結婚休暇の取得をスムーズに！必要書類からメール例文まで網羅

結婚休暇とは？知っておきたい基本情報と目的

結婚休暇の基本的な定義と法的立ち位置

結婚休暇は、従業員が結婚する際に取得できる特別な休暇制度です。

新しい人生のスタートを会社がサポートするための福利厚生として、多くの企業で導入されています。しかし、この休暇は労働基準法で定められたものではありません。

「法定外休暇（特別休暇）」と呼ばれる分類に属し、その導入の有無や詳細な内容は、各企業の就業規則によって定められています。そのため、会社によっては制度自体がない場合や、取得できる日数、条件、有給か無給かといった点が大きく異なることがあります。

具体的には、結婚休暇は会社が従業員のエンゲージメントを高め、働きやすい環境を提供するために任意で設けるものです。このため、企業ごとの裁量が非常に大きいのが特徴です。例えば、一般的に企業全体で見ると、結婚休暇制度を導入している職場に勤務する人の約7割がこの休暇を取得しているというデータがあります。

一方で、中小企業においては、導入率が5〜6割程度にとどまるという調査結果もあり、企業規模によっても制度の普及状況には差が見られます。ご自身の会社の制度を確認する際は、まず就業規則や人事部の担当者に問い合わせることが最も重要です。

「法定外休暇」という位置づけを理解し、会社の規定を正確に把握することが、スムーズな取得への第一歩となります。

取得できる日数と期間の目安

結婚休暇の取得できる日数や期間は、企業の就業規則によって様々ですが、一般的な目安は存在します。

多くの企業では、5日間の結婚休暇が付与されるケースが最も多く見られます。しかし、企業によっては2日間から8日間以上と、その日数は幅広く設定されています。例えば、国家公務員の場合は5日間の結婚休暇が認められています。

もしあなたの職場が週休2日制であれば、土日と結婚休暇を組み合わせることで、最大9連休を取得することも可能です。この連休を利用して、新婚旅行や結婚式の準備に充てる方が多くいらっしゃいます。

次に、休暇を取得できる期間についてですが、これは「休暇の起算日（基準日）」によって定められます。

一般的には、入籍日または挙式日が起算日となることが多いです。そして、その起算日から「1ヶ月以内」「入籍日から6ヶ月以内」「1年以内」といった形で、使用期限が設けられていることがほとんどです。

この期間を過ぎると休暇が失効してしまうため、計画的に取得することが重要です。また、休暇の取得方法についても、企業によって規定が異なります。原則として連続取得が求められる企業もあれば、新婚旅行と結婚式を別々に行う場合などに備え、分割取得が可能な企業もあります。

取得を検討する際には、日数と期間、そして分割取得が可能かどうかを、必ず事前に確認しておくようにしましょう。

結婚休暇の取得率と取得しない理由

結婚休暇は多くの企業で導入されている福利厚生ですが、実際にどれくらいの人が取得しているのでしょうか。

調査によると、結婚休暇制度がある職場に勤務する人のうち、約7割がこの休暇を取得しているという結果が出ています。これは、新しい門出を祝う大切な期間として、多くの人が制度を積極的に活用していることを示しています。

一方で、残りの約3割の人々は、結婚休暇制度がありながらも取得していないという事実もあります。

取得しない理由としては、以下のようなものが挙げられます。

• 有給休暇や夏季休暇で新婚旅行に行ったため： 会社の結婚休暇ではなく、すでに付与されている有給休暇や、夏季休暇などの長期休暇を利用して新婚旅行に行くケースです。特に結婚休暇の日数が少ない場合や、有給休暇が余っている場合にこの選択をする人が多いようです。
• 新婚旅行に行く予定がなかった： 結婚はするものの、新婚旅行を計画していない、または延期しているため、結果として結婚休暇の必要性がなかったというパターンです。
• 妊娠したため： 結婚と同時に妊娠が判明し、体調を優先したり、産休・育休の取得準備をしていたりするため、結婚休暇を取得するタイミングを逸してしまったというケースも聞かれます。

これらの理由からわかるように、結婚休暇を取得するかしないかは、個人のライフスタイルや、結婚後の計画、さらには会社の他の休暇制度の充実度など、様々な要因によって左右されます。

結婚休暇は従業員の心身のリフレッシュと、新しい生活の準備をサポートするための大切な制度です。ご自身の状況に合わせて、最大限に活用できる方法を検討してみてください。

結婚休暇取得のために必要な書類は？

一般的に求められる申請書類の種類

結婚休暇を取得する際、企業は申請者に対し、その事実を証明するための書類の提出を求めるのが一般的です。

多くの場合、以下のような書類が必要となります。

1. 結婚休暇申請書（会社指定書式）： ほとんどの会社では、結婚休暇専用の申請書が用意されています。ここには、氏名、所属部署、休暇希望期間、結婚（入籍）日、挙式予定日などの基本情報を記入します。事前に人事部や総務部に確認し、書式を入手しておきましょう。
2. 婚姻関係を証明する書類：
   • 婚姻届受理証明書： 入籍後に役所で発行される公的な書類で、婚姻の事実を証明します。入籍直後でも取得できるため、手軽に用意できる場合が多いです。
   • 戸籍謄本または戸籍抄本： 婚姻の事実が記載された戸籍情報です。本籍地の役所で取得する必要があります。会社によっては、婚姻届受理証明書ではなくこちらを求めるケースもあります。
   • 住民票： 夫婦関係が記載された住民票を提出することで、婚姻を証明する会社もあります。
   • 結婚式の招待状など： 挙式を基準に休暇を認める場合、結婚式の招待状や、結婚式場の予約証明などを提出することで代用できることもあります。

これらの書類は、会社が従業員の申請内容が規定に沿ったものであるか、また、不正な休暇取得ではないかを確認するために必要となります。

会社によっては、全ての書類提出を求めるわけではなく、口頭での報告のみで済む場合や、特定の書類だけで十分な場合もあります。そのため、ご自身の会社の就業規則をしっかりと確認し、不明な点があれば必ず人事担当者に問い合わせるようにしましょう。

必要な書類を早めに準備することで、スムーズな申請が可能になります。

申請手続きの具体的な流れ

結婚休暇の申請は、いくつかのステップを踏んで進めることで、スムーズに完了させることができます。

具体的な手続きの流れは以下の通りです。

1. 社内規定の確認：
   まず、最も重要なのは会社の就業規則や福利厚生規定を確認することです。結婚休暇の日数、取得期間、申請方法、必要書類、有給か無給か、連続取得か分割取得かなど、詳細な情報を把握しましょう。これらの情報は、社内イントラネットや人事部の窓口で確認できます。
2. 上司への相談と報告：
   規定を確認したら、できるだけ早く直属の上司に結婚の報告と、結婚休暇の取得希望について相談しましょう。この際、希望する休暇期間と、その期間中の業務への影響を最小限に抑えるための引き継ぎ計画などを、事前に考えておくと良いでしょう。上司との相談は、繁忙期を避けるなど、業務に支障が出ないよう配慮することがマナーです。
3. 申請書類の準備と提出：
   会社指定の結婚休暇申請書を入手し、必要事項を記入します。同時に、婚姻届受理証明書や戸籍謄本など、会社から求められる証明書類を用意します。これらの書類を揃え、期日までに人事部または総務部に提出します。会社によっては、上司の承認印が必要な場合もありますので、確認しておきましょう。
4. 業務の引き継ぎ準備：
   長期休暇となることが多い結婚休暇では、不在中の業務が滞らないように事前の引き継ぎが非常に重要です。担当業務の一覧、進行中のプロジェクトの状況、緊急連絡先などをまとめた資料を作成し、後任者や同僚に丁寧に説明しましょう。
5. 関係者への連絡：
   直属の上司への報告と申請が済んだら、必要に応じて同僚や取引先など、社内外の関係者にも休暇取得の旨を伝えます。これは、業務上の連携をスムーズにし、相手に迷惑をかけないための大切なマナーです。

これらのステップを計画的に進めることで、ご自身も周りの方も安心して結婚休暇を迎えることができるでしょう。

社内規定の確認が最も重要である理由

結婚休暇の取得において、なぜ社内規定の確認が最も重要なのでしょうか。

その理由は、結婚休暇が「法定外休暇（特別休暇）」という位置づけにあるためです。労働基準法によって定められた有給休暇とは異なり、結婚休暇は各企業が任意で導入する福利厚生制度であり、その全ては会社の就業規則によって詳細が定められています。

つまり、結婚休暇に関するあらゆる疑問やルールは、就業規則に書かれている内容が全てであり、会社によってその内容は千差万別なのです。

具体的に確認すべき項目は以下の通りです。

• 取得可能日数： 何日間取得できるのか（例：5日間、3日間など）。
• 取得可能期間： 入籍日や挙式日を起点として、いつまでに取得する必要があるのか（例：入籍日から6ヶ月以内など）。
• 有給か無給か： 休暇期間中の賃金が支払われるのか、それとも無給になるのか。
• 申請方法： 誰に、どのような書類を、いつまでに提出する必要があるのか。
• 必要書類： 婚姻届受理証明書や戸籍謄本など、何が必要となるのか。
• 取得条件： 挙式をしない場合や再婚の場合でも取得できるのか、正社員だけでなく契約社員やパートタイマーも対象となるのか。
• 分割取得の可否： 休暇をまとめて取得する必要があるのか、それとも複数回に分けて取得できるのか。

これらの項目を事前にしっかりと確認しないまま申請を進めてしまうと、「思っていた日数と違った」「有給だと思っていたのに無給だった」「取得期間が過ぎていた」といったトラブルに繋がりかねません。

また、就業規則に不明な点や疑問がある場合は、人事部や総務部に直接問い合わせることが賢明です。曖昧なままにしておかず、正確な情報を把握することが、後々のトラブルを避け、スムーズに結婚休暇を取得するための最も確実な方法と言えるでしょう。

上司や同僚への結婚休暇取得メールの書き方

上司への申請メールのポイントと例文

結婚休暇の申請は、口頭での相談が基本ですが、正式な申請としてメールを送ることも重要です。

特に長期休暇となる場合は、書面で情報を共有しておくことで、後々の認識齟齬を防ぐことができます。上司へのメールは、丁寧かつ明確に、必要な情報を盛り込むことがポイントです。

メール作成のポイント：

1. 件名： 誰からの何の連絡か一目でわかるようにします。部署名と氏名を入れ、「結婚休暇取得のご連絡」と明記しましょう。
2. 冒頭： 普段の挨拶に加えて、まずは結婚の報告を簡潔に行います。
3. 本文： 取得したい休暇期間（具体的な日付と日数）、結婚式・入籍日を明確に記載します。業務の引き継ぎ状況や、関係者への連絡状況も忘れずに伝えましょう。
4. 結び： 休暇によって業務に迷惑をかけることへの配慮と、理解を求める言葉で締めくくります。

【メール例文】

件名：結婚休暇取得のご連絡（〇〇部 〇〇）

〇〇部長

お疲れ様です。〇〇です。

この度、結婚することになりましたので、下記の通り結婚休暇を取得させていただきたく、ご連絡いたしました。

【結婚休暇取得期間】
〇月〇日（〇）～〇月〇日（〇）まで（〇日間）

【結婚式・入籍日】
〇月〇日（〇）

休暇中の業務につきましては、〇〇さんに引き継ぎをお願いしております。
関係各所への連絡も済ませております。

ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。

〇〇部 〇〇

上記例文は、社内規定で認められている場合に、口頭での相談後、改めて書面で申請・報告する際の例として活用してください。

上司との信頼関係を維持するためにも、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

同僚・関係者への連絡メールのポイントと例文

上司への報告と申請が完了し、結婚休暇の取得が承認されたら、次に同僚や業務関係者への連絡が不可欠です。

特に長期にわたる休暇の場合、不在中に業務が滞らないよう、周囲への配慮が求められます。このメールは、上司への申請メールとは異なり、「承認後の情報共有」が主な目的となります。

メール作成のポイント：

1. 件名： 「結婚休暇のお知らせ」など、簡潔かつ分かりやすく、休暇期間が明記されているとより親切です。
2. 本文： 結婚の報告とともに、休暇の期間を明確に伝えます。最も重要なのは、休暇中の連絡体制と業務の引き継ぎ先を具体的に示すことです。緊急時の連絡先も記載しておくと安心です。
3. 結び： 休暇中の協力への感謝と、復帰後の業務への意欲を示す言葉で締めくくります。

【社内同僚へのメール例文】

件名：結婚休暇取得のお知らせ（〇月〇日～〇月〇日）〇〇より

皆様

お疲れ様です。〇〇です。

私事で恐縮ですが、この度結婚することとなり、下記の期間、結婚休暇をいただくことになりました。

【結婚休暇取得期間】
〇月〇日（〇）～〇月〇日（〇）まで

休暇中の業務につきましては、〇〇さん（内線〇〇）が担当いたします。
何かご不明な点や緊急の連絡事項がございましたら、〇〇さんまでご連絡いただけますと幸いです。
また、私が担当している〇〇プロジェクトについては、〇〇さんの資料をご確認ください。

皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
復帰後には、改めてご挨拶させていただきます。

〇〇

【社外取引先へのメール例文（休暇前に最終連絡を兼ねて）】

件名：〇月〇日～〇月〇日 休暇のお知らせ（〇〇株式会社 〇〇）

〇〇株式会社 〇〇様

いつもお世話になっております。
〇〇株式会社の〇〇です。

私事で大変恐縮ですが、この度結婚休暇をいただくことになりました。
つきましては、下記期間、業務を休ませていただきます。

【結婚休暇取得期間】
〇月〇日（〇）～〇月〇日（〇）まで

休暇中のご連絡につきましては、私に代わり、同部署の〇〇（〇〇＠〇〇.co.jp）が対応させていただきます。
緊急のご連絡がございましたら、〇〇までお電話いただけますでしょうか。
（電話番号：〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇）

ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
休暇明けには、改めてご連絡させていただきます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

署名

状況に応じて、適切な相手に適切な内容のメールを送ることが、良好な人間関係を維持し、スムーズな業務遂行につながります。

休暇前の引き継ぎとマナー

結婚休暇のような長期休暇を取得する際、最も重要なことの一つが「業務の引き継ぎ」と、それに伴う「マナーの遵守」です。

休暇を気持ちよく取得し、復帰後もスムーズに業務に戻るためには、事前の準備が欠かせません。

1. 早めの準備と相談：

結婚休暇の取得が決まったら、まず行うべきは休暇期間中の業務計画です。担当している業務をリストアップし、休暇中に発生しそうな業務や、緊急対応が必要な案件などを洗い出します。そして、直属の上司や同僚に早めに相談し、誰にどの業務を引き継ぐか、どのようなサポートが必要かを話し合いましょう。

繁忙期を避けて休暇を申請するという配慮も、社会人としての重要なマナーです。どうしても繁忙期と重なる場合は、上司やチームと密に連携を取り、業務への影響を最小限に抑えるための対策を事前に講じましょう。

2. 丁寧な引き継ぎ資料の作成：

口頭での説明だけでは、情報が漏れたり、誤解が生じたりする可能性があります。そのため、引き継ぎ資料を具体的に作成することが推奨されます。

資料には、各業務の進捗状況、関連資料の保管場所、連絡先リスト、過去の経緯や注意点、緊急時の対応フローなどを詳細に記述しましょう。誰が見ても分かりやすいように整理し、デジタルデータだけでなく、必要に応じて印刷物も用意しておくと親切です。

3. 関係者への情報共有：

直属の上司への報告はもちろん、業務で連携する同僚や他部署の担当者、さらには社外の取引先など、関係する全ての相手に休暇の旨と引き継ぎ体制を共有しましょう。

特に社外の取引先には、休暇前に一度連絡を入れ、不在中の担当者や緊急連絡先を伝えることで、相手からの信頼を損なうことなく、業務の円滑な進行を確保できます。メールだけでなく、電話で直接伝えることで、より丁寧な印象を与えることができます。

4. 休暇後のお礼：

休暇から戻ったら、業務を引き継いでくれた同僚や、快く休暇を承認してくれた上司に対し、感謝の気持ちを伝えることが大切です。口頭での挨拶はもちろん、菓子折りなどの手土産を渡すことも、職場の人間関係を良好に保つ上で良い習慣となります。

これらのマナーを守り、周りへの配慮を忘れずに休暇を計画することで、結婚休暇を心ゆくまで楽しみ、新たな気持ちで仕事に復帰できるでしょう。

結婚休暇取得に関するよくある疑問とその回答

挙式なし・再婚でも取得は可能か？

結婚休暇の取得にあたり、「挙式をしない場合でも取得できるのか」や「再婚の場合も対象となるのか」といった疑問を抱く方は少なくありません。

これらの疑問に対する回答は、「会社の規定による」というのが最も正確な答えとなります。

1. 挙式なしでも取得可能か？

多くの場合、挙式をしなくても結婚休暇は取得できます。結婚休暇の本来の目的は、結婚という新しい門出を祝うとともに、入籍や新生活の準備、引っ越しなどの時間的負担を軽減することにあります。

そのため、挙式を行わなくても入籍の事実があれば、多くの企業で取得が認められています。ただし、会社によっては「挙式を行う場合に限る」といった特定の条件を設けているケースも稀にあります。

この点も、就業規則で「婚姻の事実」を証明できれば良いのか、「挙式」を伴う必要があるのかを確認しておく必要があります。不安な場合は、人事担当者に直接確認するのが最も確実です。

2. 再婚の場合でも取得可能か？

再婚の場合の結婚休暇についても、これもまた会社の規定によって異なります。

一部の企業では、結婚休暇を「初婚のみ」を対象としている場合があります。これは、結婚という人生の一大イベントに対して一度だけ福利厚生を提供する、という考え方に基づいているためです。しかし、多くの企業では、再婚であっても結婚という新しい生活のスタートであることに変わりはないため、取得を認めているケースが多いです。

就業規則に「初婚に限る」などの明記がない場合は、一般的に再婚でも取得可能と解釈できますが、念のため人事部に確認することをおすすめします。特に、結婚休暇が有給か無給か、取得できる日数が異なる可能性なども含めて、詳細を確認しておくと安心です。

いずれのケースにおいても、就業規則を熟読し、不明な点は積極的に問い合わせることで、トラブルなく結婚休暇を取得できます。

繁忙期や雇用形態による取得の可否

結婚休暇の取得を検討する際、「会社の繁忙期と重なってしまうが取得できるのか？」や「正社員以外の雇用形態でも取得できるのか？」といった疑問もよく聞かれます。

これらの疑問についても、会社の規定と状況に応じた適切な対応が求められます。

1. 繁忙期でも取得は可能か？

結婚休暇は従業員の権利として認められているものですが、会社の繁忙期を理由に取得を拒否される可能性もゼロではありません。特に、業務に深刻な支障をきたすことが予想される場合、会社から休暇期間の調整を依頼されることがあります。

このような事態を避けるためには、以下の点に注意しましょう。

• 早めの申請： 会社の繁忙期を把握し、できるだけ早く上司に休暇取得の相談と申請を行いましょう。これにより、会社側も業務の調整をする時間的余裕が生まれます。
• 業務の引き継ぎ： 休暇中の業務が滞らないよう、徹底した引き継ぎを行うことを約束し、実際に行動で示しましょう。具体的な引き継ぎ計画を提示することで、上司の理解を得やすくなります。
• 柔軟な姿勢： もし期間の調整を求められた場合、可能な範囲で柔軟に対応することも大切です。例えば、休暇を数日ずらす、分割取得を検討するなどです。

就業規則に「業務上の都合により、休暇時期を変更させることがある」といった記載がある場合は、会社側が時期変更を求める権利を有していることもあります。</

2. 正規・非正規社員でも取得は可能か？

「正規社員ではないから結婚休暇は取れないのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、基本的に同一労働同一賃金の原則に基づき、雇用形態による不合理な待遇差は認められません。

そのため、多くの企業では、パートタイマーや契約社員といった非正規社員であっても、正社員と同様の条件で結婚休暇を取得できる場合が多いです。

ただし、会社によっては「勤続年数〇年以上」といった取得条件を設けている場合や、雇用形態によって取得できる日数が異なるケースも稀に存在します。必ずご自身の雇用契約書や会社の就業規則を確認し、人事部にも問い合わせてみましょう。

結婚休暇は、新しい生活のスタートを会社が応援するための制度です。状況を正確に把握し、適切に交渉・申請することで、誰でも取得できる可能性があります。

有給・無給の違いとその他の注意点

結婚休暇の取得を検討する上で、最も気になる点の一つが「有給か無給か」という賃金の扱いです。

また、他にもスムーズな休暇取得のために知っておくべき注意点があります。

1. 有給か無給か？

前述の通り、結婚休暇は法定外休暇であるため、労働基準法で有給が義務付けられているものではありません。そのため、有給か無給かは会社によって異なります。

多くの企業では従業員の福利厚生として有給の結婚休暇を導入していますが、中には無給としている企業や、一部の日数を有給、残りを無給としている企業もあります。また、結婚休暇ではなく、有給休暇の取得を推奨する会社もあります。

この点も、就業規則に必ず明記されていますので、取得前に必ず確認が必要です。「有給だと思い込んでいたら無給だった」という事態は避けたいものです。事前にしっかり確認し、不明な点は人事部に確認するようにしましょう。

2. その他の注意点

結婚休暇をスムーズに取得し、トラブルなく新しい生活をスタートさせるために、以下の点にも注意してください。

• 申請のタイミング： 少なくとも1ヶ月前、できれば2～3ヶ月前には上司に相談し、申請を済ませるのが理想です。特に繁忙期を避ける配慮は重要です。
• 情報共有の徹底： 休暇期間中、連絡が取れない場合の緊急連絡先（携帯電話、私用のメールアドレスなど）を、上司や引き継ぎ担当者に伝えておくと安心です。ただし、休暇中は原則として仕事から離れるべきであるため、緊急時以外の連絡は避けるよう事前に伝えておくことも大切です。
• 法的な定めではない： 結婚休暇は企業の厚意によるものであるため、会社の規定を無視した無理な要求は避け、感謝の気持ちを持って申請しましょう。
• 復帰後の計画： 休暇から復帰した際に、すぐに通常の業務に戻れるよう、休暇中も少しだけニュースや業界の動向に目を通しておくなど、軽い情報収集をしておくのも良いかもしれません。

結婚休暇制度は、従業員にとって新しい人生の門出を祝う大切な福利厚生です。会社の制度を正しく理解し、マナーを守って活用することで、心身ともにリフレッシュし、新しい生活をより良いものにできるでしょう。

ぜひ、この制度を上手に活用し、素晴らしい新婚生活のスタートを切ってください。