特別休暇のすべて!取得条件や知っておきたい注意点

仕事とプライベートのバランスを取る上で、休暇制度は非常に重要です。その中でも「特別休暇」は、従業員の福利厚生として多くの企業で導入されています。

しかし、法定休暇とは異なるため、その種類や取得条件、給与の扱いなど、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。

この記事では、特別休暇の基本から、土日祝日の扱いやボーナスへの影響といった、知っておきたい注意点までを詳しく解説します。ぜひ、あなたの会社にどんな特別休暇があるのか、どう活用できるのかを知るきっかけにしてください。

  1. 特別休暇とは?取得できる「特別な時」を解説
    1. 法定休暇との違いと企業が導入する目的
    2. どんな時に取得できる?主な特別休暇の種類
    3. 意外と多い!特別休暇の導入状況と傾向
  2. 特別休暇の「別名」と、取得で知っておきたい注意点
    1. 特別休暇は会社によって呼び名が違う?
    2. 取得する前に確認!就業規則の重要ポイント
    3. 有給?無給?必ずチェックすべき給与の扱い
  3. 土日や祝日と重なった場合の特別休暇の扱い
    1. 原則として土日・祝日は特別休暇にカウントされない?
    2. 会社の就業規則を必ず確認しよう
    3. 長期休暇と特別休暇の組み合わせ術
  4. 分割取得や時間単位での取得は可能?
    1. 一日単位が基本?分割取得の可否
    2. 時間単位・半日単位取得が便利なケース
    3. 会社への確認と申請時の注意点
  5. 特別休暇がボーナスや査定に与える影響とは
    1. 基本的にはボーナス・査定への影響は少ない
    2. ただし、取得状況が考慮されるケースも
    3. 評価への不安がある場合の相談先
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 特別休暇とは具体的にどのようなものですか?
    2. Q: どのような時に特別休暇を取得できますか?
    3. Q: 特別休暇には別の言い方や名称はありますか?
    4. Q: 特別休暇を取得する上でデメリットはありますか?
    5. Q: 土日や祝日と特別休暇が重なった場合、どのように扱われますか?

特別休暇とは?取得できる「特別な時」を解説

法定休暇との違いと企業が導入する目的

特別休暇は、その名の通り「特別な」理由で取得できる休暇ですが、法律で定められた「法定休暇」とは性質が大きく異なります。年次有給休暇や産前産後休暇などが法定休暇にあたるのに対し、特別休暇は企業が独自に設定する「法定外休暇」なのです。

企業が特別休暇を導入する主な目的は、従業員のモチベーション向上やワークライフバランスの支援にあります。従業員は有給休暇を温存しつつ、心身のリフレッシュや自己啓発、家族との大切な時間などに充てられるメリットがあります。

企業側も、優秀な人材の確保や定着率の向上、ひいては生産性向上といった多岐にわたるメリットを享受できるため、福利厚生の一環として積極的に導入されています。

どんな時に取得できる?主な特別休暇の種類

特別休暇の種類は企業によって本当に様々ですが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。

  • 慶弔休暇: 結婚や出産、不幸があった際などに利用。慶事では1~5日程度、弔事では内容に応じて日数が変わります。
  • 夏季休暇・冬季休暇: 夏期や年末年始のリフレッシュを目的とした休暇。夏季休暇は3~5日、冬季休暇は6日程度が一般的です。
  • リフレッシュ休暇: 勤続年数に応じて付与され、心身のリフレッシュや自己啓発に充てられます。3~7日程度が目安です。
  • ボランティア休暇: ボランティア活動への参加を支援する休暇。年間取得日数に上限がある場合が多く、東京都産業労働局の調査では年間平均約27日というデータもあります。
  • 病気休暇: 自身の怪我や病気の治療、通院のために取得。時間単位や半日単位での取得が可能なケースもあります。
  • アニバーサリー休暇: 誕生日や結婚記念日など、個人の記念日に取得できる1日程度の休暇です。
  • 教育訓練休暇: 業務に必要なスキルアップや資格取得を目的として付与されます。
  • コロナ休暇・ワクチン休暇: 新型コロナウイルス感染症の罹患や濃厚接触、ワクチン接種のために設けられた休暇です。5~7日程度、接種後1~2日程度が付与されることが多いです。

中には「失恋休暇」や「ペットの忌引き休暇」といった、その企業ならではのユニークな特別休暇を設けているケースもあり、福利厚生の多様化が進んでいます。

意外と多い!特別休暇の導入状況と傾向

特別休暇制度がどれくらい普及しているのか、気になる方もいるでしょう。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、特別休暇制度を導入している企業は全体の55.0%に上ります。

企業規模別に見ると、規模が大きい企業ほど導入率が高くなる傾向が見られます。例えば、従業員数が多い大企業では、福利厚生を充実させることで優秀な人材を確保しようとする動きが活発です。

特に導入されていることが多いのは、夏季休暇や病気休暇です。具体的な導入割合を見てみましょう。

特別休暇制度の種類 導入企業割合 (令和5年調査)
夏季休暇 37.8%
病気休暇 21.9%
リフレッシュ休暇 12.9%
ボランティア休暇 4.4%
教育訓練休暇 3.4%

(※上記は調査対象企業の割合であり、複数回答可。令和5年調査計)

このように、多くの企業が従業員の働きやすさやモチベーション維持のために、様々な種類の特別休暇を導入していることが分かります。

特別休暇の「別名」と、取得で知っておきたい注意点

特別休暇は会社によって呼び名が違う?

特別休暇は、法律で定められた休暇ではないため、会社によってその名称や制度内容が異なります。

一般的に「特別休暇」という総称で呼ばれることが多いですが、「慶弔休暇」「夏季休暇」「リフレッシュ休暇」といった具体的な目的の名前で呼ばれることもあります。

また、「法定外休暇」という表現が使われることもあります。これは、法律で義務付けられていない休暇制度全般を指す言葉です。

呼び名が違うからといって、制度の本質が変わるわけではありませんが、自分の会社の就業規則でどのような名称で規定されているかを確認することが大切です。

混乱を避けるためにも、まずは自社の就業規則をじっくりと読み込み、不明な点があれば人事担当者に確認するようにしましょう。

取得する前に確認!就業規則の重要ポイント

特別休暇を取得する上で最も重要なのは、会社の就業規則を熟読することです。なぜなら、特別休暇に関するあらゆるルールは、この就業規則に詳細に記載されているからです。

具体的には、以下のポイントを必ず確認しましょう。

  • 休暇の種類と取得理由: どのような目的で、どの種類の休暇が取得できるのか。
  • 取得日数: 各休暇で何日間休めるのか。
  • 申請方法: いつまでに、誰に、どのような書類(申請書や証明書など)を提出する必要があるのか。
  • 有給か無給か: 最も重要な点の一つ。この休暇が給与の発生する有給なのか、給与が発生しない無給なのか。

企業側も、トラブルを防ぐためにこれらのルールを明確に設定し、従業員に周知徹底することが求められます。従業員側も、制度を正しく理解し、決められた手順で申請することで、スムーズな取得が可能になります。

特に、申請期限を過ぎてしまったり、必要書類が不足していたりすると、希望通りの休暇が取得できない可能性もありますので、事前の確認は怠らないようにしましょう。

有給?無給?必ずチェックすべき給与の扱い

特別休暇が法定外の休暇制度であるということは、「有給」とするか「無給」とするかも、企業が自由に決定できるということです。

多くの企業では、従業員の福利厚生の観点から、慶弔休暇や夏季休暇などは有給として設定していることが多いですが、病気休暇やボランティア休暇など、一部の特別休暇については無給としている企業も存在します。

もし無給の特別休暇を取得した場合、その期間の給与は支給されません。当然、月々の収入に影響が出るため、取得を検討する際にはこの点を十分に考慮する必要があります。

また、有給休暇とは異なり、特別休暇の取得が年次有給休暇の付与日数や取得可能日数に影響を与えることはありませんのでご安心ください。

自分の会社の特別休暇が有給なのか無給なのかは、就業規則に必ず記載されています。もし不明な場合は、必ず人事担当者に問い合わせて、事前にしっかりと確認するようにしてください。

土日や祝日と重なった場合の特別休暇の扱い

原則として土日・祝日は特別休暇にカウントされない?

特別休暇は、従業員が「所定労働日」に会社を休むことを目的とした制度です。そのため、原則として土日や祝日など、元々労働義務のない日(休日)と重なった場合は、特別休暇の日数としてカウントされないことが多いです。

例えば、会社から5日間の慶弔休暇が付与されたとします。この休暇を月曜日から金曜日まで取得した場合、途中に土日を挟まなければ5日間の休暇となります。

しかし、水曜日から翌週の火曜日まで(間に土日を挟む)取得した場合、土日はカウントされず、実際に特別休暇として消費される日数は水・木・金・月・火の5日間となるのが一般的です。

これにより、実質的な休暇期間は土日を含めて7日間となるため、より長く休むことができます。この原則を理解しておくと、休暇の計画が立てやすくなります。

会社の就業規則を必ず確認しよう

ただし、上記はあくまで「原則」であり、最終的な判断は各企業の就業規則に委ねられます。企業によっては、土日や祝日を含めて特別休暇の日数をカウントすると定めている場合も稀に存在します。

例えば、「慶弔休暇は暦日(カレンダー上の日付)で〇日」と記載されていれば、土日や祝日も日数に含まれる可能性があります。一方で、「所定労働日として〇日」と明記されていれば、原則通り土日祝日は除外されます。

誤解やトラブルを避けるためにも、特別休暇を申請する前には、必ず自社の就業規則の該当箇所を細部まで確認するようにしてください。

もし就業規則の記載が不明瞭な場合や、自分のケースに当てはまるか不安な場合は、迷わず人事担当者や上司に相談し、正確な情報を得るようにしましょう。

長期休暇と特別休暇の組み合わせ術

土日や祝日が特別休暇の日数にカウントされないという原則を理解していれば、より計画的に長期休暇を取得することが可能です。

例えば、夏季休暇やリフレッシュ休暇などのまとまった日数の特別休暇に、土日や国民の祝日、さらに年次有給休暇を組み合わせることで、通常よりも大幅に長い休暇を作り出すことができます。

例えば、夏季休暇が3日間付与された場合、金曜日に特別休暇を1日、月曜日と火曜日に特別休暇を2日取得し、間に挟まる土日と祝日(月曜日が祝日の場合)を非稼働日とすれば、短い特別休暇でも週末を含めると数日以上の連休を作ることができます。

このように、会社の休暇制度を最大限に活用することで、心身をしっかりとリフレッシュし、仕事へのモチベーションを高めることができるでしょう。旅行や趣味、家族との時間など、有意義な過ごし方を計画してみてください。

分割取得や時間単位での取得は可能?

一日単位が基本?分割取得の可否

特別休暇は、原則として「一日単位」での取得が基本とされています。これは、休暇の目的が「その日一日を休むこと」にあるためです。

例えば、結婚式や葬儀、数日間の旅行などを目的とする慶弔休暇や夏季休暇などは、一日単位で取得することが一般的です。

しかし、特別休暇の種類によっては、企業が柔軟な働き方を支援するために、「分割取得」や「時間単位・半日単位」での取得を認めているケースもあります。

特に、通院や子どもの学校行事参加など、数時間だけ休みが必要な場合に、一日単位でしか取得できないとなると、従業員にとって不便であり、有給休暇を消費せざるを得ない状況に陥りがちです。

どのような取得方法が可能かは、先述の通り、自社の就業規則に詳細が記載されていますので、必ず確認するようにしましょう。

時間単位・半日単位取得が便利なケース

時間単位や半日単位での特別休暇が認められていると、従業員のワークライフバランスは格段に向上します。

例えば、以下のような状況で非常に便利に活用できます。

  • 通院や健康診断: 病院の予約が午前中しかない場合、半日休暇を取得すれば午後から仕事に戻れます。
  • 役所での手続き: 数時間で済む手続きのために一日休む必要がなく、業務への影響を最小限に抑えられます。
  • 子どもの学校行事・面談: お昼からの授業参観や個人面談に、必要な時間だけ参加できます。
  • 急な私用: ほんの数時間だけ席を外したいといった場合にも柔軟に対応できます。

病気休暇などは、時間単位での取得が認められていることが多い代表的な例です。このような柔軟な制度は、従業員の心身の負担を軽減し、結果として業務効率や満足度の向上にもつながると考えられます。

会社への確認と申請時の注意点

分割取得や時間単位での取得が可能かどうか、またその場合の具体的なルールは、会社によって大きく異なります。必ず事前に就業規則で確認するか、人事担当者に問い合わせるようにしてください。

確認すべき主なポイントは以下の通りです。

  • 時間単位・半日単位取得が可能な特別休暇の種類
  • 取得できる最小単位(例: 1時間単位、半日単位など)
  • 申請方法(例: 専用の申請書が必要か、口頭でよいか)
  • 事前の申請期限(例: 前日までに申請、〇日前までに申請)
  • 上限日数や上限時間があるか

特に、病気休暇などで医師の診断書が必要な場合など、添付書類の有無も重要な確認事項です。スムーズに特別休暇を利用するためにも、これらの情報を事前に把握し、適切な手続きを行うことが大切です。

特別休暇がボーナスや査定に与える影響とは

基本的にはボーナス・査定への影響は少ない

「特別休暇を取ると、ボーナスや査定に響くのでは?」と心配する方もいるかもしれません。しかし、特別休暇は企業が従業員の福利厚生として導入する制度であり、基本的には取得したこと自体が直接、ボーナスや人事査定に悪影響を与えることは少ないと考えて良いでしょう。

むしろ、心身のリフレッシュや家族との時間を大切にすることで、仕事へのモチベーションや集中力が高まり、結果的に業務パフォーマンスの向上につながることもあります。

企業側も、従業員に積極的に休暇を取得してもらうことで、制度の形骸化を防ぎ、導入効果を高めたいと考えています。そのため、正当な理由での取得に対して不当な評価を行うことは通常ありません。

安心して制度を活用し、より充実したワークライフバランスを実現してください。

ただし、取得状況が考慮されるケースも

基本的には影響が少ないとはいえ、特別休暇の取得状況が間接的に評価に影響を与える可能性がゼロではありません

例えば、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 無給の特別休暇を頻繁に取得する場合: 給与が発生しない無給休暇が長期間にわたると、月々の収入が減るだけでなく、皆勤手当など特定の福利厚生に影響を与える場合があります。
  • 業務に支障をきたすほどの頻度で取得する場合: 取得頻度があまりに高く、担当業務の進行に遅れが生じたり、周囲のメンバーに過度な負担をかけてしまったりするような状況は避けるべきです。

人事査定は、単に休暇の取得日数だけで決まるものではなく、個人の業績、職務遂行能力、会社への貢献度、チームワークなど、多角的な視点から総合的に判断されます。

そのため、休暇取得が直接の原因ではなくても、業務への影響を通じて結果的に評価に反映される可能性は考慮しておく必要があります。

評価への不安がある場合の相談先

もし、特別休暇の取得が自身の評価やキャリアに与える影響について不安がある場合は、一人で抱え込まずに、適切な相談先に確認することが重要です。

まずは、直属の上長や人事担当者に相談してみましょう。制度の目的や取得理由を説明し、自身の業務への影響を最小限に抑えるための対策(例: 事前準備、業務の引き継ぎ)についても相談することで、理解を得やすくなります。

会社が従業員に特別休暇を積極的に取得してほしいと考えている場合でも、従業員が「休みづらい」と感じて制度が形骸化してしまうことは少なくありません。経営者や管理職が率先して取得を促すことで、企業全体で特別休暇の重要性について理解を深めることが大切です。

安心して制度を利用できるよう、コミュニケーションを密に取り、疑問や不安を解消してから休暇を取得するようにしましょう。