)
生命保険料控除 生命保険料控除証明書
地震保険料控除 地震保険料控除証明書
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo含む) 掛金払込証明書
住宅借入金等特別控除(2年目以降) 「住宅借入金等特別控除申告書」、金融機関発行の残高証明書

これらの書類は、毎年10月から11月頃にかけて保険会社や金融機関から送付されてきます。紛失すると再発行に時間がかかる場合がありますので、届いたら大切に保管しておきましょう。また、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して年末調整を行う場合は、書面での提出が不要になることもありますので、勤務先の指示に従ってください。

控除を活用して手取りを最大化する方法

年末調整で控除を最大限に活用することは、結果的に手取り収入を増やすことにつながります。ここでは、賢く控除を活用するためのポイントをいくつかご紹介します。

1. 適用できる控除を全て把握する:

上記で紹介した控除以外にも、医療費控除(年末調整では不可、確定申告で対応)、寄付金控除など、様々な控除があります。ご自身の状況に合わせて、どのような控除が利用できるのかを事前に確認しましょう。見落としがちなのは、過去の年分の医療費控除や、災害による雑損控除などです。

2. 控除証明書は早めに準備する:

生命保険料や地震保険料、国民年金保険料などの控除証明書は、年末調整の時期に集中して発行されます。これらが届いたら、すぐに内容を確認し、紛失しないように保管しておきましょう。e-Taxを利用している場合は、電子データでの提供も可能か確認するとスムーズです。

3. 扶養親族の所得状況を常に把握する:

配偶者やお子さんなど、扶養しているご家族の年間所得が「年収の壁」を超えていないか、常に注意しましょう。特にパート・アルバイトをしている場合は、勤務時間やシフト調整で年収をコントロールすることで、世帯全体での税負担を最適化できます。2025年度からの学生の150万円特例も有効活用してください。

4. iDeCoや生命保険の活用を検討する:

個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金や、生命保険料は、それぞれ全額または一部が所得控除の対象となります。これらの制度は、将来の資産形成や保障と同時に、毎年の節税効果も期待できるため、積極的に活用を検討する価値があります。

年末調整は、年に一度の重要な手続きです。これらのポイントを参考に、賢く節税して、手取り収入を最大化しましょう。