エントリーシートの基本:文字数と内容の目安

文字数の指定がある場合とない場合

エントリーシート(ES)の文字数は、企業からの指定があるかないかで対応が変わります。もし文字数制限が明確に設けられている場合は、指定された文字数の「8割以上」を目安に記入するようにしましょう。例えば、400字指定なら320字以上です。文字数が極端に少ないと、「志望度が低い」「内容が薄い」と判断されてしまう可能性があります。

一方、文字数制限がないESの場合は、一般的に300~400字程度が目安とされています。これは、人が1分間にストレスなく読める文字数や、原稿用紙1枚分(400字)の読みやすさが考慮されたものです。ただし、文字数がないからといって際限なく長く書けば良いわけではありません。内容の質が最も重要であり、簡潔に要点をまとめて、企業が求める情報を的確に伝えることを意識しましょう。

内容の質を高める構成術:PREP法

ESの文章は、採用担当者が短時間で内容を理解できるよう、論理的で分かりやすい構成が求められます。そこでおすすめなのが、「PREP法」を活用した構成です。PREP法とは、Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(再度結論)の順で文章を組み立てる手法を指します。まず最初に結論を述べることで、読み手は文章の全体像をすぐに把握でき、その後の理由や具体例がすんなりと頭に入ってきます。

具体例を記述する際には、抽象的な表現は避け、具体的なエピソードや数字を用いて説明することが重要です。「頑張りました」ではなく「〇〇のプロジェクトでリーダーとして〇〇の課題に取り組み、〇〇%の改善を達成しました」のように、誰が聞いても情景が浮かぶように工夫しましょう。また、自分の強みや経験が、入社後にどのように企業の貢献につながるのかを具体的に示すことで、採用担当者は入社後の活躍イメージを描きやすくなります。

AIツールとの賢い付き合い方

近年、ChatGPTのようなAIツールを活用してESを作成する就活生が増えています。参考情報によると、全体の63.0%もの就活生がAIを利用しており、特に「誤字脱字チェック」や「文章のたたき台作成」に活用されていることが分かっています。AIを上手に活用することで、ESの通過率が向上するというデータもあり、AI利用者の86.5%が「半分以上通過」と回答しています。

しかし、AIの利用が人事担当者に発覚することを懸念する声も少なくありません。AIはあくまで補助的なツールとして活用し、生成された文章をそのまま提出するのではなく、必ず自分の言葉で修正し、パーソナルな要素を加えることが重要です。自分の熱意や個性が伝わるように最終調整を行い、オリジナリティのあるESに仕上げましょう。AIは効率化に役立ちますが、最終的な「あなたらしさ」は自分自身で表現するべきです。

「で」「ので」はOK?エントリーシートで気をつけたい言葉遣い

丁寧語・謙譲語の基本を押さえよう

エントリーシートは企業に提出する正式なビジネス文書であり、言葉遣いには細心の注意が必要です。基本的なマナーとして、「です・ます」調で統一し、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。友人との会話で使うような口語表現や、カジュアルすぎる言い回しは避けるべきです。例えば、「マジで」「ヤバい」「~っす」といった言葉は、不適切な印象を与えてしまいます。

また、企業や採用担当者に対して敬意を示すための謙譲語や尊敬語も適切に使いこなすことが求められます。例えば、自社を指す際には「弊社」、応募先の企業を指す際には「貴社」を使用します。面接官が話すときは「おっしゃる」、自分が話すときは「申し上げる」など、適切な敬語を使い分けることで、あなたの社会人としての常識やマナーが評価されます。不安な場合は、敬語表現の参考書やウェブサイトで確認し、自信を持って使いましょう。

接続詞の適切な使い方:「で」「ので」の判断基準

「で」や「ので」といった接続詞は、ESで論理的な文章を構築する上で非常に役立ちます。これらの接続詞自体はビジネス文書で使用しても問題ありません。例えば、「今回のプロジェクトでは、〇〇という目標を達成するために、〇〇の施策を実施しました」というように、目的や手段を明確にする際に「で」を用いることができます。また、「過去の経験から〇〇を学びましたので、貴社でもこの経験を活かせると確信しております」というように、理由や原因を説明する際に「ので」を使うのは適切です。

ただし、これらの接続詞を多用しすぎると、文章が冗長になったり、幼い印象を与えたりする可能性もあります。例えば、「〇〇、〇〇、〇〇でしたので、結果は〇〇でした」のように、文と文の接続が単調になるのを避けましょう。よりフォーマルな表現として、「~により」「~であるため」「~の結果」など、状況に応じた適切な接続表現を選ぶことで、文章全体の質を高めることができます。文章を声に出して読み、不自然さがないか確認することも有効です。

誤字脱字チェックは必須!言葉遣いの最終確認

ES作成において、誤字脱字は致命的なミスとなりかねません。採用担当者に「不注意な人物」という印象を与えてしまい、せっかくの内容も台無しになってしまうことがあります。言葉遣いの間違いも同様です。例えば、誤った敬語を使ったり、特定の漢字を間違えたりすることは、あなたの日本語能力や細部への配慮が不足していると判断される可能性があります。

提出前には、必ず複数回にわたって誤字脱字や言葉遣いのチェックを行いましょう。具体的には、以下の方法が有効です。

  • 時間を置いて読み直す:作成直後は見落としやすいので、数時間後や翌日に改めてチェックする。
  • 声に出して読む:文章の不自然な箇所やリズムの悪い部分に気づきやすくなる。
  • 第三者に添削を依頼する:友人、家族、大学のキャリアセンター、就職エージェントなど、客観的な視点からのフィードバックは非常に貴重です。
  • AIツールの活用:AIによる校正機能を利用して、誤字脱字や文法の誤りを自動で検出する。

これらの方法を組み合わせることで、より完璧なESに近づけることができます。

エントリーシートの訂正:二重線や二度書きは失礼?

手書きESの訂正:基本は書き直し

手書きのエントリーシートにおいて、誤字や脱字をしてしまった場合、原則としては新しい用紙に書き直すのが最も推奨される方法です。二重線での訂正や修正液・修正テープの使用は、ビジネス文書としては極力避けるべき行為とされています。これらの訂正方法を用いると、書類全体の完成度が低く見え、採用担当者に「雑な仕事をする」「細部に気を配れない」といったネガティブな印象を与えかねません。

特に、企業の指定用紙や履歴書一体型ESの場合、修正箇所があると再提出を求められることもあります。万が一のために、ESのコピーを数枚用意しておき、書き損じた場合に備えるのが賢明です。練習用として何枚か下書きをしてみるのも良いでしょう。一文字でも間違えたら書き直すくらいの意識を持つことが、丁寧なES作成につながります。

やむを得ない場合の訂正方法

どうしても新しいES用紙が手に入らない、あるいは提出期限が迫っており書き直す時間がないなど、やむを得ない事情で訂正せざるを得ない状況に直面することもあるかもしれません。そのような場合の最終手段として、「二重線で訂正し、その上から訂正印を押す」という方法が一般的に知られています。

この際、修正箇所が最小限にとどまるように、丁寧に二重線を引くことが重要です。ただし、この方法はあくまで緊急措置であり、推奨されるものではありません。採用担当者によっては、訂正印があっても好ましくないと判断する場合があります。したがって、極力、このような事態を避けるよう、十分な時間と余裕を持ってES作成に取り組むことが何よりも大切です。

デジタルESの訂正:最終提出前の徹底確認

最近はWebエントリーが主流であり、デジタル形式のESを提出する機会が多くなっています。WordやPDFファイルとして作成するデジタルESでは、誤字脱字や内容の修正は非常に簡単です。しかし、その手軽さゆえに、最終確認を怠ってしまうという落とし穴もあります。提出ボタンを押してしまえば修正は不可能になるため、アナログ以上に慎重な確認が求められます。

デジタルESの修正で最も重要なのは、提出前の最終チェックを徹底することです。印刷して紙面で確認したり、声に出して読み上げたりすることで、画面上では見落としがちなミスを発見できることがあります。また、AIツールによる誤字脱字チェックや、友人・大学のキャリアセンターなど第三者による添削を活用するのも非常に有効です。これらの対策を講じることで、質の高いESを自信を持って提出することができます。

エントリーシートのはみ出し、マス空け:どうするのが正解?

枠やマス目を守る基本マナー

エントリーシートは、指定された枠やマス目の中に文字を収めるのが基本マナーです。これは手書きかPC入力かにかかわらず共通のルールです。文字が枠からはみ出していたり、マス目からはみ出していたりすると、書類全体が乱雑な印象を与え、読み手にとって非常にストレスになります。採用担当者は多くのESに目を通すため、読みやすさは非常に重要な評価ポイントです。

手書きの場合は、文字の大きさを均一に保ち、マス目にきれいに収まるように意識しましょう。PC入力の場合は、フォントサイズや行間を調整し、指定された枠内に収まるように工夫が必要です。特に、文字数が多い場合でも、無理に小さくしたり、逆に間延びさせすぎたりしないよう、バランスを考えて調整してください。読み手の視点に立ち、整然とした記述を心がけることで、あなたの丁寧さや配慮が伝わります。

マス目の使い方:空欄はNG?

マス目のあるエントリーシートでは、基本的にすべてのマス目を埋めることが望ましいです。特に文字数指定がある場合は、前述の通り8割以上を埋めることを目安にしてください。内容が薄い、あるいは志望度が低いと判断されるのを避けるためです。もしどうしても記述が足りない場合は、エピソードに具体性を持たせたり、その経験から得た学びや、それを今後どう活かしたいかを追記するなどして内容を充実させましょう。

文末の句読点も1マスに収めるのが一般的です。句読点をマス目の外に出したり、次の行の先頭に持っていったりしないよう注意してください。また、文章の途中に不自然なマス空けを作るのも避けましょう。やむを得ず空白ができる場合は、それは内容不足のサインかもしれません。文章全体を見直し、表現を工夫して、空白を埋める努力をすることが大切です。

写真添付欄の注意点

エントリーシートに写真を添付する欄がある場合、その貼り付け方にも細心の注意を払いましょう。まず、指定された位置とサイズを厳守することが重要です。証明写真のサイズは一般的に履歴書用(縦40mm×横30mm)が多いですが、企業によっては異なる場合もあるため、事前に確認が必要です。

写真を貼り付ける際は、はがれないようにしっかりと糊付けしましょう。液体のりよりもスティックのりの方が、シワになりにくくおすすめです。また、写真の裏面に「氏名」と「大学名」を記入するよう指示されることがあります。これは、万が一写真が剥がれてしまった際に、どの応募者のものか判別できるようにするためです。指示がない場合でも、念のため記入しておくと安心です。清潔感のある、好印象を与える証明写真を用意し、ES全体の印象を向上させましょう。

エントリーシートの日付の書き方:いつ、何を書く?

提出日を記載するのが基本

エントリーシートの日付欄には、原則として「ESを企業に提出する日」を記載するのが正しいマナーです。郵送で提出する場合は「郵便ポストに投函する日」、Webで提出する場合は「システムにアップロードする日」を記入します。決してESを作成した日ではありませんので注意しましょう。

事前にESを準備していたとしても、提出日よりも未来の日付を記載したり、過去の日付を記載したりするのは避けましょう。これは、書類の最新性と正確性を示すためであり、基本的なビジネスマナーの一つです。もし複数回提出する機会がある場合は、その都度、提出する日付に合わせて修正することを忘れないでください。

年号表記は和暦・西暦どちらでもOK

日付の年号表記については、和暦(令和、平成など)と西暦(2024年など)のどちらを使用しても問題ありません。重要なのは、ES全体を通して表記を統一することです。例えば、日付欄を西暦で記載したならば、学歴・職歴欄や資格取得年月日などもすべて西暦で統一しましょう。途中で和暦と西暦が混在していると、読み手にとって非常に分かりにくく、確認不足と判断される可能性があります。

一般的には、どちらか一方に統一されていれば問題視されることはありませんが、企業によっては指定がある場合もありますので、募集要項などを確認しておくとより安心です。もし指定がない場合は、自身が書きやすい方、あるいは学歴・職歴が多い場合に計算しやすい方を選ぶと良いでしょう。どちらを選ぶにしても、一貫性を持たせることが肝要です。

「提出年月日」の記載漏れに注意

日付の記載は、エントリーシートにおける基本的な記入項目であり、企業側が書類を管理する上でも重要な情報となります。そのため、「提出年月日」の記載漏れは、確認不足や不注意と見なされてしまう可能性があります。他の項目を完璧に仕上げていても、このような基本的な記載漏れ一つでマイナスな印象を与えてしまうことは避けたいところです。

ESを提出する前には、必ず最終チェック項目の一つとして日付欄を確認する習慣をつけましょう。特にWebエントリーの場合、日付を自動入力するシステムもありますが、それが正しい日付になっているかどうかも併せて確認することが大切です。細かい点にまで気を配る姿勢は、社会人として非常に評価されるポイントとなりますので、最後の最後まで気を抜かずに確認作業を行いましょう。