ネットワークエンジニアの一日:裏側を覗いてみよう

早朝から午前中の業務:監視とトラブルシューティング

ネットワークエンジニアの一日は、ネットワークの「目覚め」をチェックするところから始まります。監視ツールで昨晩からの異常がないか確認し、アラートがあれば即座に状況を分析します。場合によっては障害対応の初動に入り、原因の切り分けや復旧作業に追われることも。安定稼働を維持するための重要な時間です。

午後の業務:打ち合わせと定常作業

午前中の落ち着きとともに、午後はより戦略的な業務へ移行します。クライアントとの要件定義や、社内でのプロジェクト進捗会議に参加し、新しいネットワーク構成の設計や、既存システムの改善提案など、未来を見据えた話し合いが中心となります。並行して、ネットワーク機器の定期的な設定変更やファームウェア更新といった定常作業もこなします。

夕方から夜間:プロジェクトの進捗と次の準備

一日の終わりには、その日の作業報告や残った課題の整理を行います。必要に応じて、夜間や休日に行われる可能性のある緊急メンテナンスの準備も欠かせません。プロジェクトの進捗によっては、終業時間を超えて設計書作成やテストに時間を費やすこともあります。安定したネットワークは、こうした日々の地道な努力で成り立っているのです。

運用保守・監視業務の核心:日々どんな仕事をしている?

安定稼働を支える監視の目

ネットワークエンジニアの主要業務の一つが、ネットワークの運用・保守・監視です。常に稼働状況を監視ツールでチェックし、異常があれば即座に検知・対応します。これにより、サービス停止などの大きなトラブルを未然に防ぎ、ユーザーが快適にインターネットを利用できる環境を守っています。セキュリティ対策もこの監視業務の一部であり、不正アクセスやサイバー攻撃の兆候を見逃しません。

障害発生時の迅速な対応

万が一、ネットワーク障害が発生した場合は、その対応が最優先事項です。障害発生箇所を特定し、迅速な復旧作業を行います。例えば、「ルーティングが停止した」「特定のサーバーにアクセスできない」といった問題に対し、ログ解析や機器設定の確認を通じて原因を究明します。復旧後は、再発防止策を検討し、今後の運用に活かします。

予防と改善:定期メンテナンスと改善提案

障害発生を未然に防ぐため、ネットワーク機器の定期的なメンテナンスやOSアップデートは欠かせません。また、既存のネットワーク構成を見直し、より効率的でセキュアなシステムへと改善する提案も行います。これらの活動は、単に「直す」だけでなく「より良くする」という、ネットワークエンジニアの創造的な側面でもあります。

構築・開発・検証:プロジェクトの各工程を解説

要件定義と設計:システムの骨格を創る

プロジェクトはまず、クライアントの要望を深く理解する要件定義から始まります。どのようなサービスを提供したいのか、どの程度の通信速度や同時接続数が必要か、セキュリティ要件はどうかなど、詳細をヒアリング。そこから、最適なネットワーク構成を論理的・物理的に設計し、必要な機器やプロトコルを選定します。この設計が、その後の全ての工程の基盤となります。

構築と実装:設計を現実にする

設計が固まれば、次は実際のネットワーク構築です。データセンターやオフィスに機器を設置し、配線を行い、OSやミドルウェアのインストールを進めます。ルーティング、スイッチング、ファイアウォールの設定など、複雑な設定作業を経て、設計図上のネットワークを現実のインフラとして具現化していきます。この段階では、細部にわたる正確性が求められます。

検証とテスト:品質を保証する最終段階

構築が完了したら、それが設計通りに機能するかを徹底的に検証します。接続テスト、負荷テスト、セキュリティテストなどを実施し、潜在的な問題や脆弱性を洗い出します。万が一、不具合が見つかれば修正し、完璧な状態にしてから顧客へ引き渡します。この検証作業は、ネットワークの品質と信頼性を保証するための、非常に重要な最終段階です。

ネットワークエンジニアの「あるある」と大変な時期

「あるある」で共感!エンジニアの日常

ネットワークエンジニアには、特有の「あるある」があります。例えば、「ネットワークが遅い」と言われると、真っ先に自分の部署が疑われ、慌てて原因を探し始めること。また、設定変更作業中に「これで大丈夫か?」と冷や汗をかく瞬間や、古いドキュメントを前に「これ、誰が作ったんだ…?」と途方に暮れることも。大量のケーブルと格闘するのも日常風景です。

納期前のプレッシャーと長時間労働

プロジェクトの終盤、特にシステム稼働直前は、大きなプレッシャーと長時間労働に直面しがちです。厚生労働省の調査によると、ITエンジニアの所定外労働時間の平均は26.0時間で、月80時間超のエンジニアがいる企業も65.3%に上るとされています(出典:厚生労働省「ITエンジニアの働き方に関する調査」)。しかし、近年は「働き方改革」が進み、長時間労働の改善を実感しているエンジニアも増えています。

知識・スキル習得の継続的な挑戦

ネットワーク技術は日々進化しており、常に新しい知識やスキルを習得し続ける必要があります。クラウドサービス(AWS, Azureなど)の登場により、その学習範囲はさらに拡大しています。Cisco技術者認定(CCNA, CCNP)やネットワークスペシャリスト試験などの資格取得を通じて、専門知識を深める努力が求められます。この継続的な挑戦こそが、エンジニアとしての成長を促します。

現場で役立つヒント:コマンド、作業着、サーバーとの関わり

必須コマンドとシェルスクリプトの活用

現場でネットワークの状態を把握し、設定を行うためには、Cisco IOSやJuniper Junosといった機器固有のコマンド、そしてLinuxコマンド(例: ping, traceroute, ip addr, netstat)は必須です。これらを素早く正確に打つスキルは、まさにエンジニアの「手足」となるでしょう。さらに、シェルスクリプトを活用することで、ログ解析や定型作業を自動化し、効率を大幅に向上させることができます。

作業着・工具:プロの必需品

ネットワークエンジニアは、オフィスでの作業だけでなく、データセンターや機器設置現場での物理的な作業も多いため、動きやすく、汚れにくい作業着は非常に重要です。また、ドライバーセット、LANテスター、光パワーメーター、ラベルプリンターなどの工具も現場の必需品。これらのプロ仕様のツールを使いこなすことで、スムーズかつ安全に作業を進めることができます。

サーバーエンジニアとの連携:チームで課題解決

ネットワークは、サーバーやアプリケーションと密接に連携しています。そのため、サーバーエンジニアとの円滑なコミュニケーションと協力体制は不可欠です。ネットワークが原因ではない問題でも、初期対応で切り分けを行うためにサーバー側の知識が求められることもあります。お互いの専門性を尊重し、協力し合うことで、より複雑なシステムの問題も迅速に解決へと導くことができます。