退職届を郵送する際の基本マナー

郵送が許される状況と基本的な考え方

退職届は、本来は会社へ直接手渡しするのが基本的なマナーです。しかし、遠方にお住まいの方や体調不良、やむを得ない事情で出社できない場合は、郵送での提出も可能です。

円満退職を目指すためにも、会社の就業規則を確認し、正しい手順とマナーを守って郵送することが非常に重要です。

会社への事前連絡の重要性

退職届を郵送する際は、必ず事前に直属の上司または人事担当者に連絡を入れましょう。

「郵送で提出させていただきます」と一言伝えることで、会社側も書類の受け取り準備ができます。無断で郵送すると、会社に不必要な手間をかけたり、トラブルの原因となる可能性があるので注意が必要です。

郵送時の「親展」と添え状のマナー

郵送用封筒の宛名の下には、「親展」と赤字で明記し、担当者以外に開封されないよう配慮することがマナーです。

また、何の書類を送ったかを伝える「添え状(送り状)」を同封しましょう。添え状には、送付物の概要、退職の経緯、退職日などを簡潔に記載し、丁寧な印象を与えることができます。

退職届の郵送に最適な封筒と折り方

退職届を入れる封筒の選び方と書き方

退職届を入れる封筒は、白色の無地で中身が透けない厚手のもの、または二重封筒を選びましょう。茶封筒は事務的な印象が強く、フォーマルな退職届には適しません。

郵便番号枠がないものがより丁寧ですが、あっても差し支えありません。用紙サイズに合わせ、B5なら長形4号、A4なら長形3号が一般的です。

表面には中央やや上に「退職届」と明記し、宛名は不要です。裏面には左下に所属部署名と氏名を記載し、黒色のボールペンか万年筆を使用します。

丁寧な退職届の折り方と封入方法

退職届の用紙は、文字が内側になるように「巻き三つ折り」にするのが一般的です。これは、受け取った人が書類を開いた際にスムーズに読める配慮です。

封筒へ入れる際は、用紙の右上が封筒の右上に来るように封入します。

郵送の場合は、封をしてから封じ目に「〆」マークを記載しましょう。手渡しの場合は封をしなくても問題ありません。

郵送用封筒の準備とマナー

退職届を入れた封筒は、さらに一回り大きい郵送用封筒に入れます。郵送用封筒の表面には、会社の住所、部署名、担当者名を正確に記載しましょう。担当者名宛の場合は「様」、部署宛の場合は「御中」を使用します。

裏面にはご自身の住所と氏名を忘れずに記載してください。郵送は、料金不足などのトラブルを避けるため、郵便局の窓口から送ることをおすすめします。確実に送付したことを証明したい場合は、内容証明郵便の利用も検討しましょう。

返信用封筒の必要性と入れ方

返信用封筒が必要なケースとは

退職に際して、会社から離職票や源泉徴収票など、ご自宅へ送付してもらう書類がある場合に返信用封筒が必要となります。

会社によっては返信用封筒の同封を求めている場合もあるため、事前に人事担当者や上司に確認しておくとスムーズです。退職後のやり取りが円滑に進むよう、会社側の手間を省く配慮となります。

返信用封筒の書き方と切手の準備

返信用封筒には、ご自身の郵便番号、住所、氏名を記載します。宛名の「行」や「宛」は二重線で消し、「様」に書き直しましょう。

切手は、返送される書類の重さを考慮して適切な金額のものを貼ります。離職票など複数の書類が同封される場合は、重さが増す可能性があるため、少し余裕を持った額面の切手を用意するか、郵便局で相談して過不足がないようにしましょう。

郵送用封筒への返信用封筒の入れ方

返信用封筒は、三つ折りにして退職届の入った封筒や添え状と一緒に、郵送用封筒に同封します。

封筒の中で折れたり、シワになったりしないように丁寧に折りたたみ、受け取る会社側が取り出しやすいように配慮して入れましょう。書類が複数になる場合は、クリップなどでまとめておくと親切です。

退職届と一緒に返却すべきものは?

会社からの貸与物のリストアップ

退職時には、会社から借りていたものを全て返却する必要があります。主な返却物は以下の通りです。

  • 健康保険被保険者証(保険証)
  • 社員証や社章
  • 名刺(会社支給分)
  • 会社の経費で購入した事務用品、書籍
  • 社外秘資料やデータ類
  • 会社のPCや携帯電話などの貸与品
  • 通勤定期券(会社負担分がある場合)

返却漏れがないよう、チェックリストを作成して確認すると良いでしょう。

返却物の原則と例外的な郵送対応

これらの返却物は、原則として退職日までに会社へ手渡しで返却するのがマナーです。最終出社日などに担当者に直接手渡しましょう。

ただし、やむを得ない事情で手渡しが難しい場合は、事前に会社に相談し、郵送での返却を許可してもらう必要があります。

郵送の場合は、宛先の間違いに注意し、何を送ったかを示す添え状を同封するとスムーズです。特に、保険証など重要な書類は、追跡可能な郵送方法を検討しましょう。

郵送時の梱包とセキュリティ対策

返却物を郵送する際は、破損や紛失を防ぐために適切な梱包を心がけましょう。精密機器(PC、携帯電話など)は緩衝材でしっかり保護し、資料などは折れないようにクリアファイルに入れると良いでしょう。

特に機密情報を含む資料や保険証などの貴重品は、封筒を二重にする、または特定記録郵便や簡易書留など、追跡サービス付きの郵送方法を利用して、確実に会社に届くように対策することが重要です。

退職届郵送時の注意点と郵便番号の書き方

料金不足を防ぐためのポイント

退職届、添え状、返信用封筒(切手貼付済みのもの)、その他同封物など、郵便物の重さや厚みによって郵便料金が変わります。

料金不足で会社に届かなかったり、会社側が不足分を負担することになったりすると、大変失礼にあたります。最も確実なのは、郵便局の窓口で計量してもらい、適切な料金の切手を貼ってもらうことです。

会社宛の郵便番号と宛名の書き方

郵送用封筒には、会社の郵便番号と住所を正確に記載しましょう。宛先は、部署名と担当者名を明記するのが丁寧です。例えば、「〇〇株式会社 人事部 〇〇様」のように記載します。

個人名が不明な場合は「〇〇株式会社 人事部御中」と記載します。郵便番号は間違いのないように、会社の公式ウェブサイトなどで確認しましょう。

確実に届けるための郵送方法

大切な退職届を確実に会社に届けるためには、普通郵便以外の郵送方法を検討することも重要です。

  • 特定記録郵便: 差出の記録が残り、追跡サービスで配達状況を確認できます。
  • 簡易書留: 損害賠償があり、受取人に対面で手渡しされるため、紛失のリスクが低いです。
  • 内容証明郵便: 送付した文書の内容と送付の事実を郵便局が公的に証明してくれるため、法的証拠として残せます。

これらのサービスを適切に利用し、安心して退職届を郵送しましょう。