1. ダブルワークでも雇用保険は?月途中退職・入社・同時得喪を解説
  2. ダブルワークと雇用保険の基本:20時間未満でも対象になる?
    1. 雇用保険の基本的な加入条件
    2. ダブルワークの場合の加入ルール
    3. マルチジョブホルダー制度の活用法
  3. 在職中の雇用保険手続き:月途中退職/入社・住所変更など
    1. 月途中退職・入社時の保険料はどうなる?
    2. 「同月得喪」の具体的な影響
    3. 在職中のその他の手続き
  4. 雇用保険の月によって違う?同月得喪と社会保険の仕組み
    1. 同月得喪時の雇用保険料の扱い
    2. 社会保険料(健保・厚年)における同月得喪の影響
    3. 月の途中での入社・退社における保険料の注意点
  5. 雇用保険Q&A:疑問を解消!
    1. 失業保険の受給資格と期間
    2. 退職理由による失業保険の違い
    3. ハローワークでの相談について
  6. まとめ:ダブルワークと雇用保険、賢く理解しよう
    1. ダブルワークでの雇用保険のポイント
    2. 月途中退職・入社の注意点
    3. 困ったときの相談先
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: ダブルワークで、それぞれの勤務時間が週20時間未満の場合は雇用保険に加入できますか?
    2. Q: 雇用保険に加入中に住所や代表者が変更になった場合、どのような手続きが必要ですか?
    3. Q: 月途中で退職・入社した場合、雇用保険料はどのように計算されますか?
    4. Q: 「同月得喪」とは何ですか?どういう場合に発生しますか?
    5. Q: 雇用保険の「随時改定」とはどのような制度ですか?

ダブルワークでも雇用保険は?月途中退職・入社・同時得喪を解説

近年、ダブルワーク(副業・兼業)は働き方の多様化とともに一般的になっています。
しかし、複数の職場で働くとなると、雇用保険の扱いはどのように変わるのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ダブルワークにおける雇用保険の基本的な加入条件から、月途中での退職や入社、さらには「同月得喪」といった特殊なケースまで、わかりやすく解説します。

賢く働き、安心して将来を設計するために、雇用保険の仕組みをしっかり理解しましょう。

ダブルワークと雇用保険の基本:20時間未満でも対象になる?

雇用保険の基本的な加入条件

雇用保険に加入するには、まず2つの基本的な条件を満たす必要があります。
一つは「1週間の所定労働時間が20時間以上であること」。
もう一つは「31日以上引き続き雇用されることが見込まれること」です。
これらの条件は、単一の事業所で働く場合に適用されます。

雇用保険は、失業時の給付だけでなく、育児休業給付や介護休業給付など、様々なセーフティネットの役割を担っています。
これらの給付を受けられるかどうかは、適正な加入手続きにかかっています。

ダブルワークの場合の加入ルール

複数の事業所で働いていて、それぞれの職場で上記の加入条件を満たしている場合でも、同時に複数の雇用保険に加入することはできません。
原則として、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける雇用関係にある会社でのみ雇用保険に加入することになります。

これは、雇用保険料の二重払い防止や事務処理の複雑化を避けるためのルールです。
そのため、どちらかの職場では雇用保険の適用外となるケースがあることを理解しておく必要があります。

マルチジョブホルダー制度の活用法

2022年1月より、65歳以上の労働者を対象とした「マルチジョブホルダー制度」が導入されました。
この制度を利用すれば、複数の事業所で働き、それぞれの週の労働時間を合計して20時間以上となり、かつ各事業所での雇用見込みが31日以上であれば、本人の申し出により雇用保険に加入できるようになります。

ただし、この制度を利用する場合、1つの事業所での週の所定労働時間が5時間以上20時間未満であることが条件です。
高齢者の多様な働き方を支援する制度として注目されています。

在職中の雇用保険手続き:月途中退職/入社・住所変更など

月途中退職・入社時の保険料はどうなる?

月の途中で雇用保険の資格を取得または喪失した場合でも、その月に給与の支払いがあれば、所定の保険料率が控除されます。
雇用保険料は日割り計算ではなく、基本的には給与が支払われた月にまとめて計算されるのが一般的です。

例えば、月の途中で入社した場合でも、その月の給与から雇用保険料が差し引かれます。
退職時も同様で、最終的な給与が支払われる際に控除されることになります。

「同月得喪」の具体的な影響

「同月得喪」とは、同一月内に雇用保険や社会保険の資格を取得し、その資格を喪失することを指します。
例えば、4月1日に入社し、4月20日に退職するようなケースがこれに該当します。

雇用保険料は、同月内で資格取得と喪失をした場合でも、給与の支払いがあれば通常通り控除されます。
一方、健康保険料・厚生年金保険料は、原則として1ヶ月分が控除されますが、厚生年金保険料については、同月内に別の会社で再度厚生年金保険に加入した場合などに、還付されるケースがあります。

在職中のその他の手続き

在職中に住所が変わったり、氏名が変わったりした場合、雇用保険に関する各種手続きは勤めている会社を通じて行われます。
これらの情報は、将来の失業給付や各種手当の申請に影響するため、変更があった際は速やかに会社の人事・経理担当者に報告することが重要です。

会社側は、従業員の情報をハローワークに届け出る義務があります。
正確な情報が登録されることで、将来の不利益を防ぐことができます。

雇用保険の月によって違う?同月得喪と社会保険の仕組み

同月得喪時の雇用保険料の扱い

同月得喪のケースでも、雇用保険料は「給与の支払いがあった事実」に基づいて控除されます。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)とは異なり、月末の在籍有無は雇用保険料の徴収に直接影響しません
例えば、月の途中で退職し、その月に支払われた給与があれば、そこから所定の雇用保険料が差し引かれます。

保険料率は通常、給与総額の「1000分の6」といった形で計算されます(2023年度の一般の事業における労働者負担率)。
この考え方は、給与が支払われるたびにその月の雇用保険料を徴収するというシンプルなものです。

社会保険料(健保・厚年)における同月得喪の影響

健康保険料と厚生年金保険料は、雇用保険とは異なり「月末に在籍しているかどうか」がその月の保険料発生の原則となります。
そのため、同月得喪で月末には退職している場合、理論上はその月の保険料は発生しないことになります。

しかし、実際には会社によってはその月の保険料を一旦徴収し、同月内に別の会社で社会保険に再加入した場合などに還付処理が行われることがあります。
特に厚生年金保険料は、二重徴収とならないよう調整されるため、ご自身の状況をしっかり確認しましょう。

月の途中での入社・退社における保険料の注意点

月の途中での入社や退社では、給与計算期間と社会保険料の控除のタイミングが異なることで、思わぬ控除額になることがあります。
例えば、月末退職であっても、給与の締め日や支払い日の関係で、退職月の社会保険料が最終給与から二ヶ月分まとめて控除されるケースがあります。

これは、多くの会社が前月分の社会保険料を当月給与から控除しているためです。
転職を考える際は、退職月と入社月の保険料控除がどうなるか、事前に会社の人事担当者に確認することをお勧めします。

雇用保険Q&A:疑問を解消!

失業保険の受給資格と期間

失業保険(基本手当)を受給するには、原則として離職日以前2年間に12ヶ月以上の雇用保険の被保険者期間が必要です。
ただし、倒産や解雇など会社都合退職(特定受給資格者)や正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者)の場合は、離職日以前1年間に6ヶ月以上で受給資格を得られます。

給付期間は、被保険者期間や退職時の年齢、退職理由によって異なります。
詳細は、厚生労働省のウェブサイトやハローワークで確認できます。

退職理由による失業保険の違い

失業保険は、退職理由によって給付が始まるまでの期間が大きく異なります。
以下の表で主な違いを確認しましょう。

退職理由 待機期間(7日間)後 給付制限期間 具体的な例
自己都合退職 給付制限期間あり 原則2~3ヶ月 転職、キャリアアップ、単なる自己都合
会社都合退職
(特定受給資格者)
給付開始 なし 倒産、解雇、事業所の廃止
特定理由離職者 給付開始 なし 病気・怪我、妊娠・出産・育児、介護、通勤困難

自己都合退職の場合、給付制限期間があるため、失業手当が支給されない期間が生じます。
これに対し、会社都合退職や特定理由離職者の場合は、待機期間満了後すぐに給付が開始されます。

ハローワークでの相談について

雇用保険や失業保険に関する制度は複雑であり、個々の状況によって適用されるルールが異なります。
もし不明な点や具体的な手続きについて疑問があれば、お近くのハローワークに相談することをお勧めします

ハローワークでは、専門の相談員があなたの状況に合わせた的確なアドバイスを提供してくれます。
厚生労働省の「雇用保険制度Q&A」や「雇用保険マルチジョブホルダー制度」についての情報も参考にしながら、早めに相談することが大切です。

まとめ:ダブルワークと雇用保険、賢く理解しよう

ダブルワークでの雇用保険のポイント

ダブルワークにおいて、雇用保険の加入は原則として複数の職場で要件を満たしても主たる生計を維持する一つの職場のみで行われます。
65歳以上の場合は「マルチジョブホルダー制度」という例外があり、複数の事業所の労働時間を合算して加入できる道があります。

ご自身の働き方や年齢によって適用されるルールが異なるため、自身の状況を正確に把握しておくことが重要です。

月途中退職・入社の注意点

月の途中での退職や入社の場合、雇用保険料は給与支払いがあれば控除されます。
一方、健康保険料・厚生年金保険料は「月末在籍」が基本原則となり、同月得喪の場合は還付の可能性があるという違いがあります。

特に転職を計画している場合は、退職と入社のタイミングを考慮することで、社会保険料の負担が変わる可能性があります。
最終給与からの控除額なども確認しておくことをお勧めします。

困ったときの相談先

雇用保険や社会保険の制度は複雑で、最新の情報も頻繁に更新されることがあります。
もし不明な点や具体的な疑問が生じた場合は、会社の担当者や最寄りのハローワークに積極的に相談しましょう。

正確な情報を得て行動することが、将来的なトラブルを防ぎ、安心して働き続けるための鍵となります。
定期的に関連情報を確認し、賢く制度を活用していきましょう。