概要: 59歳以上の方にとって、離職票に関する法改正は気になるポイントです。本記事では、法改正の時期や、65歳以上で離職した場合の離職票の書き方、受給資格、さらには年齢別の受給可能性まで、網羅的に解説します。
【59歳以上必見】離職票の法改正と65歳以上の手続きを徹底解説
長年勤め上げた会社を離れる際、多くの方が気になるのが「失業手当」や「離職票」の手続きではないでしょうか。
特に59歳以上の方や、すでに65歳を過ぎて退職を検討している方にとっては、法改正や年齢による制度の違いが複雑に感じられるかもしれません。
2025年4月には雇用保険法が改正され、離職票に関する手続きや給付内容に一部変更が加えられます。
この記事では、59歳以上、特に65歳以上の離職者が知っておくべき離職票の手続きや給付金について、法改正の内容も踏まえながら詳しく解説します。
スムーズな手続きのために、ぜひ最後までお読みください。
離職票の法改正はいつ?59歳以上の方は要チェック!
2025年4月からの雇用保険法改正の概要
2025年4月1日より、雇用保険法の一部が改正されます。この改正は、特に自己都合退職者と職業訓練受講者にとって重要な変更点を含んでいます。
主なポイントは、自己都合退職時の給付制限期間の短縮と、職業訓練受講者への優遇措置です。
これまで自己都合退職の場合、原則として2ヶ月間の給付制限期間が設けられていましたが、改正後はこれが1ヶ月に短縮されます。
ただし、過去5年以内に3回以上自己都合退職を繰り返している場合は、これまで通り3ヶ月の給付制限が適用されるため注意が必要です。
この法改正は、求職活動を早期に開始できるよう支援し、労働者の再就職を促進することを目的としています。
59歳以上で今後のキャリアを考えている方にとっては、退職後の生活設計に大きく影響する可能性があるため、内容をしっかり把握しておくことが大切です。
59歳未満の自己都合退職者が知るべき新ルール
59歳未満で自己都合退職を検討している方は、今回の法改正によって失業給付金の受給開始が早まる可能性があります。
これまで2ヶ月だった給付制限期間が1ヶ月に短縮されることで、待機期間の7日を過ぎた後、最短で約1ヶ月後から基本手当を受け取ることが可能になります。
これにより、退職後の経済的な不安が軽減され、より安心して再就職活動に専念できる環境が整います。
また、重要な変更点として、自己都合退職であっても主体的に職業訓練を受講した場合は、給付制限期間がなくなるという優遇措置が導入されます。
これは、スキルアップや新たな職種への挑戦を考えている方にとって、非常に大きなメリットとなります。
例えば、キャリアチェンジのためにITスキルを習得したい、介護職への転職を考えているといった場合、職業訓練を活用することで、経済的な心配をせずに学び直しができるようになります。
ハローワークでは様々な職業訓練プログラムが提供されているため、これを機に情報収集をしてみることをお勧めします。
法改正が59歳以上に与える影響とは?
今回の法改正は、59歳以上の世代にとっても重要な意味を持ちます。
まず、65歳未満の59歳〜64歳の方であれば、自己都合退職時の給付制限期間が短縮される恩恵を受けることができます。
これにより、定年を前に早期退職を検討する際や、キャリアの方向転換を図る際にも、これまでより経済的な準備期間を短縮できる可能性があります。
ただし、65歳以上で離職する場合は、後述する「高年齢求職者給付金」の対象となるため、この自己都合退職の給付制限期間短縮の直接的な恩恵は受けません。
しかし、60歳や64歳で一旦退職し、その後再雇用されたり、別の職に就いたりして65歳を過ぎてから再度離職するケースも考えられます。
その際、雇用保険の加入状況や離職時の年齢によって適用される制度が変わるため、ご自身の状況に合わせて適切な情報を得ることが重要です。
法改正は、年齢を重ねても多様な働き方や再就職の選択肢をサポートする方向へと進んでいます。
65歳以上で離職した場合の離職票の書き方と注意点
65歳以上は「失業手当」ではなく「高年齢求職者給付金」
65歳以上で会社を離職した場合、原則として64歳以下の方が受け取る「失業手当(基本手当)」ではなく、「高年齢求職者給付金」という一時金を受け取ることになります。
これは、名称だけでなく、支給方法や日数、年金との併給の可否など、様々な点で通常の失業手当とは異なる制度です。
高年齢求職者給付金は、一時金として一括で支給されるのが最大の特徴です。
支給日数は、離職日以前1年間の雇用保険の加入期間によって決まります。具体的には、雇用保険の加入期間が1年以上であれば50日分、1年未満であれば30日分が支給されます。
この給付金は、高齢になっても再就職を希望する方を支援するための制度であり、64歳以下の失業手当とは仕組みが大きく異なりますので、混同しないように注意が必要です。
高年齢求職者給付金の受給要件と申請手続き
高年齢求職者給付金を受給するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
主な受給要件は以下の通りです。
- 離職日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること。
- 働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
- ハローワークに求職の申し込みを行い、失業認定を受けること。
これらの要件を満たした上で、ハローワークでの申請手続きを行います。
一般的な手続きの流れは、まず退職した会社から離職票を受け取り(通常、退職後10日~2週間程度)、その後、管轄のハローワークで求職の申し込みと離職票の提出を行います。
その後、7日間の待期期間を経て失業の認定を受ければ、給付金が支給されます。
高年齢求職者給付金は、通常の失業給付よりも手続きが比較的簡素化されている傾向にあります。
年金との併給、具体的な受給額の例
高年齢求職者給付金の大きなメリットの一つは、老齢年金と同時に満額受け取ることが可能な点です。
64歳以下の失業手当の場合、受給期間中は年金の支給が停止されることがありますが、高年齢求職者給付金にはその制限がありません。
これは、年金受給者にとっては非常に有利な点と言えるでしょう。
では、具体的な受給額はどのくらいになるのでしょうか。
2025年時点の計算例として、雇用保険期間が1年以上で、離職前6ヶ月間の給与が月額20万円だった場合を考えてみましょう。
この場合、高年齢求職者給付金として約244,400円の一時金を受け取れる可能性があります。
これはあくまで一例であり、個々の給与額や加入期間、日額の計算によって変動します。
ご自身の正確な受給額については、ハローワークで相談することをお勧めします。
雇用保険加入期間 | 支給日数 | 年金併給 |
---|---|---|
1年以上 | 50日分 | 可能 |
1年未満 | 30日分 | 可能 |
離職票6ヶ月の受給資格と65歳以上で必ずもらえるのか
雇用保険の加入期間と受給資格の基本
失業手当や高年齢求職者給付金を受け取るためには、雇用保険の加入期間が重要な要件となります。
基本的な受給資格として、離職日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あることが求められます。
これは、64歳以下の失業手当(基本手当)と、65歳以上の高年齢求職者給付金の両方に共通する原則です。
被保険者期間とは、雇用保険料が支払われた期間であり、単に会社に在籍していた期間とは異なります。
例えば、育児休業などで給与が支払われなかった期間などは、被保険者期間に含まれない場合があります。
ご自身の雇用保険加入期間が不明な場合は、会社の人事担当者や年金事務所、ハローワークに問い合わせて確認することができます。
この6ヶ月という期間を満たしているかどうかが、給付金を受け取れるかどうかの第一歩となります。
65歳以上の場合の「必ずもらえる」の真偽
「65歳以上なら、離職すれば必ず給付金がもらえる」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは必ずしも正しいとは言えません。
確かに、前述の通り雇用保険の加入期間が6ヶ月以上あれば、高年齢求職者給付金を受け取る権利は発生します。
しかし、給付金を受け取るためには、「働く意思と能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない失業の状態にあること」が必須条件となります。
単に退職しただけで自動的に給付金が振り込まれるわけではありません。
ハローワークに求職の申し込みを行い、その後も定期的に失業認定を受ける必要があります。
具体的には、ハローワークでの面談や求人情報の閲覧、就職相談などが求められることがあります。
手続きは比較的簡素化されていますが、求職活動自体は求められることを理解しておくことが重要です。
雇用保険の加入期間が不足している場合の選択肢
もし雇用保険の加入期間が6ヶ月に満たない場合は、残念ながら失業手当や高年齢求職者給付金を受け取ることはできません。
この場合、ハローワークでは給付金に関する手続きを進めることができませんので、他の制度の活用を検討する必要があります。
例えば、以下のような選択肢が考えられます。
- 自治体(市区町村)の相談窓口: 生活困窮者自立支援制度など、生活をサポートする制度について相談できます。
- 社会福祉協議会: 福祉資金の貸付制度など、緊急時の資金援助について相談できる場合があります。
- 公共職業訓練: 給付金は受けられなくても、無料で職業訓練を受講し、スキルアップを図ることは可能です。
いずれの場合も、まずは地域の役所や専門機関に相談し、ご自身の状況に合った支援がないか確認することが大切です。
また、雇用保険の加入期間が足りないと感じたら、退職前に一度会社に確認し、雇用保険の記録を正確に把握しておくことをお勧めします。
60歳、64歳、70歳以上でも離職票はもらえる?年齢別の疑問を解決
60歳〜64歳で離職した場合の取り扱い
60歳から64歳で会社を離職した場合、原則として通常の失業手当(基本手当)の対象となります。
この年齢層は、まだ65歳未満であるため、「高年齢求職者給付金」ではなく、64歳以下の労働者と同じ制度が適用されることになります。
したがって、自己都合退職の場合、2025年4月1日以降は給付制限期間が従来の2ヶ月から1ヶ月に短縮される恩恵を受けることができます。
ただし、失業手当と老齢厚生年金を同時に受け取る場合、年金の一部または全額が支給停止される調整措置が適用されることがありますので注意が必要です。
また、60歳以降も働き続け、一定の要件を満たす場合には「高年齢雇用継続給付」という別の給付金を受け取れる制度もあります。
この年齢層は、雇用保険と年金の制度が複雑に絡み合うため、離職を検討する際は、ハローワークや年金事務所で事前に相談することをお勧めします。
65歳〜69歳で離職した場合の特別な制度
65歳から69歳で離職した場合は、先述の通り「高年齢求職者給付金」の対象となります。
2017年の雇用保険法改正により、65歳以上であっても一定の要件を満たせば「高年齢被保険者」として雇用保険に加入できるようになりました。
これにより、65歳以降も働き続ける方が、万が一離職した場合にもセーフティネットが確保される形になっています。
この年齢層では、複数の職場で働くケースも増えていますが、そうした方のために「マルチジョブホルダー制度」も導入されています。
これは、複数の事業所で働く65歳以上の労働者が、それぞれの職場の労働時間を合算して週20時間以上などの要件を満たす場合、雇用保険の対象となる制度です。
多様な働き方に対応するための制度が整備されつつあり、65歳を過ぎても働く意欲のある方にとって、以前より支援が手厚くなっています。
ご自身の働き方や離職時の状況に合わせて、適切な制度を活用することが重要です。
70歳以上で離職した場合の雇用保険
70歳以上で離職した場合の雇用保険の取り扱いは、少し特殊です。
原則として、70歳以上になると、新たに雇用保険の被保険者資格を取得することはできません。
これは、雇用保険の「高年齢被保険者」の対象が65歳以上70歳未満と定められているためです。
ただし、70歳に到達する前から雇用保険に加入していた方が、70歳以降も継続して勤務し、その後離職する場合には特例が適用されることがあります。
具体的には、70歳到達前に雇用保険の加入期間が6ヶ月以上あり、かつ離職時に失業状態にある場合は、「高年齢求職者給付金」の対象となり得ます。
しかし、これらの制度は非常に複雑であり、個々の状況によって適用される条件が異なります。
70歳以上で離職を考えている方、またはすでに離職された方は、自己判断せずに必ず管轄のハローワークに直接相談し、最新かつ正確な情報を確認することが最も重要です。
離職票に関するよくある質問(FAQ)
離職票はいつ、どのように受け取れる?
離職票は、会社を退職した後に、勤めていた会社から交付される重要な書類です。
一般的に、退職後10日~2週間程度で郵送されることが多いですが、会社によっては手渡しされる場合もあります。
会社は、従業員が退職した際、ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出し、これに基づいてハローワークが離職票を発行します。
その後、ハローワークから会社へ離職票が送付され、会社から退職者へと渡るという流れになります。
もし、退職後2週間以上経過しても離職票が届かない場合は、まずは勤めていた会社の人事担当者または総務部に問い合わせてみましょう。
その後、それでも解決しない場合は、管轄のハローワークに相談してください。
離職票は失業手当や高年齢求職者給付金の手続きに不可欠な書類なので、確実に受け取るようにしましょう。
離職票をもらえない場合の対処法
退職後に離職票がなかなか届かない、あるいは会社から「発行できない」と言われた場合でも、諦める必要はありません。
会社には、退職者からの依頼があれば離職票を発行する義務があります。
まずは、会社に再度発行を依頼し、いつまでに発行してもらえるかを確認しましょう。
もし会社が応じてくれない、または連絡が取れないといった状況であれば、管轄のハローワークに相談してください。
ハローワークは、離職票の発行を会社に促したり、場合によっては会社からの連絡なしに手続きを進めるためのアドバイスをしてくれたりすることもあります。
また、「退職証明書」などの他の書類で、一時的に失業状態にあることを証明できる場合もありますので、ハローワークで相談してみましょう。
万が一の事態に備え、退職前から離職票の発行に関する会社の体制を確認しておくことも有効です。
マイナンバーカードによる手続きの簡素化
近年、行政手続きのデジタル化が進んでおり、離職票に関する手続きにおいてもマイナンバーカードが活用されています。
マイナンバーカードをお持ちであれば、ハローワークでの一部手続きが簡素化される場合があります。
例えば、本人確認書類として利用できるだけでなく、一部の情報連携によって、従来提出が必要だった書類が省略できるケースも出てきています。
ただし、現状ではすべての手続きがオンラインで完結するわけではなく、ハローワークへの来所や紙の書類の提出が依然として求められることも多いです。
しかし、今後はさらにデジタル化が進み、オンラインでの申請や手続きがより広範囲で可能になることが期待されています。
手続きの際には、マイナンバーカード、印鑑、顔写真、そして本人名義の預金通帳などが必要となることが一般的ですので、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
最新の情報や具体的な手続き方法については、ハローワークの公式サイトや窓口で確認するようにしましょう。
※本記事で記載されている法改正や制度内容は、2025年時点のものです。最新の情報は、厚生労働省やハローワークの公式サイトでご確認ください。
まとめ
よくある質問
Q: 離職票の法改正はいつから施行されますか?
A: 離職票に関する法改正は、通常、法律の公布から一定期間を経て施行されます。具体的な施行時期については、厚生労働省の発表や最新の情報を確認することが重要です。59歳以上の方だけでなく、広く関係者が注目すべき変更点が含まれる可能性があります。
Q: 65歳以上で離職した場合、離職票の書き方で特別な注意点はありますか?
A: 65歳以上で離職した場合でも、基本的な離職票の書き方に大きな違いはありません。しかし、雇用保険の加入期間や受給資格に影響する場合があります。特に、過去に年金を受給していた場合などは、ハローワークでの確認がより重要になります。
Q: 離職票は6ヶ月以上働いていれば必ずもらえますか?また、65歳以上でも必ずもらえますか?
A: 離職票の受給資格は、離職理由や雇用保険の被保険者期間など、複数の条件によって決まります。一概に6ヶ月以上働いていれば必ずもらえるわけではありません。65歳以上の方も、これらの条件を満たしていれば離職票の対象となりますが、詳細な確認はハローワークで行う必要があります。
Q: 60歳、64歳、70歳以上で退職した場合、離職票はどのような扱いになりますか?
A: 60歳以上65歳未満で退職し、一定の条件を満たす場合は、高年齢求職者給付金などの対象となることがあります。65歳以上で離職した場合は、原則として基本手当の対象とはなりませんが、一部例外や他の給付金制度があります。70歳以上でも、雇用保険の加入状況によっては失業給付の対象となる場合があります。年齢に関わらず、ハローワークでご自身の状況を確認することが大切です。
Q: 70歳以上で離職した場合、離職票の書き方で特に気をつけることはありますか?
A: 70歳以上で離職した場合、雇用保険の被保険者期間が短い、または被保険者資格を喪失しているケースが多く、原則として基本手当の対象外となる可能性が高いです。しかし、過去の被保険者期間や退職理由によっては、他の給付金や一時金などの対象となる場合があります。離職票の書き方自体に大きな変更はありませんが、ハローワークでご自身の状況を正確に伝えることが重要です。