ボーナスが待ち遠しい季節。しかし、額面通りの金額がそのまま手元に入るわけではないことをご存知でしょうか? 税金や社会保険料が控除されるため、「思ったより少ない」と感じる人も少なくありません。

この記事では、賞与が60万円から100万円の場合に焦点を当て、手取り額がどのように計算されるのか、そして実際にいくら手元に残るのかを徹底的に解説します。あなたのボーナスを最大限に活かすための参考にしてください。

賞与(ボーナス)の手取り額はいくら?

なぜ手取り額は額面より少なくなるの?

夏のボーナス、冬のボーナスなど、会社から支給される賞与は、多くの従業員にとって大きなモチベーションとなります。しかし、支給される額面金額がそのまま銀行口座に振り込まれるわけではありません。

これは、賞与からも毎月の給与と同様に、いくつかの項目が差し引かれるためです。具体的に控除されるのは、「社会保険料」と「所得税」の二大要素となります。

社会保険料には、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が含まれ、40歳以上の方にはさらに介護保険料も加算されます。

これらの社会保険料は、将来の医療や年金、失業時の保障などを支えるための大切な費用です。

一方、所得税は、収入に応じて国に納める税金であり、賞与からも源泉徴収されます。これらの控除を考慮すると、一般的に賞与の手取り額は額面の約7~8割程度になると言われています。

なお、毎月の給与から天引きされることの多い「住民税」は、原則として賞与からは差し引かれません。住民税は前年の所得に基づいて計算され、毎月の給与から控除されるか、個人で納付することになります。

この仕組みを理解することが、ボーナスを賢く受け取り、活用するための第一歩です。

手取り額を左右する要素とは?

賞与の手取り額が額面のおよそ7~8割になるとはいえ、この割合は個人の状況によって大きく変動します。具体的には、以下のような複数の要素が手取り額に影響を与えます。

  • 年齢:40歳以上になると、介護保険料が社会保険料に加わるため、手取り額が若干少なくなります。
  • 扶養家族の有無:所得税の計算において、扶養家族の人数が多いほど控除額が増え、結果として所得税額が少なくなる可能性があります。
  • 居住地域:健康保険料率は、加入している健康保険組合や、居住する都道府県によって異なるため、地域によって手取り額に差が出ることがあります。例えば、協会けんぽの保険料率は毎年見直され、都道府県ごとに設定されています。
  • 加入している健康保険組合:全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入しているか、特定の業種や大企業が独自に運営する健康保険組合に加入しているかによって、健康保険料率が異なります。組合によっては、協会けんぽよりも保険料率が低い場合もあります。
  • 前月の給与額:所得税の源泉徴収額は、賞与支給月の前月の給与から社会保険料などを差し引いた金額と、扶養親族の数を基に計算されるため、前月の給与額が少ない場合は所得税率が低くなる傾向があります。

これらの要素が複雑に絡み合い、最終的な手取り額を決定します。したがって、友人や同僚と額面が同じであっても、手取り額が異なることは珍しくありません。自身の状況を正確に把握することが重要です。

自分で手取り額をシミュレーションしてみよう

正確な手取り額を知るためには、ご自身の状況に合わせたシミュレーションが最も確実です。ここでは、その基本的な計算ステップをご紹介します。

まず、賞与の額面金額から社会保険料を差し引きます。社会保険料の内訳は以下の通りです。

  • 健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳以上):これらは賞与の総支給額の1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、それぞれの保険料率を掛けて計算されます。自己負担分は通常、会社との折半になります。保険料率は、前述の通り、お住まいの地域や加入している健康保険組合によって異なりますので、ご自身の給与明細や会社の担当部署で確認しましょう。厚生年金保険の標準賞与額には、月150万円という上限が設けられています。
  • 雇用保険料:こちらは賞与の総支給額に雇用保険料率(一般事業の場合、従業員負担分は0.6%)を掛けて計算されます。

社会保険料が計算できたら、次に所得税を計算します。所得税は、賞与支給月の前月の給与から社会保険料などを差し引いた金額と、扶養親族の数を基に、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて税率を決定します。

そして、その税率を、賞与の総支給額から社会保険料を差し引いた後の金額(課税対象額)に乗じて計算されます。2024年からは、所得税の定額減税も賞与が対象となり、個人の状況に応じて減税される場合がある点も留意しておきましょう。

これらの計算によって算出された社会保険料と所得税を額面金額から差し引けば、おおよその手取り額を把握することができます。詳細な計算には、給与計算ソフトや専門家の助けを借りるのが最も正確です。

賞与60万円・65万円の場合の手取り額

賞与60万円の場合の具体的な計算例

賞与額が60万円の場合、実際に手元に入る金額はいくらになるのでしょうか。一般的に約7~8割が手取り額の目安とされていますが、具体的な計算例を見てみましょう。

ここでは、特定の条件下(東京都勤務、40歳未満、扶養家族なし、協会けんぽ加入、前月給与25万円と仮定)でのシミュレーションを提示します。まず、社会保険料を計算します。標準賞与額は1,000円未満切り捨てなので、60万円となります。

  • 健康保険料(自己負担分):標準賞与額600,000円 × 協会けんぽ東京の保険料率4.935% = 29,610円
  • 厚生年金保険料(自己負担分):標準賞与額600,000円 × 保険料率9.15% = 54,900円
  • 雇用保険料(自己負担分):賞与総支給額600,000円 × 雇用保険料率0.6% = 3,600円

これらの社会保険料の合計は、29,610円 + 54,900円 + 3,600円 = 88,110円となります。

次に、所得税を計算します。所得税の源泉徴収額は、社会保険料控除後の金額に対して税率が適用されます。前月の給与額や扶養家族の有無で税率が変わるため一概には言えませんが、このケースではおよそ3万円~4万円程度が目安となるでしょう。

例えば、所得税が約31,890円と仮定した場合、合計控除額は88,110円(社会保険料)+ 31,890円(所得税)= 120,000円です。

したがって、賞与60万円の場合の手取り額は、600,000円 – 120,000円 = 約480,000円となります。参考情報にもある通り、この数値はあくまで目安であり、個人の状況によって変動します。

このシミュレーションから、額面に対して約8割の手取り額となることが分かります。手元に残る金額を明確に把握し、計画的に利用することが大切です。

賞与65万円の場合の目安と注意点

賞与が65万円の場合の手取り額も、60万円の計算方法と同様に進めることができます。同様の条件下(東京都勤務、40歳未満、扶養家族なし、協会けんぽ加入、前月給与25万円と仮定)で概算してみましょう。

標準賞与額は65万円となります。

  • 健康保険料:650,000円 × 4.935% = 32,077円(小数点以下切り捨てまたは四捨五入)
  • 厚生年金保険料:650,000円 × 9.15% = 59,475円
  • 雇用保険料:650,000円 × 0.6% = 3,900円

社会保険料の合計は約95,452円となります。額面65万円からこの社会保険料を引くと、約554,548円が所得税の課税対象額の目安です。

この金額に対して所得税が計算されますが、60万円のケースと同様に、およそ3万円〜5万円程度が目安となるでしょう。例えば所得税が約39,548円と仮定すると、合計控除額は約95,452円 + 39,548円 = 135,000円となります。

したがって、賞与65万円の場合の手取り額は、650,000円 – 135,000円 = 約515,000円程度が目安となります。

注意点として、賞与額が少し増えたとしても、その増額分がそのまま手取り額に加わるわけではありません。社会保険料や所得税もそれに伴って増加するため、実際の増加額は額面での増加額よりも小さくなります。

また、標準賞与額は1,000円未満を切り捨てるため、例えば650,000円と650,999円では標準賞与額は同じ65万円となり、社会保険料の計算には影響しませんが、その分、所得税の課税対象額がわずかに変動する可能性もあります。

手取り額を増やすためのヒント

賞与の手取り額を少しでも増やしたいと考えるのは自然なことです。直接的に社会保険料率や所得税率を下げることは難しいですが、控除を理解し、計画的に行動することで、実質的な手取り額を最大化する方法があります。

一つの方法は、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「NISA(少額投資非課税制度)」といった税制優遇制度を活用することです。iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽減し、結果として可処分所得を増やす効果が期待できます。

NISAは投資で得た利益が非課税となる制度であり、資産形成を通じて将来的な手取り額を増やすことにつながります。

また、「ふるさと納税」も有効な選択肢です。ふるさと納税は、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除される仕組みで、実質2,000円の負担で地方の特産品などを受け取ることができます。

これにより、本来支払うべき税金の一部が控除され、その分を生活費や他の用途に回せるため、家計全体の自由度が高まります。

これらの制度を賢く利用することで、ボーナスを単なる消費で終わらせるだけでなく、将来の資産形成や節税へとつなげることが可能です。ただし、それぞれの制度には利用条件や上限額がありますので、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選び、計画的に活用しましょう。

賞与70万円・75万円の場合の手取り額

賞与70万円の場合の計算シミュレーション

賞与が70万円支給された場合の手取り額も、基本的な計算ロジックはこれまでと同じです。ここでは、先ほどの例と同じく、東京都勤務、40歳未満、扶養家族なし、協会けんぽ加入、前月給与25万円と仮定してシミュレーションしてみましょう。

標準賞与額は70万円となります。

  • 健康保険料(自己負担分):700,000円 × 4.935% = 34,545円
  • 厚生年金保険料(自己負担分):700,000円 × 9.15% = 64,050円
  • 雇用保険料(自己負担分):700,000円 × 0.6% = 4,200円

これらの社会保険料の合計は、34,545円 + 64,050円 + 4,200円 = 102,795円となります。

次に所得税ですが、社会保険料控除後の課税対象額(700,000円 – 102,795円 = 597,205円)に対して計算されます。前月の給与や扶養状況によって変動しますが、このケースでは約3.5万円〜5万円程度が目安となるでしょう。

仮に所得税が約47,205円とすると、合計控除額は102,795円(社会保険料)+ 47,205円(所得税)= 150,000円となります。

その結果、賞与70万円の場合の手取り額は、700,000円 – 150,000円 = 約550,000円程度が目安となります。額面に対して約78%程度が手取りとして残る計算です。

この金額を把握することで、夏の旅行や冬の家電購入など、具体的な使い道を計画しやすくなります。事前に手取り額を計算しておくことで、予算オーバーを防ぎ、より賢いボーナス活用が可能になります。

賞与75万円の場合の目安とライフプラン

賞与が75万円に増額された場合、手取り額はどのように変化するでしょうか。同様の条件下で概算をしてみます。

標準賞与額は75万円です。

  • 健康保険料:750,000円 × 4.935% = 37,012円
  • 厚生年金保険料:750,000円 × 9.15% = 68,625円
  • 雇用保険料:750,000円 × 0.6% = 4,500円

社会保険料の合計は約110,137円となります。額面75万円からこれを引くと、約639,863円が所得税の課税対象額の目安です。

仮に所得税が約49,863円とすると、合計控除額は110,137円(社会保険料)+ 49,863円(所得税)= 160,000円となります。

したがって、賞与75万円の場合の手取り額は、750,000円 – 160,000円 = 約590,000円程度が目安となるでしょう。

手取り額が約60万円に近づくと、その使い道の選択肢も広がります。例えば、まとまった資金を活かして、

  • 自己投資:資格取得のためのスクール費用、ビジネス書購入、セミナー参加費など。
  • 資産運用:NISAやiDeCoへの追加投資、株式や投資信託の購入など。
  • 大きな買い物:家電製品の買い替え、旅行費用、自動車の頭金など。
  • 貯蓄:将来のための貯蓄や、住宅ローンの繰り上げ返済など。

このように、ライフプランに合わせてボーナスを有効活用することで、個人の生活の質や将来の安定性を高めることができます。賞与の使い道を事前に計画し、目標設定をすることが重要です。

標準賞与額と保険料率の確認

賞与の手取り額を正確に計算する上で、非常に重要なのが「標準賞与額」と「保険料率」の正確な把握です。

まず、標準賞与額とは、賞与の総支給額(税金や社会保険料が引かれる前の額)から1,000円未満を切り捨てた金額を指します。健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の計算の基礎となる金額であり、例えば755,500円の賞与でも、標準賞与額は755,000円となります。この切り捨てがあるため、額面が少し異なる場合でも、標準賞与額が同じであれば社会保険料の自己負担額は変わりません。

次に保険料率についてです。これは、加入している健康保険の種類や、居住している都道府県によって大きく異なります。

  • 健康保険料率:全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、都道府県ごとに料率が設定されています。ご自身の会社の所在地や勤務地がある都道府県の料率を確認する必要があります。また、企業独自の健康保険組合に加入している場合は、その組合が定める料率が適用されます。
  • 厚生年金保険料率:こちらは全国一律で、自己負担分は9.15%です。
  • 介護保険料率:40歳以上の方に適用され、こちらも協会けんぽの場合、全国一律ですが、健康保険組合によっては異なる場合があります。
  • 雇用保険料率:事業の種類によって異なりますが、一般事業であれば0.6%(従業員負担分)です。

これらの最新の保険料率は、毎年見直されることがあるため、自身の給与明細を確認するか、会社の給与計算担当部署に問い合わせるのが最も確実な方法です。正確な料率を知ることで、より精度の高い手取り額のシミュレーションが可能になります。

賞与80万円・85万円の場合の手取り額

賞与80万円の場合の具体的な内訳

賞与が80万円に達した場合、手取り額はさらに増え、その使い道の選択肢も広がります。具体的な手取り額の内訳を見ていきましょう。これまでと同様、東京都勤務、40歳未満、扶養家族なし、協会けんぽ加入、前月給与25万円と仮定して計算します。

標準賞与額は80万円です。

  • 健康保険料(自己負担分):800,000円 × 4.935% = 39,480円
  • 厚生年金保険料(自己負担分):800,000円 × 9.15% = 73,200円
  • 雇用保険料(自己負担分):800,000円 × 0.6% = 4,800円

これらの社会保険料の合計は、39,480円 + 73,200円 + 4,800円 = 117,480円となります。

所得税は、社会保険料控除後の課税対象額(800,000円 – 117,480円 = 682,520円)に対して計算されます。この金額と前月の給与、扶養状況によって税率が決まりますが、おおよそ4万円〜6万円程度が目安となるでしょう。

仮に所得税が約52,520円とすると、合計控除額は117,480円(社会保険料)+ 52,520円(所得税)= 170,000円となります。

したがって、賞与80万円の場合の手取り額は、800,000円 – 170,000円 = 約630,000円程度が目安となります。約78.75%が手取りとして残る計算です。

手取りで60万円を超える金額は、家計に大きなゆとりをもたらします。このまとまった資金をどう活用するかが、将来の経済状況を左右する重要なポイントとなるでしょう。

賞与85万円の場合のインパクトと使い道

賞与額が85万円となると、手取り額もさらに大きく、そのインパクトは計り知れません。同様の条件下で概算してみましょう。

標準賞与額は85万円です。

  • 健康保険料:850,000円 × 4.935% = 41,947円
  • 厚生年金保険料:850,000円 × 9.15% = 77,775円
  • 雇用保険料:850,000円 × 0.6% = 5,100円

社会保険料の合計は約124,822円となります。額面85万円からこれを引くと、約725,178円が所得税の課税対象額の目安です。

仮に所得税が約55,178円とすると、合計控除額は124,822円(社会保険料)+ 55,178円(所得税)= 180,000円となります。

したがって、賞与85万円の場合の手取り額は、850,000円 – 180,000円 = 約670,000円程度が目安となるでしょう。

約67万円の手取りは、多くの人にとって大きな金額です。この資金をどのように使うかは、個人の価値観やライフステージによって異なりますが、以下のような選択肢が考えられます。

  • 住宅資金:頭金や繰り上げ返済に充てることで、将来の負担を軽減できます。
  • 教育資金:子どもの学費や習い事、留学費用などに備えることができます。
  • 老後資金:iDeCoやNISAへの積み増し、または個人年金保険への加入を検討する良い機会です。
  • 趣味・娯楽:高額な趣味の道具購入、海外旅行など、日頃頑張っている自分へのご褒美も良いでしょう。

金額が大きいからこそ、衝動的な消費ではなく、長期的な視点に立って賢く活用することが重要です。

定額減税が手取りに与える影響

2024年からは、所得税の定額減税が実施され、賞与の手取り額にもプラスの影響を与える可能性があります。この定額減税は、賃上げと物価高騰に直面する家計を支援するために導入されたものです。

具体的には、所得税から3万円、住民税から1万円の合計4万円が一人あたり減税されます。この減税は、扶養親族の数に応じて、扶養している人数分だけ加算されます。例えば、納税者本人と配偶者、子ども2人の計4人家族の場合、4人分で合計16万円(4万円×4人)の減税が受けられることになります。

この定額減税は、基本的に2024年6月以降に支給される給与や賞与に適用されることになっています。

賞与の場合、支給月の所得税から、まだ減税しきれていない定額減税の残額が控除される形になります。

例えば、6月の給与で減税しきれなかった分がある場合、夏のボーナス支給時にその残額が控除され、結果としていつもよりも手取り額が増えることになります。ただし、所得税の控除額が減税額に満たない場合や、扶養家族の状況などによって減税の具体的な適用方法は異なります。

この定額減税は、多くの人にとって手取り額を増加させる一時的な措置ですが、計画的なボーナス活用の一助となるでしょう。詳細については、国税庁のウェブサイトや勤務先の給与担当部署で確認することをおすすめします。

賞与90万円・100万円の場合の手取り額

賞与90万円の場合の手取りシミュレーション

賞与が90万円という高額になると、手取り額も相当なものになります。これまでと同様の条件(東京都勤務、40歳未満、扶養家族なし、協会けんぽ加入、前月給与25万円と仮定)でシミュレーションしてみましょう。

標準賞与額は90万円です。

  • 健康保険料(自己負担分):900,000円 × 4.935% = 44,415円
  • 厚生年金保険料(自己負担分):900,000円 × 9.15% = 82,350円
  • 雇用保険料(自己負担分):900,000円 × 0.6% = 5,400円

これらの社会保険料の合計は、44,415円 + 82,350円 + 5,400円 = 132,165円となります。

所得税は、社会保険料控除後の課税対象額(900,000円 – 132,165円 = 767,835円)に対して計算されます。この金額に前月の給与額や扶養状況に応じた税率が適用されますが、およそ5万円〜8万円程度が目安となるでしょう。

仮に所得税が約57,835円とすると、合計控除額は132,165円(社会保険料)+ 57,835円(所得税)= 190,000円となります。

したがって、賞与90万円の場合の手取り額は、900,000円 – 190,000円 = 約710,000円程度が目安となります。約78.8%が手取りとして残る計算です。

70万円を超える手取り額は、人生設計において非常に大きな役割を果たします。長期的な目標達成に向けて、どのように分配するかを慎重に検討することが重要です。

賞与100万円の場合の具体的な手取り額

いよいよ賞与が額面100万円の場合です。多くの人が目標とする金額の一つであり、手取り額も大きく期待できるでしょう。参考情報によると、「賞与100万円の場合: 手取り額は約70万円(月給60万円の場合)、または約71万円(40歳未満、東京、扶養家族なしの場合)」とあります。

この目安に基づいて、具体的な内訳を見ていきましょう。同様の条件(東京都勤務、40歳未満、扶養家族なし、協会けんぽ加入、前月給与25万円と仮定)で計算を進めます。

標準賞与額は100万円です。

  • 健康保険料(自己負担分):1,000,000円 × 4.935% = 49,350円
  • 厚生年金保険料(自己負担分):1,000,000円 × 9.15% = 91,500円
  • 雇用保険料(自己負担分):1,000,000円 × 0.6% = 6,000円

これらの社会保険料の合計は、49,350円 + 91,500円 + 6,000円 = 146,850円となります。

所得税は、社会保険料控除後の課税対象額(1,000,000円 – 146,850円 = 853,150円)に対して計算されます。この金額は、所得税の課税所得区分において比較的高い税率が適用される可能性があります。例えば、税率が約15%と仮定すると、所得税は約127,972円となります。

合計控除額は146,850円(社会保険料)+ 127,972円(所得税)= 274,822円となります。

したがって、賞与100万円の場合の手取り額は、1,000,000円 – 274,822円 = 約725,178円程度が目安となります。

参考情報の「約70万円~71万円」に近い数値となりました。所得税額は前月の給与や扶養状況で変動が大きいため、あくまで目安として捉えてください。

この手取り額は、人生の大きな節目における資金として活用できるでしょう。例えば、住宅の購入資金、教育費、老後資金の積み立てなど、長期的な視点での活用が強く推奨されます。

高額賞与で注意すべきポイント

賞与額が90万円や100万円といった高額になると、いくつか注意すべき点があります。

まず、社会保険料の上限です。特に厚生年金保険には、「標準賞与額」の月150万円という上限があります。これは、賞与が150万円を超えても、厚生年金保険料の計算には150万円までしか反映されないというルールです。今回のケースでは100万円なので上限には達しませんが、さらに高額な賞与を受け取る場合は、この上限を意識しておく必要があります。

次に、所得税率です。賞与が高額になると、課税所得額が増加するため、適用される所得税率も高くなる傾向があります。所得税は累進課税制度であるため、収入が増えれば増えるほど税率も段階的に上がっていきます。これにより、額面に対して控除される所得税の割合が、低額賞与の場合よりも高くなる可能性があります。

このため、高額賞与を受け取る場合は、計画的な税金対策がより重要になります。例えば、ふるさと納税の控除上限額を最大限に活用したり、iDeCoやNISAなどの非課税制度を通じて資産運用を行うことで、手取り額を実質的に増やすことが可能です。

また、住宅ローン控除を受けている場合は、年末調整時に適切な手続きを行うことで、所得税の還付を受けることができます。高額な賞与は、将来のための大きな資産を築くチャンスでもありますが、同時に税金や社会保険料の負担も大きくなるため、事前にしっかりと計画を立て、必要に応じて税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。