就職活動において、企業や業界への理解を深める上で欠かせないのがOB訪問です。しかし、「どう連絡すればいい?」「どんなマナーがあるの?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、OB訪問の連絡をスムーズに行い、アポイントを成功させるための最新情報とマナーを徹底解説します。約4人に1人の学生が経験しているOB訪問で、一歩リードするためのノウハウを身につけましょう!

OB訪問の連絡、いつ・どのようにするのがベスト?

OB訪問の重要性と実施率の現状

OB訪問は、企業の説明会や採用ページだけでは得られない「生の声」を聞くことができる貴重な機会です。志望企業の文化、仕事の具体的な内容、社員のやりがい、キャリアパスなど、実際に働く人の視点から深い情報を得られるため、入社後のミスマッチを防ぐ上で非常に有効とされています。また、企業によってはOB訪問が選考に影響することもあり、熱意を示す場としても機能します。

近年の調査では、OB訪問を実施した学生の割合は年々増加傾向にあります。例えば、2025年卒業予定者を対象とした調査では26.8%、2023年卒では約25%、別の2025年卒の調査でも「2割台後半」とされており、つまり約4人に1人の学生がOB訪問を経験している計算になります。しかし、興味がある学生は45.2%に上るものの、実際に訪問した学生は半数以下という結果も出ており、行動に移すことで他学生との差別化を図れる可能性を示唆しています。この機会を最大限に活かすためにも、正しい連絡方法とマナーを身につけることが重要です。

連絡手段はメールが基本!その理由と効果的な使い分け

OB訪問のアポイントを取る際の連絡手段は、主にメールと電話の2つが挙げられます。このうち、圧倒的に推奨されるのが「メール」です。その最大の理由は、相手の時間を奪うことなく、都合の良いタイミングで内容を確認してもらえる点にあります。企業の社員は日々多忙な業務を抱えており、電話で突然の連絡が入ると、その対応のために作業を中断せざるを得ません。メールであれば、隙間時間や業務の区切りで落ち着いて確認・返信ができるため、相手への配慮を示すことができます。

さらに、メールはやり取りの履歴が文字として残るため、日程や確認事項の認識違いを防ぐことができます。これは、後々のトラブル防止にも繋がる重要なメリットです。一方、電話は緊急性が高い場合や、メールの返信がなかなか来ない場合に有効な手段です。ただし、電話をする際は、相手の業務を妨げないよう、時間帯や場所、話す内容に細心の注意を払う必要があります。まずはメールでのアプローチを基本とし、状況に応じて電話も活用するという使い分けが、スムーズなアポ取りの鍵となります。

アポイントメント連絡の最適なタイミングと時間帯

OB訪問のアポイントメントを取る際には、連絡をする「タイミング」と「時間帯」が非常に重要です。まず、時期としては、選考が本格化する前、つまり大学3年の夏から冬にかけてが一般的です。この時期であれば、社員の方も比較的余裕があり、じっくり話を聞いてもらいやすい傾向にあります。もちろん、興味を持ったらいつでも連絡して構いませんが、直前に焦って連絡するのではなく、計画的に動くことをおすすめします。

次に、連絡する時間帯についてです。メールでの連絡は、企業の営業時間内(おおよそ9時から18時頃)に送信するのがマナーです。夜遅い時間や早朝に送信すると、相手に「今すぐ対応しなくては」という無用なプレッシャーを与えたり、プライベートな時間にメールが届くことで不快感を与えてしまったりする可能性があります。また、電話での連絡はさらに慎重な配慮が必要です。始業直後1時間以内や昼休み、終業間際といった多忙な時間帯は避け、比較的落ち着いているであろう時間帯(例えば午前10時〜12時、午後14時〜16時)を選ぶと良いでしょう。常に相手の状況を想像し、配慮する姿勢が、良好な関係構築の第一歩となります。

【例文あり】OB訪問の依頼メール・LINE作成のポイント

件名から署名まで!依頼メール作成の全ステップ

OB訪問の依頼メールは、相手に「会ってみたい」と思わせる重要なツールです。まずは、メールの構成要素を一つずつ丁寧に見ていきましょう。

  • 件名: 「大学名+氏名」を明記し、誰からのメールか一目でわかるようにします。「OB訪問のお願い(〇〇大学 △△)」のように具体的に記載することで、多忙な相手も内容を把握しやすくなります。
  • 宛名: 会社名、部署名(分かれば)、氏名を正確に記載し、敬称「様」をつけます。誤字脱字は失礼にあたるため、送信前に必ず確認しましょう。
  • 挨拶と自己紹介: 丁寧な挨拶と、大学名、学部、氏名を名乗ります。簡潔かつ分かりやすく、自分が何者であるかを伝えます。
  • 連絡の経緯: どのように連絡先を知ったのかを簡潔に伝えます。紹介者がいる場合は、その方の名前と関係性を明確に記載することで、相手も安心して対応できます。
  • 訪問依頼: 訪問の目的(企業研究、仕事内容への興味など)を具体的に伝え、謙虚な姿勢で依頼します。なぜその企業、そしてそのOB/OGの方に話を聞きたいのかを具体的に述べると、熱意が伝わります。
  • 質問事項の事前共有: 可能であれば、事前に質問したい内容をいくつか伝えておくと、相手も準備ができ、より有意義な時間になります。これにより、相手への配慮と訪問への真剣さを示すことができます。
  • 日程調整: 相手の都合を伺い、「いくつかの候補日時」を提示するとスムーズです。相手に選択肢を与えることで、調整の手間を減らすことができます。
  • 署名: 自身の氏名、大学名、学部、学科、学年、連絡先(電話番号、メールアドレス)を記載します。これらの情報がないと、相手が連絡を取りたくても取れない状況になってしまうため、必ず漏れなく記載しましょう。

これらのステップを丁寧に進めることで、相手に好印象を与え、アポイント成功の確率を高めることができます。

相手に響く依頼メールの例文と応用術

上記で解説したポイントを踏まえ、実際に使える依頼メールの例文をご紹介します。この例文を参考に、ご自身の状況に合わせて内容を調整してください。

件名:OB訪問のお願い(〇〇大学 氏名)

〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様

突然のご連絡失礼いたします。
〇〇大学〇〇学部〇〇学科〇年の氏名と申します。

〇〇様には、〇〇(紹介者の氏名、またはキャリアセンター、説明会など連絡先を知った経緯を記載)にてご連絡先を教えていただきました。
貴社の〇〇事業、特に〇〇の分野に大変興味を持っており、社員の方々がどのようなお仕事されているのか、ぜひお話を伺いたく、OB訪問をお願いしたくご連絡いたしました。

つきましては、恐縮ながら〇〇様のお時間を頂戴し、貴社でのお仕事やキャリアについてお話を伺えれば幸いです。

いくつか質問したい内容がございますので、もしよろしければ事前に共有させていただきます。
(例:〇〇事業でのやりがい、入社後のキャリアパス、求められるスキルなど)

つきましては、下記日程でご都合の良いお時間はございますでしょうか。
・〇月〇日(〇)〇時~〇時
・〇月〇日(〇)〇時~〇時
・〇月〇日(〇)〇時~〇時
上記以外でも、〇〇様のご都合の良い日時がございましたら、遠慮なくお申し付けください。

お忙しいところ大変恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

—————————————-
〇〇大学〇〇学部〇〇学科〇年
氏名(氏名 ふりがな)
電話番号:090-xxxx-xxxx
メールアドレス:xxxx@xxxx.com
—————————————-

この例文では、件名で内容を明確にし、連絡の経緯と訪問目的を具体的に伝えています。また、相手に負担をかけないよう、日程の選択肢を複数提示している点もポイントです。LINEで連絡を取る場合は、より簡潔な文面が好まれますが、丁寧な言葉遣いと必要事項の記載は必須です。例えば、冒頭で大学名と氏名を名乗り、OB訪問の依頼である旨を明確に伝え、短文で要点をまとめるように意識しましょう。

返信からお礼まで!スムーズなコミュニケーション術

OB訪問のアポイントが取れた後も、スムーズなコミュニケーションは続きます。特に返信とお礼のメールは、あなたの印象を大きく左右する要素となるため、細心の注意を払いましょう。

  • 迅速な返信: OB/OGからの返信は、受信後24時間以内、遅くとも3営業日以内には返信するのが基本です。相手は忙しい時間を割いてくれていますので、素早いレスポンスは感謝の気持ちを示すことに繋がります。
  • 件名: 返信する際は、元のメールの件名の「Re:」を残したまま送信してください。これにより、相手はどのメールへの返信かすぐに理解できます。
  • 本文: 引用返信(元のメールの全文引用)が基本です。これは、相手が元のメールの内容を忘れていても、返信メールだけで状況を把握できるようにするためです。自分の返信内容は引用部分の下に記載しましょう。また、誤字脱字がないか、敬語の使い方が正しいかなどを送信前に必ず確認してください。
  • お礼メール: OB訪問が終わった後、当日中にお礼メールを送るのがマナーです。訪問で得た具体的な学びや感想を簡潔に添えることで、形式的ではない心からの感謝が伝わり、良い印象を残すことができます。「〇〇様からお伺いした△△の話が特に印象的で、貴社への理解が深まりました」といった具体的な内容を加えると良いでしょう。

これらのマナーを守ることで、OB/OGとの良好な関係を築き、将来の就職活動にも繋がる貴重なネットワークを構築できる可能性が高まります。

OB訪問の連絡先交換、知っておきたいマナー

OB訪問を依頼する際の心構えと準備

OB訪問を成功させるためには、連絡を取る前から綿密な準備と適切な心構えが不可欠です。まず、最も重要なのは「相手の時間をいただいている」という感謝の気持ちを常に持ち続けることです。社員の方々は、本来の業務の合間を縫って学生のために時間を作ってくださいます。この認識を持つことで、自然と丁寧な言葉遣いや配慮ある行動に繋がります。

次に、事前の徹底的なリサーチは欠かせません。訪問する企業については、企業理念、事業内容、最近のニュース、業界内での立ち位置などを深く調べておきましょう。また、可能であれば訪問するOB/OGの方の経歴(LinkedInや大学のOB名簿などから)も確認しておくと、より具体的な質問ができ、話も盛り上がりやすくなります。

さらに、質問事項の準備も入念に行いましょう。漠然とした質問ではなく、「貴社が〇〇事業で成功している要因について、〇〇様の視点からお伺いしたいです」といった具体的な質問をリストアップし、可能であれば事前に相手に伝えておくことで、相手も準備ができ、より質の高い情報交換が可能になります。そして何より、なぜそのOB/OGに話を聞きたいのか、なぜその企業に興味があるのか、という「熱意」を具体的に伝えることで、相手も快く対応してくれるでしょう。これらの準備と心構えが、充実したOB訪問への第一歩となります。

電話連絡で失敗しないための実践ガイド

メールでの連絡が基本ですが、状況によっては電話でアポイントを取る必要がある場合もあります。電話連絡は相手の時間を直接奪うため、より一層の配慮と準備が求められます。

まず、電話をかける前の事前準備を徹底しましょう。話す内容のメモ(自己紹介、連絡の経緯、訪問の目的、希望日時など)、自分のスケジュール帳、メモ用紙とペンを手元に用意しておくと、焦らず落ち着いて対応できます。これにより、肝心なことを伝え忘れたり、相手の質問にスムーズに答えられなかったりといった失敗を防げます。

次に、電話をかける時間帯です。多忙な社員の業務を妨げないよう、始業後1時間以内、昼休み時間(12時〜13時)、終業間際(17時以降)は避けるのが鉄則です。比較的業務が落ち着いているであろう午前中の遅い時間(10時〜12時前)や午後の早い時間(14時〜16時)を選ぶと良いでしょう。そして、電話をかける場所も重要です。周囲の騒音がなく、電波状況が安定している静かな場所を選び、途中で切れたり、会話が聞き取れなかったりする事態を避けましょう。

話し方は、丁寧な言葉遣いを心がけ、要件を簡潔に伝えることが大切です。まずは自身の大学名と氏名を名乗り、OB訪問の依頼である旨を明確に伝えましょう。もし担当者が不在の場合は、「〇〇様にご伝言をお願いできますでしょうか」「改めて〇時頃にお電話させていただきます」など、状況に応じた丁寧な対応を心がけてください。これらの実践ガイドを参考に、電話での連絡もスマートにこなしましょう。

OB訪問成功へのカギ!事前の心構えと当日までの準備

OB訪問は、単に情報収集をするだけでなく、自身のキャリア形成や企業選びにおいて重要な意味を持つイベントです。そのため、訪問当日だけでなく、そこに至るまでの事前の心構えと準備が成功のカギを握ります。

まず、OB訪問の目的を明確にしましょう。「なぜこの企業なのか」「なぜこの社員の方に会いたいのか」「何を知りたいのか」を言語化することで、訪問の質が格段に上がります。企業理解を深めたいのか、特定の仕事内容について聞きたいのか、職場の雰囲気を感じたいのかなど、目的意識を持つことが、有意義な時間につながります。

次に、当日の準備です。服装は、ビジネスカジュアルを基本としますが、企業や業界の雰囲気に合わせて調整しましょう。持ち物としては、筆記用具、メモ帳、質問リスト、スケジュール帳(訪問後の予定調整のため)、身分証明書、そして可能であれば名刺入れ(もし相手から名刺をいただいた際にスマートに受け取るため)などを用意しておくと安心です。

最後に、訪問場所までの経路確認を忘れずに行い、時間に余裕を持って行動しましょう。遅刻は厳禁です。万が一遅れそうな場合は、速やかに相手に連絡を入れるのがマナーです。これらの徹底した準備と心構えが、OB訪問を単なる「面談」ではなく、自身の将来を切り拓く貴重な「対話」へと昇華させるでしょう。

OB訪問の連絡でよくある疑問を解消!

Q1: 連絡先はどこで手に入れるのが適切?

OB訪問をしたいけれど、そもそもどうやって連絡先を手に入れたらいいのか分からない、という疑問は多くの学生が抱えています。連絡先を入手する方法はいくつかありますが、信頼性とマナーを考慮して、適切な方法を選びましょう。

最も一般的なのは、大学のキャリアセンターや就職課です。多くの大学では、卒業生のOB/OG名簿を管理しており、学生がOB訪問を希望する際に紹介してくれます。これは大学が仲介しているため、安心して利用できる最も公式なルートと言えるでしょう。また、大学の先輩や友人からの紹介も有効な手段です。個人的な繋がりなので、よりリラックスした雰囲気で連絡を取りやすいかもしれません。

その他、企業が主催するインターンシップや説明会、キャリアイベントなどで、社員の方と直接話す機会があれば、その場で連絡先交換を打診することも可能です。ただし、その際は相手の状況をよく見て、無理のない範囲で、かつ礼儀正しくお願いすることが重要です。最近では、LinkedInなどのSNSを活用してOB/OGを探すケースもありますが、ビジネスSNSとはいえ、いきなりのダイレクトメッセージは失礼にあたる可能性もあるため、文面には細心の注意を払い、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。常に相手への配慮を忘れず、最適な方法を選んで連絡先を入手してください。

Q2: 返信がない場合はどうすればいい?

OB訪問の依頼メールを送ったものの、なかなか返信がないと不安になるものです。そのような状況に陥った場合の対処法を知っておくことで、焦らず、しかし適切に対応することができます。

まず、焦ってすぐに再連絡するのは避けましょう。社員の方々は多忙なため、すぐにメールをチェックしたり、返信したりする時間が取れないことも十分に考えられます。一般的には、1週間程度は様子を見るのが適切とされています。

1週間経っても返信がない場合は、「再送」の旨を記載して、一度だけ改めてメールを送ることを検討しましょう。この際、件名に「Re: OB訪問のお願い(〇〇大学 氏名)(再送)」のように「(再送)」と加えることで、相手が未読メールを見落としていた可能性を考慮しつつ、再度確認を促すことができます。本文には、初回メールを引用しつつ、「先日お送りしたメールが届いているか確認のため、再度ご連絡いたしました」といった丁寧な一文を添えましょう。ただし、再連絡は一度に留めるのがマナーです。複数回連絡しても返信がない場合は、相手がOB訪問を受けられない状況にあるか、あるいは何らかの事情がある可能性が高いため、潔く諦めて別のOB/OGを探すことに切り替えるのが賢明です。しつこい連絡はかえって悪い印象を与えてしまいますので注意しましょう。

Q3: 日程調整の際に気をつけるべきことは?

OB訪問の日程調整は、スムーズなアポ取りにおいて非常に重要なプロセスです。相手に手間をかけさせず、かつ自分の希望も考慮してもらうためのポイントを押さえましょう。

最も大切なのは、相手の都合を最優先する姿勢を明確に示すことです。そのためには、複数の候補日時を提示するのが基本です。例えば、「〇月〇日(〇)〇時~〇時」「〇月〇日(〇)〇時~〇時」「〇月〇日(〇)〇時~〇時」といった具合に、3〜5つ程度の選択肢を提示することで、相手は自分のスケジュールに合わせて選びやすくなります。さらに、「上記以外でも、〇〇様のご都合の良い日時がございましたら、遠慮なくお申し付けください」といった一文を添えることで、より丁寧な印象を与えることができます。

もし対面での訪問が難しい場合は、オンラインでの面談も提案できるよう、あらかじめ準備をしておくと良いでしょう。「もしよろしければ、ZoomやGoogle Meetなどでのオンライン面談も可能です」と伝えれば、相手の負担を減らし、アポイント成立の可能性が高まります。最終的に日程が確定したら、必ずメールでその日時を復唱し、相互の認識に齟齬がないか確認する習慣をつけましょう。これにより、当日になって「時間が違っていた」「場所が違っていた」といったトラブルを防ぐことができます。細やかな配慮が、OB訪問を成功へと導きます。