概要: 採用通知書を受け取った際に生じる疑問について、内定辞退の方法、賃貸契約や引っ越しとの関連、失業保険や再就職手当との関係、そして紛失時の再発行について解説します。
採用通知書を受け取ったら!内定辞退・賃貸契約・再就職手当まで
新しいキャリアへの扉を開く「採用通知書」。受け取った瞬間は喜びもひとしおですが、その後の手続きや判断には大切なポイントがたくさんあります。
「これで一安心!」と気を抜いてしまうと、後で困ってしまうことも。
このブログ記事では、採用通知書を受け取った後の流れについて、内定辞退、賃貸契約、再就職手当という3つの重要な観点から、最新の情報と注意点をわかりやすく解説します。
後悔のない選択をするために、ぜひ最後までお読みください。
採用通知書を受け取ったら、まず確認すべきこと
採用通知書は、あなたと企業の間で雇用契約が成立したことを示す、非常に重要な書類です。単なる「お知らせ」ではなく、法的な意味合いを持つこともあります。
受け取ったら、まずは記載内容を隅々まで確認し、不明な点があれば速やかに企業に問い合わせることが大切です。
採用通知書とは?その法的意味合い
採用通知書は、企業が応募者に対して採用を決定したことを通知する書類で、多くの場合「内定通知書」とも呼ばれます。この書類の法的拘束力については、労働契約の成立時期がポイントとなります。一般的には、企業が採用通知書を出し、応募者がそれに承諾した時点で「労働契約が成立した」とみなされることが多く、これを「内定」と呼びます。
内定は、実質的には解約権が留保された労働契約であると解釈され、企業側から一方的に内定を取り消すことは容易ではありません。正当な理由がない限り、内定取り消しは「解雇」と同等に扱われ、企業には厳しい条件が課せられます。
同様に、応募者側も内定を承諾した以上、無責任な辞退は避けるべきですが、民法第627条第1項により、入社予定日の2週間前までであれば法的に辞退が可能です。
企業から別途「入社承諾書」などの書類の提出を求められることもあります。この承諾書の提出をもって、内定が正式に確定し、企業は入社の準備を進めることになります。
そのため、入社承諾書は「本当にこの会社に入社する」という強い意思表示となるため、提出する前には十分に検討し、後悔のない選択をすることが極めて重要です。
記載内容の確認ポイント
採用通知書を受け取ったら、記載されている内容を細部まで丁寧に確認することが非常に重要です。特に以下の項目は、今後のあなたの働き方や生活に直接影響するため、必ずチェックしましょう。
- 入社日:いつから働くことになるのか。現職との引き継ぎ期間などを考慮し、無理のないスケジュールか確認します。
 - 配属先・業務内容:どの部署で、どのような業務に携わるのか。希望と合致しているか、また自身のスキルを活かせる内容かを確認します。
 - 給与:基本給、各種手当(通勤手当、住宅手当など)、賞与(ボーナス)の有無と支給条件、昇給制度などを確認します。年収で提示されている場合は、月々の手取り額を概算してみましょう。
 - 労働時間:所定労働時間、休憩時間、残業の有無と残業代の計算方法、休日(週休2日制、祝日、有給休暇の付与条件など)を確認します。
 - 福利厚生:社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)への加入はもちろん、退職金制度、住宅補助、社員割引、研修制度なども確認します。
 - 試用期間:試用期間の有無、期間、その間の給与や待遇について確認します。
 
これらの内容に不明な点や疑問がある場合は、内定承諾の返事をする前に、必ず企業の人事担当者や採用担当者に問い合わせて解消しておきましょう。
後で「こんなはずじゃなかった」とならないよう、納得いくまで確認することが大切です。
返信期限と承諾・辞退の意思表示
採用通知書には、通常、返信の期限が明記されています。この期限内に、内定を承諾するか、あるいは辞退するかを企業に伝えなければなりません。
返信期限は、企業が採用計画を立て、他の候補者への対応を検討する上で非常に重要な要素となります。期限を過ぎてしまうと、企業に多大な迷惑をかけるだけでなく、あなたの信頼性を損なうことにもつながりかねません。
もし、他の企業の選考結果を待っている場合や、家族と相談する時間が必要な場合など、やむを得ない事情で返信期限を延長したい場合は、必ず期限前に企業に連絡し、その旨を丁寧に伝え、相談しましょう。
企業によっては、数日程度の延長に応じてくれることもあります。
内定を承諾する場合は、感謝の気持ちを伝えるとともに、入社への意欲を明確に伝えましょう。多くの企業では、内定承諾書などの書類提出を求められますので、指示に従って速やかに手続きを進めます。
一方で、内定を辞退する場合は、企業への感謝と選考に時間を割いてもらったことへの謝罪を、丁寧な言葉で伝えることがマナーです。辞退の具体的な方法については、次のセクションで詳しく解説します。
いずれにしても、返信期限を意識し、企業に対して誠実な対応を心がけることが、円滑なコミュニケーションと良好な関係構築のために不可欠です。
内定辞退したい場合:採用通知書への返信マナー
複数の企業から内定を得て、最終的に一つの企業を選ぶことはよくあることです。そのため、内定辞退をすること自体は決して悪いことではありません。
しかし、辞退の仕方によっては、企業に迷惑をかけたり、自身の評判を落としてしまったりする可能性もあります。ここでは、内定辞退の正しいマナーと注意点について解説します。
辞退のタイミングと法的・倫理的配慮
内定辞退には、法律上の期限と倫理的な配慮に基づく望ましいタイミングがあります。法律上は、民法第627条第1項により、入社予定日の2週間前までであれば内定を辞退することが可能です。これは、内定承諾書を提出した後であっても適用されます。
しかし、企業の採用計画や準備への影響を考慮すると、辞退の意思が固まったら、できるだけ速やかに連絡することがマナーとされています。
理想的には、内定通知を受けてから1週間以内、遅くとも内定式より前に伝えるのが望ましいでしょう。企業は、内定者一人ひとりのために様々な準備を進めており、辞退が直前になればなるほど、企業側の損失や負担は大きくなります。
例えば、入社研修の準備や、他の候補者への不採用通知、人員配置の計画などが挙げられます。
近年の新卒採用では、内定辞退率が高い傾向にあります。参考情報にもあるように、2024年卒の内定辞退率は63.8%と非常に高い水準で推移しており、学生が複数の企業から内定を得て、より自身の希望に合う企業を選択する現状が浮き彫りになっています。
これは企業側も織り込み済みではありますが、だからこそ、辞退の連絡は誠意をもって、迅速に行うことが重要です。
早期の連絡は、企業が代替の候補者を探す時間を確保することにもつながり、企業との良好な関係を保つためにも不可欠です。
辞退を伝える具体的な方法と例文
内定辞退を伝える方法は、その丁寧さや誠実さが非常に重要になります。原則として、電話で直接伝えるのが最も丁寧な方法とされています。
メールでの連絡も可能ですが、電話の方がより誠意が伝わり、質問があればその場で対応できるというメリットがあります。
電話で連絡する際は、まず採用担当者や人事担当者の氏名を確認し、「今、少しお話しするお時間はよろしいでしょうか」と相手の都合を尋ねることから始めましょう。
落ち着いて話せる状況であることを確認したら、以下のポイントに沿って簡潔かつ丁寧に伝えます。
- 選考機会を与えてくれたことへの感謝を述べる。
 - 内定を辞退する旨を明確に伝える。
 - 辞退理由を述べる(詳細に伝える必要はなく、「一身上の都合により」「熟慮の結果」などの簡潔な表現で十分です)。
 - 選考に時間を割いてもらったことへの謝罪を伝える。
 
【電話での伝え方 例】
「この度、貴社より内定のご連絡をいただき、大変光栄に存じております。
しかしながら、熟慮の結果、今回は辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
貴重な選考の機会をいただきながら、誠に申し訳ございません。
お忙しい中、私のために貴重なお時間を割いていただきましたこと、心より感謝申し上げます。
何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。」
もし電話で担当者と連絡が取れない場合は、メールで辞退の意向を伝え、改めて電話で連絡する旨を記載することも一つの方法です。
メールの場合も、件名で辞退の旨がわかるようにし、上記と同様に感謝と謝罪の気持ちを丁寧に綴りましょう。
違約金請求のリスクと対処法
内定辞退に関して、「違約金を請求されるのではないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、日本の労働法では、労働基準法第16条により、労働契約の不履行について違約金を定めることや、損害賠償額を予定する契約を結ぶことが禁止されています。
このため、内定承諾書に違約金に関する条項があったとしても、その条項は労働基準法に反するため無効となる可能性が非常に高いです。
企業が内定辞退者に対して損害賠償を請求できるケースは、極めて限定的です。
具体的には、以下のような「信義に著しく反する」と判断されるような悪質なケースに限られます。
- 研修参加後に理由なく直前で辞退し、企業に多額の研修費用負担が生じた場合
 - 企業から内定辞退の引き止めをされたにもかかわらず、合理的な理由なく何度も連絡を無視し、企業に多大な迷惑をかけた場合
 - 虚偽の情報を申告して内定を得た後、それが発覚して辞退した場合
 
上記のような特殊なケースを除き、一般的な内定辞退であれば、違約金や損害賠償を請求されることはほとんどありません。
万が一、企業から不当な違約金や損害賠償を請求された場合は、一人で悩まず、労働基準監督署や弁護士、あるいは地域の無料法律相談窓口などに相談することをおすすめします。
専門家からの適切なアドバイスを受けることで、安心して対応を進めることができるでしょう。
採用通知書と賃貸契約・引っ越しについて
新しい会社への就職が決まると、新しい生活のスタートに向けて賃貸契約や引っ越しを検討する方も多いでしょう。特に転職や新卒での入社で転居が必要な場合、採用通知書は賃貸契約を結ぶ上で重要な役割を果たすことがあります。
ここでは、採用通知書を賃貸契約に活用する方法と、その際の注意点について解説します。
入居審査における採用通知書の役割
賃貸物件を借りる際、ほとんどの場合、入居審査というものがあります。これは、家賃を滞りなく支払える経済力があるか、近隣住民とのトラブルなく生活できるかなどを不動産会社や大家さんが判断するためのものです。
この入居審査において、採用通知書(内定通知書)は非常に重要な役割を果たすことがあります。
特に、以下のような状況では、採用通知書が大きな力となります。
- 新社会人:まだ収入の実績がないため、今後の収入を証明する書類として提示します。
 - 転職活動中・退職後:前の職場の収入証明はあっても、現時点での収入が不安定な場合に、新しい職場での安定した収入が見込まれることを示します。
 - 勤続年数が短い:現職でも収入があっても、勤続年数が短すぎると審査で不利になるケースがあるため、新しい職場での長期的な雇用を証明します。
 
採用通知書は、あなたの「今後の安定した収入」と「社会的地位」を証明する書類として機能し、入居審査を有利に進めるための強力な武器となります。
不動産会社によっては、内定通知書を収入証明書の代わりとして受け入れてくれる場合がありますので、まずは相談してみましょう。
審査に必要な書類と準備のポイント
賃貸物件の入居審査に必要な書類は、不動産会社や大家さんによって多少異なりますが、一般的には以下のような書類が求められます。
| 区分 | 主な必要書類 | 補足事項 | 
|---|---|---|
| 基本書類 | 
  | 
申込書は正確に記入し、本人確認書類は顔写真付きのものを準備します。 | 
| 収入証明書 | 
  | 
採用通知書は、特に新社会人や転職者にとって重要な収入証明となります。給与明細や預金通帳は、収入が不安定な期間がある場合に有効です。 | 
| 連帯保証人関連 | 
  | 
連帯保証人を立てる場合。最近は保証会社を利用するケースも増えています。 | 
これらの書類は、事前に準備しておくことで、スムーズな入居審査につながります。
もし採用通知書を紛失してしまった場合は、まず勤務先に再発行を依頼しましょう。再発行が難しい場合や、時間がかかる場合は、不動産会社に相談し、労働条件通知書やその他の書類で代用できないか確認することが大切です。
早めに準備を進め、必要書類が揃っているかチェックリストを作成するのも良いでしょう。
賃貸契約時の注意点とトラブル回避
賃貸契約は、高額な費用が伴い、長期的な生活の基盤となる重要な契約です。採用通知書を提出する際も含め、いくつかの注意点を押さえてトラブルを回避しましょう。
まず、最も重要なことは、内定通知書の偽造は絶対に行わないことです。
偽造が発覚した場合、入居審査に落ちるだけでなく、契約後であっても強制退去となるリスクや、最悪の場合、詐欺罪に問われる可能性もあります。正直に状況を伝え、代替書類などで対応するようにしましょう。
賃貸契約を進める上でのその他の注意点は以下の通りです。
- 物件の選定:通勤時間、周辺環境(スーパー、病院、交通機関など)、治安などを考慮して慎重に物件を選びましょう。実際に足を運び、昼夜の雰囲気を確認することも大切です。
 - 契約内容の確認:家賃、共益費、敷金、礼金、更新料、解約条件など、契約書の内容を隅々まで確認し、不明な点は不動産会社に質問して解消しましょう。特に「退去時の原状回復費用」に関する項目はトラブルになりやすいので注意が必要です。
 - 初期費用の準備:敷金、礼金、前家賃、仲介手数料、火災保険料など、賃貸契約には家賃の4~6ヶ月分程度の初期費用がかかるのが一般的です。計画的に資金を準備しておきましょう。
 - 引っ越しスケジュールの計画:入社日に間に合うように、引っ越し業者選定、荷造り、各種住所変更手続きなどを計画的に進めましょう。
 - 内定辞退の可能性も考慮:もし内定を辞退する可能性が少しでもある場合は、賃貸契約の締結を急がず、内定が完全に確定してから進めるのが賢明です。契約後のキャンセルは、違約金が発生する場合があります。
 
これらの点に注意し、焦らず慎重に進めることで、新しい生活をスムーズにスタートさせることができるでしょう。
採用通知書と失業保険・再就職手当の関連性
転職活動中に失業保険(基本手当)を受給していた方が、無事に採用通知書を受け取った場合、気になるのが「失業保険はどうなるのか?」「再就職手当はもらえるのか?」といった点でしょう。
採用通知書は、これらの手当の申請において重要な書類となります。ここでは、再就職手当の制度概要、受給条件、申請方法について詳しく解説します。
再就職手当の概要と目的
再就職手当は、雇用保険の基本手当(失業保険)の受給資格がある方が、所定給付日数を残して早期に安定した職業に就いた場合に支給される手当です。
この制度の主な目的は、失業期間の長期化を防ぎ、求職者が積極的に再就職を目指すことを支援することにあります。
早期に再就職することで、失業手当の残りの給付日数に応じて、まとまった金額が一時金として支給されるため、再就職後の生活を安定させるための大きな助けとなります。
失業手当は失業中の生活を支えるためのものですが、再就職手当は「再就職を祝し、その後の生活を応援する」という性質を持つと言えるでしょう。
この手当は、単に早く再就職すればよいというものではなく、ハローワークが定める一定の条件を満たす必要があります。
条件をしっかり理解し、漏れなく申請することで、受給資格がある方はこの手厚い制度を活用することができます。採用通知書を受け取ったら、まずは自分が再就職手当の対象になるかを確認することが重要です。
再就職手当の受給条件と申請プロセス
再就職手当を受給するためには、ハローワークが定める複数の条件を全て満たす必要があります。採用通知書を受け取った方は、以下の条件に該当するかを一つずつ確認しましょう。
【再就職手当の主な受給条件】
- 失業手当の受給資格があること:基本手当の受給資格が決定している必要があります。
 - 7日間の待期期間を満了していること:ハローワークに求職の申込みをした日(または離職日の翌日)から数えて、失業状態が7日間続いていること。この期間中に就職が決定した場合は対象外です。
 - 就職日の前日までに、失業手当の所定給付日数の3分の1以上が残っていること:これが再就職手当支給の大きな条件です。残日数が少ないと対象外になります。
 - 離職した会社(または密接な関わりがある会社)に再び就職したものでないこと:前職へのUターン就職は対象外です。
 - 1年を超えて勤務することが確実であること:派遣社員などで雇用期間が1年未満の場合でも、更新が確実で合計で1年以上となる見込みがあれば対象となることがあります。
 - 自己都合退職などで給付制限がある場合:待期期間満了後1ヶ月以内は、ハローワークまたは職業紹介事業者からの紹介で就職する必要があります。それ以降であれば、自分で見つけた就職先でも対象です。
 - 再就職手当の支給決定から過去3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと:複数回の受給には制限があります。
 
これらの条件を満たしている場合、再就職手当の申請手続きに進めます。
申請は、就職日から1ヶ月以内に、就職先の企業から「採用証明書」を受け取り、ハローワークで「再就職手当支給申請書」に記入して提出するのが一般的です。
申請後、ハローワークでの審査を経て、通常は申請から約1ヶ月程度で支給が決定され、指定口座に振り込まれます。早めに準備し、忘れずに申請しましょう。
支給額の計算方法と知っておきたいこと
再就職手当の支給額は、以下の計算式で算出されます。
基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率
それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。
- 基本手当日額:失業手当として、1日あたりに支給される金額です。離職前の賃金によって決まります。
 - 支給残日数:就職日の前日までに残っていた失業手当の所定給付日数です。
 - 給付率:支給残日数によって変わります。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合:70%
 - 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合:60%
 
 
【計算例】
基本手当日額:5,000円
所定給付日数:90日
就職日までの支給残日数:50日
この場合、支給残日数は所定給付日数(90日)の3分の1(30日)以上、かつ3分の2(60日)未満なので、給付率は60%が適用されます。
計算式:5,000円 × 50日 × 60% = 150,000円
この金額が再就職手当として支給されることになります。
再就職手当を受給するためには、失業認定を受けている期間中の就職活動の実績が重要です。
ハローワークで指定された日には必ず失業認定を受け、就職活動の状況を正確に報告しておく必要があります。
また、就職が決定したら、ハローワークへの連絡を怠らないようにしましょう。
正しい知識を持って計画的に申請を進めることで、再就職手当を確実に受け取ることができます。
採用通知書を紛失・破棄した場合:再発行について
採用通知書は、その後の手続きや証明に必要となる重要な書類です。しかし、誤って紛失してしまったり、うっかり破棄してしまったりすることもあるかもしれません。
ここでは、もし採用通知書が手元になくなった場合の対処法について解説します。
なぜ再発行が必要になるのか
採用通知書は、単に「内定のお知らせ」というだけでなく、様々な場面であなたの就職状況を証明する公的な書類として機能します。そのため、紛失してしまうと後々困るケースが出てきます。
再発行が必要となる主な理由は以下の通りです。
- 賃貸契約の審査:前述の通り、新しい住まいを借りる際の入居審査で、収入証明や就職証明として提出を求められることがあります。
 - 公的手続き:失業保険の再就職手当申請や、その他の公的な補助金・制度を利用する際に、就職証明として提出が必要となる場合があります。
 - 自身の記録として:入社日、配属先、給与などの重要な労働条件が記載されており、後々内容を確認したい場合に必要となります。
 - 企業側からの要求:入社手続きの一環として、企業側から「採用通知書を保管し、必要に応じて提示すること」を求められる場合もあります。
 
このように、採用通知書はあなたの新しい生活やキャリアを支える上で不可欠な書類であり、紛失・破棄してしまうと、手続きが滞ったり、予期せぬトラブルに発展したりするリスクがあります。
そのため、もし手元にない場合は、できるだけ早く再発行の手続きを検討する必要があります。
再発行依頼のステップと注意点
採用通知書を紛失・破棄してしまった場合、再発行を依頼する場所は、採用通知書を発行した企業の人事部または採用担当者となります。
依頼する際は、以下のステップと注意点を守り、丁寧な対応を心がけましょう。
- 連絡方法:まずは電話で連絡し、担当者の都合を確認した上で事情を説明するのが最も丁寧です。もし電話が難しい場合は、メールで連絡しても構いませんが、その際も丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
 - 伝えるべき内容:
- 自身の氏名、応募した職種、内定時期
 - 採用通知書を紛失(または誤って破棄)してしまった旨
 - 再発行をお願いしたい理由(例:賃貸契約の入居審査で必要となったため、再就職手当の申請で必要となったためなど)
 
 - 依頼の仕方:「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんが、再発行していただくことは可能でしょうか」といった謙虚な姿勢で依頼しましょう。
 - 再発行にかかる時間:企業によっては再発行までに時間がかかる場合があります。提出期限がある場合は、その旨も伝え、いつ頃までに必要か相談しましょう。
 - 郵送・受け取り方法の確認:再発行された書類の郵送方法や、直接受け取りが可能かなども確認しておくとスムーズです。
 
企業側も再発行には手間がかかるため、迷惑をかけてしまうことを忘れずに、誠意をもって依頼することが大切です。
また、再発行された書類は大切に保管し、二度と紛失しないように注意しましょう。
再発行が難しい場合の代替策
残念ながら、企業によっては採用通知書の再発行に対応していないケースもあります。特に、過去の採用通知書の場合や、企業の規模によっては対応が難しいこともあるでしょう。
もし再発行が難しいと告げられた場合でも、すぐに諦める必要はありません。代替策を検討し、必要な手続きを進めましょう。
- 労働条件通知書:採用通知書と併せて発行されることが多い「労働条件通知書」は、入社日、配属先、給与、労働時間などの重要な情報が詳細に記載されており、採用通知書の代わりとして認められることが多いです。もしお手元にあれば、これを活用できないか相談してみましょう。
 - 雇用契約書:企業と正式に雇用契約を結んだ場合に発行される書類で、これも採用通知書と同様に、あなたの雇用を証明する有力な書類となります。
 - 在籍証明書・採用証明書:企業によっては、採用通知書そのものの再発行はできなくても、「採用証明書」や「在籍証明書」といった形で、あなたがその企業に採用されたことや、現在在籍していることを証明する書類を発行してくれる場合があります。必要な情報が記載されているかを確認し、代替として利用できないか相談してみましょう。
 - 関係機関への相談:もし、賃貸契約や公的手続きで採用通知書が必須とされている場合は、提出先の不動産会社やハローワークなどの担当窓口に、採用通知書が再発行できない旨を伝え、他に提出できる書類がないか、あるいは口頭での確認や特別な対応が可能か相談してみましょう。状況によっては、柔軟な対応をしてもらえることもあります。
 
いずれの代替策も、まずは企業の人事担当者に相談し、どのような書類であれば発行可能かを確認することが第一歩です。
決して偽造などを試みず、正直に状況を説明し、最善の解決策を探すようにしましょう。
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採用通知書は、新しいキャリアの始まりを告げる大切な一枚です。受け取ったその日から、あなたの未来に向けた様々な準備がスタートします。
内定辞退の正しいマナー、賃貸契約への活用、そして再就職手当の申請まで、それぞれのステップで採用通知書が果たす役割は大きく、その取り扱いには注意が必要です。
この記事でご紹介した情報が、あなたの新しい一歩をスムーズに進めるための一助となれば幸いです。
疑問や不安な点があれば、一人で抱え込まず、企業の担当者や専門機関に相談し、後悔のない選択をしてください。
あなたの新しい門出を心より応援しています!
まとめ
よくある質問
Q: 採用通知書を断りたい場合、どのように返信すれば良いですか?
A: 採用通知書を受け取った後、内定を辞退する場合は、速やかに電話で連絡し、その後、メールや書面で正式に辞退の意思を伝えましょう。丁寧な言葉遣いを心がけ、辞退理由を簡潔に伝えることが重要です。
Q: 採用通知書を受け取った後、賃貸契約を進めることはできますか?
A: はい、採用通知書は内定の証明となりますので、賃貸契約を進める際に提出を求められることがあります。ただし、正式な雇用契約書とは異なるため、不動産業者や貸主の判断によっては、別途書類の提出を求められる場合もあります。
Q: 採用通知書を受け取った場合、失業保険の受給資格はどうなりますか?
A: 原則として、採用通知書を受け取っても、まだ雇用契約が成立したわけではないため、失業保険の受給資格は継続します。ただし、入社して雇用保険に加入した後に失業状態になった場合は、受給資格が新たに発生します。
Q: 採用通知書を紛失してしまった場合、再発行は可能ですか?
A: はい、採用通知書を紛失した場合でも、発行元である企業に連絡すれば再発行してもらえることがほとんどです。速やかに連絡し、再発行の手続きについて確認しましょう。
Q: 採用通知書には、どのような情報が記載されていますか?
A: 採用通知書には、会社名、採用職種、雇用形態(正社員、契約社員、アルバイトなど)、勤務地、給与、勤務時間、休日などの基本的な雇用条件が記載されています。また、入社手続きに関する案内なども含まれている場合があります。
  
  
  
  