概要: 雇用保険は原則加入ですが、適用除外や任意継続といった例外もあります。本記事では、退職後に雇用保険をどうするか悩んでいる方に向けて、任意継続のメリット・デメリット、途中での脱退、二重加入の注意点、そして個人事業主や取締役などのケースを分かりやすく解説します。
雇用保険の「任意継続」や「適用除外」を徹底解説!退職後の注意点
雇用保険の基本と「適用除外」になるケース
雇用保険の目的と加入の基本
雇用保険は、働く皆さんの生活と再就職を支援するための大切な社会保険制度です。
失業した際の生活を支える失業給付はもちろんのこと、教育訓練給付金や育児休業給付金など、働く上でさまざまな場面でセーフティネットとして機能します。
この制度は、労働者を雇用する事業主に加入が義務付けられており、一定の条件を満たす労働者は原則として被保険者となります。
厚生労働省のデータによると、正社員で雇用保険が適用されている方の割合は92.7%と非常に高く、ほとんどの正社員がこの制度の恩恵を受けています。
一方で、パートタイム労働者でも条件を満たせば加入対象となり、その適用割合は64.0%に上ります。
雇用形態に関わらず、万が一の時に備えて加入条件を理解しておくことは非常に重要です。
適用除外となる主な条件
雇用保険はすべての労働者が加入できるわけではなく、特定の条件に該当する場合は「適用除外」となります。
主な適用除外のケースとしては、まず週の所定労働時間が20時間未満の労働者が挙げられます。
これは、雇用保険が「安定した雇用」を前提としているためです。
また、継続して31日以上の雇用が見込まれない
4ヶ月以内の期間を定めて季節的に雇用される者や、週所定労働時間が20時間以上30時間未満である者も適用除外となる場合があります。
さらに、昼間部の学生や生徒も原則として適用除外ですが、卒業見込みで卒業後に就職する場合や、通信教育、夜間部、定時制の学生などは加入できる例外もありますので、ご自身の状況を確認することが大切です。
このほか、国・都道府県・市区町村の公務員や船員保険の被保険者も雇用保険の適用除外となります。
かつては65歳に達した日以後に雇用される者も適用除外でしたが、2017年1月1日以降、この制度が改正され、65歳以上の方も新たに雇用保険の適用対象となっています。
高齢者の多様な働き方を支援する観点から、適用範囲が拡大された形です。
これらの条件に当てはまる場合は、残念ながら雇用保険の給付を受けることはできませんので注意が必要です。
適用除外になった場合の対処法
もしご自身が雇用保険の適用除外となった場合でも、生活保障のための選択肢はいくつかあります。
まず、健康保険については、国民健康保険への加入が一般的です。
また、家族が社会保険に加入している場合、扶養家族として加入できる可能性もありますので、条件を確認してみましょう。
公務員など、雇用保険の適用除外となる特定の職種には、それぞれの組織が提供する独自の共済制度や退職手当制度が存在することが多いです。
退職後の保険については、ご自身の状況に合わせて、市区町村役場の窓口やハローワーク等で相談することが重要です。
特に、国民健康保険料は前年の所得や加入人数によって計算されるため、収入が少ない場合は軽減措置が適用される可能性もあります。
例えば、倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や雇い止めなどによる離職(特定理由離職者)で雇用保険受給資格者証をお持ちの方は、国民健康保険料(税)の軽減措置を受けられる場合がありますので、必ず市区町村の窓口で確認してください。
適用除外となることは、必ずしも保障がゼロになることを意味しません。
ご自身の状況に合った最適な保障制度を見つけるために、早めに情報収集と相談を行うことが、安心して次のステップに進むための鍵となります。
地域の役所や専門機関を積極的に活用し、不明な点は積極的に質問しましょう。
「任意継続」で雇用保険を続けるメリット・デメリット
任意継続制度の仕組みと加入要件
退職後も、一定の条件を満たせば雇用保険の被保険者として継続できる制度が「雇用保険の任意継続」です。
これは、退職によりいったん雇用保険の資格を喪失した人が、引き続き失業給付や再就職支援などの恩恵を受けられるようにするための制度です。
ただし、雇用保険には「任意継続」という制度は存在しません。
健康保険には任意継続の制度がありますが、雇用保険はあくまで労働者が被保険者となる制度であり、退職後は失業給付の受給期間となるか、再就職しない限り被保険者資格は喪失します。
ただし、健康保険の任意継続制度は、退職前の健康保険を最長2年間継続できる制度で、雇用保険の失業給付受給中に健康保険の選択肢として検討されることがあります。
ここでは、読者の方が混同しやすい「健康保険の任意継続」について補足して解説します。
健康保険の任意継続の主な要件は、退職日(資格喪失日)の前日までに、継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること、そして資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出することです。
雇用保険の給付を受けながら、同時に健康保険の任意継続を利用することは可能です。
健康保険の任意継続は、最長で2年間加入できます。
保険料は退職時の標準報酬月額に基づいて計算され、上限額が設定されている場合があり、在職中の保険料よりも安くなるケースもあります。
ただし、在職中のように会社が保険料の半分を負担してくれる制度ではないため、保険料は全額自己負担となります。
保険料は加入した月から発生し、月単位で計算されるため日割り計算はありません。
この点を理解し、国民健康保険や家族の扶養に入る場合と比較検討することが重要です。
任意継続のメリットと活用のポイント
健康保険の任意継続を選択する最大のメリットは、在職中と同じ健康保険組合や協会けんぽの保障内容を継続できる点です。
特に、傷病手当金や出産手当金など、手厚い給付を受けられる組合健保に加入していた方にとっては、大きな利点となります。
また、保険料が退職時の標準報酬月額に基づいて計算されるため、高所得者であっても上限額が設定されている場合は、国民健康保険料よりも安くなる可能性があります。
例えば、退職時の給与が高かった方ほど、国民健康保険料が高額になる傾向があるため、任意継続の保険料と比較すると、任意継続の方が有利になるケースが少なくありません。
保険料は全額自己負担となりますが、退職後にすぐ再就職の予定がない場合や、一定期間保障を手厚くしたいと考える方には有効な選択肢と言えるでしょう。
ただし、このメリットは個人の所得や扶養家族の有無によって大きく変わるため、必ず事前に試算を行うことが不可欠です。
活用のポイントとしては、退職後の自身の健康状態や、すぐに再就職する可能性、家族の有無などを総合的に考慮することが挙げられます。
例えば、持病を抱えている方や、出産を控えている方などは、保障内容が手厚い任意継続を選ぶことで安心感が得られるかもしれません。
参考情報には健康保険のデータとして「60歳から69歳までの任意継続被保険者の割合は、2019年時点で約44%」とあり、特に高齢層が継続的な保障を求めて活用している実態がうかがえます。
任意継続のデメリットと注意すべき点
健康保険の任意継続にはメリットがある一方で、デメリットや注意点も存在します。
最大のデメリットは、保険料が全額自己負担になることです。
在職中は会社が半分を負担してくれていたため、人によっては保険料の負担が以前の2倍になる感覚を持つかもしれません。
また、任意継続の期間は最長2年間と定められており、この期間を過ぎると国民健康保険への切り替えなどを検討する必要があります。
さらに、一度任意継続を選択すると、原則として途中で国民健康保険に切り替えることはできません。
例外として、被保険者が死亡した場合や、就職して健康保険の被保険者資格を取得した場合、保険料を期限までに納めなかった場合などに資格を喪失します。
自己都合で「やっぱり国民健康保険の方が安かったから」という理由で途中で辞めることはできないため、加入前の慎重な検討が非常に重要になります。
任意継続の保険料と国民健康保険料の比較は必須です。
国民健康保険料は前年の所得や加入人数によって決まるため、退職直後で前年の所得が高い場合は任意継続が安くなることが多いですが、翌年度以降、所得が減ると国民健康保険料の方が安くなるケースもあります。
市区町村によっては、特定の離職理由で保険料の軽減措置を受けられる場合もありますので、両制度の保険料をしっかりと比較し、ご自身の状況に最適な選択をすることが肝要です。
手続きには退職日から20日以内という期限がありますので、時間的な余裕を持って検討しましょう。
雇用保険を「途中」で抜けることは可能?
任意継続を途中で辞める条件と手続き
「雇用保険の任意継続」は存在しないため、ここで言う「任意継続」は「健康保険の任意継続」を指します。
健康保険の任意継続は、原則として2年間の期間中、途中で自己都合により脱退することはできません。
しかし、いくつかの特定の条件に該当した場合は、任意継続の資格を喪失し、結果的に途中で保険を辞める形になります。
主な条件は以下の通りです。
- 再就職した場合:新たな勤務先で健康保険の被保険者となった場合、任意継続の資格は喪失します。
- 被保険者が死亡した場合:当然ながら、資格は喪失します。
- 保険料を納付期限までに納めなかった場合:期限までに保険料が支払われないと、その翌日に資格が喪失します。
- 後期高齢者医療制度の被保険者となった場合:75歳に到達すると、後期高齢者医療制度に移行するため、任意継続は終了します。
- 扶養家族の人数変更など、規定されている条件に該当しなくなった場合:ごく稀なケースですが、加入条件を満たさなくなった場合も対象となります。
これらの事由が発生した場合、速やかに加入している健康保険組合や協会けんぽに届け出る必要があります。
特に、再就職の場合は新しい会社の健康保険に加入するため、切り替え手続きを忘れないようにしましょう。
やむを得ない事情での脱退と再加入
健康保険の任意継続は、前述の通り自己都合での途中脱退が原則認められていません。
そのため、「病気で治療費がかさんで保険料の支払いが厳しくなった」「引っ越しで自治体が変わった」といった、一見やむを得ないと思われる事情であっても、任意継続の資格を喪失する直接的な理由とはなりません。
これらの状況で保険料の支払いが困難になった場合は、保険料の滞納という形で資格を喪失することになりますが、これは望ましい形ではありません。
もし何らかの経済的困難に直面し、保険料の支払いが厳しいと感じた場合は、国民健康保険への切り替えを検討する前に、ご自身の加入している健康保険組合や協会けんぽ、あるいは市区町村の窓口に相談することが重要です。
場合によっては、支払い方法の見直しや、国民健康保険の軽減制度など、別の選択肢が案内される可能性もあります。
しかし、一度任意継続の資格を喪失した場合、再度任意継続に加入することはできません。
病気や介護などで長期的な生活状況の変化が見込まれる場合は、任意継続を選ぶ際に、その後の経済的な負担も考慮に入れる必要があります。
再加入ができない制度であるため、加入前のシミュレーションと、万が一の際の相談先の把握が非常に大切です。
制度の仕組みをよく理解し、計画的に利用することが求められます。
脱退後の保険切り替えと注意点
健康保険の任意継続の期間が終了したり、前述の理由で資格を喪失したりした場合、速やかに新しい健康保険への切り替え手続きを行う必要があります。
主な選択肢は、以下の3つです。
- 国民健康保険への加入:最も一般的な選択肢です。お住まいの市区町村役場で手続きを行います。
- ご家族の健康保険(被扶養者)への加入:配偶者や親などが社会保険に加入しており、ご自身が被扶養者の条件を満たす場合は、その健康保険に加入できます。
- 再就職先の健康保険への加入:再就職して、新しい勤務先で健康保険に加入する場合です。
どの選択肢を選ぶにしても、手続きには期限がありますので注意が必要です。
特に、任意継続の資格喪失日と新しい保険への加入日の間に空白期間が生じないよう、計画的に手続きを進めることが大切です。
空白期間があると、その間の医療費が全額自己負担となる可能性があります。
国民健康保険への切り替えの場合、必要書類を準備し、市区町村の窓口で手続きを行います。
被扶養者となる場合は、扶養者の勤務先を通じて手続きを進めます。
これらの手続きを怠ると、万が一の病気や怪我の際に医療費の負担が大きくなるだけでなく、無保険状態となってしまうリスクも伴います。
ご自身の状況に合わせて、最適な選択肢を検討し、遅滞なく手続きを完了させましょう。
不明な点があれば、必ず地域の役所や健康保険の窓口に相談してください。
雇用保険の二重加入は?罰則や注意点
雇用保険の複数事業所からの加入原則
雇用保険は、原則として一人の労働者につき、一つの事業所でのみ加入できる制度です。
これは、雇用保険の給付が失業した際の生活保障を目的としているため、同時に複数の雇用主から給付を受けることを想定していないからです。
そのため、複数の会社で働いていて、それぞれの勤務先で雇用保険の加入条件(週20時間以上の労働など)を満たしていたとしても、同時に二重で雇用保険に加入することはできません。
もし複数の勤務先がある場合、労働者は主たる生計を維持している事業所で雇用保険の被保険者となります。
「主たる生計を維持している」とは、一般的に労働時間や賃金が多い方の勤務先を指します。
この判断は、労働者と事業主が話し合い、必要であればハローワークに相談して決定されます。
副業や兼業が一般的になった現代においては、この原則を正しく理解し、適切な手続きを行うことがより一層重要になっています。
事業主側も、従業員が他の会社でも雇用保険に加入している可能性がある場合は、確認を行い、適切な手続きを進める義務があります。
誤って二重に加入手続きを進めてしまうと、後々手続きの修正が必要となり、従業員にも負担をかけることになります。
雇用保険の適用漏れや重複加入を防ぐためにも、労働者と事業主双方で情報共有と確認を怠らないようにしましょう。
二重加入が起こりうるケースと対処法
雇用保険の二重加入は原則としてできませんが、意図せずして、または手続きのミスによって、結果的に二重に被保険者番号が付与されてしまうケースが稀に発生することがあります。
例えば、転職時に前の会社の資格喪失手続きが遅れたり、副業をしていることを新しい会社に伝えていなかったりする場合に、このような状況が起こりえます。
また、過去に短期のアルバイトを複数経験している場合なども、手続き上の混乱が生じる可能性もゼロではありません。
もしご自身が二重に雇用保険に加入している可能性があると気づいた場合は、速やかにハローワークに相談し、適切な対処を行うことが非常に重要です。
ハローワークでは、被保険者番号の統合や、正しい事業所での加入状態への是正手続きを行ってくれます。
この際、ご自身の就労状況を正確に伝え、必要な書類(雇用契約書や給与明細など)を準備しておくとスムーズです。
対処せずに放置しておくと、将来的に失業給付を申請する際にトラブルとなる可能性があります。
例えば、一方の事業所の勤務期間が失業給付の算定対象期間に含まれなかったり、受給資格に影響が出たりすることもあり得ます。
特に、ご自身が副業や兼業をしている場合は、雇用保険の加入状況について定期的に確認し、雇用主に正確な情報を伝えることを心がけましょう。
自身の権利を守るためにも、不明な点があれば積極的に専門機関に相談することが大切です。
不正な二重加入と罰則について
雇用保険は二重加入が原則としてできない制度であるにもかかわらず、意図的に複数の事業所で加入しているように見せかけたり、事実を隠蔽して給付金を受け取ろうとする行為は、不正受給とみなされます。
例えば、失業中に別の会社で働きながら、その事実を隠して失業給付を受け続ける行為や、複数の会社で加入していると偽って給付を受けようとする行為などがこれに該当します。
このような行為は、法律によって厳しく禁じられています。
不正受給が発覚した場合、非常に重い罰則が科せられます。
まず、不正に受給した給付金は全額返還しなければなりません。
さらに、不正受給額の2倍に相当する額(つまり、合計で不正受給額の3倍)の納付が命じられることがあります。これを「3倍返し」と呼ぶこともあります。
悪質なケースや不正の額が大きい場合は、詐欺罪として刑事告発され、逮捕・起訴される可能性もあります。
不正受給は、給付金の返還や罰則だけでなく、その後の社会生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
失業給付をはじめとする雇用保険の制度は、困窮する労働者のための大切なセーフティネットです。
この制度が悪用されることは、制度全体の信頼性を損ない、本当に支援が必要な人々への影響にもつながります。
雇用保険は、定められたルールに従って適切に利用することが大前提です。
不明な点や不安な点があれば、自己判断せず、必ず管轄のハローワークに相談し、正しい情報を得て手続きを進めるようにしましょう。
知っておきたい!雇用保険と個人事業主・取締役・地方公務員
個人事業主やフリーランスの雇用保険
個人事業主やフリーランスとして活動している方は、原則として雇用保険の被保険者にはなれません。
雇用保険は、事業主と労働者の間に雇用契約があることを前提とした制度だからです。
個人事業主は、自らが事業主であるため、労働者に該当せず、この制度の対象外となります。
そのため、廃業したり仕事が途絶えたりした場合に、雇用保険から失業給付を受けることはできません。
しかし、個人事業主やフリーランスの方にも、万が一に備えるための代替となる制度や支援策がいくつか存在します。
例えば、小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主が事業を廃止した場合や退職した場合に、生活資金や事業再建資金を準備するための国の制度です。
これは「経営者の退職金制度」とも呼ばれ、掛金は全額所得控除の対象となり、節税効果も期待できます。
また、民間の保険や、個人事業主向けの共済制度なども検討する価値があります。
特に、事業の性質上、収入が不安定になりがちなフリーランスの方にとっては、こうした制度を上手に活用して、計画的にセーフティネットを構築しておくことが非常に重要です。
雇用保険に加入できないからといって、無策でいるのではなく、ご自身の働き方に合った保障制度を積極的に探しましょう。
会社役員(取締役)の雇用保険
会社の取締役や監査役などの役員は、原則として雇用保険の被保険者にはなれません。
これは、役員が会社との間で「委任契約」を結んでいるとみなされ、労働者とは異なる立場であると考えられるためです。
労働者は会社に「雇用」され、指揮命令を受けて業務を遂行しますが、役員は経営者の一員として会社の業務を執行・監督する立場にあるという違いがあります。
しかし、例外として、「使用人兼務役員」に該当する場合は、雇用保険の被保険者となれる可能性があります。
使用人兼務役員とは、役員としての職務だけでなく、部長や課長といった一般の従業員としての職務も兼ねている役員のことを指します。
この場合、労働者としての実態が認められれば、その部分について雇用保険の適用を受けることができます。
判断は非常に複雑であり、役員報酬と従業員給与のバランスや、指揮命令系統などが総合的に考慮されます。
もしご自身が役員でありながら、労働者としての職務も担っていると感じる場合は、ハローワークや社会保険労務士などの専門家に相談し、ご自身の雇用保険の加入資格について確認することをお勧めします。
誤った認識のまま放置しておくと、いざという時に失業給付が受けられないといったトラブルにつながる可能性があります。
ご自身の立場を正確に把握し、適切な手続きを行うことが重要です。
地方公務員の雇用保険と特殊な制度
国・都道府県・市区町村の公務員は、雇用保険の適用除外となります。
これは、公務員が民間の労働者とは異なる身分保障の制度を持っているためです。
公務員の身分は、法律によって手厚く保護されており、民間の雇用保険がカバーするような失業のリスクが低いとみなされています。
そのため、公務員は雇用保険料を支払うこともなく、雇用保険からの給付を受けることもありません。
しかし、公務員にも独自の退職手当制度や共済制度が整備されており、退職後の生活保障はこれらの制度によって賄われます。
例えば、地方公務員の場合、「地方公務員共済組合」に加入しており、退職時には勤続年数に応じた退職手当が支給されるのが一般的です。
この退職手当は、民間の退職金制度と雇用保険の失業給付を合わせたような機能を持つ、手厚い保障制度と言えます。
公務員が退職した場合、失業状態にあっても雇用保険の失業給付は支給されませんが、その代わりに退職手当が支給されるまでの間、給与の一部に相当する「失業者の退職手当」が支給される制度が存在する場合があります。
これらの制度は、公務員の安定した生活を支えるために設計されており、民間の雇用保険とは異なる形でのセーフティネットとして機能しています。
ご自身が公務員として退職を検討している場合は、所属している共済組合や人事担当部署に確認し、利用できる制度について詳しく把握しておくことが大切です。
まとめ
よくある質問
Q: 雇用保険の適用除外となるのはどのような場合ですか?
A: 一般的に、短期雇用者、日雇労働者、季節的事業に雇用される労働者、一定の基準を超える離職者、または国家公務員・地方公務員などが適用除外となることがあります。ただし、個別のケースによって判断が異なる場合があります。
Q: 雇用保険の「任意継続」とは何ですか?
A: 会社を退職した後も、一定の条件を満たせば、引き続き雇用保険の被保険者として保険給付を受けることができる制度です。原則として、退職後2年以内であれば任意継続が可能です。
Q: 雇用保険を「途中」で抜けることはできますか?
A: 原則として、被保険者資格は自動的に発生し、途中での脱退は認められません。ただし、適用除外に該当するようになった場合や、他の制度との兼ね合いで特別な手続きが必要になるケースもあります。
Q: 雇用保険の二重加入をしてしまった場合、罰則はありますか?
A: 雇用保険の二重加入は、不正受給とみなされる可能性があり、追徴金が課されたり、悪質な場合は罰則が科されることもあります。二重加入が判明した場合は、速やかにハローワークに届け出てください。
Q: 一人親方や取締役でも雇用保険に加入できますか?
A: 通常、一人親方や取締役は雇用保険の被保険者とはみなされませんが、「特別加入」制度を利用することで、労災保険とともに雇用保険に加入できる場合があります。ただし、条件や手続きは詳細に確認が必要です。