働き方が多様化する現代において、「コアタイム」と「モアタイム」という言葉を耳にする機会が増えました。
しかし、これらがそれぞれ何を意味し、どのように私たちの働き方や生活に影響しているのか、正確に理解しているでしょうか?

本記事では、この二つの重要なキーワードについて、その基本的な意味から、ビジネスシーンでの具体的な活用法、さらには誤解を解き、賢く使いこなすためのヒントまでを徹底的に解説します。
柔軟な働き方を実現し、より豊かなワークライフバランスを築くために、ぜひ最後までお読みください。

  1. 「コアタイム」と「モアタイム」の基本的な意味を理解しよう
    1. コアタイム:柔軟な働き方の「核」となる時間
    2. モアタイム:金融業界を変革した24時間365日の決済システム
    3. どちらも「時間」に関する概念だが、その背景と目的は全く異なる
  2. 「コアタイム」と「モアタイム」の違いを明確にする
    1. 対象と目的の違いを理解する
    2. 制度としての位置づけと影響範囲
    3. 語源と発展の背景
  3. ビジネスシーンでの「コアタイム」「モアタイム」活用例
    1. コアタイムでチームの生産性を最大化する
    2. フレックスタイム制度導入がもたらす企業メリット
    3. モアタイムシステムがもたらすビジネスチャンスと利便性
  4. 「コアタイム」「モアタイム」の誤解を解き、賢く使いこなす
    1. コアタイムは「自由を縛る」ものではない
    2. モアタイムは「すべての金融取引」を即時化するわけではない
    3. 導入・活用における注意点と成功の鍵
  5. 「コアタイム」・「モアタイム」以外の時間活用術
    1. スーパーフレックス:究極の自由度を追求する働き方
    2. ワーケーションやブレジャー:仕事と休暇を融合する新しいスタイル
    3. 時間管理術と自己成長:個人の生産性を高めるために
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 「コアタイム」とは具体的にどのような意味ですか?
    2. Q: 「モアタイム」とは何ですか?「コアタイム」との違いは?
    3. Q: みずほ銀行の「コアタイム」「モアタイム」の振込について教えてください。
    4. Q: 「コアタイム」は保育園や睡眠とも関連がありますか?
    5. Q: イベントやオンライン会議での「コアタイム」の注意点は?

「コアタイム」と「モアタイム」の基本的な意味を理解しよう

コアタイム:柔軟な働き方の「核」となる時間

「コアタイム」は、主にフレックスタイム制度において設定される、労働者が必ず勤務しなければならない時間帯を指します。

フレックスタイム制度とは、「一定の期間(清算期間)において、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、労働者が各自の始業・終業時刻や労働時間を自由に決められる勤務制度」のことです。
これにより、通勤ラッシュを避けたり、育児や介護など個人の都合に合わせて柔軟に働くことが可能となり、ワークライフバランスの向上に貢献します。

コアタイムは、チームでの会議や情報共有、連携を円滑に行うために設けられます。
例えば「午前10時から午後3時まで」といった形で設定され、この時間帯は全従業員が出勤していることが求められます。
コアタイムの前後に設定されるのが、「フレキシブルタイム」と呼ばれる、労働者が自由に労働時間を調整できる時間帯です。

なお、コアタイムを設けない「スーパーフレックス」という形態もあり、より一層の自由な働き方を追求する企業も増えています。

モアタイム:金融業界を変革した24時間365日の決済システム

一方、「モアタイムシステム」は、金融業界における銀行間の決済システムに関する用語です。
従来のシステムでは、銀行間の振込決済は平日の午前8時30分から午後3時30分までの「コアタイムシステム」と呼ばれる時間帯に限定されていました。

しかし、2018年10月に稼働を開始した「モアタイムシステム」により、この状況は劇的に変化しました。
平日夜間はもちろん、土日祝日を含む24時間365日いつでも、銀行間の即時決済が可能になったのです。

これにより、利用者は銀行振込をいつでも好きな時に行えるようになり、例えば給与前払いサービスや緊急の送金など、金融サービスの利便性が飛躍的に向上しました。
当初は一部の金融機関のみの参加でしたが、2021年時点では約1,100の機関が参加しており、その利便性は広く社会に浸透しています。

どちらも「時間」に関する概念だが、その背景と目的は全く異なる

「コアタイム」と「モアタイム」は、どちらも「時間」という共通のキーワードを持つため、混同されがちですが、その背景と目的は全く異なります。

コアタイムは、「働き方改革」の一環として、従業員の柔軟な働き方を支援しつつ、組織としての生産性と連携を保つことを目的に導入される制度です。
労働者のワークライフバランス向上と企業の生産性向上の両立を目指します。

これに対し、モアタイムは、「金融インフラの近代化」「利便性向上」を追求する中で生まれた決済システムです。
個人や企業が時間や曜日を気にせず金融取引を行えるようにすることで、経済活動の効率化と利用者の満足度向上を目指しています。

このように、言葉の響きは似ていても、それぞれの概念が適用される分野と、それがもたらす効果は大きく異なることを理解することが重要です。

「コアタイム」と「モアタイム」の違いを明確にする

対象と目的の違いを理解する

「コアタイム」と「モアタイム」を区別する上で最も重要な点は、その対象と目的の根本的な違いにあります。

  • コアタイム

    • 対象:企業に勤務する従業員(労働者)。
    • 目的:フレックスタイム制度の一部として、チーム内のコミュニケーションや連携を維持しつつ、従業員の働き方の自由度を高めること。ワークライフバランスの向上や生産性の最大化を目指す。
  • モアタイム

    • 対象:銀行間の資金移動(決済)。利用者は金融サービス全般。
    • 目的:従来の制限された時間帯から、24時間365日の即時決済を可能にし、金融取引の利便性を大幅に向上させること。経済活動の円滑化と利用者のニーズに応えることを目指す。

このように、コアタイムが「個人の働き方」と「組織の生産性」に焦点を当てる一方、モアタイムは「金融システムのインフラ」と「社会全体の利便性」に貢献しています。

制度としての位置づけと影響範囲

両者の違いは、制度としての位置づけとその影響範囲にも明確に表れます。

コアタイムは、「フレックスタイム制度」の一部として、各企業が独自に就業規則や労使協定で定めて導入するものです。
そのため、その影響は導入した企業内の従業員の労働時間管理に限定されます。

企業によってはコアタイムを設定しない「スーパーフレックス」制度を採用している場合もありますし、コアタイムの時間帯も企業や部署によって様々です。
あくまで、企業と従業員の合意に基づいて運用されるローカルな制度と言えるでしょう。

対してモアタイムシステムは、「全国銀行データ通信システム」の一部として、日本中の金融機関が参加する広範な決済インフラです。
その影響は、日本全国の銀行間取引、ひいては一般消費者や企業の金融取引全般に及びます。

個々の企業が自由に導入・廃止できるようなものではなく、社会全体の金融システムを支える重要な基盤として機能しています。
その規模と社会への影響度は、コアタイムとは比較にならないほど大きいと言えるでしょう。

語源と発展の背景

これらの言葉が生まれた背景を知ることで、それぞれの意味合いがさらに深く理解できます。

コアタイムは、英語の「core time(核となる時間)」に由来し、1970年代に欧米で始まったフレックスタイム制度の概念とともに日本に紹介されました。
高度経済成長期を経て、画一的な労働時間から個人のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が求められるようになった社会の変化を背景に発展しました。

特に、2019年の働き方改革関連法により、フレックスタイム制の清算期間の上限が従来の1ヶ月から3ヶ月に延長され、より柔軟な運用が可能になったことで、その重要性は一層増しています。

一方、モアタイムシステムの「モア」は、英語の「more(もっと、より多く)」に由来します。
これは、従来の「コアタイムシステム」(金融業界の平日8:30〜15:30)では対応できなかった時間帯にも、「もっと」多くの決済を可能にするという意図が込められています。

金融のデジタル化やキャッシュレス化の進展、消費者の利便性向上への強い要求が、このシステム開発の大きな原動力となりました。
24時間365日動く現代社会において、金融サービスもそれに追従する必要性があったのです。

ビジネスシーンでの「コアタイム」「モアタイム」活用例

コアタイムでチームの生産性を最大化する

フレックスタイム制度におけるコアタイムは、単に「勤務必須時間」というだけでなく、チーム全体の生産性を最大化するための戦略的な時間として活用できます。

例えば、午前中にコアタイムを設定している企業では、この時間帯に重要な会議やチームでの情報共有を集中させることが可能です。
「午前10時から午後1時まで」をコアタイムとすることで、メンバー全員が顔を合わせ、活発な議論や連携を図ることができます。
これにより、午後のフレキシブルタイムでは、各自が集中して自身の業務に取り組むことができ、効率的な働き方を実現します。

特に、リモートワークが普及する現代において、コアタイムはチーム間のコミュニケーション不足を補い、一体感を醸成する上で重要な役割を果たします。
柔軟な働き方を認めつつも、組織としての規律と連携を保つための「賢い仕組み」として機能するのです。

フレックスタイム制度導入がもたらす企業メリット

フレックスタイム制度の導入は、企業にとって多岐にわたるメリットをもたらします。
参考情報にもあるように、以下のような点が挙げられます。

  • ワークライフバランスの向上:従業員が通勤ラッシュを避けたり、育児や介護、通院などプライベートの予定と仕事を両立しやすくなります。
  • 生産性向上:従業員が自身の集中力が高まる時間帯に業務を進められるため、個々の生産性が向上し、結果として組織全体のパフォーマンスアップに繋がります。
  • 定着率向上と人材確保:柔軟な働き方ができる企業は、従業員の満足度が高く、離職率の低下や優秀な人材の確保に貢献します。大規模企業では30%前後が導入、中小企業でも3割程度が導入しており、その効果は実証されています。
  • コスト削減:テレワークと組み合わせることで、オフィススペースや光熱費などのコスト削減も期待できます。

これらのメリットは、企業が持続的に成長し、変化の激しい現代社会で競争力を維持するために不可欠な要素と言えるでしょう。

モアタイムシステムがもたらすビジネスチャンスと利便性

モアタイムシステムの稼働は、金融サービスに革命をもたらし、さまざまなビジネスチャンスと利便性を生み出しました。

最も身近な例は、「給与前払いサービス」の普及です。
従業員は急な出費が必要になった際、銀行営業時間外や週末であっても、自身が働いた分の給与をすぐに受け取れるようになりました。
これは、従業員の福利厚生として企業の採用力を高める一因にもなっています。

また、ECサイトでの決済や、企業間の緊急の振り込みなど、24時間365日の即時決済が可能になったことで、ビジネスのスピード感が格段に向上しました。
例えば、金曜日の夕方に発生した問題の解決のために、週末に緊急の支払いを済ませるといった対応も可能となり、機会損失の防止にも繋がっています。

モアタイムシステムは、単に「いつでも振り込める」という利便性だけでなく、新しい金融サービスやビジネスモデルの創出を後押しする重要なインフラとして機能しているのです。

「コアタイム」「モアタイム」の誤解を解き、賢く使いこなす

コアタイムは「自由を縛る」ものではない

コアタイムについて、一部では「せっかくのフレックスタイムなのに、結局自由がない」という誤解を抱く人もいるかもしれません。
しかし、これは核心を見誤った捉え方です。

コアタイムは、決して従業員の自由を制限するためのものではなく、チームとしての連携と生産性を確保するための「必要な時間」として位置づけられます。
例えば、全くコアタイムがない「スーパーフレックス」の場合、メンバー間のコミュニケーションが不足し、情報共有の遅れや連携の難しさから、かえって業務効率が落ちる可能性もあります。

コアタイムがあることで、チーム全員が顔を合わせる時間が保証され、円滑なプロジェクト進行や課題解決に繋がります。
重要なのは、コアタイム以外のフレキシブルタイムで、従業員が自身の都合に合わせて柔軟に働くことができるという点です。
このバランスこそが、フレックスタイム制度の真価であり、コアタイムはその一翼を担っているのです。

モアタイムは「すべての金融取引」を即時化するわけではない

モアタイムシステムによって「銀行取引はすべて24時間365日即時化された」と誤解している方もいるかもしれません。
しかし、これは正確ではありません。

モアタイムシステムは、主に銀行間の小口・中口の振込決済に対応しています。
例えば、他行宛の個人間送金や、企業間の一般振込などがこれに該当します。

一方で、大口の企業間決済(リアルタイムグロス決済:RTGS)、外貨建て送金、一部の国際送金など、従来のシステムや特別な手続きが必要な取引は、依然として銀行の営業時間内に限定される場合があります。

また、利用している金融機関のシステムメンテナンス時間や、ATM・ネットバンキングのサービス提供時間によっては、一時的に利用できないこともあります。
モアタイムシステムは「原則24時間365日」</markという利便性を提供しますが、個別の取引内容や金融機関の運用状況を確認することが賢明な利用法と言えるでしょう。

導入・活用における注意点と成功の鍵

「コアタイム」を含むフレックスタイム制度、そして「モアタイムシステム」を活用したサービスを導入・利用する際には、いくつかの注意点があります。

フレックスタイム制度の導入においては、参考情報にもある通り、以下の点が不可欠です。

  • 就業規則・労使協定の整備:制度の内容を明確に規定し、従業員の合意を得る必要があります。
  • 労働時間管理の徹底:従業員が自由に働ける分、実労働時間を正確に把握し、過不足なく賃金を清算する仕組みが必要です。
  • 社内周知と理解:制度が形骸化しないよう、従業員への十分な説明と理解促進が重要です。
  • 清算期間の管理:清算期間(最長3ヶ月)における総労働時間を適切に管理し、過不足賃金の調整を行う必要があります。

モアタイムシステムを活用したサービス(給与前払いなど)の導入においては、利用するサービス提供事業者の信頼性やセキュリティ対策を十分に確認することが重要です。
また、従業員への説明を丁寧に行い、誤解が生じないようにすることも成功の鍵となります。

いずれの場合も、制度やシステムを「導入すること」が目的ではなく、「適切に運用し、そのメリットを最大限に引き出すこと」が成功に繋がることを忘れてはなりません。

「コアタイム」・「モアタイム」以外の時間活用術

スーパーフレックス:究極の自由度を追求する働き方

コアタイムを設定しない「スーパーフレックス」は、フレックスタイム制度の中でも最も自由度の高い働き方です。
始業・終業時刻だけでなく、1日の労働時間まで従業員自身が自由に決定できるため、究極のワークライフバランスを実現できる可能性があります。

この制度の最大のメリットは、個人の生産性を最大限に引き出せる点にあります。
例えば、子どもの学校行事や介護、趣味の活動など、ライフスタイルに合わせて柔軟に労働時間を調整できるため、従業員のモチベーション向上にも繋がります。
また、通勤ラッシュを完全に避けることも可能となり、通勤ストレスの軽減にも貢献します。

しかし、一方でデメリットも存在します。
コアタイムがないため、チーム内のコミュニケーションが希薄になりやすいという課題や、従業員一人ひとりの高い自己管理能力が求められます。
導入を検討する企業は、これらのメリットとデメリットを慎重に比較検討し、自社の文化や業務内容に合致するかを見極める必要があります。

ワーケーションやブレジャー:仕事と休暇を融合する新しいスタイル

「コアタイム」や「モアタイム」が時間の使い方を最適化する概念であるならば、近年注目される「ワーケーション」や「ブレジャー」は、「働く場所」と「休暇」を融合させる新しい働き方と言えるでしょう。

ワーケーション(Work + Vacation)は、観光地やリゾート地で休暇を取りながら仕事を行うスタイルです。
例えば、地方の温泉地で平日は午前中に集中して仕事をし、午後は観光を楽しむといった形が考えられます。
リフレッシュ効果と生産性向上の両方を期待できる点が魅力です。

ブレジャー(Business + Leisure)は、出張などの業務渡航の機会に、滞在先で休暇を組み合わせて楽しむスタイルを指します。
例えば、海外出張の週末に現地で観光を楽しむことで、単なる出張とは異なる充実感を得られます。

これらのスタイルは、従業員の心身のリフレッシュを促し、創造性の向上に繋がる可能性があります。
企業側も、従業員の満足度向上や新たな人材確保のツールとして導入を検討する価値があるでしょう。
ただし、制度設計やセキュリティ面の課題をクリアする必要があります。

時間管理術と自己成長:個人の生産性を高めるために

企業が提供する制度やシステムだけでなく、個人が自身の時間を有効に活用するスキルも、現代の働き方においては非常に重要です。
時間管理術を身につけることは、生産性を高め、自己成長の機会を創出する上で欠かせません。

具体的な手法としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ポモドーロ・テクニック:25分集中して作業し、5分休憩を繰り返すことで集中力を維持します。
  • GTD(Getting Things Done):タスクを洗い出し、整理し、実行することで、頭の中をクリアにし、効率的に作業を進めます。
  • タイム・ブロッキング:カレンダーに「〇〇をやる時間」とブロックを設けることで、計画的に時間を使い、マルチタスクを防ぎます。

これらの時間管理術を実践することで、業務時間を効率的に使えるだけでなく、自己啓発やスキルアップのための時間を確保することも可能になります。
例えば、毎朝1時間、資格取得のための勉強時間にあてる、週に数時間、新しいプログラミング言語を学ぶといった時間を創出できるでしょう。

「時間を管理する」という意識から一歩進んで、「時間をデザインする」という視点を持つことが、個人の充実したワークライフとキャリア形成に繋がります。