離職票の書き方:記入例から注意点まで徹底解説!

会社を退職した後に失業手当(基本手当)の受給を希望する際、なくてはならないのが「離職票」です。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といい、実は「離職票-1」と「離職票-2」の2種類で構成されています。

このブログ記事では、離職票の基本的な知識から具体的な記入方法、よくある疑問、そして提出時の注意点まで、あなたの疑問を解消するために徹底的に解説していきます。スムーズな手続きのために、ぜひ最後までお読みください。

離職票とは?発行されるまでの流れ

離職票の基本と種類

離職票とは、会社を退職した後に失業手当(基本手当)の受給を希望する際に必要となる公的な書類です。雇用保険の加入期間や離職理由、退職前の賃金状況などが記載されており、ハローワークで失業手当の申請を行う際に提出が義務付けられています。

離職票は、「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」の2種類で構成されます。離職票-1は主に退職者の氏名、住所、失業手当の振込先口座などを記載する書類で、離職票-2は会社が離職理由や賃金支払状況などを詳細に記載する、より重要な書類です。

ただし、すべての方が離職票を必要とするわけではありません。例えば、すでに次の転職先が決まっていて失業手当を受給する予定がない場合や、そもそも失業手当の受給を希望しない場合は、離職票の発行は不要となります。

発行までのプロセスと期間

離職票は、原則として事業主(会社)が作成し、ハローワークに提出する書類です。退職者本人が記入する欄もありますが、大部分は会社が作成します。

事業主には、従業員が雇用保険の資格を喪失した日の翌日から10日以内(実質的には退職日の翌々日から10日以内)に、関連書類(雇用保険被保険者資格喪失届および雇用保険被保険者離職証明書)をハローワークに提出する義務があります。この提出が遅れると、退職者への離職票交付も遅れてしまいます。

会社がこれらの書類をハローワークに提出した後、ハローワークが内容を確認し、正式な離職票を発行します。この離職票が会社を経由して退職者の手元に届くまでは、通常、退職日から10~14日後(約2週間)かかります。なお、2025年1月からは、マイナポータルを通じて離職票の電子交付も可能になる予定です。

なぜ離職票が必要なのか?その重要性

離職票が失業手当の受給に不可欠なのは、その内容が受給資格の有無、支給額、そして支給期間を決定するための重要な情報源となるためです。

特に「離職票-2」には、あなたの退職理由(自己都合か会社都合か、契約期間満了かなど)や、退職前の賃金支払状況が詳細に記載されます。これらの情報は、失業手当の給付制限期間の有無や、1日あたりの支給額、さらには支給される日数を左右する極めて重要な項目です。

もし離職票の内容に誤りがあったり、事実と異なる記載があったりすると、失業手当の受給が遅れたり、想定よりも少ない金額になったりする可能性があります。そのため、離職票が手元に届いたら、記載内容を細部までしっかりと確認することが非常に大切です。

離職票の記入項目と基本的な書き方

離職票-1(記載内容と役割)

「雇用保険被保険者離職票-1」は、失業手当(基本手当)の給付申請を行う際に、退職者本人が主に記入する部分が多い書類です。

ここには、あなたの氏名、住所、生年月日、電話番号、そしてマイナンバーといった基本情報の記入欄があります。また、失業手当が支給される際の振込先金融機関口座情報を記入する重要な欄も設けられています。

ハローワークに提出する際には、本人確認書類やマイナンバー確認書類、そして印鑑などと合わせて提出することになります。正確な情報を記入し、記入漏れがないように注意しましょう。

離職票-2(特に重要な項目とその意味)

「雇用保険被保険者離職票-2」は、通称「離職証明書」とも呼ばれ、事業主があなたの雇用保険資格喪失の手続きと同時に作成し、ハローワークに提出する最も重要な書類です。ここには、あなたの離職理由賃金支払状況が詳細に記載されます。

記載される「賃金」は、月額基本給だけでなく、家族手当や残業手当など、労働の対価として支払われるすべての賃金が対象となります。ただし、賞与や3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:年2回の賞与)は算定対象から除外されます。

「離職理由」は、失業手当の給付制限期間や支給日数に直結するため、非常に重要です。自己都合、会社都合、契約期間満了、定年退職など、その区分によって受給条件が大きく変わります。また、「賃金支払基礎日数」は、月11日以上の勤務がカウント対象となり、欠勤による減額があった場合は、控除後の賃金に対応する日数を記載します。

退職者本人が確認・記入すべき箇所

離職票が手元に届いたら、まず「離職票-1」に記載されているあなたの氏名、住所、生年月日などの基本情報に間違いがないか確認しましょう。失業手当の振込先口座情報も、後で自分で記入することになりますが、間違いのないように正確に準備しておく必要があります。

そして、「離職票-2」では、特に会社が記載した離職理由と賃金情報を慎重に確認することが重要です。給与明細などと照らし合わせ、賃金が正確に記載されているか、離職理由が事実と合致しているかを確認してください。

もし会社が記載した離職理由に異議がある場合は、離職票-2の所定の欄にその旨をチェックし、具体的な事情を詳細に記載する必要があります。この記入は、あなたの失業手当の受給条件に大きく影響するため、曖昧にせず、事実に基づいて明確に記述することが求められます。

【シーン別】離職票の記入例:会社都合・契約期間満了・欠勤・休職

会社都合による離職の場合

会社都合による離職とは、倒産、解雇、事業所の移転、希望退職者の募集など、会社側の都合で従業員が退職を余儀なくされたケースを指します。

この場合、離職者は「特定受給資格者」と認定され、失業手当の給付制限期間(通常2~3ヶ月)なしで、すぐに手当の受給を開始できるメリットがあります。また、支給される期間も、自己都合退職者に比べて長くなる場合があります。

離職票-2の離職理由欄には、「解雇」「事業主の都合による退職」など、具体的な会社都合の理由が記載されます。もし会社都合であるにもかかわらず、自己都合と記載されていた場合は、ハローワークに異議申し立てを行う必要があります。その際には、会社都合であることを証明できる書類(解雇通知書など)があると、手続きがスムーズに進みます。

契約期間満了による離職の場合

有期雇用契約(契約社員、派遣社員など)で働いていた方が、契約期間の満了により退職する場合も、離職理由の記載に注意が必要です。

原則として、契約更新の希望があったにもかかわらず更新されなかった場合や、やむを得ない理由で契約更新を希望しなかった場合などは、「特定理由離職者」と認定されることがあります。特定理由離職者は、会社都合退職者と同様に、失業手当の給付制限期間が適用されないケースが多いです。

離職票-2の離職理由欄には、「労働契約期間満了による離職」と記載され、その下に契約更新の有無や希望に関する会社の判断が記されます。もし契約更新の希望があったことを会社が異なる内容で記載している場合は、ハローワークへ申し出て、契約書の写しや会社とのやり取りの記録などを提示して事実を説明しましょう。

欠勤・休職期間がある場合の注意点

退職前の期間に、病気や怪我、個人的な事情などで欠勤や休職をしていた場合、離職票の賃金計算に影響が出ることがあります。

離職票-2には、退職前の約1年間の賃金情報と、それに対応する賃金支払基礎日数が記載されます。賃金支払基礎日数は、原則として月11日以上の勤務がカウント対象となります。

欠勤により賃金が減額された月や、休職期間中で賃金が全く支払われなかった月は、失業手当の算定基礎となる期間や賃金に影響を与える可能性があります。参考情報にあるように「欠勤による減額があった場合は、控除後の賃金に対応する日数を記載します」とされており、賃金が少ない期間が続く場合は、受給できる期間や金額が少なくなることも考えられます。

もし長期の休職をしていた場合は、失業手当の受給期間を延長する手続きも可能です。ハローワークに相談し、適切な手続きについてアドバイスを受けましょう。

離職票でよくある疑問:鉛筆?ボールペン?押印は必要?

筆記用具の種類と押印の要否

離職票は公的な書類であるため、記入には黒のボールペンを使用するのが原則です。鉛筆や摩擦で消えるボールペンでの記入は避けましょう。万が一、記入を間違えてしまった場合は、修正液や修正テープを使わず、二重線で訂正し、その上から訂正印を押すか、隣に正しい内容を追記するようにしてください。

かつては公的書類に押印が必要な場面が多くありましたが、現在は行政手続きのデジタル化や簡素化に伴い、離職票においても基本的に押印は不要となっています。退職者本人の署名があれば十分とされています。

ただし、会社によっては慣例で押印を求めるケースも稀にありますので、心配な場合は事前に会社やハローワークに確認しておくと安心です。

離職票の再発行と失業手当の受給期間

「離職票をなくしてしまった!」と焦る必要はありません。離職票は、紛失や破損した場合でも再発行が可能です。

再発行を希望する場合は、まずは退職した会社に連絡して依頼するか、直接ハローワークに相談して手続きを行うことができます。ただし、会社側での再発行には時間がかかる場合があるため、早めに手続きを進めることをお勧めします。

失業手当を受給するためには、原則として退職日の翌日から1年間以内にハローワークで受給手続きを完了させる必要があります。この期間を過ぎてしまうと、手当を受け取る資格がなくなってしまいますので、離職票が届いたら速やかに手続きを進めることが重要です。病気や出産などで求職活動ができない期間があった場合は、受給期間の延長申請も可能です。

記載内容に異議がある場合の対処法

会社から離職票が送られてきた際、記載されている離職理由や賃金情報に納得がいかない、事実と異なる点があると感じることもあるかもしれません。

もし会社が記載した離職理由に異議がある場合は、離職票-2の「離職者本人の判断」欄に「異議あり」にチェックを入れ、具体的な事情を詳細に記入しましょう。この際、なぜ会社が記載した理由が不当であるのか、あなたの主張を裏付ける客観的な事実や証拠(雇用契約書、給与明細、会社とのメールのやり取りなど)を具体的に書くことが大切です。

ハローワークでは、会社と本人双方の主張を聞き取り、提出された証拠などを基に事実関係を調査した上で、最終的な離職理由を判断します。遠慮せず、自身の正当な権利を守るために声を上げることが重要です。

離職票の提出先と確認、注意すべき点

離職票の提出先と持参するもの

離職票-1と離職票-2が手元に届いたら、退職者本人が居住地を管轄するハローワークに提出します。

提出の際は、離職票の他に、以下のものを持参する必要があります。

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • マイナンバー確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
  • 写真(縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑(シャチハタ不可。認印で可)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(失業手当の振込先口座確認のため)

初めてハローワークを訪れる際には、失業手当の申請と同時に求職の申し込みも行います。これらの準備をしっかり整えておくことで、手続きがスムーズに進みます。

離職票到着後の確認事項

離職票が手元に届いたら、提出する前に必ず内容を細部まで確認しましょう。

まずは離職票-1に記載されているあなたの氏名、住所、生年月日といった基本情報に誤りがないか確認します。次に、最も重要なのが離職票-2の内容です。

給与明細などと照らし合わせ、退職前の賃金が正確に記載されているか、賃金支払基礎日数に間違いがないかをチェックします。特に、会社が記載した離職理由が事実と合致しているかどうかは、失業手当の受給資格や期間に直結するため、非常に重要です。もし誤りや異議がある場合は、速やかにハローワークに相談し、指示を仰ぐようにしてください。

離職票に関するトラブルと対策

離職票を巡っては、記載ミスや提出遅れなど、様々なトラブルが発生する可能性があります。特に、離職理由や賃金に関する記載は、失業手当の支給に直接影響するため、慎重な対応が求められます。

もし会社と退職者の間で離職理由の認識が異なる場合、ハローワークで双方の主張を聞き取り、事実関係を調査することになります。このようなトラブルを避けるためには、退職前に会社と離職理由についてしっかりと話し合い、認識を合わせておくことが重要です。

万が一、会社が離職票をなかなか発行してくれない、内容に誤りがあるといったトラブルに直面した場合は、一人で悩まず、速やかにハローワークの窓口に相談しましょう。ハローワークが会社に状況確認を行うなど、解決に向けたサポートをしてくれます。また、59歳以上の離職者については、本人の意思に関わらず離職票の発行が義務付けられていますので、注意が必要です。