概要: 会社を退職する際に必要となる離職票。この重要な書類は誰が発行し、どのように受け取るのか、疑問に思っていませんか?この記事では、離職票の発行元から受け取り方、さらには提出先まで、会社員が知っておくべき手続きと書類について詳しく解説します。
離職票は誰が発行?会社員が知っておくべき手続きと書類
会社を退職する際に耳にする「離職票」。失業保険(基本手当)の受給申請に欠かせない重要な書類ですが、「誰が発行するの?」「いつ、どこからもらえるの?」といった疑問を抱く方も少なくありません。
このブログ記事では、離職票の基本的な情報から、発行の流れ、種類、そして失業保険の受給条件まで、会社員が知っておくべきポイントを詳しく解説します。スムーズな手続きのために、ぜひ参考にしてください。
離職票は誰が発行・作成する?事業主の役割とは
誰が発行するの?ハローワークの役割
まず押さえておきたいのは、「離職票」は会社ではなく、ハローワーク(公共職業安定所)が発行する公的な書類であるという点です。会社は離職票を直接作成したり、発行したりする権限はありません。
会社が退職者から離職票の発行希望があった場合に、ハローワークへ所定の書類を提出し、その手続きを経て初めてハローワークから離職票が発行される、という流れになります。
ハローワークは、提出された情報に基づいて離職理由や賃金状況を審査し、失業給付の公正な支給を判断する役割を担っています。
事業主が果たすべき手続きと義務
会社(事業主)の役割は、退職者からの発行依頼を受けて、ハローワークへ必要な書類を提出することです。
具体的には、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」の2つの書類を作成し、退職日の翌日から10日以内に管轄のハローワークへ提出する義務があります。
離職証明書の作成には、退職までの賃金台帳、出勤簿、就業規則など、離職理由を確認できる客観的な資料が必要となり、これらを正確に準備することが求められます。
なお、失業保険を受給しない場合や、すぐに転職先が決まっている場合は離職票は不要ですが、59歳以上の退職者には本人の希望にかかわらず交付が義務付けられています。
なぜ会社が直接発行できないのか
会社が直接離職票を発行できないのは、雇用保険制度の公正な運用を保つためです。
離職票には、離職理由や離職前の賃金状況など、失業給付の支給額や受給期間を決定する上で極めて重要な情報が記載されます。
これらの情報が正確かつ客観的であることを保証するためには、会社と退職者の間に立つ第三者機関であるハローワークが、書類の内容を審査・確認する必要があるのです。これにより、不当な給付や不正受給を防ぎ、制度の信頼性を維持しています。
離職票は誰からもらう?会社員が受け取るタイミング
会社を通じて退職者へ届く流れ
ハローワークで離職票が発行された後、その書類はまず会社に郵送されます。その後、会社は受け取った離職票を、退職者の手元に郵送などで届けます。
つまり、最終的に離職票を退職者に渡すのは会社であり、退職者は会社から離職票を受け取ることになります。
会社は退職者の住所を把握し、確実に郵送する責任がありますので、退職時には住所変更がないかなども確認しておきましょう。
一般的な受け取り時期と遅延の可能性
離職票が退職者の手元に届くのは、退職日から10日〜2週間程度が一般的です。
この期間は、会社がハローワークへ書類を提出するまでの期間(退職日の翌日から10日以内)と、ハローワークでの処理期間、そして会社から退職者への郵送期間が含まれます。
ただし、会社の繁忙期や、ハローワークの手続き状況、書類に不備があった場合などには、1ヶ月程度かかるケースもあります。もし一般的な期間を過ぎても届かない場合は、まず会社の人事担当部署に確認してみるのが良いでしょう。
59歳以上の退職者の特例
前述の通り、59歳以上の退職者については、本人の希望にかかわらず会社に離職票の交付義務があります。
これは、高年齢で退職した場合に支給される「高年齢求職者給付金」などの制度が関係しているためです。
たとえすぐに再就職が決まっている場合でも、念のため離職票を受け取っておくことで、将来的な万が一の事態に備えたり、手続きがスムーズに進んだりする可能性があります。会社側もこの義務を認識しているはずですが、もし交付されない場合は確認を求めるようにしましょう。
離職票はどんな紙?ダウンロードや自分で申請できる?
2種類の離職票の役割と内容
離職票は、実は以下の2種類の書類で構成されています。
- 雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1):
これは雇用保険の資格喪失を通知する書類で、退職者の基本情報や事業所の情報などが記載されています。
ハローワークで失業給付の申請をする際に、給付金の振込先などを記入するOCR用紙としても使用されます。
- 雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2):
これは会社がハローワークに提出した離職証明書の複写であり、離職理由や離職前の賃金状況(過去6ヶ月分の給与額など)が詳細に記載されています。
失業給付の支給額や受給期間、そして給付制限期間の有無を決定する上で、最も重要な情報が詰まった書類と言えるでしょう。
この2枚が揃って初めて「離職票」として機能しますので、どちらか一方だけでは手続きを進めることができません。
自分でダウンロードや直接申請は可能か?
結論から言うと、退職者が自分で離職票をダウンロードしたり、直接ハローワークに申請して発行してもらったりすることはできません。
離職票は、会社がハローワークへ提出する「雇用保険被保険者離職証明書」の内容に基づいて発行されるため、会社を介した手続きが必須となります。
会社がこの手続きを行わない限り、ハローワークから離職票が発行されることはありませんので、必ず会社側に適切な対応を依頼する必要があります。
マイナポータルでの受け取り:未来の選択肢
現時点では会社を介した手続きが原則ですが、将来的な利便性向上への動きも進んでいます。
参考情報にもある通り、2025年1月からは、マイナポータルで離職票を直接受け取れるサービスが開始されています。
これにより、郵送を待つことなくオンラインで確認・利用できるようになるため、手続きのスピードアップや紛失リスクの軽減が期待されます。利用にはマイナンバーカードが必要となるため、今のうちに準備をしておくと良いでしょう。
離職票の提出先と受け取り場所:どこから届く?
会社がハローワークへ提出する書類
会社が退職者のために離職票を発行してもらう際、ハローワークに提出するのは「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」の2種類の書類です。
これらの書類は、退職日の翌日から10日以内に、会社の所在地を管轄するハローワークへ提出されます。
会社はこれらの提出を怠ると、退職者が失業保険の申請ができなくなり、重大な影響を与えることになります。提出期限を厳守する義務があることを会社側も認識しています。
退職者が離職票を提出する場所
退職者が会社から離職票を受け取った後、失業保険(基本手当)の受給を希望する場合は、ご自身の住所地を管轄するハローワークへ離職票を持参し、提出することになります。
この際、離職票だけでなく、マイナンバーカードや顔写真、身元確認書類、印鑑、預金通帳なども必要となりますので、事前にハローワークのウェブサイトなどで確認しておきましょう。
ハローワークでは、まず求職の申し込みを行い、その後、離職票を提出して失業給付の申請手続きを進めます。
失業保険受給の要件と離職票の重要性
離職票は、失業保険(基本手当)の受給資格があることを証明する、極めて重要な書類です。失業保険を受け取るためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 就職しようとする意思と能力があること:積極的に就職活動を行っているにもかかわらず、職に就けない状態であること。
- 雇用保険に一定期間加入していること:
- 自己都合退職の場合:離職日以前2年間で、被保険者期間が通算12ヶ月以上。
- 会社都合退職(特定受給資格者・特定理由離職者)の場合:離職日以前1年間で、被保険者期間が通算6ヶ月以上。
離職票-2に記載された離職理由や賃金状況、雇用保険の加入期間が、これらの条件を満たしているかをハローワークが確認し、支給額(離職前の給与の50〜80%が目安)や受給期間を決定します。
離職票の出し方と注意点:スムーズな手続きのために
離職票発行依頼のタイミングと伝え方
退職の意向を会社に伝える際、同時に離職票の発行希望も併せて伝えておくのが最もスムーズです。
口頭だけでなく、可能であれば退職届や退職に関する合意書などに「離職票の発行を希望する」旨を記載するか、メールなどの記録が残る形で依頼することをお勧めします。
これにより、会社側も手続きを滞りなく進める準備ができますし、万が一のトラブルの際に証拠として残ります。
もしすぐに転職先が決まっているなど、失業保険の受給を希望しない場合は、離職票は不要である旨を会社に伝えても問題ありません。
離職票が届かない場合の対応策
一般的な期間(退職日から10日〜2週間)を過ぎても離職票が届かない場合は、まず会社の人事担当者や総務部に連絡を取り、進捗状況を確認しましょう。
会社が書類提出を忘れている、あるいは遅れている可能性も考えられます。連絡しても対応してもらえない場合や、会社が倒産して連絡が取れないといった場合は、最終手段としてご自身で居住地を管轄するハローワークに直接相談することができます。
その際、会社名、所在地、退職日などの情報が必要になりますので、事前に準備しておくと良いでしょう。ハローワークが会社に督促し、手続きを進めてくれることがあります。
紛失・汚損時の再発行手続き
「せっかく届いた離職票を紛失してしまった」「誤って汚してしまった」という場合でも、ご安心ください。
離職票はハローワークで再発行の手続きが可能です。再発行の手続きは、居住地を管轄するハローワークの窓口で行うことができます。
一般的には、身分証明書や印鑑、そしてマイナンバーが確認できる書類などが必要となりますので、再発行を希望する際は、事前にハローワークに問い合わせて必要書類を確認することをお勧めします。
失業保険の申請期限もありますので、紛失に気づいたら早めに手続きを行いましょう。
まとめ
よくある質問
Q: 離職票は誰が発行しますか?
A: 離職票は、退職する会社の事業主(雇用主)が発行します。会社は、従業員が離職した際にハローワークへ届け出る義務があります。
Q: 離職票は誰にもらう(誰が書く)ものですか?
A: 離職票は、事業主(会社)が作成し、従業員(あなた)に交付するものです。会社が書類を作成し、あなたに渡す形になります。
Q: 離職票はどこでもらえますか?
A: 離職票は、退職する会社から直接受け取ります。退職後、会社がハローワークに手続きを行った後、あなたに郵送されたり、手渡しされたりします。
Q: 離職票はどんな紙ですか?
A: 離職票には、一般的に「雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1)」と「雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2)」の2種類があります。失業給付の振込先情報などが記載されています。
Q: 離職票を自分でダウンロードして申請できますか?
A: 離職票は、会社が作成・発行する書類なので、原則として自分でダウンロードして申請することはできません。会社から受け取った離職票をハローワークに提出して手続きを行います。