【失業手当との違いも解説】求職者支援制度の給付金とは？

再就職やキャリアチェンジを考えているけれど、「生活費の心配がある」「スキルアップしたいけど費用が…」と不安を感じていませんか？

そんなあなたの強い味方となるのが、国の支援制度である「求職者支援制度」です。この制度は、特定の条件を満たせば、無料で職業訓練を受けられるだけでなく、生活費として給付金を受け取れる画期的な仕組みです。

この記事では、求職者支援制度の基本から、気になる給付金の詳細、失業手当との違い、そして制度を最大限に活用するためのコツまで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。あなたの未来を切り拓く第一歩を、ここから踏み出しましょう！

求職者支援制度とは？基本を徹底解説

目的と概要

「求職者支援制度」は、就職を希望する方が無料で職業訓練を受け、スキルアップを図りながら、生活費の支援として給付金を受け取れる国の制度です。

主に雇用保険（失業手当）を受給できない方を対象としていますが、一定の収入要件を満たせば、現在お仕事をしている在職者の方でも利用できるケースがあります。

この制度の最大の魅力は、「訓練費用が無料」である点と、「月額10万円の給付金」が支給される可能性がある点です。これにより、経済的な不安を軽減し、安心して再就職に向けた学習に集中できる環境が提供されます。

再就職や転職、スキルアップを目指す方にとって、非常に心強いサポートとなるでしょう。2023年4月1日以降には制度の一部が変更され、より多くの人が働きながら訓練を受けやすくなるなど、柔軟性が高まっています。

たとえば、事務職へのキャリアチェンジを目指す方が簿記の資格取得講座を無料で受講したり、IT業界への転職を目指す方がプログラミングスキルを習得したりする際に、この制度が活用されています。

職業訓練受講給付金の内訳

求職者支援制度の給付金は、主に以下の手当で構成されています。

• 職業訓練受講手当: 月額10万円
• 通所手当: 訓練施設までの交通費（上限あり）

さらに、特別な事情が認められた場合は、「寄宿手当」も支給されることがあります。これは、同居の配偶者などと別居して寄宿する場合に、月額10,700円が支給されるものです。

これらの手当は、訓練期間中の生活を安定させるための大切なサポートとなります。例えば、自宅から訓練施設まで電車で片道1時間かかる場合でも、通所手当で交通費の負担が軽減され、月10万円の受講手当で家賃や食費などの基本的な生活費を賄うことが可能です。

また、注目すべき点として、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で他の要件を満たす場合、「通所手当のみ」支給を受けられるケースもあります。これは、通常の給付金受給要件には満たないものの、訓練の受講を後押しするための配慮といえるでしょう。

利用できる訓練の種類

求職者支援制度で提供される職業訓練には、大きく分けて2つのコースがあります。

• 基礎コース: 多くの職場で求められる基本的なビジネスマナーやパソコンスキル（Word, Excelなど）、コミュニケーション能力といった汎用的なスキルを習得します。
  訓練期間は2〜6か月程度が一般的です。
  例えば、事務職未経験の方がPCスキルを身につけたい場合などに適しています。
• 実践コース: ITスキル、介護・医療事務、WEBデザイン、簿記、電気工事士など、特定分野の専門的なスキルや知識を習得します。
  こちらも訓練期間は2〜6か月程度が目安です。
  特定の業界への転職を目指す方や、専門性を高めたい方に人気があります。

これらの訓練は原則として受講料が無料ですが、テキスト代や、訓練期間中に任意で受験する資格試験の費用などは自己負担となりますので、事前に確認が必要です。

様々な分野のコースが全国のハローワークで提供されており、ご自身の興味や将来のキャリアプランに合わせて選択できるのが大きな特徴です。

求職者支援制度の対象者は？気になる条件をチェック

基本的な対象者要件

求職者支援制度の対象となるのは、原則として以下の「特定求職者」として認められる方です。

1. ハローワークに求職の申込みをしていること
2. 雇用保険の被保険者でない、または雇用保険の求職者給付を受給できない方
3. 労働の意思と能力があること
4. ハローワークが職業訓練などの支援を行う必要があると認めた方

具体的には、パートやアルバイトで雇用保険に加入していなかった方、自営業を廃業した方、雇用保険の給付が終了してしまった方などが該当します。

「労働の意思と能力があること」とは、就職したいという気持ちがあり、健康上の問題などで就職が困難な状態ではないことを指します。また、ハローワークが必要性を認めるかどうかが重要なポイントとなりますので、まずは積極的にハローワークで相談することが第一歩です。

この制度は、まさに「セーフティネット」としての役割も担っており、経済的な理由でスキルアップを諦めていた方々にも、再就職への道を開くチャンスを提供しています。

給付金を受け取るための詳細要件

求職者支援制度の対象者であることに加えて、職業訓練受講給付金を受け取るためには、以下の支給要件をすべて満たす必要があります。

これらの要件は、給付金が本当に困っている方々に届くようにするためのものです。特に「出席率8割以上」は非常に重要で、訓練への真剣な取り組みが求められます。病気や災害などやむを得ない理由での欠席は認められる場合もありますが、基本的には皆勤を目指す姿勢が大切です。

金融資産や不動産に関する要件も厳しく設定されており、これらをクリアすることで給付金が支給されます。ご自身の状況を正確に把握し、申請前にハローワークで相談することをおすすめします。

制度変更による対象範囲の拡大

2023年4月1日以降、求職者支援制度はさらに利用しやすくなるよう一部が変更されました。

特に重要な変更点として、働きながら訓練を受講する方への配慮が強化されたことが挙げられます。

これまで給付金は受けられないものの、訓練の受講自体は希望する、という方も少なくありませんでした。しかし、この変更により、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で他の要件を満たす場合は、「通所手当のみ」支給を受けられるようになりました。

これは、週20時間未満のパートタイムで働きながらスキルアップを目指したい方にとって、交通費の負担が軽減される非常に大きなメリットとなります。

例えば、日中に短時間勤務をしていて、夜間や週末に訓練を受けたいと考えている方も、この制度変更により、より気軽に職業訓練に挑戦できるようになりました。自身のキャリアプランに合わせ、柔軟な働き方と学び方を実現できる可能性が広がっています。

制度の詳細はハローワークで確認し、ご自身の状況に合わせた最適な活用方法を見つけましょう。

給付金について：失業手当（雇用保険）との違いとは

失業手当（雇用保険）との決定的な違い

「求職者支援制度の給付金」と「失業手当（雇用保険の基本手当）」は、どちらも失業期間中の生活を支援する制度ですが、その性質には決定的な違いがあります。

主な違いは、対象者が異なる点です。

• 失業手当（雇用保険の基本手当）: 雇用保険の被保険者であった方が、離職後に一定の条件（雇用保険への加入期間など）を満たした場合に支給されます。これは、在職中に支払っていた雇用保険料を原資とするものです。
• 求職者支援制度の職業訓練受講給付金: 雇用保険の受給資格がない方、または雇用保険の給付が終了してしまった方を主な対象としています。つまり、雇用保険に加入していなかったパート・アルバイトの方や、自営業の方、あるいは雇用保険の受給期間が終わってしまった方が、再就職に向けた訓練を受ける際に支援する制度です。

両者は全く別の制度であり、同時に受給することはできません。ご自身の雇用保険の加入状況を確認し、どちらの制度が適用されるかを見極めることが重要です。

給付金の併給に関する注意点

求職者支援制度の職業訓練受講給付金は、他の公的な給付金制度と同時に受け取ることができない場合があります。

例えば、「高等職業訓練促進給付金」など、一部の給付金とは併給できません。これは、複数の制度から二重に支援を受けることを避けるためです。

もし、他に公的な給付金を受給している、または受給を検討している場合は、必ずハローワークに相談し、併給が可能かどうかを確認してください。状況によっては、どちらか一方の制度を選択する必要が生じることもあります。

複雑なケースも考えられるため、自己判断せず、専門の職員に詳しく説明を受けることが最も確実です。これにより、後々のトラブルや予期せぬ不支給を避けることができます。

ご自身の状況を正確に伝え、最適な選択肢を見つけるためのサポートを求めることが賢明です。

どちらを選ぶべきか？判断のポイント

失業手当と求職者支援制度のどちらを利用すべきか迷った場合、判断のポイントは明確です。

1. 雇用保険の受給資格の有無:

   まず、ご自身に雇用保険の受給資格があるかどうかを確認しましょう。退職時に会社から渡される離職票や、ハローワークで確認することができます。もし受給資格があり、失業手当の支給対象となる場合は、失業手当を受給するのが一般的です。

2. 訓練受講の必要性:

   「スキルアップのために職業訓練を受けたい」という明確な意思があるかどうかです。求職者支援制度は、職業訓練の受講が前提となるため、訓練を通して専門スキルを習得したい方に向いています。失業手当も訓練受講は可能ですが、訓練に特化した給付金制度ではありません。

3. 給付金額と受給期間:

   失業手当の支給額や期間は、在職中の給与や加入期間によって異なります。一方、求職者支援制度の給付金は月額10万円（通所手当等を除く）と固定されており、訓練期間中支給されます。どちらの制度がご自身の生活状況により適しているかを比較検討することも重要です。

最終的な判断は、ご自身の状況（雇用保険の加入状況、生活費の必要性、スキルアップの目標など）と、ハローワークでの専門家によるアドバイスを総合的に考慮して行うのが最善です。

まずはハローワークを訪れ、ご自身の現状を伝え、どちらの制度が適切かを相談することから始めましょう。

求職者支援制度はどこで？東京・大阪・神奈川の活用法

ハローワークでの相談・手続き

求職者支援制度を利用するための最初のステップは、お住まいの地域を管轄するハローワークで相談することです。東京、大阪、神奈川といった大都市圏はもちろん、全国各地のハローワークでこの制度に関する情報提供と手続きが行われています。

ハローワークでは、まず求職の申込みを行い、その上で求職者支援制度について詳しく説明を受けることができます。ご自身の現在の状況や希望する訓練内容、今後のキャリアプランなどを具体的に相談することで、制度の利用可否や最適な訓練コースの提案を受けることができます。

具体的な手続きの流れは以下の通りです。

1. ハローワークで求職の申込みと制度の説明を受ける。
2. 希望する職業訓練コースを選び、申し込みと給付金の事前審査を申請。
3. 訓練実施機関による選考（面接・筆記試験など）を受ける。
4. 合格後、ハローワークで就職支援計画を作成。
5. 訓練受講開始後、ハローワークの指示に従い定期的に来所し、職業相談と給付金の申請を行う。

これらの手続きは、原則としてご本人がハローワークの窓口で行う必要があります。不明な点があれば、その都度職員に質問し、疑問を解消しながら進めるようにしましょう。

地域の訓練コースの探し方

求職者支援制度で提供される訓練コースは多岐にわたり、地域によって実施されている内容も異なります。東京、大阪、神奈川のような人口の多い地域では、特に多様なコースが提供されている傾向にあります。

ご自身の居住地の訓練コースを探すには、主に以下の方法があります。

• ハローワークの窓口:

  各ハローワークには、その地域で実施されている訓練コースのパンフレットや一覧が用意されています。直接窓口で相談しながら、ご自身の希望に合ったコースを探すのが最も確実です。

• ハローワークインターネットサービス:

  厚生労働省が運営する「ハローワークインターネットサービス」のウェブサイトでは、全国の職業訓練情報を検索できます。地域や訓練分野、期間などの条件を指定して絞り込むことが可能です。自宅でじっくり情報収集したい場合に便利です。

訓練コースはITスキル（プログラミング、WEBデザイン）、介護・医療事務、簿記、電気・機械関連、建築関連など、非常に幅広い分野にわたります。

希望するコースが見つかったら、訓練実施機関の説明会に参加したり、見学を申し込んだりして、実際の訓練内容や雰囲気を確認することをおすすめします。これにより、ミスマッチを防ぎ、より効果的なスキルアップに繋げることができます。

オンラインでの情報収集と相談活用

現代では、オンラインを活用した情報収集も非常に有効な手段となっています。特に東京、大阪、神奈川のようにアクセスが容易な地域であっても、まずはオンラインで全体像を把握することから始めるのが効率的です。

厚生労働省のウェブサイトやハローワークインターネットサービスには、求職者支援制度に関する最新情報や詳細なガイドラインが掲載されています。これらの情報を事前に確認しておくことで、ハローワークでの相談がスムーズに進みます。

具体的にオンラインでできることとしては、

• 制度の概要や給付金要件の確認
• 全国の職業訓練コースの検索と詳細情報の閲覧
• 必要書類のダウンロード（一部）

などが挙げられます。

ただし、最終的な求職の申込みや給付金の申請、就職支援計画の作成などは、必ずハローワークの窓口で行う必要があります。オンラインでの情報はあくまで補助的なものとして活用し、疑問点があれば遠慮なくハローワークの職員に直接質問するようにしましょう。オンラインで得た情報を元に、ご自身の具体的な状況を整理してから相談に臨むと、より有意義な時間となるはずです。

ハローワークで求職者支援制度を最大限に活用するコツ

ハローワークでの相談時のポイント

求職者支援制度を最大限に活用するためには、ハローワークでの相談が鍵となります。ただ制度の説明を聞くだけでなく、以下のポイントを意識して相談に臨みましょう。

• 自身の状況を具体的に伝える:

  これまでの職務経歴、身につけたいスキル、希望する職種、再就職への希望時期、給付金の必要性など、自身の状況や目標を具体的に伝えることで、担当職員も的確なアドバイスや訓練コースの提案をしやすくなります。あいまいな表現は避け、遠慮せずに疑問や不安を打ち明けることが大切です。

• 積極的に質問する:

  制度の要件、給付金の支給時期、訓練内容の詳細、選考のポイントなど、少しでも気になることがあれば積極的に質問しましょう。特に給付金の支給要件は細かく設定されているため、ご自身のケースで適用されるか否かを具体的に確認することが重要です。

• 複数回相談する:

  一度の相談ですべてを理解し、判断するのは難しいものです。疑問点が解消されない場合や、新たな不明点が出てきた場合は、遠慮なく複数回相談に訪れましょう。担当者が変わることで、異なる視点からのアドバイスが得られることもあります。

ハローワークの職員は、あなたの再就職をサポートするプロフェッショナルです。信頼関係を築き、二人三脚で再就職への道を切り拓く意識で臨みましょう。

訓練コース選びの秘訣

数多くある職業訓練コースの中から、ご自身に最適なものを選ぶことは、その後のキャリア形成に大きく影響します。後悔しないコース選びのために、以下の秘訣を押さえておきましょう。

• 将来のキャリアプランに合致しているか:

  単に「人気があるから」「なんとなく面白そうだから」という理由で選ぶのではなく、「この訓練で身につけたスキルを、将来どのような仕事で活かしたいか」を具体的にイメージすることが重要です。長期的な視点で、自身のキャリアプランと訓練内容が一致しているかを確認しましょう。

• 訓練内容と就職実績を確認する:

  訓練のカリキュラムや期間だけでなく、過去の修了生の就職実績も重要な判断材料です。可能であれば、説明会などで訓練実施機関の担当者に、どのような企業への就職が多いのか、訓練後のサポート体制はどうかなどを詳しく聞いてみましょう。

• 見学や説明会に積極的に参加する:

  テキスト情報だけでは分からない、訓練施設の雰囲気、講師の教え方、受講生の様子などを実際に体験できる貴重な機会です。複数のコースで迷っている場合は、それぞれ説明会に参加し、比較検討することをおすすめします。そこで筆記試験や面接の傾向を掴めることもあります。

訓練はあくまで「手段」であり、「目的」は再就職やキャリアアップです。この視点を忘れずに、ご自身の目標達成に最も貢献するコースを選びましょう。

給付金受給中の義務と注意点

職業訓練受講給付金は、訓練期間中の生活を支える重要な制度ですが、受給中にはいくつかの義務と注意点があります。これらを怠ると、給付金が停止されたり、返還を求められたりする可能性があるため、十分に理解しておく必要があります。

• 訓練への出席義務:

  最も重要なのは、各訓練期間の8割以上の出席が義務付けられていることです。やむを得ない理由での欠席は認められる場合がありますが、無断欠席や正当な理由のない欠席が続くと、給付金の支給が停止されます。訓練はあなたの未来への投資であることを忘れず、真剣に取り組みましょう。

• 定期的なハローワークへの来所と職業相談:

  給付金の支給を受けるためには、ハローワークが指定する日に定期的に来所し、職業相談を受ける必要があります。これは、あなたが訓練終了後にスムーズに就職活動できるよう、ハローワークが継続的にサポートを行うためのものです。来所を怠ると、給付金が不支給となる可能性があります。

• 不正受給の禁止:

  虚偽の申告や報告により給付金を不正に受給した場合、給付金の返還に加え、最大で2倍の金額を納付する命令が下されるなど、厳しいペナルティが科せられます。過去3年以内に不正受給歴がある場合は、給付金の対象外となります。

• 過去の受給制限:

  一度給付金を受けた場合、次回の受給までには原則として6年以上の期間が必要となる場合があります。この点も踏まえ、慎重に制度の利用を検討しましょう。

これらの義務と注意点を守り、責任を持って訓練に取り組み、給付金を有効活用して、新しいキャリアの一歩を踏み出してください。詳細については、必ずハローワークの職員に確認しましょう。

求職者支援制度は、スキルアップと再就職を強力に後押ししてくれる、まさに「未来への投資」とも言える国の制度です。

雇用保険の受給資格がない方や、働きながらスキルアップを目指したい方にとって、この制度は大きなチャンスとなるでしょう。

ご紹介した情報を参考に、まずは最寄りのハローワークで相談し、ご自身の可能性を広げる一歩を踏み出してみてください。

あなたの新しい挑戦を、求職者支援制度が力強くサポートしてくれるはずです！