概要: 新卒の履歴書作成で悩みがちな学歴欄。どこから書き始めるか、卒業年月はどう計算するか、在学中や卒業見込みの場合はどう書くのか、さらに年号の使い分けや「以上」の書き方まで、迷うことなく自信を持って記入できるよう、この記事で徹底解説します。
履歴書の学歴欄、どこから書く?基本ルールを解説
新卒の皆さんにとって、初めての履歴書作成は戸惑うことばかりかもしれません。特に学歴欄は、いつから書き始めるべきか、どんな情報を記載すべきかなど、多くの疑問が浮かぶポイントです。ここでは、採用担当者に好印象を与えるための学歴欄の基本ルールを徹底的に解説します。
学歴記載のスタート地点:義務教育からが新卒の常識
新卒の履歴書における学歴欄は、一般的に義務教育が完了する「中学校卒業」から記載を始めるのが基本です。小学校入学以前の学歴は、特別な事情がない限り記載する必要はありません。なぜなら、それ以前の教育課程は義務教育として全ての人が経験するため、特筆すべき情報とはみなされないからです。
具体的には、履歴書の学歴欄の最初の行に中央揃えで「学歴」と記入し、その次の行から時系列で記載をスタートします。例えば、「〇〇年4月 〇〇市立〇〇中学校 入学」「〇〇年3月 〇〇市立〇〇中学校 卒業」という形で記載します。高校、大学、専門学校と順に記載を進めていくことになります。このルールを守ることで、採用担当者はあなたの学歴をスムーズに把握でき、丁寧な印象を与えることができるでしょう。
和暦?西暦?学校名?絶対外せない正式名称ルール
学歴欄で特に重要となるのが、「正式名称」での記載ルールです。まず、年号は「西暦」か「和暦」のどちらかに統一し、履歴書全体で一貫性を持たせましょう。例えば、「令和〇年」「平成〇年」のように正式な元号を使用し、「R〇年」「H〇年」のような略称は避けるべきです。同様に、学校名も「〇〇高等学校」のように「高校」を「高等学校」と、また「〇〇大学〇〇学部〇〇学科」のように学部や学科、コース名まで省略せずに正確に記載することが求められます。
これは、採用担当者があなたの出身校や学習内容を正確に理解するために不可欠な情報です。たとえ学校名が長くても、履歴書の限られたスペースの中で略さずに記載しましょう。また、高校の「普通科」や大学の「経済学部」など、一般的な名称であっても省略せずに記載するのがマナーです。些細な点ですが、こうした細部への配慮があなたの信頼性を高めます。
迷わない!学歴の正しい記載順序と「以上」の記載場所
学歴は時系列に沿って「古い順」に記載するのが原則です。中学校卒業から始まり、高等学校入学・卒業、大学入学・卒業、専門学校入学・卒業といった流れで記入していきます。現在在学中の学校があれば、それが学歴欄の最後に記載される情報となります。
また、学歴欄の最後に「以上」と記入する必要はありません。これは、学歴と職歴を区別するためです。学歴の記載が全て終わったら、次の行に中央揃えで「職歴」と記入し、その下に「なし」と記載します(新卒の場合)。そして、職歴欄の最後に右寄せで「以上」と記入するのが正しいマナーです。この「以上」の位置は意外と間違いやすいポイントなので、注意して記載しましょう。これにより、学歴・職歴の項目がすべて完了したことを明確に示せます。
学歴の「計算」と「早見表」で迷わない!卒業年月を正確に
履歴書の学歴欄で特に気を使うのが、入学年月と卒業年月の正確な記載です。記憶違いや計算ミスで誤った情報を記載してしまうと、採用担当者に不正確な印象を与えかねません。ここでは、卒業年月を正確に記載するための計算方法や便利なツール、そして注意点について解説します。
入学・卒業年月の計算方法:生年月日からのアプローチ
入学・卒業年月を正確に記載するためには、まず自分の生年月日を基準に考えるのが基本です。例えば、4月2日生まれの人が小学1年生になるのは6歳の年であり、その年の4月に入学します。そこから、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年(または専門学校2〜4年)といった標準的な修業年数を足していくと、おおよその入学・卒業年月を割り出すことができます。
計算例:
生年月日:平成10年(1998年)5月15日生まれの場合
- 小学校入学:平成17年(2005年)4月
- 小学校卒業:平成23年(2011年)3月
- 中学校入学:平成23年(2011年)4月
- 中学校卒業:平成26年(2014年)3月
- 高等学校入学:平成26年(2014年)4月
- 高等学校卒業:平成29年(2017年)3月
- 大学入学:平成29年(2017年)4月
- 大学卒業:令和3年(2021年)3月
ただし、浪人や留年などのイレギュラーなケースを除き、基本的には年齢に応じた入学・卒業年月となるため、まずは自分の年齢と学年を照らし合わせてみてください。もし不安な場合は、卒業アルバムや学生証、または友人やご家族に確認するのも有効な方法です。
もう間違えない!卒業年月早見表の活用術
入学・卒業年月を正確に記載するためには、インターネット上で提供されている「卒業年月早見表」を活用するのが非常に便利です。早見表は、生年月日を入力するだけで、自動的に小・中・高・大の入学年月と卒業年月を割り出してくれるツールです。これを利用すれば、自分で計算する手間が省け、かつ間違いを大幅に減らすことができます。
特に新卒の方で、初めて履歴書を作成する際には、手元に早見表を開きながら記入することをおすすめします。ただし、早見表もあくまで参考情報です。ご自身の実際の在籍期間と照らし合わせ、最終的な確認を怠らないようにしましょう。例えば、年度途中で転校した場合や、飛び級・留年などの特別な経緯がある場合は、標準的な年月と異なることもあるため、必ずご自身の記録と照合することが重要です。早見表を上手に活用し、正確な学歴を作成しましょう。
年度と年月日の混同に注意!正確な記載のコツ
学歴欄では、「〇年〇月」までを正確に記載することが求められます。よくある間違いとして、「〇〇年度卒業」といった年度表記で止まってしまうケースがあります。日本の学校は多くが3月に卒業式を迎え、4月に入学するため、具体的な月まで記載することが大切です。
正しい記載例:
- 〇〇年4月 〇〇高等学校 入学
- 〇〇年3月 〇〇高等学校 卒業
- 〇〇年4月 〇〇大学〇〇学部 入学
- 〇〇年3月 〇〇大学〇〇学部 卒業
入学月も同様に「〇年4月入学」と記載するのが一般的です。特に、日本の学年は4月から始まるため、入学はほとんどが4月ですが、大学や専門学校で9月入学のコースや海外からの編入などの場合は、その通りの年月を記載します。日付までは必要ありませんが、「〇年〇月」まで正確に記載することで、採用担当者に丁寧な印象を与え、あなたの情報への正確性をアピールできます。こうした細部への配慮が、信頼性を示す上で非常に重要になります。
在学中・卒業見込みの場合の書き方と注意点
新卒として就職活動を行う場合、まだ学校に在籍していることがほとんどです。そのため、学歴欄には「卒業見込み」や「修了見込み」といった表現を正確に記載する必要があります。この表現は、あなたが近いうちに卒業・修了する予定であることを企業に伝える重要な情報です。ここでは、その正しい書き方と、関連する注意点について解説します。
新卒の必須表現:「卒業見込み」の正しい記載方法
新卒として就職活動を行う場合、履歴書の学歴欄には現在在学中の学校について「卒業見込み」と記載することが必須です。これは、応募時点ではまだ卒業していないが、所定の課程を修了し、来春に卒業する予定であることを明確にするための表現です。この一文があることで、採用担当者はあなたが来春卒業予定であることを認識し、選考を進めることができます。
具体的な書き方としては、最終学歴となる大学や専門学校の入学年月を記載し、その次の行に「〇〇年3月 卒業見込み」と記入します。まだ具体的な卒業年月が確定していない場合でも、一般的な卒業予定年月を記載しましょう。例えば、「令和7年3月 卒業見込み」といった形です。記載を忘れてしまうと、卒業しているのかどうかが不明瞭になり、企業側を混乱させてしまう可能性があるので注意が必要です。
大学院生・専門学校生のための「修了見込み」
大学院に在籍している場合や、特定の専門課程を修了する予定の場合は、「卒業見込み」ではなく「修了見込み」という表現を使うのが適切です。例えば、「〇〇大学大学院〇〇研究科 修士課程 〇〇年3月 修了見込み」のように記載します。専門学校の場合も、卒業ではなく「修了」という言葉を使うカリキュラムであれば同様に「修了見込み」と記載します。
どちらの表現を用いるかは、ご自身の所属する教育機関の制度や発行される証書の種類に合わせるのが最も確実です。これにより、あなたの最終学歴と現在のステータスを正確に伝えることができます。もしどちらを使うべきか迷う場合は、学校のキャリアセンターや事務局に確認してみると良いでしょう。正確な情報提供は、採用担当者に信頼感を与え、選考をスムーズに進める上で非常に重要です。
卒業延期・留年中の場合の記載と面接対策
もし何らかの理由で卒業が延期になっていたり、留年している場合でも、履歴書には正直に事実を記載することが重要です。この場合も、最終学歴となる学校の欄には「卒業見込み」と記載しますが、卒業予定年が他の同級生と異なることを示します。例えば、「〇〇年3月 卒業見込み(卒業延期中)」のように補足情報を加えることも一案です。
履歴書に「浪人・留年」の事実を明記する必要はありませんが、入学年と卒業予定年を見れば採用担当者は期間のずれからその事実を把握します。そのため、面接ではその理由について質問される可能性が高いです。ネガティブな理由であっても、それをどう乗り越え、何を学んだのかを前向きに説明できるよう準備しておくことが大切です。例えば、「留年期間中に〇〇の資格取得に力を入れました」「休学期間に〇〇の経験を積みました」など、具体的な行動と学びを伝えましょう。正直さと前向きな姿勢が評価されます。
西暦?和暦?年号の使い分けと「以上」の書き方
履歴書の作成において、年号表記の統一や「以上」の適切な位置は、意外と見落とされがちなポイントです。しかし、こうした細かな部分が、あなたの丁寧さや正確性を採用担当者に伝える重要な要素となります。ここでは、年号の選び方とその正式表記、そして学歴・職歴欄の締めに用いる「以上」の正しい使い方について詳しく解説します。
履歴書全体で統一!西暦・和暦の選び方と正式表記
履歴書における年号の表記は、「西暦」または「和暦」のどちらか一方に統一することが基本ルールです。一度決めたら、学歴欄だけでなく、免許・資格欄、自己PR欄、そして提出年月日など、履歴書の全ての箇所で同じ年号表記を使用しましょう。
【和暦・西暦の選び方と表記例】
- 和暦の場合: 「令和〇年」「平成〇年」「昭和〇年」のように正式な元号を使用します。「R〇年」「H〇年」といった略称は避けましょう。例:令和六年(2024年)、平成三十年(2018年)
- 西暦の場合: 「2024年」「1998年」のように数字で記載します。
どちらを選ぶかは個人の自由ですが、企業によっては「西暦で記載」と指定される場合もあるので、求人情報をよく確認しましょう。また、特にPC作成の場合、西暦の方が入力しやすいという利点もあります。一貫性のある表記は、丁寧で正確な印象を採用担当者に与え、あなたの気配りを示すことにも繋がります。
学歴欄では不要?「以上」の正しい記載位置
履歴書を作成する際、「以上」をどこに書けば良いか迷う人は少なくありません。実は、学歴欄の最後に「以上」と書くのは誤りです。学歴の記載が全て終わった時点では、まだ「以上」は記入しません。なぜなら、「以上」という言葉は、その項目が完全に終了したことを示すからです。
履歴書には通常、学歴と職歴の二つの大きな項目があります。そのため、「以上」は学歴と職歴の両方が終了したことを示すために、職歴欄の最後に記載するのが正しいマナーとされています。学歴欄の最後には、何も記入せず次の職歴欄に移りましょう。この点が意外と見落とされがちなので、注意が必要です。正しく「以上」を記載することで、書類全体が引き締まり、採用担当者にきちんとマナーを理解しているという印象を与えられます。
記載漏れ厳禁!「職歴なし」の書き方と締め方
新卒の皆さんの多くは、正社員としての職歴がないはずです。この場合、学歴欄の次に設ける「職歴」の項目には、必ず「なし」と記載しましょう。学歴の最後に記載した学校名の次の行に、中央揃えで「職歴」と記入し、その下の行に「なし」と記載します。
【職歴なしの場合の記載例】
〇〇年3月 〇〇大学〇〇学部 卒業見込み 職歴 なし 以上
そして、その「なし」の記載のさらに下の行に、右寄せで「以上」と記入するのが正しい書き方です。これにより、職歴がないことが明確に伝わり、採用担当者もスムーズに書類を確認できます。うっかり職歴欄を空欄のままにしてしまうと、書き忘れなのか、それとも記載すべき職歴があるのか判断に迷わせてしまう可能性があるため、「なし」と明記することが非常に重要です。この細かな配慮が、あなたの丁寧さをアピールする機会にもなります。
新卒が陥りがちな履歴書・学歴欄の書き方ミスと対策
新卒の皆さんが履歴書を作成する際、学歴欄は特に間違いやすい項目の一つです。特に、浪人・留年、休学、予備校の経験など、一般的な学歴とは異なるケースの場合、どのように記載すべきか迷うことが多いでしょう。ここでは、新卒が陥りがちなミスとその対策、そして企業からの指示への対応について解説します。
「書かなくていい」と「正直に書く」の境界線:浪人・留年・休学の場合
新卒の履歴書で悩みがちなのが、浪人や留年、休学といったイレギュラーな経歴の扱いです。まず、浪人や留年の事実をあえて履歴書に「浪人しました」などと明記する必要はありません。入学年月と卒業年月を正直に記載すれば、採用担当者は期間のずれからその事実を把握できます。
重要なのは、もし面接で理由を問われた際に、前向きな学びや経験として説明できるよう準備しておくことです。例えば、「留年期間中に専門分野の理解を深めるために〇〇に注力しました」など、具体的な取り組みと得た成果を伝えましょう。一方、休学や中途退学の場合は、その旨と期間を明記する必要があります。例えば、「〇〇年〇月~〇〇年〇月 休学(留学のため)」のように簡潔な理由を添えると良いでしょう。事実を隠すことは後々のトラブルにつながるため、正直かつ簡潔な記載が求められます。
学歴に含めない?予備校とアルバイト・インターンの落とし穴
学歴欄に記載すべきでないものとして、予備校の経験が挙げられます。予備校は正規の教育機関ではないため、学歴には含まれません。もし、浪人期間中に予備校に通っていたとしても、学歴欄には記載せず、必要であれば自己PR欄などで補足する程度に留めましょう。
また、アルバイトや長期インターンシップの経験も、一般的には職歴には含まれません。これらは正社員としての就労経験ではないため、職歴欄に記載すると誤解を招く可能性があります。しかし、これらの経験はあなたの能力や人柄をアピールする貴重な材料となりますので、自己PR欄やガクチカ(学生時代に力を入れたこと)の欄で具体的に記述し、自身の成長や学び、得られたスキルなどを企業に伝えましょう。何でも学歴・職歴欄に詰め込むのではなく、適切な場所にアピールポイントを記載することが重要です。
「指示」は絶対!企業指定フォーマットと学歴詐称の危険性
履歴書を作成する上で最も重要なのは、企業からの指示に必ず従うことです。企業や応募職種によっては、特定のフォーマットでの記載を求められたり、特定の情報の記載を指示されたりする場合があります。例えば、Web履歴書での提出が必須であったり、特定の質問項目への回答を求められたりすることもあります。これらの指示は、応募者の指示理解能力を測る意味合いもあるため、見落とさないように細心の注意を払いましょう。指示に従わないことで、選考から外されてしまう可能性もゼロではありません。
そして、絶対に避けるべきなのが「学歴詐称」です。学歴詐称は経歴詐称として、内定取り消しや入社後の解雇といった重大な結果を招く可能性があります。例えば、卒業していないのに「卒業」と書く、存在しない学校名を記載するなど、事実と異なる情報を記載することは、信用を失うだけでなく法的な問題にも発展しかねません。正確な情報提供を心がけ、誠実な姿勢で臨みましょう。正直であること、そして企業の指示に忠実であることが、就職活動成功への近道です。
まとめ
よくある質問
Q: 履歴書の学歴欄は、小学校から書くべきですか?
A: 一般的に、最終学歴から遡って記入するのが基本です。高校卒業以上であれば、高校入学・卒業から記入するのが一般的ですが、企業によっては中学卒業から記載を求める場合もあります。募集要項を確認しましょう。
Q: 卒業年月はどのように計算すれば良いですか?
A: 入学年月と卒業(見込み)年月は、卒業証明書や在学証明書で確認するのが最も確実です。早見表なども参考にできますが、個別のケースで異なる場合があるため、必ずご自身の情報を確認してください。
Q: 現在、大学に在学中の場合、学歴欄はどのように書けば良いですか?
A: 「〇〇大学 △△学部 卒業見込み」のように、「卒業見込み」と明記します。卒業年月は、予想される卒業年月を記入しましょう。
Q: 西暦と和暦、どちらで統一すべきですか?
A: どちらか一方に統一して記入するのが一般的です。どちらを選んでも間違いではありませんが、履歴書全体で表記を揃えることが重要です。迷う場合は、西暦で記入すると分かりやすいでしょう。
Q: 学歴の最後に「以上」と書くのは必須ですか?
A: はい、最終学歴の記入が終わったら、その行の右端に「以上」と記入するのが一般的です。これは、これ以上の学歴がないことを示すためのものです。