1. 病気で退職しても諦めない!雇用保険の給付を徹底解説
  2. 病気で働けない時の雇用保険給付の基本
    1. 病気退職と失業保険の基本原則
    2. 特定理由離職者の認定とメリット
    3. 健康保険の傷病手当金との違い
  3. 受給資格と手続き:病状証明書と必要書類
    1. 受給資格の確認と主な条件
    2. 診断書の重要性と提出の流れ
    3. ハローワークでの具体的な手続き
  4. 病気による休業・延長の場合の給付について
    1. 療養期間に応じた給付の判断
    2. 失業保険の受給期間延長制度
    3. 給付日数の計算方法と目安
  5. パート・育休中の雇用保険、給付は受けられる?
    1. パート・アルバイトの雇用保険給付
    2. 育児休業給付金との関連性
    3. 2025年4月からの新制度「出生後休業支援給付金」
  6. 知っておきたい!雇用保険のその他給付と注意点
    1. 求職活動の義務と病気療養中の対応
    2. 他の手当・給付との調整
    3. 間違いやすいポイントと相談窓口
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 病気で退職した場合、雇用保険からどのような給付が受けられますか?
    2. Q: 雇用保険の給付を受けるために、どのような書類が必要ですか?
    3. Q: 病気で休業期間が延長された場合、雇用保険の給付はどうなりますか?
    4. Q: パートでも雇用保険に加入していれば、病気で働けなくなった場合に給付を受けられますか?
    5. Q: 雇用保険の給付額は、歩合給やボーナスがある場合、どのように計算されますか?

病気で退職しても諦めない!雇用保険の給付を徹底解説

病気で会社を辞めざるを得なくなった時、今後の生活費や再就職への不安は計り知れません。

しかし、ご安心ください。病気で退職した場合でも、雇用保険(通称:失業保険)を受給できる可能性があります。

このブログ記事では、病気による退職でも諦めずに雇用保険の給付を受けるための条件、手続き、そして知っておきたいポイントを詳しく解説します。適切な制度活用で、安心して療養に専念し、次の一歩を踏み出しましょう。

病気で働けない時の雇用保険給付の基本

病気退職と失業保険の基本原則

雇用保険は、原則として「就職する意思と能力があり、積極的に求職活動を行っている」方が対象です。そのため、病気療養中で「すぐに働けない」状態にあると、原則として失業保険は受給できません。

しかし、病状によっては受給期間の延長や、特定の資格認定によって給付制限なしでの受給が可能になるケースがあります。

例えば、療養期間が14日以内であれば、失業認定日と療養期間が重なる場合でも、認定日の変更手続きを行えば受給できる可能性があります。

特定理由離職者の認定とメリット

病気やケガが原因で退職した場合、「特定理由離職者」または「特定受給資格者」と認定されると、自己都合退職であっても給付制限なしで失業保険を受給できる可能性があります。

通常、自己都合退職では2ヶ月間の給付制限がありますが、この認定を受ければその期間がなくなり、より早く給付を受け始められます。

この認定には、医師の診断書が非常に重要な役割を果たします。病状が就労に困難をきたすことを客観的に証明することが鍵となります。

健康保険の傷病手当金との違い

病気で働けない場合、雇用保険の失業給付とは別に、健康保険の「傷病手当金」を受給できる場合があります。これは、療養期間が15日以上で、連続して3日以上仕事を休み、給与が支払われない場合に支給される制度です。

失業保険が「働く意思と能力がある失業者への生活保障」であるのに対し、傷病手当金は「病気療養中の生活保障」という違いがあります。

原則として、両者を同時に受給することはできませんので、ご自身の状況に応じてどちらの制度を利用するのが適切か検討が必要です。

受給資格と手続き:病状証明書と必要書類

受給資格の確認と主な条件

雇用保険の基本手当を受給するためには、離職日以前2年間に、賃金が支払われた日数が11日以上または労働時間が80時間以上の月が通算して12ヶ月以上あることが一般的な条件です。

「特定理由離職者」と認定される場合は、この期間が6ヶ月以上に緩和されることもあります。</また、就職する意思と能力があり、積極的に求職活動を行っていることが大前提となります。

これらの条件を満たしているか、まずは確認しましょう。

診断書の重要性と提出の流れ

病気退職で雇用保険の給付を受ける際、医師の診断書は非常に重要な役割を果たします。

この診断書によって、病気が退職の原因であることや、現在の病状が就労にどのような影響を与えているかを客観的に証明できます。これにより、「特定理由離職者」の認定や、受給期間の延長申請が可能になります。

ハローワークに提出する際には、現在の病状、今後療養に必要な期間、そしていつ頃から就労可能になる見込みかを具体的に記載してもらうとスムーズです。</

ハローワークでの具体的な手続き

病気で退職した場合でも、雇用保険の申請は通常の失業給付と同じくハローワークで行います。

主な必要書類は以下の通りです。

  • 離職票(-1、-2)
  • 雇用保険被保険者証
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • マイナンバーカード
  • 写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 預金通帳またはキャッシュカード(本人名義)
  • 医師の診断書(病気退職の場合)

これらの書類を持参し、ハローワークで求職の申し込みを行います。病気療養中の場合は、受給期間延長の手続きも同時に行うことができます。

病気による休業・延長の場合の給付について

療養期間に応じた給付の判断

病気療養の期間によって、雇用保険の給付の判断は大きく異なります。

  • 療養期間が14日以内の場合: 通常の失業保険の受給資格を満たせば受給可能です。ただし、失業認定日と療養期間が重なる場合は、認定日の変更手続きが必要になります。
  • 療養期間が15日以上の場合: すぐに働けないと判断されるため、原則として失業保険の受給はできません。この期間は健康保険の傷病手当金などの利用を検討することになります。

ご自身の療養期間を見込み、適切な制度を選択しましょう。

失業保険の受給期間延長制度

病気やケガで30日以上働くことができない場合、雇用保険の受給期間を最長3年間延長できる制度があります。

これにより、病状が回復し、就労が可能になった後に失業保険の受給を開始できます。例えば、本来90日間の給付期間があった場合、病気療養に専念している間にその期間が過ぎてしまう心配がなくなります。

申請は、離職日の翌日から1ヶ月以内、または疾病により働けなくなった日の翌日から1ヶ月以内など、期限が定められている場合があるため、早めにハローワークに相談しましょう。

給付日数の計算方法と目安

失業保険の給付額(基本手当日額)は、離職直前6ヶ月の賃金総額を180で割った「賃金日額」に、年齢や賃金日額に応じた「給付率(45〜80%)」を乗じて算出されます。

例えば、賃金日額が1万円で給付率が50%の場合、基本手当日額は5,000円です。

給付日数については、退職理由、年齢、被保険者期間によって異なりますが、病気退職で「特定理由離職者2」に該当する場合、一般離職者と同じ90〜150日の給付日数となることがあります。

詳細はハローワークで確認してください。

パート・育休中の雇用保険、給付は受けられる?

パート・アルバイトの雇用保険給付

パート・アルバイトの方でも、雇用保険の加入条件を満たしていれば、病気退職した場合に雇用保険の給付を受けられる可能性があります。

主な条件は、週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがあることです。

この条件を満たして雇用保険に加入していれば、正社員と同様に被保険者期間に応じて給付が受けられ、「特定理由離職者」として認定されれば、給付制限なしで受給できる可能性も十分にあります。

育児休業給付金との関連性

雇用保険には、病気療養による退職の場合に支給される失業給付の他に、育児を理由に休業する場合に支給される「育児休業給付金」という制度があります。

育児休業給付金の支給額は、休業開始時賃金日額の67%(181日目以降は50%)が基本となります。これは病気による退職とは全く別の制度ですので、混同しないように注意が必要です。

もし病気療養と育児休業が重なるような状況であれば、それぞれの制度の適用条件を確認し、適切な給付を受けることが大切です。

2025年4月からの新制度「出生後休業支援給付金」

育児を支援する新たな取り組みとして、2025年4月からは「出生後休業支援給付金」が創設されます。

これは、両親ともに育児休業を取得した場合に、手取りベースの給付率が実質10割相当になるという画期的な制度です。育児休業の取得をさらに促進し、男女ともに育児に参加しやすい環境を整えることを目的としています。

病気退職の給付とは直接関係ありませんが、雇用保険が提供する多様な支援策の一つとして、今後の育児休業取得を検討されている方には朗報となるでしょう。

知っておきたい!雇用保険のその他給付と注意点

求職活動の義務と病気療養中の対応

雇用保険の基本手当を受給するためには、原則として「就職する意思と能力があり、積極的に求職活動を行っている」ことが条件です。

病気療養中は、この求職活動が困難になるため、先に述べた「受給期間延長制度」の利用が非常に有効です。

病気が回復し、就労可能になった時点でハローワークで改めて求職登録を行い、月に2回以上の求職活動実績を報告することで、基本手当の支給が開始されます。無理なく療養に専念し、回復後に再就職を目指しましょう。

他の手当・給付との調整

雇用保険の失業給付は、他の公的な手当や給付と同時に受給できない場合があります。特に注意が必要なのが、健康保険の傷病手当金です。

両者は性質が異なるため、基本的に同時受給はできません。また、老齢年金など、他の年金制度との調整が必要になるケースもあります。

不正受給とならないよう、複数の制度を利用する可能性がある場合は、必ずハローワークや年金事務所、または専門家(社会保険労務士など)に事前に相談し、不明な点を解消しておくことが重要です。

間違いやすいポイントと相談窓口

病気退職における雇用保険給付で間違いやすいポイントは、「自己都合退職だから受給できない」と諦めてしまうことです。

しかし、医師の診断書があれば「特定理由離職者」として認定され、給付制限なしで受給できる可能性があります。また、失業保険と傷病手当金の違いを理解し、自身の状況に合った制度を選ぶことも重要です。

疑問や不安な点があれば、一人で抱え込まず、最寄りのハローワーク労働局社会保険労務士などの専門家にご相談ください。適切な情報とサポートを得ることで、経済的な不安を軽減し、安心して療養や再就職活動に臨むことができます。