概要: 離職票の印刷サイズや折り曲げ方、書式、さらにはExcelやオンラインでの入手方法まで、疑問点を網羅的に解説します。e-Govでの申請や添付書類についても触れ、離職票に関するあらゆる情報をこの一本で解決!
退職という人生の大きな節目において、次へのステップを踏み出すために欠かせないのが「離職票」です。
失業給付(基本手当)の受給手続きには、この離職票が不可欠であり、その印刷サイズから記載内容、そして手続きの細部に至るまで、正確な理解が求められます。
本記事では、離職票に関するあらゆる疑問を解消できるよう、印刷サイズや必要事項、さらには最新の電子申請情報まで、徹底的に解説していきます。スムーズな手続きのために、ぜひ最後までお読みください。
離職票の「サイズ」と「折り曲げ」の注意点
離職票は、失業給付の申請において非常に重要な書類であり、その物理的な取り扱いにもいくつかの注意点があります。特に印刷サイズや保管方法については、後の手続きを円滑に進めるために事前に把握しておくべきです。
離職票の構成とそれぞれの標準サイズ
離職票は、大きく分けて2種類の書類で構成されています。
一つは「雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1)」、もう一つは「雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2)」です。
離職票-1は雇用保険の資格喪失を通知する書類で、一般的なA4サイズで発行されます。一方、離職票-2は、退職理由や離職前の賃金状況といった詳細が記載される書類で、通常はA3サイズが標準です。
しかし、近年普及が進む電子申請を利用した場合は、離職票-2もA4サイズで印刷することが可能となっています。サイズの違いを理解し、適切な形式で準備することが大切です。
電子申請時の印刷設定とOCRへの配慮
電子申請で交付された離職票-2をA4サイズで印刷する際には、特に注意が必要です。
ハローワークでは、提出された書類をOCR(光学式文字認識)で読み取って処理を行うため、印刷設定が非常に重要になります。必ず「実際のサイズ(倍率100%)」を選択し、等倍印刷を行ってください。
もし縮小印刷されてしまうと、OCRが文字や画像を正確に認識できず、手続きが滞る原因となる可能性があります。書類の内容が不明瞭になったり、重要な情報が読み取れなくなったりすることを避けるためにも、印刷前に設定をしっかり確認しましょう。
大切な離職票の保管方法と折り曲げルール
離職票は、ハローワークに提出する正式な書類であるため、受け取ってから提出するまでの保管方法にも気を配る必要があります。
特にA3サイズの離職票-2は、郵送や持ち運びの際にA4サイズに折りたたむことがありますが、その際には内容が判読不能にならないよう、重要な情報が記載されている箇所を避けて折り目をつけましょう。例えば、印影やバーコード、金額欄などは、折り目によって劣化したり、破れたりしないように注意してください。
クリアファイルなどに入れて、汚れや折れから保護することが推奨されます。後々の手続きをスムーズに進めるためにも、丁寧に保管することを心がけましょう。
離職票の書式と、Excel・オンラインでの入手方法
離職票は、失業給付の受給資格を判断するための基礎となる書類であり、その書式や記載事項を正しく理解することが、円滑な手続きには不可欠です。
また、書式の入手方法も知っておくと、企業側にとっても退職者側にとっても役立ちます。
離職票の書式を理解する:必要記載事項とは?
離職票には、以下の項目が正確に記載されている必要があります。これらの情報は、失業給付の額や支給期間を決定するために用いられます。
- 基本情報:被保険者番号、事業所番号、離職者氏名、離職年月日、事業所名・所在地・電話番号、離職者の住所または居所
- 離職関連情報:
- 離職理由(自己都合、会社都合、契約期間満了など。給付期間に大きく影響します)
- 被保険者期間算定対象期間と賃金支払基礎日数
- 賃金支払対象期間と基礎日数
- 賃金額(労働の対価として支払われた賃金のみ。賞与や結婚祝い金などは除外)
- 備考(未払い賃金の有無など)
- 賃金に関する特記事項(3ヶ月以内に支払われる賞与など)
特に離職理由は、失業給付の待期期間や給付期間に直接影響するため、会社と退職者の間で認識の相違がないか、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
ハローワークでの入手方法と企業が準備する書類
退職者が離職票を受け取るまでには、企業側での手続きが必要です。まず、企業はハローワークに対し「離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)」を作成し、提出します。
この離職証明書が、退職者へ交付される離職票の元となる書類です。離職証明書を作成する際には、以下の書類を添付する必要があります。
- 賃金台帳:離職前の賃金状況を証明するために不可欠です。
- 給与明細書:賃金台帳と同様に、賃金の支払い状況を確認するために使用されます。
- その他賃金に関する確認書類:必要に応じて、退職金規程や労働条件通知書なども求められることがあります。
これらの書類を正確に準備し、ハローワークへ提出することで、スムーズな離職票の発行につながります。一般的に、退職日の翌々日から10日以内に離職票が発行されることが多いですが、企業の準備状況やハローワークの混雑状況によって前後する場合があります。
厚生労働省・e-Govからの書式ダウンロードとオンライン申請
離職証明書などの雇用保険関係の様式は、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードすることが可能です。
「厚生労働省 雇用保険関係の様式一覧」のページでは、最新の書式がPDF形式で提供されており、必要に応じて印刷して利用することができます。また、近年はe-Gov(電子政府の総合窓口)を通じた電子申請も広く利用されています。
e-Govを利用すれば、オンライン上で必要事項を入力し、そのまま電子的に申請を完結させることが可能です。これにより、24時間いつでも申請が可能になり、手続きの時間や場所の制約を受けません。企業の担当者にとっても、書式を手元で管理し、効率的に申請を進める上で非常に便利な方法と言えるでしょう。
e-Govでの申請と添付書類について
離職票の申請手続きは、近年デジタル化が進み、e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用した電子申請が一般的になってきました。この方法を活用することで、より迅速かつ正確に手続きを進めることが可能です。
e-Gov電子申請のメリットと手続きの流れ
e-Govでの電子申請には、数多くのメリットがあります。まず、24時間いつでも申請が可能なため、企業の担当者は時間や場所の制約を受けずに手続きを進めることができます。
また、システムに備わったチェック機能により、入力ミスを減らし、訂正の手間を大幅に削減できる点も大きな利点です。これにより、書類の不備による再提出のリスクを低減し、スムーズな離職票の発行に繋がります。
電子申請で交付される離職票はPDF形式で、これを印刷すれば紙の書類としてハローワークに提出することが可能です。これにより、手続き全体の効率化が図れ、退職者も早期に失業給付の申請に移ることができます。
離職証明書に添付すべき重要な書類リスト
離職票の元となる離職証明書をハローワークに提出する際には、記載内容の正確性を証明するために、複数の添付書類が必要となります。
特に重要なのは、以下の賃金に関する確認書類です。
- 賃金台帳または給与明細書(離職日以前の賃金期間をカバーするもの):離職者の賃金状況を客観的に示すための最も重要な書類です。失業給付の計算の基礎となります。
- 出勤簿またはタイムカード:被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数を証明するために必要です。
- 労働契約書や就業規則:離職理由が「契約期間満了」や「会社都合」である場合、その事実を裏付けるために提出を求められることがあります。
- 退職届(自己都合退職の場合):離職者の意思による退職であることを示す書類です。
これらの書類を正確かつ漏れなく準備することが、離職票発行の遅延を防ぐ鍵となります。不備があると、ハローワークからの確認や追加書類の提出を求められ、手続きに時間がかかってしまう可能性があります。
離職理由の正確な記載とハローワークの確認
離職票における「離職理由」の記載は、失業給付の受給期間や待期期間に直接影響を及ぼすため、極めて重要です。
例えば、自己都合退職と会社都合退職では、給付開始までの期間や給付日数が大きく異なります。企業は、離職証明書に記載する離職理由について、退職者との間で認識の相違がないか、事前に十分な確認を行うべきです。
厚生労働省の「雇用動向調査」によると、2023年の転職入職者が前職を辞めた理由として、「その他の個人的理由」や「その他の理由(出向等を含む)」が多くを占める一方で、男性の35~39歳では「職場の人間関係が好ましくなかった/給料等収入が少なかった」が11.3%を占め、女性の45~49歳では「職場の人間関係が好ましくなかった」が18.7%というデータもあります。このように、離職理由は非常に多様であり、その正確な把握が求められます。
ハローワークは、提出された離職証明書の内容、特に離職理由について厳しく確認を行います。添付された書類や離職者からの聞き取りを通じて事実関係を照合するため、企業側は客観的な証拠に基づいた正確な情報を提供することが不可欠です。
離職票のコピー・写し、サンプルについて
離職票は失業給付の申請に不可欠な原本ですが、その性質上、コピーや写しの取り扱い、さらには見本やサンプルの活用方法についても知っておくと安心です。万が一の紛失に備えた再発行の手続きも押さえておきましょう。
正式な離職票とコピー・写しの位置付け
ハローワークへ失業給付の申請を行う際には、原則として離職票の原本を提出する必要があります。コピーや写しでは正式な手続きとして受理されないことがほとんどですので、受け取った離職票は大切に保管してください。
しかし、ご自身の記録として、また万が一の事態に備えて、離職票のコピーを取っておくことは非常に有効です。後日、記載内容を確認したい場合や、別の手続きで参考にする際に役立ちます。
提出前に必ずコピーを取る習慣をつけることで、原本紛失時の精神的な負担を軽減し、再発行手続きの際にも役立つ情報源となります。
見本やサンプルの活用方法と注意点
初めて離職票を目にする方にとって、その記載内容や様式は複雑に感じられるかもしれません。そのような場合、インターネット上で公開されている離職票の見本やサンプルを参考にすることが有効です。
これらのサンプルを見ることで、どのような情報がどこに記載されるのか、事前に把握することができます。特に、ご自身の退職理由がどのように記載されるか、賃金計算の項目はどこに該当するかなどを確認するのに役立ちます。
ただし、インターネット上の情報は更新が遅れていたり、不正確な場合もありますので、必ず厚生労働省やハローワークの公式サイトで提供されている最新の様式と照らし合わせながら参考にしてください。
離職票の再発行と手続きのポイント
「離職票をなくしてしまった!」万が一、離職票を紛失してしまった場合は、再発行の手続きが必要です。
再発行の申請は、離職した会社に依頼する方法と、管轄のハローワークに直接申請する方法の二通りがあります。
会社に依頼する場合は、会社が再度ハローワークに離職証明書を提出し、離職票が再交付される流れになります。ハローワークに直接申請する場合は、「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」を提出することになりますが、その際、本人確認書類や印鑑が必要となる場合があります。
いずれの場合も、再発行には一定の時間がかかることを考慮し、気づいたら早めに手続きを開始することが大切です。失業給付の申請期間には期限があるため、速やかな対応が求められます。
離職票印刷の疑問を解消!よくある質問
離職票に関する疑問は尽きないものです。ここでは、皆さんが抱きがちな質問とその回答をまとめました。手続きをスムーズに進めるためのヒントとして活用してください。
Q1:離職票が届かない場合はどうすればいい?
通常、離職票は退職日の翌々日から10日以内に、会社から退職者へ送付されることになっています。
もしこの期間を過ぎても離職票が届かない場合は、まず離職した会社の人事担当者または総務部門に連絡を取り、状況を確認してください。会社での手続きが遅れている、または郵送に時間がかかっている可能性が考えられます。
会社に問い合わせても解決しない場合や、会社と連絡が取れない場合は、管轄のハローワークに相談しましょう。ハローワークは、会社に離職票の発行を促す指導を行うことができます。離職票がないと失業給付の申請ができないため、早めの対応が肝心です。
Q2:離職理由に異議がある場合の対処法は?
離職票に記載された離職理由が、ご自身の認識と異なる場合、失業給付の受給期間や待期期間に影響を与えるため、看過できません。
このような場合、まずは会社に連絡を取り、記載内容の訂正を求めることから始めてください。会社との話し合いで解決しない場合は、ハローワークに「離職理由の異議申し立て」を行うことができます。
異議申し立ての際には、ご自身の主張を裏付ける客観的な証拠(例えば、会社の命令書、医師の診断書、残業時間記録など)を準備することが重要です。ハローワークは、提出された証拠や双方からの聞き取りに基づき、最終的な離職理由を判断します。
Q3:離職票以外の必要書類はありますか?
失業給付(基本手当)の申請手続きには、離職票以外にもいくつかの書類や持ち物が必要です。ハローワークへ行く際には、以下のものを忘れずに持参しましょう。
- マイナンバーカード(またはマイナンバーの通知カードと運転免許証など身元確認書類):個人番号の確認のために必要です。
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm):申請書に添付する顔写真です。
- 印鑑:シャチハタ以外のものを用意しましょう。
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード:失業給付の振込先口座を確認するために必要です。インターネット銀行の場合は、口座番号や支店名が確認できる書類を用意してください。
これらの必要書類は、手続きによって多少異なる場合があります。申請に行く前に、必ずハローワークインターネットサービスや、管轄のハローワークに直接問い合わせて、最新の情報を確認することをおすすめします。
まとめ
よくある質問
Q: 離職票の印刷サイズは決まっていますか?
A: 離職票の用紙サイズは、一般的にA4サイズで印刷するのが標準的です。ただし、提出先(ハローワークなど)によっては指定がある場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。
Q: 離職票を折り曲げても大丈夫ですか?
A: 離職票は公文書ですので、折り曲げや破れがないように丁寧に扱ってください。必要以上に折り曲げることは避け、クリアファイルなどに入れて提出するのが良いでしょう。
Q: 離職票の書式はどこで手に入りますか?
A: 離職票の書式は、ハローワークの窓口で入手できるほか、厚生労働省のウェブサイトや、e-Gov(イーガブ)の電子申請システムからダウンロードできます。Excel形式で提供されている場合もあります。
Q: e-Govで離職票を申請する際の添付書類は何ですか?
A: e-Govで離職票を申請する際には、雇用保険被保険者証、本人確認書類(マイナンバーカードなど)、離職理由を証明する書類(会社都合の場合など)、場合によってはその他ハローワークが指定する書類が必要になります。
Q: 離職票のコピーや写しはどのように扱えば良いですか?
A: 離職票は原本が重要ですが、手続きの際にコピーや写しが必要になる場合があります。提出先や用途に応じて、必要部数を確認し、鮮明なコピーを取るようにしましょう。ご自身の控えとして保管しておくことも大切です。