1. 有給休暇の年5日取得義務を徹底解説!企業と従業員が知るべきポイント
  2. 有給休暇の年5日取得義務とは?制度の背景と概要
    1. 義務化の背景と目的
    2. 対象となる労働者の範囲と期間
    3. 5日取得を保証するための3つの方法
  3. 企業が負う「時季指定義務」と「労働者への提示義務」を徹底解説
    1. 時季指定義務の具体的な流れとポイント
    2. 年次有給休暇管理簿の作成と保管義務
    3. 就業規則への明記と従業員への周知徹底
  4. 労働者はどうすればいい?有給休暇をスムーズに取得するポイント
    1. 自身の有給休暇状況を把握する重要性
    2. 企業との円滑なコミュニケーションの取り方
    3. 計画的付与制度の活用と個人の自由な取得
  5. 年5日取得義務に違反した場合のリスクと罰則
    1. 企業に科される具体的な罰則内容
    2. 罰則適用までの流れと企業の対応
    3. 社会的信用の失墜と従業員エンゲージメントの低下
  6. 労使双方で有給休暇制度を円滑に運用するためのヒント
    1. 企業が取り組むべき取得促進策と環境整備
    2. 計画的付与制度の賢い活用方法
    3. 労使間のオープンなコミュニケーションと相互理解
  7. まとめ
  8. よくある質問
    1. Q: 有給休暇の年5日取得義務はいつから始まりましたか?
    2. Q: 年5日取得義務の対象となるのはどのような労働者ですか?
    3. Q: 会社はどのようにして有給休暇の時季指定を行うのですか?
    4. Q: 労働者がすでに5日以上の有給休暇を取得している場合、会社に義務はありますか?
    5. Q: 会社が年5日取得義務を果たさなかった場合、どのような罰則がありますか?

有給休暇の年5日取得義務を徹底解説!企業と従業員が知るべきポイント

2019年4月1日より施行された「働き方改革関連法」により、年次有給休暇(以下、有給休暇)の取得に関する重要な義務が企業に課せられました。それが、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、年間5日以上の有給休暇を取得させることです。この義務は、企業側にとっても従業員側にとっても、日々の業務や休暇の計画に大きな影響を与えるものです。

本記事では、この「年5日取得義務」について、制度の背景から具体的な対応、違反した場合のリスク、そして労使双方で円滑に運用するためのヒントまで、網羅的に解説していきます。企業の人事担当者の方も、従業員の方も、ぜひ最後までお読みいただき、健全な職場環境づくりとワークライフバランスの向上に役立ててください。

有給休暇の年5日取得義務とは?制度の背景と概要

義務化の背景と目的

2019年4月1日に施行された働き方改革関連法によって、有給休暇の年5日取得義務が企業に課せられました。この義務化の背景には、労働者の心身のリフレッシュ促進、ワークライフバランスの向上、そして最終的には生産性向上という、多角的な目的があります。

長らく日本では、有給休暇の取得率が国際的に見ても低い水準にありました。特に「休みにくい雰囲気」や「周囲への遠慮」といった理由から、多くの労働者が有給休暇を十分に消化できていない状況が課題視されていました。このような状況を改善し、労働者がためらいなく休暇を取得できる社会を実現するため、国が企業に取得を義務付けるという強力な措置を講じたのです。

企業にとっても、従業員の健康を維持し、仕事へのモチベーションを高めることは、長期的な視点で見れば企業の競争力強化に繋がります。心身ともに健康な従業員は、より創造的で効率的な業務を遂行できるため、この制度は労使双方にとってメリットのあるものと位置づけられています。

対象となる労働者の範囲と期間

年5日取得義務の対象となるのは、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者です。これは正社員に限らず、契約社員、パートタイマー、アルバイトといった雇用形態を問わず適用されます。

特にパートタイマーやアルバイトの場合、週の所定労働日数や労働時間に応じて有給休暇が付与される日数が異なりますが、付与日数が10日以上となる時点で、この義務の対象となります。例えば、週3日勤務で勤続3年半以上の場合や、週4日勤務で勤続2年半以上の場合などが該当します。

取得義務の期間は、有給休暇が付与された日(基準日)から1年以内と定められています。例えば、4月1日が基準日の場合、翌年の3月31日までに5日以上の有給休暇を取得させる必要があります。この期間内に5日以上の有給休暇を取得させられなかった場合、企業は労働基準法違反となります。

5日取得を保証するための3つの方法

企業が年5日の有給休暇取得義務を果たすためには、主に以下の3つの方法、またはこれらの組み合わせによって対応することになります。重要なのは、どの方法を取るにしても、労働者の取得が確実に5日以上に達するように管理することです。

  1. 時季指定:企業が労働者の意見を聴取し、その希望を踏まえた上で、有給休暇の取得時季を指定する方法です。一方的な指定ではなく、あくまで労働者の希望を尊重しながら調整することが求められます。
  2. 計画的付与制度(計画年休):労使協定を締結し、あらかじめ有給休暇の取得日を企業側が指定する制度です。全従業員一斉に休業する日(例:夏季一斉休業、年末年始)や、個人別に取得日を割り振るなど、柔軟な運用が可能です。この制度を活用することで、企業は取得義務を計画的に達成しやすくなります。
  3. 労働者による取得:労働者自身が希望する時季に、会社に申請して有給休暇を取得する方法です。企業は、この労働者からの申請による取得日数を把握し、まだ5日に満たない労働者に対しては、不足分を時季指定などで取得させる必要があります。

これらの方法を適切に組み合わせることで、企業は労働者の多様な働き方に対応しつつ、法的な義務を確実に果たすことが可能になります。

企業が負う「時季指定義務」と「労働者への提示義務」を徹底解説

時季指定義務の具体的な流れとポイント

企業が年5日の有給休暇取得義務を果たす上で、特に重要な役割を果たすのが「時季指定義務」です。これは、労働者から有給休暇の取得申請がなく、かつ計画的付与制度も利用していない場合に、企業が労働者の意見を聴取した上で、取得時季を指定し取得させる義務を指します。重要なのは、企業が一方的に時季を指定するのではなく、必ず労働者の意見を聴取し、その希望を尊重することです。

具体的な流れとしては、まず企業は年10日以上の有給休暇が付与された労働者に対し、当該年度の有給休暇付与日数、残日数、そして現時点での取得状況などを伝え、希望する取得時季がないかを確認します。この際、対象となる労働者が誰であるかを正確に把握することが不可欠です。もし労働者から希望する時季の申し出があれば、企業は原則としてその希望を尊重し、業務に支障がない限り取得させます。労働者からの申し出がなく、かつ5日未満である場合には、企業が労働者の意見を聴取した上で、具体的な取得日を提示・指定することになります。

このプロセスを通じて、企業は労働者のワークライフバランスを考慮しつつ、法的な義務を果たす責任があります。日頃からのコミュニケーションを通じて、労働者が気兼ねなく希望を伝えられる環境を整備することも、円滑な運用には欠かせません。

年次有給休暇管理簿の作成と保管義務

年5日取得義務の導入に伴い、企業には「年次有給休暇管理簿」の作成と保管が義務付けられました。これは、労働者ごとの有給休暇の取得状況を正確に記録・管理するための重要な書類であり、労働基準法で定められた法定帳簿の一つです。

年次有給休暇管理簿には、以下の3つの項目を記載することが義務付けられています。

  • 労働者ごとに有給休暇を与えた日数
  • 取得した取得時季(実際に休暇を取得した日付)
  • 基準日(有給休暇を付与した日)

これらの情報は、労働者ごとに作成し、有給休暇を与えた期間中および当該期間の終了後3年間保管する必要があります。紙媒体でも電子データでも構いませんが、労働基準監督署からの監査などがあった際に、いつでも提示できるようにしておく必要があります。

この管理簿の作成・保管は単なる事務作業ではなく、企業が適切に有給休暇の取得状況を把握し、義務を履行していることを示すための重要な証拠となります。勤怠管理システムを導入している企業では、これらの情報が自動的に記録・管理される機能を持つものも多く、有効活用することで管理負担を軽減できます。

就業規則への明記と従業員への周知徹底

年5日取得義務を円滑に運用するためには、企業がその制度の内容を就業規則に明確に記載し、さらに従業員に対して周知徹底することが不可欠です。

まず、就業規則への記載についてです。特に、企業が時季指定を行う場合や、計画的付与制度を導入する場合には、その旨を就業規則に規定する必要があります。常時10人以上の労働者を使用する企業は就業規則の作成・届出が義務付けられているため、この機会に既存の就業規則を見直し、必要に応じて変更・追加を行うことが求められます。就業規則に規定することで、労働者に対して制度の透明性を確保し、労使間の無用なトラブルを防ぐことができます。

次に、従業員への周知徹底です。単に就業規則に記載しただけでは十分ではありません。すべての従業員が「年5日取得義務」の存在、その目的、そして具体的な取得方法や会社のルールを理解していることが重要です。具体的な周知方法としては、社内掲示板への掲載、社内イントラネットでの公開、説明会の開催、または個別面談での説明などが考えられます。特に、自身の有給休暇付与日数や取得状況について、従業員がいつでも確認できるような仕組みを整えることが、安心して有給休暇を取得できる環境づくりに繋がります。

労働者はどうすればいい?有給休暇をスムーズに取得するポイント

自身の有給休暇状況を把握する重要性

年5日の有給休暇取得義務は企業に課せられたものですが、労働者自身も自分の有給休暇の状況を把握しておくことが、スムーズな取得の第一歩となります。自分が年間何日の有給休暇が付与され、これまでに何日取得し、あと何日残っているのかを正確に把握することで、計画的に休暇を消化しやすくなります。

ほとんどの企業では、給与明細や勤怠管理システム、または人事担当部署を通じて、個人の有給休暇の付与日数や残日数を確認できるようになっています。定期的にこれらの情報に目を通し、自身の取得状況を確認する習慣をつけましょう。

特に、年度の後半に入ってもまだ5日取得できていない場合は、企業から時季指定が行われる可能性が高まります。企業からの時季指定は、原則として労働者の意見を聴取した上で行われますが、もし希望する時期がある場合は、早めに会社に伝えておくことで、自身の都合に合わせた休暇が取得しやすくなります。自身の状況を把握することは、単に義務を果たすだけでなく、自身のワークライフバランスを積極的に管理するためにも非常に重要です。

企業との円滑なコミュニケーションの取り方

有給休暇をスムーズに取得するためには、企業(上司や人事担当者)との円滑なコミュニケーションが不可欠です。取得したい時季が決まったら、なるべく早めに上司に相談し、申請を行うように心がけましょう。

特に、連休や長期休暇を希望する場合は、代替要員の調整や業務の引き継ぎが必要になることがあります。早めに相談することで、上司も適切な人員配置や業務調整を行う時間が取れ、結果として自分も安心して休暇に入ることができます。また、自分が休むことで業務に支障が出る可能性があれば、事前に業務の進捗状況を共有したり、引き継ぎ資料を作成したりするなど、配慮の姿勢を見せることも大切です。

もし会社側から時季指定の相談があった場合でも、一方的に拒否するのではなく、まずは自身の希望を正直に伝え、代替案があれば提示するなど、建設的な話し合いを心がけましょう。企業側も労働者の意見を尊重する義務があるため、適切なコミュニケーションを通じて、双方にとって最善の解決策を見つけることが可能です。日頃から上司や同僚と良好な関係を築いておくことも、休暇が取りやすい環境に繋がります。

計画的付与制度の活用と個人の自由な取得

年5日取得義務を達成する方法の一つとして「計画的付与制度(計画年休)」があります。これは労使協定に基づき、企業があらかじめ有給休暇の取得日を指定する制度です。この制度が導入されている場合、労働者は企業が指定した日に有給休暇を取得することになります。

計画的付与制度は、企業にとっては従業員全員の取得義務を計画的に達成できるメリットがあり、労働者にとっても、会社全体で休むため「休みやすい雰囲気」が作りやすいというメリットがあります。夏季休暇や年末年始休暇として指定されることも多いため、自身の年間スケジュールに組み込みやすくなります。この制度を活用することで、義務化された5日の有給休暇のうち、一部または大部分を効率的に取得することが可能です。

ただし、計画的付与制度を利用する場合でも、企業は労働者が本来保有する有給休暇のうち、少なくとも5日分は労働者が自由に取得できるように残しておく必要があります。つまり、計画年休で5日取得したとしても、別途、個人で自由に使える有給休暇が残っているということです。労働者は、この自由に取得できる残りの有給休暇を、個人の都合に合わせて有効活用することができます。計画的に取得する日と、自由に取得する日をうまく組み合わせることで、ワークライフバランスをより充実させることができるでしょう。

年5日取得義務に違反した場合のリスクと罰則

企業に科される具体的な罰則内容

年5日の有給休暇取得義務は、企業にとって重要な法定義務です。この義務に違反し、対象となる労働者に年間5日以上の有給休暇を取得させなかった場合、企業は労働基準法違反となり、労働者1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります。

この罰則は、違反行為が「対象となる労働者ごと」に成立するとみなされます。したがって、もし複数の労働者に対して年5日取得義務を怠っていた場合、その労働者の人数に応じて罰金総額が高額になるリスクがあります。例えば、10人の従業員に違反があった場合、最大で300万円の罰金が科されることも考えられます。これは企業経営にとって、決して軽視できない経済的負担となります。

罰則の適用は、労働基準監督署による調査や指導の結果として行われます。企業は、罰則の対象とならないよう、日頃から有給休暇の取得状況を適切に管理し、義務を確実に履行することが求められます。

罰則適用までの流れと企業の対応

年5日取得義務違反があったとしても、直ちに罰則が科されるわけではありません。一般的には、まず労働基準監督署からの「是正勧告」や「指導」が入ることが多いです。労働基準監督署は、労働者からの申告や定期的な調査を通じて、企業の法令遵守状況をチェックしています。

是正勧告を受けた企業は、指定された期間内に違反状態を是正し、その旨を報告する義務があります。この段階で速やかに改善策を講じ、適切な対応を行えば、多くの場合、罰金などの重い処分は回避できます。しかし、是正勧告に従わない、あるいは悪質な違反行為が繰り返されるような場合には、労働基準監督署による「送検」が行われ、検察庁での起訴、そして裁判を経て罰金刑が確定する可能性が高まります。

企業としては、労働基準監督署からの指摘があった際には、真摯に受け止め、速やかに改善計画を策定し実行することが最も重要です。事前に就業規則の確認、管理簿の整備、取得促進策の実施などを行い、法令遵守体制を確立しておくことが、あらゆるリスクを回避するための最善策と言えるでしょう。

社会的信用の失墜と従業員エンゲージメントの低下

年5日取得義務違反は、法的な罰則という直接的なリスクだけでなく、企業の社会的信用やブランドイメージにも深刻な悪影響を及ぼします。法令違反が明るみに出れば、企業のコンプライアンス意識の低さが露呈し、世間からの信頼を失うことになります。

また、従業員エンゲージメントの低下も避けて通れません。有給休暇の取得は労働者の権利であり、企業がその権利を侵害することは、従業員の不満や不信感を募らせる原因となります。「休みが取れない会社」というイメージが定着すれば、既存の従業員のモチベーション低下や離職率の増加に繋がりかねません。さらに、新たな人材の採用活動にも悪影響が出ることが予想されます。優秀な人材ほど、ワークライフバランスを重視する傾向にあるため、有給休暇の取得を妨げる企業は敬遠されるでしょう。

このように、年5日取得義務の違反は、短期的な罰金だけでなく、長期的な視点で見ても企業の持続可能性を脅かす重大なリスクとなります。企業は、法令遵守はもちろんのこと、従業員が心身ともに健康で働ける環境を提供することが、持続的な成長には不可欠であるという認識を持つべきです。

労使双方で有給休暇制度を円滑に運用するためのヒント

企業が取り組むべき取得促進策と環境整備

年5日取得義務を単なる「義務」として捉えるのではなく、企業文化の一部として定着させるためには、積極的な取得促進策と環境整備が不可欠です。まず、最も重要なのは「休みやすい雰囲気」を醸成することです。上司が率先して有給休暇を取得したり、定期的に部下に対して「〇〇さんはまだ有給休暇が残っているから、そろそろ計画を立ててみてはどうか」と声かけをしたりすることは非常に有効です。

具体的な施策としては、以下のようなものが考えられます。

  • 定期的な取得状況の可視化とリマインド:従業員自身の取得状況を定期的に通知し、未取得者には計画的な取得を促す。
  • 業務の平準化と属人化の解消:特定の個人に業務が集中しないよう、日頃から業務の分担を見直し、誰かが休んでも業務が滞らないような体制を構築する。
  • 代替要員の確保と育成:休暇取得時の業務カバー体制を整えることで、従業員が安心して休めるようにする。
  • チームや部署ごとの取得目標設定:達成状況を共有し、チーム全体で取得を推進する意識を高める。

これらの取り組みを通じて、従業員が「有給休暇は当然の権利であり、取得しても誰も迷惑だと思わない」という意識を持てるよう、企業は継続的に努力する必要があります。

計画的付与制度の賢い活用方法

計画的付与制度(計画年休)は、年5日取得義務を効率的かつ確実に達成するための強力なツールです。労使協定を締結することで、企業があらかじめ取得日を指定できるため、従業員一人ひとりの希望を聞き取って調整する手間を大幅に削減できます。この制度を賢く活用することで、労使双方にメリットが生まれます。

企業側のメリット:

  • 有給休暇の消化率向上と義務達成の確実性。
  • 業務の計画性が向上し、繁忙期を避けた人員配置や業務調整が可能になる。
  • 全社一斉休業であれば、電力消費の削減などコストメリットも期待できる。

労働者側のメリット:

  • 会社全体で休むため、同僚に気兼ねなく休暇を取得できる。
  • 事前に休暇日が決まっているため、プライベートの予定が立てやすい。
  • 計画年休により、必ず一定日数の有給休暇が取得できる安心感がある。

計画的付与制度の導入には、「従業員が自由に取得できる有給休暇を最低5日分は残しておく必要がある」という重要な制約があります。残りの有給休暇は、従業員が個々の都合に合わせて取得できるように配慮しましょう。夏季の一斉休暇や年末年始の連続休暇に組み込む、あるいは個人別に取得日を割り振るなど、企業の業態や文化に合わせて最適な運用方法を検討することが大切です。

労使間のオープンなコミュニケーションと相互理解

有給休暇制度を円滑に運用し、その本来の目的を達成するためには、企業と従業員の間でオープンなコミュニケーションと相互理解を深めることが最も重要です。単に制度として存在するだけでなく、なぜ有給休暇が必要なのか、取得することでどのようなメリットがあるのかを共有することが求められます。

企業側は、有給休暇の取得が「甘え」や「迷惑」な行為ではなく、「労働者の心身の健康維持に不可欠であり、結果として企業の生産性向上に繋がるもの」であるというメッセージを明確に発信し続けるべきです。また、従業員が有給休暇の取得を申し出た際に、不当な理由で取得を拒否したり、取得を妨げるような言動(パワーハラスメント)を行ったりしないよう、管理職への教育を徹底することも重要です。

一方、労働者側も、有給休暇は自身の権利であると同時に、会社の業務に支障が出ないよう配慮する責任があります。希望する時季を早めに伝えたり、業務の引き継ぎをきちんと行ったりするなど、円滑な業務遂行への協力姿勢を示すことが、お互いにとって良い関係を築く土台となります。

定期的な労使協議の場を設け、有給休暇の取得状況や課題について意見交換を行うことで、より実態に即した制度運用へと改善していくことができるでしょう。労使双方が協力し、理解を深めることで、真に働きやすい職場環境が実現します。