「出張」とは?基本的な意味をおさらい

「出張」の語源と現代的な意味合い

「出張」とは、元来、公務員が職務のために旅行することを指しました。現在では、業務上の必要性から、普段勤務している場所を離れて一時的に他の場所へ行くことを意味します。

現代のビジネスシーンでは、単なる移動に留まらず、顧客との関係構築、情報収集、新規開拓といった重要な役割を担う活動となっています。そのため、その意味合いやニュアンスは状況によって様々です。

なぜ「出張」が必要とされるのか?

オンライン会議が普及した現在でも、対面でのコミュニケーションが不可欠な場面は多く存在します。特に、顧客との信頼関係構築やデリケートな交渉、現地での具体的な状況把握には、直接会うことの重要性が再認識されています。

国内出張の主な目的としては、「得意先との打ち合わせ」(49.5%)「現地視察・調査」(35.2%)が上位を占めており、対面でしか得られない情報や進捗が求められていることがわかります。

「出張」の種類:国内と海外の違い

出張は移動範囲によって、大きく「国内出張」「海外出張」に分けられます。新型コロナウイルスの影響で一時は大幅に減少しましたが、徐々に再開の動きが見られます。

2021年3月の調査では、国内出張は58%の企業が再開していたのに対し、海外出張は10%に留まっていました。しかし、対面での会議が効果的と考える企業が多く、海外出張の再開を計画する企業も増加傾向にあります。

「出張」の類語・類義語:ビジネスシーンで使い分ける言葉たち

長期滞在を意味する「赴任」「出向」

「出張」と似た言葉ですが、期間や目的が異なるのが「赴任(ふにん)」「出向(しゅっこう)」です。赴任は、一定期間または恒久的にある土地に赴いて勤務することを指し、転勤や海外赴任などが該当します。

一方、出向は、所属する会社から他の会社へ一時的に勤務することを意味します。これらは、一時的な業務遂行を目的とする出張とは、滞在期間や勤務形態において明確な違いがあります。

調査・視察目的の「視察」と「出張旅行」

「視察(しさつ)」は、外部の状況や視察先を直接見ること、あるいは調査を目的とした旅行を指します。一方、「出張旅行」は、文字通り業務を目的とした旅行全般を意味し、HISでは法人顧客向けの出張手配を「出張(業務渡航)」として提供しています。

これらの言葉は、特に業務内容が調査や情報収集に重きを置く場合に使い分けられることが多いです。

進化する「出張」の形:「ブリージャー」と「ワーケーション」

近年の働き方の多様化に伴い、「出張」の概念も進化しています。その代表例が「ブリージャー(Bleisure)」「ワーケーション」です。ブリージャーは「ビジネス(Business)」と「レジャー(Leisure)」を組み合わせた造語で、業務目的の旅行の前後に休暇を組み合わせることを指します。

ワーケーションは、休暇を取りつつリゾート地などの好きな場所で仕事をする働き方です。これらは、従業員満足度の向上や生産性向上を目指し、新しいライフワークバランスを実現する手段として注目を集めています。

「出張」と「外出」・「外勤」の違いを明確に

「外出」と「外勤」の定義

「外出」は、一時的にオフィスを離れる行為全般を指し、私用での外出も含まれる広範な言葉です。一方、「外勤」は勤務時間中にオフィス外で業務を行うことを意味し、通常はオフィスから比較的近い場所で、日帰りで行われる業務が中心となります。

これらに対し、「出張」は一般的にオフィスから離れた場所へ行くことを指し、宿泊を伴う場合も多いという点で明確な違いがあります。

距離や期間で異なる「出張」との境界線

「出張」と「外出」「外勤」の最も大きな違いは、距離と期間です。出張は通常、交通機関を利用して遠方へ移動し、場合によっては宿泊を伴います。対して外出や外勤は、徒歩や短時間の交通機関利用で済む範囲の、日帰りでの業務がほとんどです。

企業の「出張規定」では、この距離や期間、宿泊の有無などによって、どれを出張と見なすかが細かく定められています。

費用の有無と規定による違い

出張は、交通費、宿泊費、日当などの費用が発生し、これらは企業の「出張規定」に基づいて精算されます。一方、外出や外勤では、交通費以外の費用が発生することは比較的少ないでしょう。

2014年の調査では、交通費・宿泊費を除いた1回あたりの平均出張経費は約14,094円でした。出張規定は、これらの費用精算の透明性を保つ上で非常に重要です。

「出張」の英語表現と、その他の関連用語

「出張」を表す英語表現

「出張」を表す最も一般的な英語表現は「business trip」です。例えば、「I’m on a business trip.(出張中です)」や「I need to go on a business trip next week.(来週出張に行かなければなりません)」のように使われます。

また、よりフォーマルな文脈では「official visit」や「business travel」といった表現も使われることがあります。

出張に関するビジネス用語:規定と経費

ビジネスシーンでは、「出張」に関連する特定の用語が用いられます。その代表が「出張規定」「出張経費」です。出張規定は、企業が定める出張に関するルールで、宿泊費の上限や旅費の精算方法などが具体的に定められています。

出張経費は、出張にかかる費用全般を指し、交通費や宿泊費のほか、食費や雑費なども含まれる場合があります。これらを適切に管理することは、企業の財務健全性にとって不可欠です。

新しい働き方に関連する用語

前述の「ブリージャー(Bleisure)」「ワーケーション(Workation)」も、現代の出張に関連する重要な用語です。これらは英語圏でもそのままの形で使われることが多く、世界的な働き方のトレンドを反映しています。

これらの言葉は、仕事とプライベートの境界が曖昧になる現代において、従業員がより柔軟に働き、かつ満足度を高めるための企業戦略の一環として注目されています。

出張に関する疑問を解消!よくある質問

Q1: コロナ禍で出張はどのくらい減りましたか?

新型コロナウイルスの影響により、出張機会は一時的に大幅に減少しました。2021年の調査では、国内出張は78.7%、海外出張は95.3%の企業で「減っている」という結果が出ました。

しかし、2023年度の調査では国内出張が「減った」企業は50.9%となり、減少傾向は緩やかになっています。個人の出張意向も「行きたくない」が57.1%とまだ多いものの、今後は回復が期待されます。

Q2: 出張費の平均はどのくらいですか?

出張にかかる費用は、企業規模や役職、出張先によって大きく異なりますが、2014年の調査によると、交通費・宿泊費を除いた1回あたりの平均経費は約14,094円でした。

この費用には、飲食費や通信費、手土産代などが含まれることが多いです。多くの企業では、出張規定によってこれらの費用の支給基準や上限が定められています。

Q3: 今後の出張はどうなる?新しい出張の形とは?

オンラインツールの進化で出張の必要性は見直されましたが、対面での商談や関係構築の重要性は依然として高いです。そのため、海外出張の再開を計画する企業も増え、出張は今後もビジネスの重要な要素であり続けるでしょう。

今後は、業務の前後に休暇を組み合わせる「ブリージャー」や、リゾート地で仕事を行う「ワーケーション」など、より柔軟で個人に合わせた新しい出張の形が普及していくと予想されます。