副業に関心があるけれど、「一体どこまで許されるの?」と疑問に感じていませんか?特に会社員や公務員の場合、副業で得られる収入には上限があったり、そもそも許可が必要だったりするケースがほとんどです。

本記事では、副業の収入上限がいくらなのか、会社員と公務員それぞれで「どこまでOK」とされているのかを徹底解説します。リスクを避けて賢く副業に取り組むためのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

副業禁止の基本ルール:なぜ収入制限があるの?

副業が禁止されたり、収入に制限が設けられたりする背景には、いくつかの重要な理由があります。

副業が制限される主な理由

副業が制限される主な理由として、まず本業への支障が挙げられます。労働時間が増えることで、疲労が蓄積し、本業のパフォーマンスが低下する可能性があります。また、企業秘密の漏洩リスクや、競合する業務を行うことによる競業避止義務違反も懸念されます。

さらに、会社の信用を損なうような活動を防ぐ目的や、公務員の場合は後述する「信用失墜行為の禁止」や「職務専念の義務」といった、より厳しい規定が存在します。これらの理由は、就業規則や公務員法に明文化されていることが多いでしょう。

会社員と公務員で異なる背景

会社員の場合、副業に関するルールは勤め先の就業規則に準じます。民法上の「忠実義務」に基づき、会社に不利益を与える行為は慎むべきとされていますが、近年は副業を許可する企業も増えています。実際、企業勤めで副業が許可されている人の割合は37.4%に上ります。

一方、公務員は「公共の利益」を損なわないよう、国家公務員法や地方公務員法により厳しく規制されています。より高い倫理観と職務専念が求められるため、会社員よりも副業のハードルが高いのが現状です。

知っておくべき「信用失墜行為」と「職務専念義務」

公務員にとって特に重要なのが、「信用失墜行為の禁止」「職務専念の義務」です。副業によって公務員としての信用を傷つけたり、本業の職務に支障をきたしたりする行為は厳しく禁止されています。例えば、営利企業での役員や自営業は原則として認められていません。

また、職務専念義務は会社員にも一般的に適用される考え方で、副業が原因で本業がおろそかになることは避けなければなりません。守秘義務についても同様で、職務上知り得た情報を副業で利用することは許されません。

会社員の場合:副業収入「20万円」の壁を理解しよう

会社員が副業をする際に、しばしば耳にするのが「20万円の壁」という言葉です。しかし、このルールには注意が必要です。

所得税における「20万円の壁」とは?

会社員が副業で得た所得(収入から経費を差し引いた額)が年間20万円以下の場合、原則として所得税の確定申告が不要とされています。これが「20万円の壁」の基本的な考え方です。

ただし、これは所得税に関する特例であり、住民税には適用されません。また、ふるさと納税の控除や医療費控除など、年末調整ではできない控除を受けたい場合は、副業所得が20万円以下であっても確定申告が必要になります。

住民税と社会保険の落とし穴

副業所得が1円でもある場合、住民税の申告は別途必要です。確定申告をする際、副業所得にかかる住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択しないと、会社に住民税額の違いが通知され、副業が発覚するリスクがあります。

さらに、副業の収入が一定額(年収106万円以上など)を超えると、社会保険の加入条件に該当し、本業とは別に社会保険料が発生したり、本業の社会保険料に影響を与えたりする可能性もあります。この点も十分に注意が必要です。

会社員のリアルな副業収入事情

実際に副業をしている会社員の収入はどのくらいなのでしょうか。アンケート調査によると、約63%が月1万円未満の収入を得ており、月5万円以上の収入を得ているのは約19%にとどまっています。

このデータから、多くの会社員が小遣い稼ぎやスキルアップを目的に副業に取り組んでいることが伺えます。大きな収入を得ることは容易ではない一方で、着実に収入を得ている人も一定数存在すると言えるでしょう。

公務員の場合:副業のハードルは会社員より高い?

公務員の副業は、会社員よりも厳しい法規制がありますが、近年では緩和の動きも見られます。

公務員の副業を律する法律と原則

公務員の副業は、国家公務員法および地方公務員法によって厳しく制限されています。前述の「信用失墜行為の禁止」「職務専念の義務」「守秘義務」の3原則が根幹にあり、これらに反する営利目的の副業や、本業に支障をきたす活動は原則として認められていません。

そのため、営利企業での役員就任や自営業などは原則禁止とされており、副業を行う際には所属長の許可を得る必要があります。公務員の職務の公共性と公正性を守るための重要な規定です。

近年変化する公務員の副業事情

これまで厳格だった公務員の副業規制ですが、近年、国全体で副業・兼業を促進する動きを受け、変化の兆しが見られます。公務員で副業が「許可されている」と回答した割合は15.7%と低いものの、兼業を希望する国家公務員の割合は32.9%に上るというデータもあります。

2025年6月には総務省が全国の自治体に対し、副業規制を大幅に緩和するよう通知を出したとの情報もあり、今後は公務員の副業の選択肢がさらに広がる可能性があります。特に地域貢献型の副業などが注目されています。

公務員に認められやすい副業の種類

規制が厳しい公務員でも、条件を満たせば認められやすい副業があります。

  • 小規模な不動産投資: 賃貸収入が年間500万円未満など、一定の条件を満たす場合は許可が不要とされることがあります。
  • 小規模農業: 自給目的で、営利を主な目的としない場合は認められることがあります。
  • 家業の手伝い: 無報酬であれば認められる場合がありますが、報酬を得る場合は許可が必要です。
  • ポイント活動(ポイ活): ポイントサイトなどを利用したポイ活は、公務員法に抵触せず、気軽に始められる副業として認められやすい傾向にあります。

これらの副業であっても、本業に支障をきたさないこと、公務員としての信用を損なわないことが大前提となります。

「バレる」リスクを避けるための注意点

副業が会社や組織にバレてしまうと、トラブルに発展する可能性があります。リスクを避けるための具体的な注意点を見ていきましょう。

住民税からの発覚を避けるには

副業がバレる最も多い原因の一つが、住民税です。会社員の場合、通常は給与から住民税が天引きされる「特別徴収」が行われます。副業による所得があると、住民税の総額が増え、会社の経理担当者が「給与所得以外の収入がある」と気づくことがあります。

これを避けるためには、確定申告をする際、副業所得にかかる住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択するようにしてください。これにより、副業分の住民税は自宅に納付書が届き、会社に知られることなく自分で納税することができます。

SNSなどからの情報漏洩に注意

インターネットが普及した現代では、SNSからの情報漏洩も大きなリスクです。副業の内容を安易にSNSで発信したり、実名や個人が特定できる情報を公開したりするのは絶対に避けるべきです。

匿名アカウントであっても、投稿内容や写真などから個人が特定されるリスクは常に存在します。また、友人や知人との会話から、思わぬ形で情報が漏れる可能性も考慮し、慎重な行動を心がけましょう。

トラブルを未然に防ぐコミュニケーション

副業によるトラブルを未然に防ぐためには、会社との適切なコミュニケーションが重要です。まずは会社の就業規則を熟読し、副業に関する規定を正確に理解しましょう。

可能であれば、副業を始める前に上司や人事部に相談し、許可を得るのが最も安全な方法です。本業に支障が出ないよう自己管理を徹底し、会社との信頼関係を損なわないよう努めることが、長期的に副業を続ける上で不可欠です。

副業収入の上限を超えたらどうなる?

副業で収入が増えるのは喜ばしいことですが、ルールを超過するとペナルティの対象となることがあります。

確定申告の義務と税金の影響

会社員の副業所得が年間20万円を超えた場合、所得税の確定申告が必須となります。これを怠ると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課せられる可能性があります。また、所得が増えれば、所得税や住民税の負担も増えるため、計画的な納税意識が不可欠です。

所得税だけでなく、副業の所得によっては社会保険料の負担が増える可能性もあります。副業で得た収入は、単なる手取りではなく、税金や社会保険料を考慮した上で管理することが重要です。

会社や組織からの処分リスク

会社の就業規則で副業が禁止されているにもかかわらず、隠れて副業を行い、それが発覚した場合は、減給、停職、最悪の場合は解雇といった懲戒処分を受ける可能性があります。これは民法上の「忠実義務」違反にあたるためです。

公務員の場合は、懲戒処分や行政処分に加え、公務員としての信用失墜行為とみなされ、キャリアに大きな影響を及ぼすこともあります。いずれの場合も、信頼関係の喪失は避けられないでしょう。

バレてしまった場合の適切な対処法

もし副業が会社や組織にバレてしまった場合、隠したり嘘をついたりするのは逆効果です。まずは事実を隠さず、正直に状況を説明し、誠実な対応を心がけることが最も重要です。

今後の改善策や、必要に応じて副業内容の見直し、あるいは副業の中止などを検討し、真摯な姿勢を示すことが求められます。場合によっては、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることも有効な対処法となるでしょう。