1. 知っておきたい!確定申告で経費にできるもの・できないもの
    1. 経費の基本原則と事業関連性
    2. パソコンの購入費用を賢く経費計上する方法
    3. 経費率の目安と税務調査への備え
  2. ペット関連の出費は? 医療費やボランティア費用の確定申告
    1. 原則として経費にできないペット関連費用
    2. 例外的に経費となるペット関連費用の条件
    3. ボランティア活動や災害支援と確定申告
  3. ポイ活で貯まったポイント、確定申告はどうする?
    1. ポイ活による所得の税務上の扱い
    2. 確定申告が必要なポイ活のケース
    3. ポイ活にかかった費用を経費計上するポイント
  4. 確定申告の別表・B表とは? プラスで払う場合と還付金
    1. 確定申告書の基礎知識とA表・B表の違い
    2. 税金をプラスで支払う「納税」のしくみ
    3. 払いすぎた税金が戻る「還付金」のしくみ
  5. 確定申告をスムーズに進めるためのパソコン活用術
    1. e-Taxで申告を効率化!スマホでも手軽に
    2. 会計ソフトと表計算ソフトで経費管理を徹底
    3. 必要書類のデータ化とクラウド保存で紛失防止
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 確定申告でパソコンは経費になりますか?
    2. Q: ピル代やペットの医療費は確定申告で経費にできますか?
    3. Q: プレゼント代や募金は確定申告でどのように扱われますか?
    4. Q: ポイ活で貯まったポイントは確定申告の対象になりますか?
    5. Q: 確定申告でプラスで払う場合、還付金はいつ頃もらえますか?

知っておきたい!確定申告で経費にできるもの・できないもの

経費の基本原則と事業関連性

確定申告において「経費」として認められるのは、事業活動を行うために必要不可欠な支出のみです。個人的な支出と事業上の支出を明確に区別することが、正確な申告の基本となります。

例えば、事業で使う文房具や消耗品、顧客との打ち合わせのための交通費、事業用の通信費などは、事業に直接関連するため経費として認められます。これらの支出は、事業の売上を得るために必要だったと説明できるものです。

一方で、プライベートな食費や娯楽費、個人的な趣味のための購入品などは、事業との関連性が薄いため原則として経費にはできません。税務署は、その支出が本当に事業に必要だったのかどうかを厳しくチェックします。

したがって、領収書やレシートを保管する際には、何のために、どこで、いくら使ったのかを具体的にメモしておくと良いでしょう。これにより、後から事業関連性を証明しやすくなります。

パソコンの購入費用を賢く経費計上する方法

個人事業主や法人が事業用に購入したパソコンは、その購入金額によって経費計上の方法が異なります。購入金額が少ないほど、一度に経費にできる可能性が高まります。

  • 10万円未満のパソコン: 「消耗品費」として一括で経費計上できます。
  • 10万円以上20万円未満のパソコン: 「消耗品費」として一括計上、または「一括償却資産」や「少額減価償却資産の特例(青色申告者のみ)」として処理が可能です。
  • 20万円以上30万円未満のパソコン: 「減価償却」または「少額減価償却資産の特例(青色申告者のみ)」で経費計上できます。
  • 30万円以上のパソコン: 法定耐用年数(通常4年)にわたって「減価償却」として経費計上します。

中古パソコンの場合も経費計上は可能ですが、耐用年数の計算方法が新品とは異なります。「法定耐用年数×0.2年」で算出され、最低1年の耐用年数が設定されます。また、事業とプライベートでパソコンを兼用している場合、業務で利用した割合に応じて家賃や光熱費の一部を経費に含める「家事按分」も適用できます。

経費率の目安と税務調査への備え

売上に対する経費の割合を「経費率」と呼び、この数字は節税対策と税務調査のリスク軽減において重要な指標となります。自身の業種の平均的な経費率を把握しておくことが大切です。

一般的には、売上に対して50%~60%程度の経費率が目安とされていますが、業種によってその割合は大きく変動します。例えば、参考情報によると、卸売業では90%、小売業や飲食料品の譲渡に係る林業・農業・漁業では80%と高めの傾向にあります。

一方で、不動産業は40%、サービス業や金融・保険業は50%程度が目安とされています。自身の業種の目安を把握し、大幅にかけ離れた経費率にならないよう注意が必要です。

不自然に高い経費率は、税務調査の対象となる可能性を高めるため、日頃から証拠書類をしっかりと保管し、事業との関連性を明確に説明できるように準備しておくことが大切です。

ペット関連の出費は? 医療費やボランティア費用の確定申告

原則として経費にできないペット関連費用

残念ながら、個人的に飼育しているペットにかかる費用は、原則として事業の経費として認められません。これは、ペットの飼育が事業主の個人的な「愛玩目的」と判断されるためです。

例えば、普段の餌代やおやつ代、定期的なトリミング費用、病気の際の動物病院の治療費などは、一般的には個人的な支出とみなされます。これらの費用は、家計から支出されるものであり、事業活動とは直接関係がないと見なされることが多いです。

ペットを家族の一員として大切にしている方にとって、これらの出費が家計に与える影響は小さくありませんが、確定申告で経費として認められるためには、「事業との明確な関連性」を証明できるかどうかが鍵となります。

もし、事業に活用していると思われる支出がある場合は、その事業関連性を明確に説明できるよう、記録や証拠を残しておく必要があります。

例外的に経費となるペット関連費用の条件

特定の条件下では、ペット関連費用も経費として認められることがあります。事業内容やペットの役割が明確であれば、経費計上の可能性が出てきます。

最もわかりやすいのが、ブリーダー、ペットショップ、ドッグカフェなど、ペットを直接扱う事業の場合です。これらの事業では、ペット自体が「商品」や「サービス」の一部となるため、購入費用や飼育費用が事業経費となります。

また、ペットが会社のウェブサイトやSNSなどで「広告塔」として宣伝に活用され、直接的な売上に貢献していると証明できる場合も経費計上が可能です。例えば、商品モデルとして活躍するペットの衣装代や撮影費用などがこれに該当します。

さらに、受付に置かれた熱帯魚や、セキュリティ目的の番犬など、事業に明確な役割を担っている場合も例外的に認められます。このような場合、ペットの購入費用は「備品」として計上し、耐用年数(犬猫は8年)に応じて減価償却を行います。餌代やおやつ代、ペットシート代は「消耗品費」、動物病院の治療費は「雑費」として計上できます。

ボランティア活動や災害支援と確定申告

ペット関連のボランティア活動や災害支援への寄付金は、一定の要件を満たせば「寄付金控除」の対象となる場合があります。これは、税金の優遇措置であり、経費とは異なる制度です。

例えば、認定NPO法人や公益社団法人など、特定の団体への寄付は控除の対象となります。寄付金控除には、所得税額から直接控除される「税額控除」と、所得金額から控除される「所得控除」の2種類があり、どちらか有利な方を選択できます。これにより、税負担を軽減することが可能です。

ただし、個人的な動物保護活動にかかる費用や、特定の団体に属さないボランティア活動の費用は、原則として経費にも寄付金控除にもなりません。寄付金控除を受けるためには、寄付先の団体が要件を満たしていることが不可欠です。

領収書や寄付先の証明書を必ず保管し、確定申告時に添付書類として提出できるよう準備しておくことが重要です。自分の活動や寄付が控除の対象となるか不明な場合は、税務署や税理士に相談してみましょう。

ポイ活で貯まったポイント、確定申告はどうする?

ポイ活による所得の税務上の扱い

最近人気の「ポイ活」で貯まったポイントは、現金化したり、現金同等物として利用したりした場合、原則として「雑所得」として所得税の課税対象となります。

雑所得とは、給与所得や事業所得、不動産所得など、他の9種類の所得に該当しない所得の総称です。ポイントの獲得方法によって税務上の扱いが異なる場合もありますが、一般的には、商品の購入やサービスの利用によって得たポイント(付随的なもの)は一時所得となることもありますが、それ以外で継続的に現金同等のポイントを得ている場合は雑所得とされることが多いです。

課税対象となるのは、ポイントが付与された時点ではなく、現金化や現金同等物として利用した時点での価値で計算されます。つまり、ポイントを使って買い物をしたり、電子マネーに交換したりした場合に、その価値が所得とみなされるということです。

したがって、多額のポイントを得ている場合は、その総額を把握しておくことが重要です。

確定申告が必要なポイ活のケース

ポイ活で得た所得が課税対象となる場合、確定申告が必要かどうかは、他の所得の状況によって異なります。特に副業を行っている方や給与所得者の方は注意が必要です。

給与所得者の場合、ポイ活を含む雑所得の合計額が年間20万円を超える場合には確定申告が必要です。また、給与所得がある方で、一時所得が年間50万円を超える場合も申告が必要となります。

給与所得がない場合(例えば専業主婦や年金受給者など)は、ポイ活を含む雑所得が年間48万円を超える場合に確定申告が必要です。この48万円は基礎控除額に相当し、所得がこれ以下であれば税金はかかりません。

複数のポイ活サイトを利用している場合は、それぞれのサイトから得たポイントの合計額で判断します。申告を怠ると、延滞税や加算税といったペナルティが課される可能性があるので、注意が必要です。

ポイ活にかかった費用を経費計上するポイント

ポイ活で得た所得は課税対象となりますが、そのためにかかった費用があれば、一定の条件を満たせば経費として控除できる場合があります。これにより、課税される所得額を減らすことができます。

例えば、ポイ活のために利用したインターネット回線の使用料、ポイントサイトを閲覧・操作するために購入したパソコンやスマートフォンの購入代金、情報収集のための書籍代、筆記用具代などが該当し得ます。これらは、ポイ活という活動に必要な費用として認められる可能性があります。

特に個人事業主の場合、ポイ活に要した時間分の家賃や光熱費なども、家事按分を適用して経費として認められることがあります。重要なのは、その支出がポイ活という「事業活動」に直接的に関連していると証明できるかどうかです。

領収書や利用明細をしっかりと保管し、記録を残しておくことが求められます。これら経費を差し引くことで、課税対象となる所得額を減らし、納税額を抑えることが可能になります。

確定申告の別表・B表とは? プラスで払う場合と還付金

確定申告書の基礎知識とA表・B表の違い

確定申告書には、以前は「申告書A」と「申告書B」の2種類がありました。しかし、平成30年分の申告からこの2種類が統合され、現在は「申告書(第一表・第二表)」という一つの様式に変わっています

旧申告書Aは、主に給与所得者や公的年金受給者、一時所得者など、所得の種類が限定的で比較的シンプルな申告を行う人が使用していました。一方、旧申告書Bは、事業所得や不動産所得がある個人事業主、複数の所得がある人など、所得の種類や計算が複雑な人が使用するもので、税金に関するあらゆる所得に対応していました。

現在の「申告書(第一表・第二表)」は、旧申告書Bの機能を引き継いでおり、全ての所得者が使用可能です。したがって、現在「申告書A」や「申告書B」という形式の書類は存在しません。

「別表」という言葉は、主に法人税申告書において使用される書類の総称であり、所得税の確定申告とは直接的な関係はありませんので、混同しないよう注意が必要です。

税金をプラスで支払う「納税」のしくみ

確定申告によって算出された最終的な納税額が、既に源泉徴収などで納めている税額よりも多い場合、追加で税金を支払う必要があります。これを「追納(ついなう)」と呼びます。

追納が発生する主なケースとしては、個人事業主で事業所得が多く、予定納税額が不足していた場合や、副業で得た所得が20万円を超え、源泉徴収されていない場合などが挙げられます。また、医療費控除などの適用により税額が減ることを想定していたが、控除額が予想よりも少なかった場合にも追納が発生することがあります。

追納は、確定申告書の提出期限(通常3月15日)までに、銀行振込やコンビニエンスストアでの納付、e-Taxでのダイレクト納付など、様々な方法で支払うことができます。

期限を過ぎると、延滞税が課せられる可能性がありますので、必ず期限内に納付を済ませましょう。納付を忘れてしまうと、本来支払うべき税金に加えて、さらに税金が増えてしまうことになります。

払いすぎた税金が戻る「還付金」のしくみ

確定申告を行うことで、既に納めた税金が払いすぎであったと判明した場合、その差額が返還されます。これが「還付金」です。還付金は、多くの場合、国民にとって嬉しいサプライズとなります。

還付金が発生する典型的なケースは、年末調整で控除しきれなかった医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除を適用する場合、または年の途中で退職し、再就職しなかったため源泉徴収された税金が多すぎた場合などです。

例えば、多額の医療費を支払った場合や、ふるさと納税を行った場合は、確定申告をすることで還付金を受け取れる可能性が高まります。これらの控除は、所得税額を軽減するための重要な制度です。

還付申告は、通常の確定申告期間外でも、対象となる年の翌年1月1日から5年間遡って行うことができます。還付金は、確定申告書に記載した金融機関の口座に振り込まれる形で戻ってきます。手続きから振り込みまでには通常1ヶ月~1ヶ月半程度かかります。

確定申告をスムーズに進めるためのパソコン活用術

e-Taxで申告を効率化!スマホでも手軽に

確定申告を効率的に進める上で、パソコンは非常に強力なツールとなります。特にe-Tax(国税電子申告・納税システム)の活用は、申告作業を大幅にスムーズにします

e-Taxを利用すれば、税務署に出向く必要がなく、自宅やオフィスから24時間いつでも申告書を提出できます。申告書の作成も、画面の指示に従って入力していくだけで自動的に計算されるため、計算ミスを防ぎやすくなります。これは、手書きでの申告に比べて圧倒的なメリットです。

マイナンバーカードとICカードリーダー、またはマイナンバーカード対応のスマートフォンがあれば、さらに手軽に申告が可能です。近年では、スマホアプリから手軽に申告できるようになり、利便性が飛躍的に向上しています。

また、e-Taxで申告すると、医療費通知情報や特定口座年間取引報告書などのデータを自動で取り込むことができ、入力の手間を省ける点も大きな魅力です。

会計ソフトと表計算ソフトで経費管理を徹底

日々の経費管理を徹底することが、確定申告をスムーズに進めるための第一歩です。この点でも、パソコンを活用した会計ソフトや表計算ソフトが役立ちます。

会計ソフト(例:弥生会計、freee、マネーフォワードクラウド会計など)を導入すれば、銀行口座やクレジットカードと連携して取引データを自動で取り込み、仕訳を効率化できます。これにより、簿記の知識が少なくても、簡単に帳簿を作成することが可能です。勘定科目の自動推測機能なども、経理業務の負担を大きく軽減します。

もし会計ソフトの導入が難しい場合でも、Excelなどの表計算ソフトを使って、日付、項目、金額、内容などを記録する簡易的な家計簿や経費帳を作成するだけでも大きく違います。定期的にデータを入力し、レシートや領収書と照合することで、記帳漏れや紛失を防ぎ、確定申告の時期に慌てることなく作業を進められます。

必要書類のデータ化とクラウド保存で紛失防止

確定申告に必要な書類は多岐にわたります。領収書、レシート、源泉徴収票、各種控除証明書など、これらの書類を適切に管理することが重要です。

パソコンを活用し、スキャナーやスマートフォンのカメラで書類をデータ化し、クラウドストレージ(Google Drive, Dropbox, OneDriveなど)に保存することをお勧めします。これにより、物理的な書類を紛失するリスクを減らせるだけでなく、必要な書類をいつでもどこでも閲覧・管理できるようになります。

また、税務調査があった際にも、迅速に証拠書類を提示できるというメリットもあります。ただし、電子帳簿保存法に対応するためには、一定の要件を満たす必要があります。全ての書類をデータ化するだけでなく、重要な書類は原本も一定期間保管しておくようにしましょう。

データのバックアップを定期的に取ることも忘れずに行い、万が一の事態(パソコンの故障など)に備えましょう。データ化とクラウド保存は、確定申告の準備を格段に楽にする現代的な管理術です。