1. 確定申告とは?基本を理解しよう
    1. 2024年確定申告の期間と税制改正の概要
    2. 確定申告が必要な人は?対象者と提出方法
    3. 確定申告の流れと必要な書類
  2. 確定申告で活用できる!特別税額控除を徹底解説
    1. 医療費控除を賢く活用!対象と計算方法
    2. 青色申告特別控除で節税!控除額と要件
    3. 住宅ローン控除で住まいを有利に!2024年の変更点
  3. NISA、投資信託、配当金…投資に関する確定申告
    1. NISA・つみたてNISAの税金と確定申告の有無
    2. 特定口座・一般口座における株式・投資信託の確定申告
    3. 配当所得の確定申告:総合課税と申告分離課税
  4. 扶養控除、配偶者控除…家族関係における確定申告
    1. 扶養控除の基本と2024年の変更点
    2. 配偶者控除・配偶者特別控除の条件と注意点
    3. 寡婦控除・ひとり親控除の対象とメリット
  5. ふるさと納税、保険料控除、医療費控除…知っておきたい確定申告のポイント
    1. ふるさと納税の仕組みと2024年の定額減税の影響
    2. 生命保険料控除・地震保険料控除で税負担を軽減
    3. 医療費控除以外の節税策:セルフメディケーション税制と寄付金控除
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 確定申告とは具体的にどのような手続きですか?
    2. Q: 特別税額控除とは何ですか?どのような場合に利用できますか?
    3. Q: NISAやつみたてNISAを利用している場合、確定申告は必要ですか?
    4. Q: 配偶者控除と配偶者特別控除の違いは何ですか?
    5. Q: ふるさと納税をした場合、確定申告でどのように申告すれば良いですか?

確定申告とは?基本を理解しよう

2024年確定申告の期間と税制改正の概要

2024年(令和6年)分の所得税確定申告は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)までが受付期間です。還付申告の場合は、この期間を待たずに申告を開始できます。特に今年は、国民の税負担軽減を目的とした大きな税制改正が確定申告に影響を与えます。

最も注目すべきは、所得税・個人住民税の定額減税です。これは年間の所得合計額が1,805万円以下の居住者を対象に、所得税および個人住民税の所得割額から一定額が直接控除される制度です。算出された税額から差し引かれるため、納税額が少ない人ほど直接的な恩恵を感じやすいでしょう。

また、確定申告書の様式も一部変更されます。具体的には、確定申告書第二表の「配偶者や親族」「住民税」欄の書式が見直されるほか、収支内訳書にはインボイス登録番号を記入する欄、青色申告決算書には売上金額・仕入金額の明細欄がそれぞれ新設されます。このほか、国外居住親族に係る扶養控除の要件が厳格化されたり、特定配当等・特定株式等譲渡所得の申告手続きが変更されたりといった点も留意が必要です。税務署の収受印が廃止されるため、電子申告(e-Tax)への移行が一層推奨されています。

確定申告が必要な人は?対象者と提出方法

確定申告は、すべての人が毎年必ず行うものではありませんが、特定の条件に当てはまる場合は必須となります。主な対象者は、会社に勤めていても年収2,000万円を超える人や、複数の会社から給与を受け取っている人です。また、フリーランスや個人事業主として事業所得がある人、副業の所得が20万円を超えた会社員も確定申告が必要です。

さらに、不動産の賃貸収入がある人や、株式などの譲渡所得や配当所得がある人も申告が必要な場合があります。年の途中で退職し年末調整を受けていない人や、住宅ローン控除を初めて受ける人、医療費控除や寄付金控除などにより還付を受けたい人も、積極的に確定申告を行いましょう。

申告方法は、税務署に直接持参する方法、郵送する方法、そしてe-Tax(電子申告)を利用する方法があります。e-Taxは、自宅やオフィスからインターネットを通じて申告できるため、税務署に行く手間が省け、添付書類の一部を省略できるメリットがあります。また、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も求められる中、電子的な手続きは今後ますます主流になるでしょう。

確定申告の流れと必要な書類

確定申告をスムーズに進めるためには、事前に流れを把握し、必要な書類を漏れなく準備することが重要です。基本的な流れは以下の通りです。

  1. 書類の収集:源泉徴収票、控除証明書、医療費の領収書など、確定申告に必要な各種書類を集めます。
  2. 所得金額・税額の計算:集めた書類をもとに、所得金額や所得税額を計算します。国税庁の確定申告書作成コーナーを利用すると便利です。
  3. 確定申告書の作成:計算した金額を確定申告書に記入します。e-Taxを利用する場合は、オンラインで直接入力できます。
  4. 提出:作成した確定申告書を税務署に提出します。
  5. 納税または還付:納税が必要な場合は期日までに納付し、還付がある場合は指定口座に振り込まれます。

特に重要な書類としては、会社員であれば「源泉徴収票」、医療費控除を受けるなら「医療費控除の明細書」、生命保険料控除や地震保険料控除を受けるなら「控除証明書」、住宅ローン控除を受けるなら「住宅借入金等特別控除証明書」などがあります。これらの書類は、年明けには手元に届くものが多いので、早めに確認し、紛失しないように保管しておきましょう。また、e-Taxを利用する場合でも、領収書などは5年間保管が義務付けられています。

確定申告で活用できる!特別税額控除を徹底解説

医療費控除を賢く活用!対象と計算方法

医療費控除は、自分自身や生計を一にする親族のために1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得金額から差し引かれる所得控除です。年末調整では対象外となるため、会社員の方でも医療費控除を適用するには確定申告が必要です。風邪薬の購入費や通院のための交通費なども対象になる場合があり、領収書を保管しておくことが重要です。

控除額の計算方法は、年間の総所得金額によって異なります。

  • 年間の総所得金額が200万円以上の場合:支払った医療費から10万円を差し引いた金額(上限200万円)
  • 年間の総所得金額が200万円未満の場合:支払った医療費から総所得金額の5%を差し引いた金額(上限200万円)

ただし、生命保険や健康保険などで補てんされる金額(入院給付金、高額療養費など)がある場合は、その金額を支払った医療費から差し引いて計算する必要があります。医療費控除の適用を受けるには、「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付する必要があります。領収書は原則提出不要ですが、税務署から提示を求められる場合があるため、5年間は大切に保管しておきましょう。還付申告の場合は、翌年1月1日から5年間遡って申告が可能です。

青色申告特別控除で節税!控除額と要件

青色申告特別控除は、事業所得や不動産所得がある個人事業主が青色申告を行う場合に、所得金額から一定額を差し引ける制度です。白色申告に比べて複雑な記帳が必要になりますが、その分大きな節税効果が期待できます。控除額は記帳方法や申告方法によって異なり、最大65万円の控除が可能です。

具体的な控除額と要件は以下の通りです。

  • 65万円控除:事業所得または不動産所得があり、複式簿記での記帳、貸借対照表・損益計算書の添付、e-Taxまたは優良な電子帳簿保存を行うなどの要件を満たす場合。この控除額は、個人事業主にとって最も大きなメリットの一つです。
  • 55万円控除:上記の65万円控除の要件のうち、e-Tax利用や電子帳簿保存以外の要件(複式簿記での記帳、貸借対照表・損益計算書の添付)を満たす場合。
  • 10万円控除簡易な帳簿での記帳、損益計算書の添付などの要件を満たす場合。山林所得のみの場合や、事業的規模ではない不動産所得のみの場合もこの控除額が適用されます。

青色申告の承認を受けるためには、原則としてその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。事業を開始したばかりの場合は、開業日から2ヶ月以内に申請が必要です。

住宅ローン控除で住まいを有利に!2024年の変更点

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームの新築・取得・増改築等を行った場合に、年末のローン残高の一定割合が所得税から控除される制度です。控除率は最大0.7%で、控除期間は原則10年または13年と、住まいを持つ多くの人にとって大きな恩恵をもたらします。

2024年からは、特に新築住宅における適用要件が厳格化されました。

  • 省エネ基準を満たさない新築住宅や買取再販住宅は、一部条件を除き控除対象外となりました。2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、原則として省エネ基準への適合が必要です。
  • ただし、省エネ基準に適合しない住宅でも、2023年12月31日までに建築確認を受け、2024年6月30日までに建築された場合は対象となる特例があります。
  • 既存住宅の場合、借入限度額が引き下げられています。
  • 一方で、子育て世帯向けの住宅ローン控除は拡充されており、該当する場合はより有利な条件が適用される可能性があります。

手続きとしては、初年度は必ず確定申告が必要です。会社員の場合、2年目以降は年末調整で手続きが可能になりますが、個人事業主等は引き続き確定申告が必要です。適用要件や限度額は複雑なため、国税庁のウェブサイトなどで最新情報を確認することをおすすめします。

NISA、投資信託、配当金…投資に関する確定申告

NISA・つみたてNISAの税金と確定申告の有無

NISA(少額投資非課税制度)やつみたてNISAは、投資で得た利益(分配金や譲渡益)が非課税となる非常にメリットの大きい制度です。この非課税枠内で運用している限り、原則として確定申告は不要となります。これは、通常20.315%(所得税15.315%、住民税5%)かかる金融所得の税金が一切かからないため、税務上の手続きが簡素化されるためです。

例えば、NISA口座で株式を売却して利益が出た場合や、投資信託の分配金を受け取った場合でも、確定申告の必要はありません。この手軽さから、多くの個人投資家がNISAやつみたてNISAを活用して資産形成を行っています。ただし、非課税投資枠を超える取引や、NISA口座以外(特定口座や一般口座)で行った取引に関しては、通常の税制が適用されるため注意が必要です。

NISA制度は2024年から新NISAとして刷新され、非課税保有限度額の拡大や制度の恒久化など、さらに使い勝手が良くなりました。しかし、基本的な非課税の仕組みは変わらず、非課税枠内での取引であれば確定申告の心配なく投資を続けられます。投資を始める際は、まずNISA口座の活用を検討してみましょう。

特定口座・一般口座における株式・投資信託の確定申告

NISA口座以外で株式や投資信託を取引する場合、特定口座一般口座という2種類の口座があります。それぞれ確定申告の取り扱いが大きく異なります。

  • 特定口座(源泉徴収あり):この口座で取引した場合、証券会社が利益から税金を差し引いて納付してくれるため、原則として確定申告は不要です。税金に関する手間が一切かからないため、多くの投資家に選ばれています。ただし、複数の証券会社で特定口座(源泉徴収あり)を開設し、それぞれで利益と損失が出た場合に「損益通算」を行いたい場合は、確定申告が必要です。
  • 特定口座(源泉徴収なし):この口座では、利益が出た場合に税金が源泉徴収されないため、自分で確定申告を行う必要があります。年間を通して一定額以上の利益が出た場合に申告分離課税で税金を納めます。
  • 一般口座:特定口座(源泉徴収あり/なし)のいずれにも該当しない取引は、すべて一般口座扱いとなります。一般口座で取引した場合も、自分で利益を計算し、確定申告を行う必要があります。年間の損益を把握し、必要な書類(年間取引報告書など)を準備して申告しましょう。

また、複数の口座で生じた損失を、他の口座の利益と相殺する「損益通算」や、相殺しきれなかった損失を翌年以降3年間繰り越して控除できる「繰越控除」を利用する場合には、確定申告が必須となります。

配当所得の確定申告:総合課税と申告分離課税

株式の配当金などの配当所得は、所得税の計算において「総合課税」と「申告分離課税」のどちらかを選択できる場合があります。

  • 総合課税:配当所得を給与所得や事業所得など、他の所得と合算して課税する方法です。配当控除を適用できる場合があり、税負担が軽減される可能性があります。ただし、所得が大きくなると累進課税により税率が高くなるリスクもあります。
  • 申告分離課税:配当所得を他の所得とは合算せず、単独で20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税率で課税する方法です。配当控除は適用できませんが、所得が高い人にとっては総合課税よりも税負担が少なくなる場合があります。特に、株式の譲渡損失と配当所得を損益通算したい場合に選択されます。

多くの場合は、特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば、配当金も自動的に源泉徴収されているため、改めて確定申告する必要はありません。しかし、配当控除の適用を受けたい場合や、総合課税と申告分離課税の選択による税額の有利不利を比較したい場合は、確定申告で手続きを行うことで、より有利な税負担を選択できる可能性があります。

なお、2024年の税制改正により、所得税と住民税の課税方式を一致させるため、申告書から「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部申告不要」欄が削除されました。これにより、原則として所得税と住民税で異なる課税方式を選択できなくなり、申告の際にはこの点を考慮する必要があります。

扶養控除、配偶者控除…家族関係における確定申告

扶養控除の基本と2024年の変更点

扶養控除とは、納税者に所得税法上の扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。扶養親族1人につき一定額の所得控除が適用され、納税者自身の所得税・住民税の負担が軽減されます。扶養親族には、子どもや両親、親戚などが含まれ、年齢や所得の要件が定められています。

主な扶養控除の種類と控除額は以下の通りです。

  • 一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、または23歳以上70歳未満):38万円
  • 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円
  • 老人扶養親族(70歳以上)
    • 同居老親等:58万円
    • 同居老親等以外:48万円

扶養親族の所得要件としては、年間の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は年収103万円以下)であることなどが条件となります。

2024年の税制改正では、国外居住親族に係る扶養控除の要件が厳格化されました。これまでは年齢に関わらず扶養控除の対象とされていましたが、今後は30歳以上70歳未満の国外居住親族については、以下のいずれかに該当しないと扶養控除の対象外となります。

  • 留学により国外に居住している
  • 障害者である
  • 扶養控除を適用する納税者から年38万円以上の送金を受けている

この変更により、海外に住む親族を扶養控除の対象としている方は、改めて要件を確認し、必要に応じて送金証明などの準備をしておく必要があります。

配偶者控除・配偶者特別控除の条件と注意点

配偶者控除および配偶者特別控除は、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。配偶者の収入によってどちらか一方が適用され、家計の税負担軽減に貢献します。

  • 配偶者控除:納税者の配偶者の年間合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)の場合に適用されます。納税者本人の所得額に応じて控除額は異なりますが、最大で38万円(一般の控除対象配偶者の場合)が控除されます。
  • 配偶者特別控除:配偶者の年間合計所得金額が48万円を超え、133万円以下(給与収入のみなら103万円超201万6千円未満)の場合に適用されます。この控除も納税者本人の所得額と配偶者の所得額に応じて控除額が細かく設定されており、最大で38万円が控除されます。

これらの控除を受けるためには、配偶者が納税者と生計を一にしていること、青色事業専従者として給与の支払いを受けていないことなどの条件を満たす必要があります。特に注意したいのは、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除・配偶者特別控除ともに適用対象外となる点です。

また、「103万円の壁」や「150万円の壁」といった言葉を耳にすることがありますが、これは配偶者の収入がこれらの金額を超えると、控除額が段階的に減っていくことを指します。配偶者のパート収入などを考慮する際には、これらの控除上限を意識して収入を調整することも有効な節税策となります。

寡婦控除・ひとり親控除の対象とメリット

寡婦控除およびひとり親控除は、所得のある方が離婚や死別などにより一人で子育てをしている場合や、特定の条件を満たす場合に適用される所得控除です。これらの控除は、ひとり親世帯の経済的負担を軽減することを目的としています。

  • ひとり親控除

    納税者が婚姻をしていない、または配偶者の生死が不明である場合で、生計を一にする子(総所得金額が48万円以下)を持つ人が対象です。性別を問わず適用され、控除額は35万円です。さらに、納税者本人の合計所得金額が500万円以下である必要があります。この制度は、従来の「寡夫控除」と「特別寡婦控除」を統合・見直したもので、性別や未婚・既婚(死別・離別)の区別なく、より公平に適用されるようになりました。

  • 寡婦控除

    「ひとり親控除」の対象とならない「寡婦」の方が適用対象です。具体的には、夫と死別または離婚した後婚姻をしていない方で、扶養親族がいる場合や、夫と死別後婚姻をしていない方で合計所得金額が500万円以下の場合などが該当します。ひとり親控除の要件を満たさない女性が、扶養親族がいて合計所得が500万円以下である場合などに適用され、控除額は27万円です。

これらの控除を適用することで、所得税や住民税の課税対象となる所得が減少し、結果として税額が軽減されます。該当する方は、確定申告または年末調整で忘れずに申請するようにしましょう。適用を受けるためには、戸籍謄本や住民票などの書類が必要となる場合がありますので、事前に確認が必要です。

ふるさと納税、保険料控除、医療費控除…知っておきたい確定申告のポイント

ふるさと納税の仕組みと2024年の定額減税の影響

ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に寄付をすることで、寄付金のうち2,000円を超える部分が所得税や住民税から控除される制度です。寄付者は、寄付をした自治体から返礼品を受け取れるため、実質2,000円の自己負担で全国各地の特産品を楽しむことができる、非常に人気のある制度です。

控除を受けられる金額には上限があり、これは個人の年収や家族構成によって異なります。上限額を超えて寄付した場合は、その超えた分は自己負担となります。2024年の確定申告では、所得税・個人住民税の定額減税が実施されますが、ふるさと納税の控除上限額自体に変更はありません。定額減税は、ふるさと納税の控除上限額が算定される際の「所得割額」には影響せず、定額減税実施「前」の所得割額を基に上限額が算定されるため、安心してふるさと納税を計画できます。

ふるさと納税の寄付金控除を受けるには、原則として確定申告が必要です。しかし、給与所得者等で寄付先が6自治体以内であれば、確定申告不要で控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用できます。この制度を利用する場合は、寄付した自治体へ申請書を提出する必要があります。

生命保険料控除・地震保険料控除で税負担を軽減

生命保険料控除と地震保険料控除は、支払った保険料に応じて所得控除を受けられる制度です。これらの控除を適用することで、所得税や住民税の負担を軽減することができます。

  • 生命保険料控除

    一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3つの区分があり、それぞれについて所定の計算式に基づき控除額が計算されます。各区分で最大4万円、合計で最大12万円の所得控除が可能です。対象となる保険は、生命保険会社や損害保険会社などが販売している特定の保険商品です。控除を受けるには、毎年送られてくる「生命保険料控除証明書」を年末調整や確定申告時に添付する必要があります。

  • 地震保険料控除

    火災保険とセットで加入することが多い地震保険の保険料が対象です。支払った地震保険料に応じて控除が受けられ、所得税では最高5万円、住民税では最高2万5千円の所得控除が可能です。こちらも「地震保険料控除証明書」が必要です。旧長期損害保険契約(2006年以前に締結されたもの)については、経過措置として特例が適用される場合があります。

これらの保険料控除は、年末調整で手続きが完了するケースがほとんどですが、年の途中で保険に加入したり、控除証明書を提出し忘れたりした場合は、確定申告で改めて適用を受けることができます。

医療費控除以外の節税策:セルフメディケーション税制と寄付金控除

医療費控除は病気や怪我で高額な医療費を支払った場合に有効な節税策ですが、それ以外にも日々の健康増進や社会貢献活動が税金に反映される制度があります。

  • セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)

    特定の市販薬(スイッチOTC医薬品)の購入費用が年間1万2千円を超えた場合に、その超えた部分の金額(上限8万8千円)について所得控除を受けられる制度です。健康の維持増進や疾病予防への取り組み(特定健診や予防接種など)を行っていることが条件となります。この制度は通常の医療費控除とは選択適用となるため、どちらか有利な方を選択する必要があります。どちらを適用するかは、年間の医療費やスイッチOTC医薬品の購入額によって変わります。

  • 寄付金控除

    国や地方公共団体、特定の公益法人や認定NPO法人などに寄付をした場合に受けられる所得控除です。ふるさと納税も寄付金控除の一種ですが、それ以外の一般の寄付も対象となります。寄付金控除額は、寄付金の合計額(所得の40%が上限)から2千円を差し引いた金額、または所得の40%のどちらか少ない方です。寄付金控除を受けるには、寄付先から発行される「寄付金の受領書」を確定申告時に添付する必要があります。社会貢献活動が税制優遇に繋がるため、積極的に活用を検討したい制度です。

これらの制度をうまく活用することで、思いがけない節税効果が得られることがあります。日頃から領収書や証明書を整理し、確定申告の準備を進めていきましょう。