概要: OB訪問をしたいけれど、周りに頼れる人がいない…。そんな状況でも諦める必要はありません。本記事では、OB訪問のきっかけ作りから、効果的なメールの書き方、日程調整の進め方まで、具体的なノウハウを解説します。
OB訪問で「つてがない」を乗り越える!効果的な進め方とメール術
就職活動において、企業や仕事内容への理解を深めるOB訪問は、自身の適性を見極める上で非常に有効な手段です。社員の生の声を聞くことで、ウェブサイトや説明会だけでは得られない具体的な情報を得ることができます。しかし、「知り合いがいないから」「どうやって連絡すればいいか分からない」といった理由で、OB訪問を諦めてしまう学生も少なくありません。
「つてがない」という状況は、決してOB訪問を断念する理由にはなりません。むしろ、自ら積極的に行動し、情報を得る良い機会と捉えることができます。マイナビの調査によると、21卒でOB・OG訪問をした就活生の割合は24.8%と約4人に1人ですが、別の調査では約70%という結果もあり、多くの学生がこの貴重な機会を活用していることが伺えます。
OB訪問には、具体的な仕事内容や社風の把握、就職活動に役立つ情報の獲得、入社後のミスマッチ防止、さらには選考で有利になる可能性といった多くのメリットがあります。もちろん、準備に時間がかかったり、期待通りの情報が得られない可能性、マナー違反による悪影響といったデメリットも存在しますが、これらは適切な準備と対応で克服可能です。
本記事では、「つてがない」という状況を打破し、OB訪問を効果的に進めるための具体的な方法と、失礼なくアポイントを取るためのメール術について、詳しく解説していきます。これらの情報を活用して、あなたの就職活動をより充実したものにしてください。
OB訪問の重要性と「つてがない」壁
OB訪問は、企業研究を深める上で欠かせないプロセスです。企業のウェブサイトや採用パンフレットからは、通常、企業の理念や事業内容、制度などの公式情報しか得られません。しかし、OB訪問では、実際に働く社員の方々から、部署の雰囲気、具体的な業務のやりがいや苦労、キャリアパス、社内での人間関係など、「生の声」を聞くことができます。
こうした一次情報は、あなたがその企業で働くイメージを具体化し、入社後のミスマッチを防ぐ上で非常に役立ちます。また、面接対策やエントリーシートの添削に関するアドバイスを得られることもあり、選考を有利に進めるための貴重な情報源となるでしょう。実際に、熱心にOB訪問を行った学生は、企業への理解度や熱意が高いと評価され、選考において有利に働くケースも少なくありません。
一方で、「つてがない」という状況は、多くの学生にとってOB訪問の大きな障壁となります。大学の先輩に知り合いがいない、特定の企業の社員とつながりがない、といった理由でOB訪問を諦めてしまうのは、非常にもったいないことです。しかし、現代には「つてがない」を乗り越えるための様々なツールやサービスが存在します。次のセクションでは、具体的な探し方について詳しく見ていきましょう。
大学の支援を活用した探し方
「つてがない」と感じている学生にとって、まず頼るべきは大学のキャリアセンターです。多くの大学では、卒業生が在校生の就職活動を支援するためのOB/OG訪問制度や名簿を用意しています。キャリアセンターに相談することで、自分が志望する業界や企業で働くOB/OGを紹介してもらえる可能性があります。
キャリアセンターを通じてOB/OG名簿を閲覧できる場合もあります。名簿には、卒業生の氏名、所属企業、部署、卒業年度などが記載されており、そこから自分の興味のある企業や職種で活躍している先輩を探し出すことができます。利用方法や閲覧条件は大学によって異なるため、まずはキャリアセンターに問い合わせてみましょう。
また、大学によっては、定期的にOB/OG交流会や座談会を開催していることもあります。こうしたイベントに参加することで、一度に複数のOB/OGと接点を持つことができ、その場で個別訪問のお願いをする機会を得られるかもしれません。大学という共通の基盤があるため、初めてのアプローチでも比較的スムーズに進めやすいのが大きな利点です。積極的にキャリアセンターの情報をチェックし、利用できる支援は最大限に活用することが、「つてがない」状況を打破する第一歩となります。
OB/OG訪問支援サービス・SNSを活用したアプローチ法
大学の支援だけでなく、現代では様々なオンラインサービスを活用してOB訪問の機会を見つけることができます。特に有効なのが、OB/OG訪問支援サービスやビジネスSNSです。
代表的なサービスとしては、「ビズリーチ・キャンパス」や「OfferBox」などがあります。これらのサービスは、企業の社員と学生をつなぐプラットフォームを提供しており、学生は自分のプロフィールを登録し、志望する企業や業界のOB/OGを検索してアポイントメントを依頼できます。サービスによっては、OB/OG側から学生にアプローチがあるケースもあり、これまで「つてがない」と感じていた学生でも、積極的にOB訪問の機会を創出することが可能です。利用は基本的に無料であるため、積極的に活用を検討しましょう。
また、LinkedInのようなビジネスSNSも、OB訪問のきっかけを見つける上で非常に有効です。共通の知り合いや興味・関心を持つ人を見つけやすく、直接メッセージを送ってアポイントメントを依頼することもできます。ただし、ビジネスSNSを利用する際は、メッセージの内容や言葉遣いなど、より一層のビジネスマナーが求められます。
さらに、所属するサークルや部活動の先輩、アルバイト先の社員の方など、身近な社会人に相談してみるのも良い方法です。思いがけないところから、自身の志望する企業や業界につながる人を紹介してもらえる可能性があります。これらの多様なアプローチ方法を組み合わせることで、「つてがない」という壁を効果的に乗り越えることができるでしょう。
OB訪問の依頼メール:件名で差をつける!
OB訪問を依頼する際、最初の関門となるのが「メール」です。特に、多忙なOB/OGの受信トレイには日々多くのメールが届きます。その中であなたのメールを確実に開いてもらい、内容を読んでもらうためには、件名が非常に重要な役割を果たします。
件名は、メールの顔とも言える部分です。件名だけで「誰からのどのような用件のメールなのか」が瞬時に判断できるように工夫する必要があります。曖昧な件名や、不審に思われるような件名では、せっかくのメールが開封されることなく、迷惑メールフォルダに振り分けられたり、そのまま埋もれてしまう可能性が高まります。OB/OGの貴重な時間をいただくための最初の一歩として、件名で良い第一印象を与えることを常に意識しましょう。
効果的な件名は、相手への配慮と、あなたの真剣な気持ちを伝えるメッセージでもあります。次からのセクションでは、具体的にどのような件名が効果的なのか、そのコツとNG例・OK例を交えて詳しく解説していきます。
なぜ件名が重要なのか
OB訪問の依頼メールにおいて、件名が非常に重要である理由は、主に以下の3点に集約されます。
- 開封率への影響: 多くのビジネスパーソンは、日々大量のメールを処理しています。件名を見ただけで重要度や緊急度を判断し、優先順位をつけて開封します。件名が不明瞭だと、後回しにされたり、最悪の場合、読まれることなく削除されてしまう可能性が高まります。
- 第一印象の形成: 件名は、あなたのメール、ひいてはあなた自身の「第一印象」を決定づける要素です。件名から、あなたが丁寧な学生か、あるいは配慮が足りない学生か、という印象を無意識のうちに相手に与えてしまいます。明確で礼儀正しい件名は、相手に安心感を与え、その後の本文を読んでもらうための信頼関係の基盤となります。
- 用件の明確化: OB/OGは、あなたが誰で、何の用件で連絡してきたのかを瞬時に把握したいと考えています。件名で用件が明確に伝われば、相手はメールを開く前から、おおよその内容を予測し、心の準備をすることができます。これは、相手の時間を尊重する上での基本的なマナーと言えるでしょう。
これらの理由から、OB訪問の依頼メールは、件名から徹底的に戦略を立てて作成する必要があります。件名にこそ、相手への敬意とあなたの真剣さを込めるようにしましょう。
相手に開いてもらう件名のコツ
OB/OG訪問の依頼メールで、相手に確実に開いてもらい、良い印象を与えるための件名には、いくつかの重要なコツがあります。最も大切なのは、「誰から」「何の用件で」連絡があったのかを、件名を見ただけで一瞬で理解してもらうことです。
具体的には、以下の要素を盛り込むことを推奨します。
- 大学名: 相手があなたとどのような接点があるのかをすぐに理解できるため、信頼性が高まります。
- 氏名: 誰からの連絡なのかを明確にします。
- 用件: 「OB訪問のお願い」のように、何の目的のメールなのかを簡潔に伝えます。
これらの要素を組み合わせた件名の例としては、「OB訪問のお願い(〇〇大学 〇〇学部 △△△△)」が非常に効果的です。この件名を見たOB/OGは、「〇〇大学の学生△△△△さんからのOB訪問の依頼メールだな」とすぐに認識できます。これにより、忙しい中でも優先的に開封してもらえる可能性が高まります。
さらに、もし特定の人物からの紹介で連絡した場合は、その旨を件名に加えることで、よりスムーズな対応が期待できます。例:「OB訪問のお願い(〇〇大学 △△△△・〇〇様ご紹介)」のように、信頼できる紹介者の名前を入れると、相手は安心してメールを開くことができます。件名は長くなりすぎないよう、簡潔かつ具体的に、相手への配慮を忘れずに作成しましょう。
NG例とOK例で学ぶ件名作成
件名作成のコツを理解した上で、具体的なNG例とOK例を見ていきましょう。これにより、より実践的な件名作成スキルを身につけることができます。
NGな件名と、その理由:
- 「ご相談です」
- 誰から何の相談なのかが全く不明。緊急性もなければ、重要性も伝わらないため、後回しにされがちです。場合によっては迷惑メールと判断される可能性もあります。
- 「OB訪問」
- 用件は伝わりますが、誰からの連絡かが不明です。同じような件名のメールが複数届いている場合、埋もれてしまうリスクがあります。
- 「〇〇大学です」
- 大学名は分かりますが、氏名も用件も不明です。こちらも、相手にとっては誰からの何の連絡か判断しにくいため、開封してもらいにくいでしょう。
- 「Re: 〇〇」
- 以前にやり取りがないにもかかわらず「Re:」で始まる件名は、相手を混乱させるだけでなく、マナー違反と受け取られる可能性があります。
OKな件名と、その理由:
- 「OB訪問のお願い(〇〇大学 〇〇学部 △△△△)」
- 大学名、学部、氏名、そして用件がすべて明確に記されています。これにより、相手は一目でメールの内容を把握でき、安心して開封することができます。最も推奨される形式です。
- 「〇〇株式会社へのOB訪問依頼(〇〇大学 氏名)」
- 特にOB訪問支援サービスなどを利用して、企業名を名乗る必要がある場合に有効です。所属と氏名を添えることで、信頼性が高まります。
件名は、短くても必要な情報を漏れなく伝えることが重要です。件名だけであなたの誠実さと効率性をアピールできるよう、常に意識して作成しましょう。
OB訪問の依頼メール:本文で熱意を伝えるテンプレート
OB訪問の依頼メールは、件名で相手の興味を引きつけたら、次は本文で具体的な用件とあなたの熱意を伝える番です。本文の構成は、丁寧な挨拶と自己紹介から始まり、連絡先を知った経緯、OB訪問の目的、具体的な日程の提案、そして丁寧な結びの言葉と署名という流れが基本です。
この構成に沿って、論理的かつ分かりやすい文章でメッセージを作成することで、OB/OGはあなたの意図を正確に理解し、スムーズに返信しやすくなります。特に、なぜその企業、なぜそのOB/OGに話を聞きたいのかという「OB訪問の目的」を具体的に伝えることが、相手に「会って話を聞かせたい」と思わせる重要なポイントです。単なる企業研究では得られない、社員の生の声を聞きたいという熱意を文章に込めましょう。
以下では、この基本構成に沿って、具体例を交えながら本文の書き方を詳しく解説していきます。提供された例文も参考にしつつ、あなた自身の言葉で、心を込めたメールを作成してください。
本文作成の基本構成
OB訪問依頼メールの本文は、以下の構成に沿って作成することで、相手に失礼なく、かつ要件を明確に伝えることができます。
- 件名: 「OB訪問のお願い(〇〇大学 〇〇学部 △△△△)」など、明確に。
- 宛名: 〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様(所属部署と役職が不明な場合は、〇〇株式会社 〇〇様)
- 挨拶と自己紹介:
- 「突然のご連絡失礼いたします。」といった丁寧な挨拶から始め、大学名・氏名・所属学部・学年を伝えます。
- 連絡先を知った経緯:
- 「大学のキャリアセンターのOB名簿で拝見いたしました」「〇〇様のご紹介でご連絡いたしました」など、どのように相手の連絡先を知ったのかを明確に伝えます。これにより、相手は安心してメールを読むことができます。
- OB訪問の目的:
- なぜOB訪問をしたいのか、具体的にどのようなことを聞きたいのかを簡潔に伝えます。ここが最も重要で、相手の興味を引くポイントとなります。企業への熱意と、社員の生の声を聞きたいという意欲を示しましょう。
- 日程の提案:
- 相手の都合を伺いつつ、「〇〇様のご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますでしょうか」と柔軟な姿勢を見せつつ、具体的な候補日や希望時間帯(例:平日18時以降、もしくは週末など)をいくつか提示すると、相手が返信しやすくなります。
- 結びの言葉:
- 相手への感謝の言葉と、返信をお願いする一文で締めくくります。「お忙しいところ大変恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。」など。
- 署名:
- 氏名、大学名・学部・学科、電話番号、メールアドレスを記載します。
この構成をテンプレートとして、あなたの言葉で内容を埋めていくことで、丁寧で効果的な依頼メールが完成します。
具体例から学ぶ本文の書き方
参考情報に示されたメール例文を基に、本文の具体的な書き方とポイントを解説します。
件名:OB訪問のお願い(〇〇大学 〇〇学部 △△△△)
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
突然のご連絡失礼いたします。
〇〇大学〇〇学部〇〇学科の△△△△と申します。
この度、〇〇様が〇〇(所属部署や役職など)でご活躍されていることを、〇〇(連絡先を知った経緯。例:大学のキャリアセンターのOB名簿、〇〇様のご紹介など)で拝見し、ぜひ〇〇様のお話を直接伺いたく、ご連絡いたしました。
私は現在、〇〇業界に強い関心を持っており、特に貴社の〇〇事業に魅力を感じております。
つきましては、〇〇様が現在担当されている業務内容や、〇〇業界の動向、貴社の社風についてなど、お話を伺わせていただけますでしょうか。
大変恐縮なのですが、〇〇様のご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますでしょうか。
(例:平日18時以降、もしくは週末など)
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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△△ △△△△(氏名)
〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 〇年
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:xxxx@xxxx.com
--------------------------------------------------
この例文のポイントは、以下の通りです。
- 連絡先を知った経緯の明確化: 「〇〇(大学のキャリアセンターのOB名簿、〇〇様のご紹介など)で拝見し」と具体的に書くことで、相手は安心して連絡を受け入れられます。
- OB訪問の目的の具体化: 「〇〇業界に強い関心」「特に貴社の〇〇事業に魅力を感じております」と、企業や業界への具体的な関心を示すことで、単なる情報収集ではなく、熱意が伝わります。
- 質問したい内容の提示: 「〇〇様が現在担当されている業務内容や、〇〇業界の動向、貴社の社風についてなど」と、聞きたいことを具体的に示すことで、相手は事前に話す内容をイメージしやすくなります。
- 相手への配慮: 「大変恐縮なのですが」「お忙しいところ大変恐縮ですが」といったクッション言葉を使うことで、丁寧な印象を与えます。
このテンプレートを参考に、あなたの言葉で、なぜその企業、そのOB/OGから話を聞きたいのかという具体的な理由を盛り込み、熱意を伝えましょう。
目的と日程調整のスマートな伝え方
OB訪問の依頼メールで最も重要な部分の一つが、「OB訪問の目的」を明確に伝えることです。漠然とした「話を聞きたい」だけでは、相手に会う意義が伝わりにくい可能性があります。
例文にもあるように、「私は現在、〇〇業界に強い関心を持っており、特に貴社の〇〇事業に魅力を感じております。」のように、なぜその企業に興味があるのか、そしてなぜそのOB/OGに話を聞きたいのかを具体的に述べましょう。そして、「〇〇様が現在担当されている業務内容や、〇〇業界の動向、貴社の社風についてなど、お話を伺わせていただけますでしょうか」のように、聞きたい内容を具体的に提示することで、相手も何を話せば良いかイメージしやすくなります。これにより、あなたの真剣さと、OB訪問を実りあるものにしたいという意欲が伝わります。
次に、日程調整のスマートな伝え方です。相手は多忙な社会人であることを考慮し、最大限の配慮を示しましょう。「大変恐縮なのですが、〇〇様のご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますでしょうか。」と、まず相手の都合を最優先する姿勢を見せることが重要です。その上で、「(例:平日18時以降、もしくは週末など)」のように、あなたの希望する大まかな時間帯や曜日を提示することで、相手が候補日を考えやすくなります。
具体的に3つ程度の候補日時を提示するのも良い方法です。例:「もし可能であれば、来週の〇月〇日(月)15時〜17時、〇月〇日(水)18時以降、または〇月〇日(土)午前中などはいかがでしょうか」のように、選択肢を具体的に示すと、相手の返信の負担を軽減できます。相手への配慮が伝わるメッセージを心がけましょう。
OB訪問の日程調整をスムーズに進めるコツ
OB訪問の依頼メールが無事に届き、返信があったら、次のステップは日程調整です。この段階でも、相手への配慮を忘れずに、スムーズなやり取りを心がけることが大切です。OB/OGは多忙なスケジュールの合間を縫って時間を割いてくれるため、できるだけ相手の負担を減らすように工夫しましょう。
日程調整が難航すると、せっかくの機会を逃してしまう可能性もあります。そのため、返信のスピードや、候補日の提示の仕方に工夫を凝らすことが重要です。また、現代では便利な日程調整ツールも多く存在するため、これらを活用することで、より効率的に調整を進めることができます。
このセクションでは、OB訪問の日程調整をスムーズに進めるための具体的なコツを3つの視点から解説します。これらのポイントを押さえることで、OB/OGとの良好な関係を築き、訪問を成功へと導きましょう。
複数候補の提示と相手への配慮
OB訪問の日程調整において、最も重要なのは相手の都合を最大限に尊重することです。多忙な社会人であるOB/OGに対して、あなたの都合だけを一方的に押し付けるのは避けましょう。
依頼メールの段階でも触れましたが、返信する際にも「ご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますでしょうか」と柔軟な姿勢を示すことが基本です。その上で、具体的な候補日時をいくつか提示すると、相手が選びやすくなります。例えば、「もし可能であれば、来週の〇月〇日(月)の15時〜17時、〇月〇日(水)の18時以降、または〇月〇日(土)の午前中などはいかがでしょうか」といった形で、曜日や時間帯の幅を持たせた候補日を3つ程度提示すると良いでしょう。
また、対面での訪問を希望するか、オンラインでの訪問も可能かといった選択肢を提示するのも、相手への配慮につながります。相手の会社が遠方にある場合や、自身のスケジュールがタイトな場合は、オンラインでの面談を提案することで、日程調整の幅が広がります。
「平日夜間であれば調整しやすいです」「土日も対応可能です」といった、あなたの柔軟な対応姿勢を伝える一文を添えることも有効です。相手に「この学生は自分のことを考えてくれているな」と感じてもらえるよう、常に感謝の気持ちと配慮を忘れないようにしましょう。
ツール活用で手間を省く
複数人のOB/OGと日程調整を行う場合や、候補日が多岐にわたる場合、メールでのやり取りだけでは手間がかかり、ミスが発生する可能性もあります。そのような時に活用したいのが、日程調整ツールです。
「調整さん」や「Doodle」などが代表的で、これらのツールを使えば、あなたの都合の良い日時を複数登録し、そのURLを相手に送るだけで、相手は自分の都合の良い時間にチェックを入れることができます。これにより、メールの往復回数を大幅に減らし、スムーズかつ確実に日程を確定させることが可能になります。
ツールを使用する際は、メール本文で「日程調整ツールをご利用いただけますと幸いです」と一言添え、ツールのURLを分かりやすく記載しましょう。また、候補日を登録する際には、OB/OGが選択しやすいように十分な幅を持たせることが大切です。例えば、午前、午後、夕方以降といった時間帯の区分けや、平日だけでなく週末の候補日も加えることで、相手の選択肢を増やすことができます。
ただし、相手がツールの利用に不慣れな場合も考慮し、ツールでの調整が難しい場合は、別途メールで調整する旨も伝えておくと、より丁寧な印象を与えられます。日程調整ツールを賢く活用し、お互いにとって負担の少ないやり取りを心がけましょう。
迅速な返信と確認の徹底
日程調整のプロセスにおいては、迅速な返信が非常に重要です。OB/OGは多忙な合間を縫ってあなたのメールに返信してくれています。連絡が遅れると、相手のスケジュールが先に埋まってしまったり、あなたの熱意が低いと受け取られたりする可能性もあります。
OB/OGからの返信があったら、24時間以内、できればその日のうちに返信するよう心がけましょう。たとえすぐに日程を確定できない場合でも、「ご連絡ありがとうございます。現在、日程を確認しておりますので、改めてご連絡いたします」といったように、一度返信しておくだけで、相手に安心感を与えることができます。
日程が確定した際は、必ず確認のメールを送りましょう。
その際には、以下の情報を明確に記載し、認識の相違がないかを最終確認します。
- 日時: 〇月〇日(〇)〇時〇分〜〇時〇分
- 場所: 〇〇(会社近くのカフェ、オンライン会議のURLなど)
- 目的: 〇〇様から〇〇についてお話を伺うため
- 持ち物: 筆記用具、メモ帳、質問リストなど
前日には、改めて訪問のお礼と、訪問日時をリマインドするメールを送ると、より丁寧な印象を与えられます。万が一、訪問をキャンセルしたり、日程変更が必要になったりした場合は、できるだけ早く、丁寧な言葉遣いで連絡し、相手に迷惑をかけないよう最大限の配慮をすることがマナーです。
OB訪問を依頼する際の注意点とマナー
OB訪問は、企業理解を深める貴重な機会であると同時に、あなた自身が企業にアピールできる場でもあります。そのため、依頼から訪問、そしてその後のフォローアップに至るまで、基本的なビジネスマナーを徹底することが非常に重要です。マナー違反は、あなたの印象を悪くするだけでなく、選考に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
社会人として活躍するOB/OGの方々は、多忙な時間を割いてあなたのために対応してくれます。その感謝の気持ちを忘れずに、常に敬意を持って接することが大切です。ここでは、OB訪問を依頼する際に特に注意すべき点と、訪問中に心がけるべきマナー、そして訪問後に行うべきフォローアップについて詳しく解説します。
これらのマナーを実践することで、OB/OGとの有意義な時間を過ごし、あなたの就職活動をより成功へと導くことができるでしょう。
基本的なビジネスマナーの徹底
OB訪問において、基本的なビジネスマナーの徹底は必須です。これは、あなたが社会人として通用する素養があるかどうかの判断基準にもなりえます。
- 言葉遣い:
- 常に丁寧語・敬語を使用し、フランクな言葉遣いは避けましょう。たとえ相手が「楽にしていいよ」と言ってくれても、最低限の敬意は示すべきです。
- 服装:
- 清潔感のある服装を心がけましょう。基本的にはスーツを着用するのが最も安全です。カジュアルな服装が許される場合でも、TPOをわきまえた清潔感のある服装を選ぶことが重要です。
- 時間の厳守:
- 集合時間の5~10分前には到着するように心がけましょう。遅刻は厳禁です。万が一遅れそうな場合は、判明した時点で速やかに連絡し、謝罪の意を伝えることが必要です。
- 持ち物:
- 筆記用具、メモ帳は必須です。スマートフォンでメモを取る際は、事前に相手に一言断りを入れるのがマナーです。また、OB訪問の目的をまとめた質問リストや、自身の履歴書・ESのコピーなど、必要に応じて持参すると良いでしょう。
これらの基本的なマナーは、社会人として当然のことです。これらを徹底することで、相手に好印象を与え、より有意義なOB訪問へとつなげることができます。
質問準備と時間の厳守
OB訪問を実りあるものにするためには、事前の質問準備が不可欠です。何も準備せずに行くと、話が途切れてしまったり、聞きたいことを聞きそびれたりする可能性があります。最も重要なのは、「調べればわかるような基本的な情報」ではなく、社員だからこそ聞ける具体的な内容に焦点を当てることです。
参考情報に示されている質問例を参考に、自分なりの質問リストを作成しましょう。
- 仕事内容について: 「入社してから今までどのような仕事を経験しましたか?」「仕事のやりがいや、大変だと感じる点は何ですか?」
- 社風・企業文化について: 「職場の雰囲気や、社員同士のコミュニケーションはどのような感じですか?」「年次に関係なく意見を言いやすい雰囲気はありますか?」
- キャリアプラン・働き方について: 「入社後のキャリアパスについて、どのような可能性がありますか?」「研修制度や、スキルアップの機会について教えてください。」
- 就職活動について: 「〇〇さんが就職活動をされていた頃、どのような軸で企業を選んでいましたか?」「面接でよく聞かれた質問や、SPI対策についてアドバイスをいただけますか?」
これらの質問を事前に整理し、優先順位をつけておくことで、限られた時間の中で効率的に情報を引き出すことができます。
また、訪問中は時間の厳守も重要です。OB/OGはあなたのための時間を事前に確保してくれています。予定された時間を大幅に超過して引き止めることのないよう、常に時計を意識し、時間配分を心がけましょう。終わりが近づいたら、「そろそろお時間になりますが、最後に一つだけ質問させていただけますでしょうか」などと声をかけ、スマートに切り上げる配慮も必要です。
訪問後のお礼とフォローアップ
OB訪問が終わったら、それで終わりではありません。最も重要な「締め」として、必ずお礼のメールを送りましょう。これは、相手への感謝の気持ちを伝えるとともに、社会人としてのマナーを示す大切な機会です。
お礼メールは、OB訪問を終えてから24時間以内に送るのが理想です。遅くとも翌日までには送るように心がけましょう。メールの内容は、単に「ありがとうございました」と伝えるだけでなく、訪問で得た学びや、特に印象に残ったこと、今後の就職活動にどう活かしていきたいかなどを具体的に添えると、より丁寧で心に残る印象を与えられます。
例えば、「〇〇様から伺った、△△というお話が特に印象的でした。貴社の〇〇に対する情熱がよく理解でき、私の志望度がより一層高まりました。」といった具体的な感想を述べることで、OB/OGも「自分の話が役に立った」と感じ、喜んでくれるでしょう。例文を参考に、あなたの言葉で感謝の気持ちを伝えましょう。
件名:OB訪問のお礼(〇〇大学 〇〇学部 △△△△)
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
本日(〇月〇日)は、お忙しいところ貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
〇〇大学〇〇学部〇〇学科の△△△△でございます。
〇〇様から伺った〇〇(具体的な話の内容や学び)についてのお話は、私にとって大変貴重な情報でした。
特に、〇〇のお話では、貴社の〇〇に対する姿勢に強く共感し、私も将来、〇〇様のように社会に貢献できる人材になりたいと強く感じました。
今回のOB訪問で得た学びを活かし、今後の就職活動に一層励んでまいります。
末筆ではございますが、〇〇様のご健勝と、貴社の一層のご発展を心よりお祈り申し上げます。
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△△ △△△△(氏名)
〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 〇年
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:xxxx@xxxx.com
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このような丁寧なフォローアップは、OB/OGとの良好な関係を築き、将来的に思わぬ縁につながる可能性もあります。最後まで気を抜かず、感謝の気持ちを忘れずに対応しましょう。
まとめ
よくある質問
Q: OB訪問で「つてがない」場合、どうやってOBの方に繋いでもらえますか?
A: 大学のキャリアセンターやOB・OG名簿を活用したり、SNSで共通の知人を探したりする方法があります。また、イベントや説明会で出会った方に相談してみるのも有効です。
Q: OB訪問の依頼メールの件名はどのように工夫すれば良いですか?
A: 「【〇〇大学】OB訪問のお願い(氏名)」のように、大学名と氏名を明記し、一目で内容がわかるようにすることが重要です。簡潔かつ具体的に、興味を引くような一言を添えるのも効果的です。
Q: OB訪問の日程調整で、相手から日程を提示された場合、どのように返信すべきですか?
A: 提示された日程で都合がつく場合は、速やかに承諾の返信をしましょう。もし都合がつかない場合は、代替候補日をいくつか提示し、相手の都合を伺う丁寧なメールを送りましょう。
Q: OB訪問を依頼する際、相手に何日後くらいに日程調整を依頼するのが適切ですか?
A: 基本的には、依頼メールを送ってから1週間〜10日後くらいを目安に日程調整の連絡をするのが一般的です。相手の都合を最優先に考える姿勢が大切です。
Q: OB訪問で、自分と違う大学や学部の方に依頼することは可能ですか?
A: はい、可能です。ただし、依頼の際は、なぜその方やその大学・学部に興味を持ったのか、具体的な理由を明確に伝えることが重要です。異業種・異大学でも、学びたい点があれば積極的にアプローチしてみましょう。