Javaは、世界中で広く利用されているプログラミング言語および開発プラットフォームです。その普及率の高さから、最新のJavaのダウンロード方法やバージョンアップについて、正確な情報を把握しておくことは、開発者にとって重要です。本記事では、初心者の方にも分かりやすく、Javaのダウンロードとバージョンアップに関する最新情報と注意点をまとめました。

Javaのバージョンを知ろう:5.0から最新版まで

Javaの歴史と主なバージョン

Javaは、Sun Microsystemsによって1995年にリリースされて以来、数々のバージョンアップを重ねてきました。特に重要な転換点として、2004年のJava 5.0(Tiger)ではジェネリクスやアノテーションが導入され、開発効率が大きく向上しました。

その後、Java 8はラムダ式やStream APIといった画期的な機能が追加され、現在でも多くの企業で利用されている最も普及したバージョンの一つです。Java 8がこれほどまでに利用され続けている背景には、その高い安定性と、後述するライセンス変更以前の最終版であるという点が大きく影響しています。

Java 9ではモジュールシステム「Project Jigsaw」が導入され、大規模アプリケーション開発の構造化が進みましたが、互換性の問題から移行に時間のかかるケースも見られました。Javaの進化は、単なる機能追加だけでなく、プラットフォームの根幹に関わる変更も含まれるため、各バージョンの特性を理解することが重要です。

2019年4月16日以降、Oracle JDKのライセンスは変更されており、それ以降のバージョンでは商用利用に注意が必要となりました。(出典:参考情報)

LTS(長期サポート)バージョンの重要性

Javaのバージョンには、LTS(Long-Term Support:長期サポート)バージョンと非LTSバージョンがあります。LTSバージョンは、その名の通り長期間にわたってセキュリティアップデートやバグ修正が提供されるため、特にエンタープライズ環境や本番稼働システムでの利用に強く推奨されます。

安定性を重視し、頻繁なバージョンアップのコストを避けたい企業にとっては、LTSバージョンを選ぶことが賢明な選択となります。現在、主なLTSバージョンとしては、Java 8、Java 11、Java 17、そして最新のJDK 21があります。JDK 21は、2023年9月19日に一般提供が開始されたLTSリリースです。(出典:参考情報)

さらに、将来のLTSバージョンとしてJDK 25が2025年9月にリリース予定されており、これも長期的な運用を計画する上で注目すべきバージョンです。(出典:参考情報)LTSバージョンは、リリースから数年間にわたる安定したサポートが約束されるため、企業や大規模プロジェクトではLTSバージョンへのアップグレードを計画的に進めることが一般的です。

最新版と非LTS版のメリット・デメリット

LTSバージョンとは別に、半年ごとにリリースされる非LTS(Standard-Term Support)バージョンも存在します。これらのバージョンは、最新の機能やパフォーマンス改善をいち早く取り入れたい開発者やプロジェクト向けに提供されます。

例えば、JDK 25.0.1が一般提供されています(出典:参考情報)。非LTSバージョンの最大のメリットは、新しい言語機能やAPIを早期に利用できる点、そして最新のパフォーマンス改善を享受できる点です。これにより、開発者はより効率的でモダンなコードを書くことが可能になります。

しかし、デメリットとしてはサポート期間が短く、次のバージョンがリリースされるまでの約6ヶ月しか公式サポートが提供されない点が挙げられます。そのため、プロダクション環境での利用には、頻繁なバージョンアップへの対応が求められ、安定性よりも最新技術の導入を優先するケースに限られることが多いです。開発の初期段階で新機能を試したい場合や、個人プロジェクトで最新のJavaを体験したい場合には最適な選択肢と言えるでしょう。

64ビット版Javaのダウンロード方法

動作環境の確認

Javaをダウンロードする前に、まずご自身のコンピューターの動作環境を確認することが重要です。特に重要なのは、オペレーティングシステム(OS)の種類(Windows, macOS, Linuxなど)と、そのビット数(32ビットまたは64ビット)です。

近年リリースされているほとんどのコンピューターは64ビット版のOSを採用しており、Javaも64ビット版が主流となっています。しかし、古いシステムや特定の組み込み環境では32ビット版が必要になる場合もあります。

Windowsの場合、「設定」→「システム」→「バージョン情報」でシステムの種類を確認できます。macOSの場合、「このMacについて」で確認可能です。64ビット版のJavaは32ビット版よりも多くのメモリを扱え、より高いパフォーマンスを発揮するため、特別な理由がない限り64ビット版を選択することをお勧めします。正しいビット数を選択しないと、インストールができなかったり、Javaアプリケーションが正常に動作しなかったりする原因となります。

Oracle JDKのダウンロード手順

Oracle JDKは、Oracleが公式に提供するJava Development Kitであり、Java開発の標準的な選択肢です。ダウンロードはOracleの公式サイトから行います。(出典:参考情報)

まず、Webブラウザで「Oracle Java SE Development Kit Download」と検索するか、Oracleの公式Webサイトに直接アクセスします。ダウンロードページでは、利用可能なJDKの最新バージョンやLTSバージョンが一覧表示されます。

ご自身のOS(Windows, macOS, Linux)とプロセッサアーキテクチャ(x64など)に合ったインストーラを選択してください。Windowsの場合は`.exe`ファイル、macOSの場合は`.dmg`ファイル、Linuxの場合は`.deb`や`.rpm`、または`.tar.gz`ファイルが一般的です。

ダウンロード時には、Oracleアカウントでのログインが必要となる場合があります。アカウントをお持ちでない場合は、無料で作成できます。ダウンロード後は、インストーラの指示に従ってインストールを進めてください。インストール完了後は、環境変数の設定が必要になることもありますので、関連するドキュメントを確認することをお勧めします。

OpenJDKの選択肢

Oracle JDKのライセンス変更に伴い、OpenJDK(Open Java Development Kit)の利用がますます注目されています。OpenJDKはオープンソースのJava実装であり、Oracle JDKと異なり、ライセンスの心配なく商用利用が可能です。(出典:参考情報)

OpenJDKのビルドは、Oracleだけでなく、さまざまなベンダーから提供されています。主要なものとしては、Adoptium(旧AdoptOpenJDK)が提供するEclipse Temurin、Amazonが提供するAmazon Corretto、Azulが提供するAzul Zuluなどがあります。これらのOpenJDKビルドは、それぞれが異なるサポート体制やリリース戦略を持っていますが、基本的な機能や互換性はOracle JDKとほぼ同等です。

OpenJDKのダウンロードは、各ベンダーの公式サイトや`jdk.java.net`などのサイトで行うことができます。(出典:参考情報)多くの場合、これらのビルドは追加のアカウント登録なしで直接ダウンロードでき、企業や開発者にとって非常に手軽な選択肢となっています。ライセンスの自由度が高く、コミュニティによるサポートも充実しているため、OpenJDKは現代のJava開発において推奨される選択肢の一つです。

Java 7, 8, 9のダウンロードとインストール

古いバージョンの必要性とその入手先

最新のJavaバージョンへの移行が推奨される一方で、特定のレガシーシステムやアプリケーションが古いJavaバージョンに依存している場合、古いバージョンをダウンロードしてインストールする必要が生じることがあります。

例えば、古いエンタープライズアプリケーションや、特定のJavaライブラリが最新のJavaバージョンで動作しないといったケースが該当します。古いJavaバージョン(Java 7, 8, 9など)のOracle JDKは、Oracleの公式サイトにある「Java Archive」セクションから入手できます。ただし、これらのアーカイブへのアクセスにはOracleアカウントでのログインが必要であり、さらにライセンス契約を厳密に確認する必要があります。

特に、商用利用においてはライセンスが非常に複雑になるため、注意が必要です。また、古いバージョンはセキュリティサポートが終了していることが多いため、可能な限り最新のLTSバージョンへの移行を検討し、やむを得ない場合にのみ古いバージョンを使用するようにしましょう。セキュリティリスクを最小限に抑えるためには、インターネットに接続しない閉鎖的な環境での利用に限定するなどの対策が推奨されます。

各バージョンの特徴と注意点

Java 7は現在では非常に古いバージョンであり、セキュリティサポートも完全に終了しています。このバージョンを使用することは、重大なセキュリティリスクを伴うため、特別な事情がない限り避けるべきです。

Java 8は、2014年にリリースされたLTSバージョンであり、ラムダ式やStream APIなど、その後のJava開発に大きな影響を与えた機能が導入されました。また、2019年4月16日のライセンス変更以前の最終LTSバージョンであるため、旧来のライセンスで商用利用しているシステムでは現在も広く使われています。安定性が高く、多数のライブラリやフレームワークがJava 8に対応しているため、依然として人気のあるバージョンです。

Java 9は、2017年にリリースされ、モジュールシステム(Project Jigsaw)が導入された画期的なバージョンでした。これにより、Javaプラットフォームをより軽量かつ効率的に構成できるようになりましたが、既存のアプリケーションのモジュール化への移行には手間がかかるため、広く普及するには至りませんでした。また、Java 9は非LTSバージョンであり、サポート期間が短いため、プロダクション環境での採用は一般的ではありませんでした。

インストール時の互換性問題

複数のJavaバージョンを同時にシステムにインストールする場合、環境変数(特にPATH)の設定が非常に重要になります。OSがどのJavaバージョンを優先して使用するかは、PATH環境変数に登録されている順序によって決まるため、意図しないバージョンのJavaが使用されてしまうことがあります。

開発プロジェクトによっては、それぞれ異なるJavaバージョンを要求することが多いため、この問題は特に開発者にとって頻繁に発生します。例えば、あるプロジェクトがJava 8で、別のプロジェクトがJava 17で開発されている場合、手動でPATHを切り替えるのは非効率的でエラーの原因にもなりかねません。

このような互換性問題を解決するために、SDKMAN!やjEnv、asdfといったJavaバージョン管理ツールを活用することが強く推奨されます。これらのツールを使用すると、プロジェクトごとに必要なJavaバージョンを簡単に切り替えたり、システム全体で使用するデフォルトバージョンを設定したりできます。これにより、複数のJavaバージョンが混在する環境でも、スムーズかつ安全な開発が可能になります。

JREとJDKの違いとは?

JRE(Java Runtime Environment)の役割

JRE(Java Runtime Environment)は、Javaアプリケーションを実行するために必要な最小限のソフトウェア環境です。この環境には、Javaプログラムの実行を担当するJVM(Java Virtual Machine:Java仮想マシン)と、Javaプログラムが利用する基本的なクラスライブラリ(Java API)が含まれています。

簡単に言えば、JREは「Javaで書かれたプログラムを動かすためのもの」であり、主に一般ユーザーがWebブラウザ上でJavaアプレットを実行したり、スタンドアロンのJavaアプリケーションを使用したりする際に必要とされていました。しかし、現代ではWebブラウザでのJavaアプレットの利用はほとんどなくなり、多くのJavaアプリケーションはJREを内包して配布されるか、あるいはJDKがインストールされている環境で実行されることが多くなっています。

JREは、Javaプログラムをコンパイルする機能は持っていません。そのため、Javaアプリケーションの開発には不向きであり、Javaコードを記述したり、ビルドしたりする開発者向けには設計されていません。</

JDK(Java Development Kit)の機能

JDK(Java Development Kit)は、Javaアプリケーションを開発するために必要なツール一式がパッケージ化された開発キットです。その名の通り「開発」のためのキットであり、Java開発者にとって必須のソフトウェアです。

JDKには、前述のJREに含まれるJVMと基本的なクラスライブラリの全てが含まれているだけでなく、Javaプログラムを開発する上で不可欠なさまざまなツールが同梱されています。具体的には、Javaソースコードをバイトコードにコンパイルするコンパイラ(javac、プログラムのデバッグを支援するデバッガ(jdb、Javaドキュメントを生成するJavadocツール、Javaアーカイブ(JAR)ファイルを作成・管理するJarツールなどが含まれます。(出典:参考情報)

つまり、JDKはJavaアプリケーションを「開発・コンパイル・実行」するための全ての機能を提供し、JREは「実行」のみを提供するものと理解できます。サーバーサイドアプリケーションの開発や、Androidアプリケーションの開発など、あらゆるJava関連の開発作業にはJDKが不可欠です。

どちらを選ぶべきか?

Javaを扱う目的によって、JREとJDKのどちらを選択すべきかが決まります。

  • 開発を行う場合: Javaアプリケーションの開発、コンパイル、デバッグ、テストなどを行う開発者であれば、迷わずJDKをインストールする必要があります。JDKにはJREの機能も全て含まれているため、JDKをインストールすれば開発と実行の両方の要件を満たすことができます。現代の開発環境では、通常JDKが使用されます。
  • Javaアプリケーションを実行するのみの場合: 以前は、一般ユーザーがJavaアプリケーションを利用するだけであればJREが推奨されていました。しかし、前述の通り、多くのアプリケーションは必要なランタイムを内包して配布されるか、JDKがインストールされている環境を前提とすることが一般的になりました。また、セキュリティ上の理由から、WebブラウザプラグインとしてのJREの利用は推奨されていません。

結論として、Javaに少しでも関わる可能性のある方や、開発を学ぶ予定のある方は、将来的な汎用性を考慮してJDKをインストールすることをお勧めします。JDKをインストールすれば、開発も実行も両方対応できるため、最もシンプルな選択肢と言えるでしょう。

Javaダウンロード時の注意点

ライセンス体系の変更について

Javaをダウンロードする上で、最も重要な注意点の一つがOracle JDKのライセンス体系の変更です。これは特に2019年4月16日以降にリリースされたバージョンに適用されます。(出典:参考情報)

以前は、Oracle JDKは商用利用を含む多くの目的で無償利用が可能でしたが、変更後は、個人利用や開発目的での利用は引き続き無償であるものの、商用・本番環境での利用には有料のJava SEサブスクリプションが必要となる場合があります。(出典:参考情報)この変更は、多くの企業や開発者に影響を与え、OpenJDKへの移行を促す大きな要因となりました。

Javaをダウンロードする際は、必ずOracle Technology Network License Agreement for Oracle Java SEなどのライセンス契約書を詳細に確認し、ご自身の利用目的に合ったライセンスであることを確認してください。(出典:参考情報)もし商用利用を予定している場合は、無償で利用できるOpenJDKディストリビューション(Adoptium Temurin, Amazon Correttoなど)の利用を検討することも賢明な選択肢です。

セキュリティとバージョンアップの重要性

Javaは世界中で広く利用されているため、常にセキュリティ上の脅威にさらされています。そのため、Oracleはセキュリティ脆弱性への対応や最新の機能を提供するために、定期的に新しいバージョンをリリースしています。

Oracleは、「すべてのJava SEユーザーに対し、最新リリースへのアップグレードを強く推奨しています」と公式にアナウンスしています。(出典:参考情報)これは、古いバージョンを使い続けることで、既知の脆弱性が未修正のまま残り、システムが攻撃の標的となるリスクが高まるためです。

特にLTSバージョンであっても、提供されている最新のアップデート(例: JDK 21.0.1ではなくJDK 21.0.2など)を適用することが重要です。定期的なバージョンアップやセキュリティパッチの適用は、Javaアプリケーションやシステム全体の安全性を確保するための基本的ながら最も効果的な対策と言えます。手間がかかるかもしれませんが、セキュリティリスクを最小限に抑えるためには不可欠な作業です。

互換性とテストの必要性

新しいJavaバージョンへのバージョンアップは、最新の機能やセキュリティ上のメリットを享受できる一方で、既存のアプリケーションとの互換性が失われる可能性も考慮する必要があります。(出典:参考情報)

Javaは非常に後方互換性が高い言語ではありますが、それでもバージョン間で一部のAPIが変更されたり、非推奨になったり、あるいは削除されたりすることがあります。特に、Java 9以降のモジュールシステム導入や、内部APIの利用制限などは、既存のアプリケーションに大きな影響を与える可能性があります。

そのため、新しいJavaバージョンに移行する際は、必ず既存のアプリケーションやライブラリが新しい環境で問題なく動作するかを、十分にテストすることが極めて重要です。本番環境にデプロイする前に、開発環境やステージング環境で入念な動作確認を行い、潜在的な問題を早期に発見し対処することが、スムーズなバージョンアップを成功させる鍵となります。また、サードパーティ製のライブラリも、使用しているJavaバージョンに対応しているかを確認する必要があります。

Javaのダウンロードやバージョンアップは、Oracleの公式サイトなどから行うことができます。ライセンス体系は変更されているため、利用目的を明確にし、最新のライセンス情報を確認することが不可欠です。LTSバージョンや最新バージョンへの定期的なアップデートは、セキュリティと機能性の両面から推奨されます。