年金生活を送る上で、いつ年金が振り込まれるのかは生活設計の基本となります。特に、公的年金と企業年金では支給日や支給サイクルが異なるため、しっかりと把握しておくことが大切です。

この記事では、2025年の企業年金支給日を中心に、公的年金との違い、土日祝日の影響、そしてご自身の年金情報の確認方法まで、網羅的に解説します。

年金支給日をスマートに管理し、安心して毎日を送るためのヒントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

2025年企業年金支給日の基本

公的年金と企業年金、支給日の違いを理解する

年金と一言で言っても、大きく分けて国が運営する「公的年金」(国民年金・厚生年金)と、企業が独自に設ける「企業年金」(確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金など)があります。

公的年金は、原則として偶数月の15日に、その前月までの2ヶ月分がまとめて支給されます。しかし、企業年金の場合は、各企業が設定した基金や制度によって支給日、支給サイクル、さらには支給回数まで多岐にわたります。

そのため、ご自身の年金が公的年金のみなのか、企業年金も含まれるのかを把握し、それぞれ異なる支給ルールを理解することが、年金生活を円滑に進める上で非常に重要になります。

まずはご自身の加入している企業年金制度を確認し、その制度の規則をしっかりと把握することから始めましょう。

2025年公的年金支給日カレンダー

公的年金の支給日は原則として偶数月の15日ですが、この日が土日祝日に重なる場合は、その直前の平日に前倒しで支給されます。

2025年の公的年金支給日は以下の通りです。企業年金の支給日を検討する際にも、公的年金の支給日を把握していると、全体のキャッシュフローを管理しやすくなります。

支給日 対象期間 曜日 備考
4月15日 2月・3月分 火曜日
6月13日 4月・5月分 金曜日 6月15日は日曜日
8月15日 6月・7月分 金曜日
10月15日 8月・9月分 水曜日
12月15日 10月・11月分 月曜日
2026年2月14日 12月・1月分 金曜日 2026年2月15日は土曜日

これらの日程は、公的年金を受け取っているすべての方に共通するものです。ご自身の家計管理にご活用ください。

企業年金の種類とそれぞれの支給パターン

企業年金は多種多様であり、その支給パターンも様々です。代表的な例として、企業年金連合会と特定の企業年金基金のケースを見てみましょう。

例えば、企業年金連合会の年金の場合、年金額や誕生月によって支払月が異なります。年金額が15万円未満の場合は年1回、15万円以上27万円未満の場合は年2回、27万円以上の場合は年3回または年6回に分けて支給されることがあります。

また、誕生月によっても支給月が細かく定められているため、ご自身の状況に合わせた確認が必要です。

一方、日立企業年金基金のように、年6回、偶数月の1日(金融機関が休日の場合は翌営業日)に前月までの2カ月分が振り込まれるといった具体的な規則を持つ基金もあります。ただし、初回支給など、特別なケースでは奇数月に1カ月分のみを支給する場合もあります。

このように、加入している企業年金制度によって支給日や回数が大きく異なるため、ご自身の制度の規約や通知を必ず確認するようにしてください。

土日祝日の支給日、どうなる?

前倒し支給の原則と具体例

公的年金の支給日は、原則として偶数月の15日と定められています。しかし、この15日が土曜日、日曜日、または祝日に該当する場合は、その直前の平日に支給日が前倒しされます。

この前倒し支給は、受給者が金融機関の休業日によって年金を受け取れない事態を避けるための措置です。カレンダーと照らし合わせて、ご自身の年金が入金される日を事前に確認しておくことが重要です。

例えば、2025年6月15日は日曜日なので、支給日は直前の平日である6月13日(金曜日)となります。また、2026年2月15日は土曜日であるため、支給日はその直前の平日、2月14日(金曜日)に前倒しされます。

この原則を理解していれば、急な出費や計画変更にも対応しやすくなるでしょう。

企業年金基金ごとの例外と確認方法

公的年金には明確な前倒し支給の原則がありますが、企業年金の場合は、個々の企業年金基金によってそのルールが異なります。全ての企業年金が公的年金と同様に前倒し支給を行うわけではないため、注意が必要です。

例えば、日立企業年金基金の場合、支給日は「偶数月の1日(金融機関が休日の場合は翌営業日)」と明記されています。これは公的年金とは異なる独自のルールであり、前倒しではなく、休日明けに支給されるパターンです。

ご自身が加入している企業年金基金の支給ルールについては、基金から送付される通知書や、基金のウェブサイトで確認することができます。不明な点があれば、直接基金に問い合わせてみるのも確実な方法です。

支給日を正確に把握することは、生活費の計画を立てる上で非常に重要ですので、必ずご自身の制度の規定をご確認ください。

初回支給日や月の途中で受給開始の場合

年金の受給が開始される際、初回支給日や、年金を受け取り始めるタイミングによっては、通常の支給スケジュールと異なる場合があります。

公的年金の場合、初回支給日は手続きのタイミングによって奇数月に支給されることもあります。例えば、年金請求書を提出し、その手続きが完了するまでに時間がかかるため、通常の偶数月の支給に間に合わないケースなどが該当します。

企業年金でも同様に、年金受給開始月や、年金の種類によっては、初回のみ1ヶ月分が奇数月に支給されるなど、イレギュラーな対応が取られることがあります。日立企業年金基金の例では、初めて年金を受給する場合、支給開始月によっては1ヶ月分のみを奇数月の1日に支給することがあるとされています。

初回支給に関する具体的な情報は、年金請求後に届く「年金決定通知書」や、各企業年金基金からの初回通知書に記載されていますので、内容をよく確認することが大切です。

初回支給日と支給時間について

初回の年金はいつ受け取れる?

「年金がもらえる年齢になったから、自動的に振り込まれるだろう」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は年金は申請しないと受け取ることができません。

年金の受給開始年齢(原則65歳)に達する約3ヶ月前に、日本年金機構から「年金請求書」がご自宅に郵送されます。この請求書を、誕生日の前日以降に必要書類を添えて提出することから、年金受給の手続きが始まります。

請求書の提出から約1~2ヶ月後に、年金額や年金の種類が記載された「年金証書・年金決定通知書」が届きます。さらに約1~2ヶ月後には「年金のお支払いのご案内」が届き、この通知書に記載されている日に、ようやく年金が指定の金融機関口座に振り込まれることになります。

つまり、年金請求書を提出してから、実際に年金が支給され始めるまでには、合計で2~4ヶ月程度の期間がかかることを念頭に置いておく必要があります。

支給日はわかるけれど、何時に振り込まれる?

年金の支給日は、公的年金の場合は偶数月の15日(土日祝の場合は前倒し)、企業年金の場合は各基金が定めた日と明確に定められています。しかし、実際に年金が金融機関の口座に「何時」に振り込まれるかについては、一概には言えません。

年金の振込は、通常、支給日の早朝から行われることが多いですが、金融機関のシステム処理や、その日の取引量、さらには金融機関ごとの事務処理体制によって、入金される時間は前後します。

そのため、「必ず午前中に振り込まれる」といった保証はありません。場合によっては、午後になってから入金が確認できることもあります。

支給日当日に年金の入金を確認したい場合は、焦らずに、午後以降に記帳を行うか、インターネットバンキングで口座状況を確認することをおすすめします。前日のうちに口座残高を確認しておくと、当日の入金状況がより明確に把握できます。

年金受給開始までの手続きの流れ

年金をスムーズに受け取るためには、以下の手続きを正確に行うことが不可欠です。受給開始年齢に達しても、自動的に振り込まれるわけではないので注意しましょう。

  1. 日本年金機構から「年金請求書」が届く:
    原則、受給開始年齢(65歳)の誕生日の約3ヶ月前に送付されます。企業年金については、各基金から別途案内がある場合が多いです。
  2. 受給開始年齢の誕生日前日以降に、年金請求書を提出する:
    必要書類(戸籍謄本、住民票、預金通帳のコピーなど)を揃え、年金事務所や市区町村役場の窓口に提出します。この際、書類に不備がないか十分確認しましょう。
  3. 約1~2ヶ月後に「年金証書・年金決定通知書」が届く:
    年金の種類、支給額、振込先口座などが記載されています。非常に重要な書類ですので、大切に保管してください。
  4. さらに約1~2ヶ月後に「年金のお支払いのご案内」が届く:
    この通知書には、具体的な初回振込日や今後の支給スケジュールが記されています。この通知が届いた後、年金の受け取りが開始されます。

これらのステップを確実に踏むことで、安心して年金生活をスタートすることができます。

企業年金基金・連合会の支給日確認

ご自身の企業年金制度の特定

企業年金は、退職金制度の一つとして企業が従業員のために設けるものであり、その種類は複数存在します。ご自身の企業年金の支給日を確認するためには、まずご自身がどの企業年金制度に加入しているかを特定することが最初のステップです。

主な企業年金制度には、企業が掛金を拠出し、将来の給付額があらかじめ決まっている「確定給付企業年金(DB)」や、掛金を拠出し、運用は加入者自身が行う「確定拠出年金(DC)」などがあります。

また、過去に存在した「厚生年金基金」の加入者だった場合は、現在その権利は「企業年金連合会」に引き継がれていることがほとんどです。

ご自身の企業年金制度は、退職時に企業から受け取った書類、または加入時に交付された規約などで確認できます。不明な場合は、お勤めになっていた企業の人事・総務部門や、関係する年金基金に問い合わせてみましょう。

各基金・連合会での具体的な確認方法

ご自身の企業年金制度を特定できたら、次にその制度ごとの具体的な支給日や年金額の確認方法に進みます。

多くの企業年金基金や企業年金連合会は、年金受給者に対して定期的に通知書を送付しています。例えば、日立企業年金基金では、「年金支払い(実績)のお知らせ」や「仮想個人口座残高/年金額 通知書」といった形で、年金額や支給に関する情報を提供しています。

これらの通知書には、今後の支給予定日や支給額が詳細に記載されているため、最も確実な情報源となります。

また、各基金や連合会のウェブサイトでも、一般的な支給スケジュールやよくある質問(FAQ)のページが設けられていることが多いです。ご自身の年金記録や支給額をオンラインで確認できるサービスを提供している場合もありますので、活用してみましょう。不明な点は、直接電話で問い合わせることも可能です。

年金額や支給回数による確認のポイント

企業年金の支給日は、年金額や年金の受給開始月、さらには個々の企業年金制度の規約によって細かく定められています。特に企業年金連合会の場合、この点が顕著です。

企業年金連合会からの年金は、年金額によって支給回数が異なります。例えば、年金額が15万円未満の場合は年1回、15万円以上27万円未満の場合は年2回、27万円以上の場合は年3回または年6回に分けて支給されることがあります。

さらに、連合会では、受給者の誕生月によっても支給月が細かく定められています。

そのため、ご自身の年金額がどの区分に該当するのか、また誕生月がいつであるかを確認し、それに合わせた支給スケジュールを把握することが重要です。これらの情報は、企業年金連合会から送付される「年金証書」や「年金振込通知書」に記載されていますので、必ず内容をご確認ください。

自分の状況に合わせた正確な情報を確認することで、年金支給日の見落としを防ぐことができます。

年金支給日をスマートに管理する方法

振込通知書やねんきんネットをフル活用

年金支給日を確実に把握し、スマートに管理するためには、公的な情報源を最大限に活用することが重要です。

毎年6月上旬に送付される「年金振込通知書」は、1年分の年金支給額と支給日がまとめて記載されているため、年間計画を立てる上で非常に役立ちます。また、年金請求後に届く「年金決定通知書」には、年金額や年金の種類が詳細に記載されており、初回支給日を確認する上での基本情報となります。

さらに、日本年金機構が提供するオンラインサービス「ねんきんネット」は、ご自身の年金記録や将来の年金見込額を無料で、かつリアルタイムで確認できる非常に便利なツールです。

企業年金についても、各基金から送付される「年金支払い(実績)のお知らせ」などの通知書を保管し、定期的に確認する習慣をつけましょう。これらの情報を活用することで、年金支給日を見逃すことなく、安心して生活を送ることができます。

カレンダーアプリやリマインダーで賢く管理

年金支給日を忘れないようにするためには、デジタルツールを効果的に活用することが非常に有効です。

スマートフォンやPCに搭載されているカレンダーアプリやリマインダー機能を活用し、年金支給日を登録しておきましょう。公的年金の支給日だけでなく、企業年金の支給日も個別に設定することで、全体のキャッシュフローを一目で把握できるようになります。

特に、支給日の数日前に通知が届くように設定しておくと、口座残高の確認や、その後の支出計画を立てる準備ができます。これにより、うっかり残高不足になったり、大切な支払いを見逃したりするリスクを軽減できます。

また、年金支給額が年間を通して変わらない場合は、一度設定しておけば、毎年自動的にリマインドされるため、手間なく管理を継続できます。これらのスマートな管理方法を取り入れて、年金生活をより安心できるものにしましょう。

もしもの時に備える:未支給年金と年金額を増やす選択肢

年金支給日を管理することはもちろん大切ですが、万が一の事態に備える知識や、将来の年金額を増やすための選択肢も知っておくと、より充実した年金生活を送ることができます。

もし年金受給者が亡くなった場合、まだ支給されていない年金(未支給年金)を受け取れる可能性があります。死亡した月によって請求できる金額が異なり、死亡日が偶数月なら1ヶ月分、奇数月なら2ヶ月分を請求できるケースもあります。この手続きには、受給権者死亡届や年金証書、死亡を証明する書類などが必要です。ご家族にこうした情報や手続き方法を共有しておくことは非常に重要です。

また、将来受け取る年金額を増やす方法として、年金の繰り下げ受給(1ヶ月あたり0.7%増額、最大75歳まで繰り下げ可能)や、国民年金基金への加入、付加保険料の納付といった選択肢があります。

ご自身のライフプランに合わせて、これらの選択肢を検討してみることも、スマートな年金管理の一環と言えるでしょう。