慶弔休暇とは?取得条件やメリット・デメリットを徹底解説

会社勤めをしていると、「慶弔休暇」という言葉を耳にする機会があるでしょう。結婚や出産といった喜ばしい出来事、あるいは家族の不幸に際して取得できるこの休暇は、私たち従業員にとって非常に心強い制度です。

しかし、「具体的にどんな時に取れるの?」「有給なの?」「年次有給休暇とどう違うの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、慶弔休暇の基本的な定義から、取得条件、メリット・デメリットまで、皆さんの疑問を解消できるよう分かりやすく解説していきます。

慶弔休暇の定義と付与目的を理解する

慶弔休暇とは?その基本的な定義

慶弔休暇は、従業員が結婚や出産(慶事)、通夜・葬儀(弔事)など、人生の重要なライフイベント時に取得できる特別な休暇です。

法律で定められた休暇ではありませんが、従業員が大切な時期に心置きなく時間を過ごせるよう、多くの企業で福利厚生として導入されています。

法律上の位置づけと企業の導入状況

慶弔休暇は、労働基準法で義務付けられた休暇ではありません。そのため、企業が独自に制度を設計します。

しかし、厚生労働省の調査では、2021年には94.9%の企業が導入しており、中小企業でも86%と、非常に普及している福利厚生制度です。

なぜ企業は慶弔休暇を導入するのか?目的と意義

企業が慶弔休暇を導入する目的は、従業員の満足度とエンゲージメント向上です。

ライフイベント時に会社がサポートすることで、従業員は安心して仕事に集中でき、定着率向上や採用活動での魅力向上に繋がります。

慶弔休暇の内容と取得の目安

対象となる「慶事」と「弔事」の具体例

対象となる事由は企業によって異なりますが、一般的には本人や家族(配偶者、子、親など)の結婚、出産、死亡などです。

例えば、本人の結婚や配偶者の出産が慶事、父母や子の死亡が弔事の代表例ですが、兄弟姉妹の結婚を対象外とする企業もあります。

取得日数の一般的な目安と企業による違い

取得日数は、慶事か弔事か、また故人との関係性(親等)によって変わります。

本人の結婚は3〜7日、配偶者の出産は1〜3日程度が慶事の目安です。弔事では、配偶者の死亡で10日、父母・子で7日、兄弟姉妹で3日程度が一般的とされます。詳細は就業規則で確認が必要です。

雇用形態による利用状況の差と考慮すべき点

慶弔休暇は雇用形態によって利用率に差があります。

正社員が85.6%利用できるのに対し、パート・アルバイトは65.0%です。しかし、非正規雇用者でもシフト調整で休める場合があり、格差は縮小傾向にあります。

慶弔休暇は福利厚生?年次有給休暇との違い

福利厚生としての慶弔休暇の役割

慶弔休暇は、法律で定められていない「法定外福利厚生」です。

従業員が人生の重要な局面に安心して対応できるよう支援し、結果として従業員の満足度や企業への貢献意欲を高める重要な役割を担っています。

年次有給休暇との決定的な違いとメリット

年次有給休暇は理由を問わず取得できる権利ですが、慶弔休暇は特定の慶弔事由に限定されます。

最大のメリットは、年次有給休暇を消費せず、ライフイベントに集中できることで、従業員のワークライフバランス向上に繋がります。

忌引き休暇との関係性

「忌引き休暇」は弔事に特化した休暇で、慶弔休暇の一部とみなされます。

慶弔休暇は慶事と弔事の両方を含むため、より広い範囲をカバーする制度です。多くの企業では、慶弔休暇の中に忌引きに関する規定を含めています。

慶弔休暇は無給?就業規則で確認すべきこと

有給か無給か?賃金扱いの実態

慶弔休暇の賃金扱いは、企業によって異なります。年次有給休暇とは異なり、法律上の定めはありません。

制度を導入している企業の81.3%は有給ですが、10.8%は無給としています。自身の会社の就業規則で必ず確認しましょう。

就業規則で確認すべき項目と申請時の注意点

就業規則では、対象事由、取得日数、有給・無給の有無、申請方法を確認してください。

申請時には、具体的な理由と対象者との関係性を明確に伝え、不明な点は人事部門に問い合わせましょう。

必要な証明書類と速やかな申請の重要性

企業によっては、結婚式の招待状や会葬礼状など、証明書類の提出を求められる場合があります。

慶事の場合は事前に、弔事の場合は日程判明後速やかに申請することで、会社も業務調整がしやすくなります。

慶弔休暇取得のメリット・デメリット

従業員にとっての大きなメリット

従業員は、結婚や出産、家族の不幸といったライフイベントに際し、年次有給休暇を消化せずに安心して休暇を取得できます。

これにより、プライベートの重要な局面に集中でき、心身の負担軽減とワークライフバランスの向上に繋がります。

企業側が得られる効果と導入の課題

企業は従業員のプライベートをサポートすることで、満足度やエンゲージメントを高め、結果として定着率の向上や採用活動でのアピールに繋がります。

導入にあたっては、対象事由、日数、給与の扱いなどを明確に定める必要がありますが、長期的な企業成長に貢献します。

制度を設けない場合の潜在的デメリット

制度がない場合、従業員は年次有給休暇で対応せざるを得ず、休暇消化をためらう可能性があります。

これは従業員満足度の低下、モチベーションの低下、ひいては離職率の上昇に繋がり、企業イメージの悪化や優秀な人材確保の困難さにも影響します。