概要: AWSの無料利用枠は、AWSを始める上で非常に魅力的ですが、その期間や確認方法、そして終了後の注意点を理解しておくことが重要です。本記事では、AWS無料枠の期間、確認方法、終了後の料金体系、さらには無料枠を賢く使い続けるためのヒントまで、網羅的に解説します。
「AWSを使ってみたいけど、料金が心配…」「無料枠があるって聞いたけど、どこまで使えるの?」
そんな疑問をお持ちの方へ、AWSの無料利用枠を最大限に活用するためのガイドをお届けします!
AWSの無料枠は、クラウドサービスを気軽に試したり、学習を進めたりする上で非常に強力なツールです。しかし、そのルールや注意点を理解しておかないと、意図しない課金が発生してしまう可能性も。
この記事では、AWS無料枠の期間、確認方法、そして無料期間終了後の注意点まで、最新情報を交えて徹底解説します。賢くAWSを使いこなして、あなたのプロジェクトを加速させましょう!
AWS無料利用枠の期間と概要
AWS(Amazon Web Services)は、世界中で利用されているクラウドコンピューティングサービスです。その魅力を気軽に体験できるよう、AWS無料利用枠(Free Tier)という制度が提供されています。
AWS無料利用枠とは?その目的
AWS無料利用枠とは、AWSの多様なプラットフォーム、製品、サービスを、特定の条件下で無料で利用できる仕組みです。その主な目的は、新規ユーザーがAWSの導入コストを抑えながら、サービスの試用、学習、または小規模な検証を行えるようにすることにあります。
この制度のおかげで、個人開発者がアイデアを形にしたり、学生がクラウド技術を学んだり、企業が新しいシステムをPoC(概念実証)したりする際に、費用面のハードルが大幅に下がります。無料で実際に手を動かして経験を積むことができるため、AWSの広大なエコシステムに触れる最初のステップとして、非常に重要な役割を担っているのです。
特に注目すべきは、2025年7月15日以降の新規ユーザー向けに提供される新しい無料プランです。このプランでは、最大6ヶ月間、または最大200ドルのクレジットという柔軟な形でAWSサービスを無料で利用できます。これにより、初期学習からプロジェクトの立ち上げまで、より多くのユーザーがAWSを体験しやすくなっています。常に最新情報をチェックし、自身に最適なプランでAWSの旅をスタートさせましょう。
出典: 参考情報「AWS無料利用枠とは」
無料利用枠の3つの種類と具体的な期間
AWSの無料利用枠は、その期間と性質に応じて大きく3つの種類に分けられます。それぞれの特徴を理解することが、賢い利用の鍵となります。
- 12ヶ月無料枠: AWSアカウントの作成日から12ヶ月間、特定のサービスを無料で利用できます。例えば、Amazon EC2のt2.microまたはt3.microインスタンス(リージョンによって異なる)を毎月750時間、Amazon S3の標準ストレージを5GBなどが提供されます。この期間は、本格的なプロジェクトの準備や、ある程度の期間をかけて基礎を学習するのに適しています。EC2であれば1ヶ月ほぼ24時間稼働させても無料枠に収まる計算になります。
- 無期限無料枠(常時無料枠): 期間の定めなく、一定の利用制限内であれば永続的に無料で利用できるサービスです。AWS Lambdaの毎月100万回の無料リクエストや、Amazon DynamoDBの25GBのストレージ、Amazon SQSの100万回のキューリクエストなどがこれに該当します。サーバーレスアーキテクチャの学習や、永続的に稼働する軽量なアプリケーションの構築に最適で、小さな規模であればずっと無料で利用し続けられるのが最大の魅力です。
- 無料トライアル: 各サービスごとに設定された、期間限定の無料利用枠です。例えば、セキュリティサービスのAmazon Inspectorは15日間、Amazon GuardDutyは30日間など、特定のサービスの機能を短期間で集中して試すことができます。新しいサービスや特定の機能を検証したい場合に有効で、そのサービスの価値を評価するのに役立ちます。
これらの無料枠を組み合わせることで、AWSの多岐にわたるサービスを効率的に試すことが可能になります。自身の利用目的に合わせて、どの種類の無料枠が適しているかを判断しましょう。
出典: 参考情報「無料利用枠の種類と期間」
知っておくべき無料枠の利用制限とポイント
AWS無料利用枠は非常に便利ですが、いくつかの重要な利用制限とポイントを把握しておく必要があります。これらを知らないと、意図しない課金につながる可能性があるため細心の注意を払いましょう。
まず、インスタンスサイズです。Amazon EC2のような仮想サーバーサービスでは、無料枠で利用できるインスタンスのサイズに制限があります。例えば、t2.microやt3.micro以外の大きなインスタンスを利用すると、すぐに課金対象となります。無料枠の対象インスタンスを間違えないよう、起動時に必ず確認してください。
次に、マルチAZ構成です。可用性を高めるために複数のアベイラビリティーゾーンにリソースを配置するマルチAZ構成は、通常のリソース消費量の2倍の速さで無料枠の利用時間を消費します。学習目的や実験段階では、コストを抑えるためにもシングルAZ構成から始めることを強くおすすめします。
また、リージョンによって無料枠の適用が異なる場合があります。利用するサービスがどのリージョンで無料枠の対象となっているか、またその上限は何かを事前に確認することが重要です。一般的に、地理的に近いリージョン(日本では東京リージョン)は利用頻度が高いですが、利用可能な無料枠のリソース量は他のリージョンと異なる場合があるため、注意が必要です。
その他にも、月次の無料枠は月末に失効し、翌月に繰り越すことはできません。使い切らなかった無料枠は消滅するため、計画的に利用しましょう。また、AWS Marketplaceで提供されている有料製品は、基本的に無料枠の対象外となることが多いです。クレジットカードの登録も、無料枠を利用する場合でも多くの場合で必須となります。
これらのポイントを理解し、計画的に利用することで、無料枠を最大限に活用し、余計なコストをかけることなくAWSの学習や開発を進められるでしょう。
出典: 参考情報「制度の背景と制度のポイント」
AWS無料利用枠の確認方法
AWSの無料利用枠を賢く使うためには、現在の利用状況や残りの期間を正確に把握することが不可欠です。複数の確認方法を組み合わせて、常に最新の状況を把握しておきましょう。
利用状況を把握するためのAWSコンソール活用術
AWSの無料利用枠の使用状況を確認する最も基本的な方法は、AWS Billing and Cost Management コンソールを利用することです。このコンソールにアクセスすることで、現在の利用状況や費用を一目で把握できます。
具体的には、「請求書」メニューに移動し、「使用量別の上位無料利用枠サービス」のセクションを確認してください。ここでは、どのサービスが無料利用枠内でどれくらい利用されているか、そしてその上限にどれだけ近づいているかがグラフやリストで視覚的に表示されます。例えば、EC2の稼働時間が月間750時間の上限に対し、現在何時間利用しているか、S3のストレージが5GBに対し何GB利用しているかなどが具体的に確認できます。これにより、意図せず無料枠を超過してしまうリスクを早期に発見できます。
また、サイドバーの「Free tier」メニューに直接アクセスすることも可能です。ここでは、無料利用枠の使用上限が近づいているサービスや、すでに超過しているサービスが警告と共に表示されます。利用可能なリソース量の割合や、12ヶ月無料枠の残り日数も確認できるため、計画的なリソース管理に役立ちます。これらの情報を定期的に確認する習慣をつけることで、無料枠を最大限に活用しつつ、予期せぬ課金を未然に防ぐことができるでしょう。
出典: 参考情報「無料利用枠の確認方法」
予算アラート設定で意図しない課金を防ぐ
AWS無料利用枠を利用する上で、最も恐れるべきは「いつの間にか課金されていた」という事態です。これを防ぐために絶大な効果を発揮するのが、AWS Budgets機能を使った予算アラートの設定です。AWS Budgetsは、AWSの利用コストを監視し、設定した予算を超過しそうな場合に通知してくれる強力なツールです。
AWS Budgetsでは、特定のサービスやアカウント全体に対して、月ごとのコスト上限を設定できます。例えば、「AWS無料枠の範囲内で、月額1ドル以上のコストが発生したら通知する」といった具体的な予算を設定することが可能です。予算額のしきい値(例: 予算の80%到達時、100%到達時など)を設定し、そのしきい値を超えた際に、指定したメールアドレスへ自動で通知が送られるように設定します。また、Amazon SNS(Simple Notification Service)と連携させれば、SMSでの通知や、AWS Lambdaを介して特定のアクション(例: 不要なリソースの自動停止)を実行することも可能です。
このアラート機能は、無料枠の範囲を超えそうな兆候を早期に捉え、迅速な対応を促します。これにより、不要なリソースの停止や削除といった対策を講じる時間的余裕が生まれ、意図しない高額な請求を効果的に防ぐことができます。初めてAWSを利用する方や、複数のプロジェクトで無料枠を活用している方には、必須の機能と言えるでしょう。
出典: 参考情報「無料利用枠の確認方法 – AWS Budgets」
コンソールホームとメール通知の見落とし厳禁
AWSの無料利用枠の状況を把握する方法は、Billing and Cost Managementコンソールだけではありません。日々のAWS利用の中で、簡単に状況を確認できるポイントと、絶対に見逃してはいけない通知について解説します。
まず、AWS Management Consoleのホーム画面です。ログイン後のホーム画面には、アカウントプランの概要が表示される場合があります。ここに、無料利用枠のクレジット残高や、12ヶ月無料枠の残り日数が表示されることがあります。特に、無料期間が残り少なくなると、目立つ形で通知されることが多いので、ログインの際に必ずチェックする習慣をつけましょう。ここでの簡易的な表示でも、全体の状況を素早く把握することができます。
そして最も重要なのが、メール通知です。AWSは、無料利用枠の終了日が近づくと、登録されているメールアドレスに通知を送ってくれます。このメールは、無料期間終了後の課金発生を未然に防ぐための最後の砦とも言える情報源です。件名に「Your AWS Free Tier usage limit is approaching」や「AWS Free Tier expiry reminder」といったキーワードが含まれることが多いです。これらのメールが迷惑メールフォルダに入ってしまう可能性もあるため、AWSからのメールは定期的に確認するか、重要な通知としてマークしておくことを強く推奨します。これらの通知を見落とさないことで、安心してAWSを利用し続けることができます。
出典: 参考情報「無料利用枠の確認方法 – AWS Management Console ホーム、メール通知」
AWS無料期間終了後に注意すべきこと
AWS無料利用枠は大変便利ですが、その期間が終了した後の対応を怠ると、予期せぬ料金が発生する可能性があります。無料期間終了後も安心してAWSを利用し続けるために、以下の注意点を押さえておきましょう。
予期せぬ課金を避けるための定期的な確認と削除
無料利用枠の期間が終了しても、あなたが起動したリソースは自動的に停止したり削除されたりすることはありません。そのため、無料期間が終了した途端に、それらのリソースに対して通常の従量課金が開始されます。これを避けるためには、以下の二点が極めて重要です。
まず、利用状況の定期的な確認です。AWS Billing and Cost Management コンソールを頻繁にチェックし、現在どのリソースが稼働していて、それらがどの料金体系に基づいているかを常に把握しておく必要があります。特に、無料利用枠の終了日が近づいてきたら、これまで無料だったEC2インスタンスやRDSデータベースなどが今後いくらになるのかを詳細に確認し、継続利用の要否を判断しましょう。
次に、不要なリソースの削除です。無料利用枠の対象外であったり、無料期間が終了したりしたリソースで、今後利用する予定がないものは、必ず停止または削除してください。例えば、実験用に立ち上げたEC2インスタンス、RDSデータベース、あるいはS3バケット内のオブジェクトなどは、使い終わったらすぐに終了させる習慣をつけましょう。特にEC2では、インスタンスを「停止」しただけでは、付随するEBSストレージなどに対して課金が続く場合があります。完全に課金を止めたい場合は、リソースを完全に「削除」することが推奨されます。
出典: 参考情報「無料利用枠終了後の注意点 – 利用状況の定期的な確認、不要なリソースの削除」
アラートと監視体制の構築でリスクを最小化
無料期間終了後の課金を未然に防ぐためには、手動での確認だけでなく、自動化された監視体制を構築することが非常に有効です。これにより、予期せぬコスト発生の兆候をいち早く察知し、対応することが可能になります。
すでに「AWS Budgets」について触れましたが、これはコスト管理の要となります。無料枠を超過した際の予算アラートだけでなく、特定のサービスが一定の利用量を超えた際に通知するよう設定することも可能です。例えば、Amazon S3のストレージが無料枠の上限に近づいたら通知するといった設定は、意図しないデータ量の増加による課金を防ぐのに役立ちます。閾値に達したらメールだけでなく、Slackなどのチャットツールに通知を送る設定もできるため、チームで情報を共有しやすくなります。
さらに高度な監視には、Amazon CloudWatchのアラート機能を活用しましょう。CloudWatchは、AWSサービスから収集されるメトリクス(性能データや使用状況など)を監視し、しきい値を超えた際に自動で通知を送ったり、特定のアクションを実行したりできます。例えば、EC2インスタンスが予期せず長時間稼働している場合にアラートを発するといった設定も可能です。これらのアラートを適切に設定し、定期的に見直すことで、無料枠の範囲を超えた利用や、停止忘れによる課金を早期に検知し、迅速な対応を可能にします。
出典: 参考情報「無料利用枠終了後の注意点 – アラート設定」
複数アカウント利用時の注意点と新しい無料プランの落とし穴
AWSを複数アカウントで利用している場合や、2025年7月15日以降の新しい無料プランを利用する際には、特に注意が必要です。予期せぬ事態を避けるために、以下の点を理解しておくことが重要です。
まず、AWS Organizationsを利用して複数のAWSアカウントを一元管理している場合、組織内で無料利用枠が適用されるのは基本的に1つのアカウントのみです。このため、無料枠を利用するアカウントを明確にし、他のアカウントで誤って無料枠と勘違いしてリソースを起動しないよう注意が必要です。また、親アカウントの請求ポリシーによっては、意図せず従量課金が発生する可能性があるため、組織全体の請求設定を事前に確認し、責任者間で認識を合わせることが重要です。
次に、2025年7月15日以降に導入される新しい無料プランにおける重要な変更点です。このプランでは、最大200ドルのクレジットを使い切るか、アカウント開始から6ヶ月が経過すると、アカウントが自動的に閉鎖されます。この自動閉鎖は、無料枠の終了後に課金されることを防ぐための仕組みですが、重要なデータやリソースが失われるリスクも伴います。アカウント閉鎖後、90日間の猶予期間内に有料プランへアップグレードすれば、それまでのデータやリソースを復元することが可能ですが、この期間を過ぎるとデータは完全に削除され、復元はできなくなります。このため、新しい無料プランで利用を開始する際には、有料移行のタイミングを明確に計画し、データバックアップの習慣も忘れずにつけることが不可欠です。
出典: 参考情報「無料利用枠終了後の注意点 – AWS Organizations利用時の注意、アカウントの自動閉鎖と復元」
AWS無料利用枠終了後の料金について
AWS無料利用枠は、クラウド体験の素晴らしい入り口ですが、いつかはその期間が終了し、通常の料金体系へと移行します。無料期間終了後も安心してサービスを継続利用するために、料金に関する理解を深めておきましょう。
無料枠を超過した場合の料金体系の理解
AWSの無料利用枠を超過した場合、または無料期間が終了した場合は、直ちに通常の従量課金体系へと移行します。AWSの料金は、利用したリソース量や時間、転送データ量などに基づいて計算されるため、サービスごとに細かく料金が設定されています。
例えば、Amazon EC2ではインスタンスのタイプと稼働時間、Amazon S3では保存したデータ量とデータ転送量、AWS Lambdaではリクエスト回数と実行時間に応じた料金が発生します。また、データ転送量も特に注意が必要な課金要素の一つです。AWSからインターネットへのデータ転送は通常課金対象となり、大量のデータを出力するアプリケーションでは無視できないコストになることがあります。
これらの料金は、各サービスの料金ページで詳細に確認できますが、最初は複雑に感じるかもしれません。料金の目安を知りたい場合は、AWS公式が提供する「AWS Pricing Calculator」を活用することをおすすめします。利用したいサービスと予想される利用量、期間を入力するだけで、大まかな月額費用をシミュレーションできます。これにより、無料枠終了後のコストを事前に把握し、予算計画を立てることが可能になります。
出典: 参考情報から推測
コスト最適化のためのリソース管理戦略
無料利用枠終了後もAWSを低コストで賢く使い続けるためには、効果的なリソース管理戦略が不可欠です。いくつかのポイントを押さえることで、無駄な出費を抑えることができます。
まず、不要なリソースの徹底的な削除です。無料期間中に実験的に作成したEC2インスタンスやRDSデータベース、S3バケットなどは、不要になったら速やかに停止・削除しましょう。停止しているだけでは課金が発生するサービスもあるため、完全に削除することが最も確実です。
次に、リソースの適正なサイジングです。例えば、EC2インスタンスは常に最小限の要件を満たす最も小さいタイプを選択し、必要に応じてスケールアップすることを検討します。不要なアベイラビリティーゾーンにリソースが残っていないかも確認し、未使用のEBSボリュームやIPアドレスなども解放することでコストを削減できます。
さらに、自動停止・開始のスケジュール設定も有効です。開発環境やテスト環境など、特定の時間帯しか利用しないリソースは、営業時間外に自動で停止・開始するよう設定することで、稼働時間を大幅に削減し、コストを抑えることができます。これには、AWS LambdaやAWS Systems Managerなどのサービスを活用できます。これらの運用を自動化することで、人的ミスによる課金も防ぐことができます。
出典: 参考情報から推測
課金を抑えるための賢い予算設定とアラート活用
無料期間終了後の課金をコントロールする上で、最も重要なのが継続的な予算設定とアラート機能の活用です。これは、無料期間中だけでなく、有料移行後も恒久的に実施すべき対策と言えます。
先にも触れたAWS Budgetsは、月間の予算を設定し、実際の利用額がその予算に近づいた、または超えた場合に通知を送る機能です。無料期間中には「無料枠の上限」を基準としていましたが、有料移行後は「許容できる月額コスト」を基準として設定しましょう。例えば、月額$100を予算とし、その80%に達した時点でメール通知、100%に達した時点で別の通知、といった柔軟な設定が可能です。通知先はメールだけでなく、Amazon SNSを通じてSlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツール、またはPagerDutyのようなオンコール管理システムとも連携できます。
さらに、Amazon CloudWatchと連携することで、より詳細な監視が可能です。特定のサービスの使用量(例:S3のストレージ使用量、Lambdaの実行回数、データ転送量)が予想以上に増加した場合にアラートを発生させることで、予期せぬコスト上昇の兆候を早期に検知し、対応することができます。これらの設定を怠らず、定期的に見直すことで、AWSのコストを常に把握し、管理下におくことが可能になります。コストが予算を超過しそうな場合に自動的にリソースを停止するような高度な自動化も検討できます。
出典: 参考情報「AWS Budgets」、「Amazon CloudWatch」
AWS無料枠を賢く使い続けるためのヒント
AWSの無料利用枠は、クラウドの世界への扉を開く素晴らしい機会を提供してくれます。この貴重なリソースを最大限に活用し、無駄なく使い続けるためのヒントをまとめました。
無料枠対象サービスと利用上限を常に把握する
AWS無料利用枠を賢く利用するための最も基本的な原則は、どのサービスが無料枠の対象であり、その利用上限がどこまでなのかを正確に把握することです。この知識が、無駄な課金を避け、効率的に学習・開発を進める土台となります。
AWSは非常に多くのサービスを提供しており、その全てが無料枠の対象ではありません。また、対象サービスであっても、それぞれに細かな上限が設定されています。具体的な例を挙げると、Amazon EC2の特定のインスタンスタイプ(t2.microまたはt3.micro)や稼働時間(月間750時間)、Amazon S3の標準ストレージ量(5GB)、Amazon RDSのデータベースインスタンス稼働時間(月間750時間)、AWS Lambdaの実行回数(毎月100万リクエスト)、Amazon SQSのキューリクエスト数(毎月100万リクエスト)など、多岐にわたります。
これらの上限を超過すると、すぐに課金が発生するため、利用を開始する前に必ずAWSの公式ドキュメントで最新の無料枠情報を確認する習慣をつけましょう。例えば、学習のためにEC2インスタンスを起動する際には、必ず無料枠対象のインスタンスタイプを選び、月間750時間以内での利用を心がけるなど、具体的なルールを意識することが重要です。これにより、意図しない課金を避け、安心して学習や実験を進めることができます。
出典: 参考情報「制度の背景と制度のポイント – インスタンスサイズ」
マルチAZやリージョン設定による消費の違いを理解する
AWSのサービス設定、特に可用性や配置に関する選択は、無料利用枠の消費に大きく影響します。特に注意すべきは、マルチAZ構成とリージョン選択です。
マルチAZ構成は、障害発生時に備えて複数のアベイラビリティーゾーンにリソースを分散配置する高可用性構成ですが、これは同じリソースを複数箇所で稼働させることを意味します。そのため、EC2やRDSなどのサービスでマルチAZ構成を選択すると、無料枠の利用時間を約2倍の速さで消費してしまいます。学習目的や開発初期段階では、コストを抑えるためにもシングルAZ構成から始めることを強く推奨します。高可用性が本当に必要になるまでは、この設定は避けるのが賢明です。
また、リージョン(地域)の選択も重要です。AWSは世界中の複数のリージョンでサービスを提供していますが、無料利用枠の適用範囲や利用上限は、リージョンによって異なる場合があります。例えば、特定のリージョンでは無料枠の対象とならないサービスがあったり、利用できるインスタンスタイプが限られたりすることがあります。利用したいサービスがどのリージョンで無料枠の対象となっているかを事前に確認し、最適なリージョンを選択しましょう。一般的に、地理的に近いリージョン(日本では東京リージョン)が推奨されますが、無料枠の適用状況、レイテンシー、データレジデンシー要件も考慮に入れると良いでしょう。
出典: 参考情報「制度のポイント – マルチAZ構成、リージョン」
計画的な利用と情報収集で最大限に活用
AWS無料利用枠は、無限のリソースではありません。限られた枠の中で最大限の恩恵を受けるためには、計画的な利用と継続的な情報収集が不可欠です。
まず、リソースを立ち上げる際には、その利用目的と期間を明確にしましょう。実験や学習が終わったら、不必要なリソースはすぐに停止または削除する習慣をつけます。長期的なプロジェクトを無料枠で進める場合は、定期的にコストと利用状況をチェックし、計画通りに進んでいるかを確認することが重要です。漠然とリソースを起動するのではなく、「今月中にこのサービスを〇時間利用し、〇GBのデータを処理する」といった具体的な目標を設定すると良いでしょう。
また、AWSの無料利用枠の規約や提供内容は、常にアップデートされる可能性があります。特に、2025年7月15日以降の新しい無料プランのように、新規ユーザー向けの制度が大きく変更されることもあります。AWSの公式ブログ、ドキュメント、そして定期的に送られてくるメール通知などを通じて、常に最新の情報をキャッチアップするよう努めましょう。AWSのコミュニティや技術ブログも、最新情報や活用事例を知る上で非常に役立ちます。
これらのヒントを実践することで、AWSの無料利用枠を最大限に活用し、意図しない課金のリスクを最小限に抑えながら、クラウド技術の学習や開発を効果的に進めることができるでしょう。
出典: 全体を通して
まとめ
よくある質問
Q: AWSの無料利用枠はいつまで利用できますか?
A: AWSの無料利用枠は、主に新規AWSアカウント開設から12ヶ月間利用できる「12ヶ月無料」と、一部サービスで提供される「従量課金無料」の2種類があります。12ヶ月無料の期間は、アカウント開設日からの起算となります。
Q: AWS無料利用枠の利用状況はどこで確認できますか?
A: AWS無料利用枠の利用状況は、AWSマネジメントコンソールの「請求ダッシュボード」または「AWS Budgets」から確認できます。特に「AWS Budgets」では、利用状況を監視し、設定した予算を超えそうな場合にアラートを受け取ることも可能です。
Q: AWS無料期間が終了すると、自動的に料金が発生しますか?
A: はい、12ヶ月無料期間が終了したり、無料利用枠の上限を超えたりすると、利用したサービスに応じて自動的に料金が発生します。無料期間終了後もサービスを継続して利用したい場合は、事前に課金設定を確認しておく必要があります。
Q: AWS無料枠終了後、課金されないようにするにはどうすれば良いですか?
A: 無料期間終了後も課金されたくない場合は、利用していないAWSサービスを停止または削除してください。また、AWS Budgetsを設定して、利用額が一定額を超えた場合に通知を受け取るようにしておくと、予期せぬ課金を早期に発見できます。
Q: AWS無料プランに戻すことはできますか?
A: 一度無料利用枠を超えて課金が発生した場合、基本的には「無料プランに戻す」という形式はありません。ただし、無料利用枠の期間内であれば、上限を超えなければ課金は発生しません。終了後は、不要なリソースを削除して課金を抑えることが重要です。