概要: OJTが「意味ない」「うまくいかない」と感じる原因は、担当者との相性や環境の変化にあるかもしれません。本記事では、OJTの悩みを解決するための具体的な改善策や、円滑なコミュニケーションのための挨拶・メール術、さらにはよくある質問とその回答までを網羅して解説します。
OJTが「意味ない」「うまくいかない」と感じる本当の理由
指導者側に潜む課題とその影響
OJT(On-the-Job Training)が「うまくいかない」と感じる背景には、指導者側に根深い課題が潜んでいることが少なくありません。
最も顕著なのが、OJT担当者が自身の通常業務と並行して指導を行うため、「十分な指導時間を確保できない」という問題です。これにより、受講者へのきめ細やかなサポートが不足し、質問に十分に応えられないといった状況が生じます。
また、OJT担当者自身の「指導スキルや教えるべき内容に関する専門知識の不足」も大きな要因です。教える技術が未熟であったり、教える内容を深く理解していなかったりすると、受講者は効果的に学ぶことができません。
さらに、個々の受講者の特性や理解度を考慮せず、「画一的な指導方法や自身のやり方を一方的に押し付けてしまう」ケースも散見されます。これにより、受講者はOJTが自分に合わないと感じ、学習意欲の低下や不安感につながることがあります。
指導者としての貢献が適切に評価されない「評価体制の欠如」も、OJT担当者のモチベーションを下げ、指導の質が維持できない原因となります。結果として、OJTは形骸化し、受講者にとって「意味がない」と感じられる状況を生み出してしまうのです。
受講者のモチベーションと組織体制の問題
OJTの成功は、指導者側の問題だけでなく、受講者側の要因や組織全体の体制にも大きく左右されます。
まず、「受講者自身の学習意欲に差がある」場合、OJTの効果は一様にはなりません。全員が同じスピードで知識やスキルを習得するわけではないため、習得度合いにばらつきが生じるのは自然なことです。
また、指導方法や進め方が「自分に合わないと感じる」受講者も少なくありません。これにより、不安や抵抗感を抱き、積極的に学習に取り組めなくなることがあります。
組織・制度上の問題としては、「OJT体制の未整備」が挙げられます。OJTの目的や目標が不明確で、指導ガイドやマニュアルが十分に整備されていない場合、OJTは場当たり的なものになりがちです。
加えて、OJT担当者となる人材を育成するシステムが整っていない「指導者の育成不足」も深刻な問題です。これにより、指導スキルが不足したままOJTが実施され、受講者の成長機会を損ねることがあります。
さらに、OJTのみに頼り、Off-JT(職場外での訓練)やeラーニングといった「他の研修手法と組み合わせない」ことも、OJTの効果を限定的にする要因です。これは、組織全体が人材育成に対して十分な投資をしていないことの表れとも言えるでしょう。
なぜ「時間がない」のか?OJTの多角的な課題
OJTがうまくいかない原因として、多くの事業所で挙げられるのが「指導する人材の不足」と「人材育成を行う時間がない」という課題です。
これは、中小企業白書などでも指摘されている通り、特にリソースが限られている企業にとって深刻な問題となっています(出典:中小企業白書)。なぜこれほどまでに「時間がない」状況が生まれるのでしょうか。
一つの大きな理由は、OJT担当者が自身のコア業務で手一杯であることです。日々の業務をこなしながら、OJTという新たな役割を担うことで、どうしても指導時間が削られてしまいます。結果として、指導が「片手間」になり、受講者への関わりが希薄になることがあります。
また、組織がOJTに対して過度に依存している傾向も、「時間がない」状況を悪化させます。OJTだけではカバーしきれない体系的な知識や専門スキルは、本来Off-JTやeラーニングといった補完的な研修で習得すべきものです。
しかし、それらの導入が進んでいない場合、OJT担当者に過大な負担がかかり、十分な指導ができなくなる悪循環に陥ります。
さらに、OJTの成果が適切に評価されにくいことも、「時間がない」という問題に拍車をかけます。OJT担当者が指導に時間を費やしても、それが自身の評価や昇進に直結しない場合、指導へのモチベーションを維持することが難しくなるためです。
これらの多角的な課題が絡み合い、「時間がない」という状況を生み出し、OJTの有効性を大きく低下させているのです。
OJTの相性が悪い?異動や環境の変化が影響することも
相性問題の根源にあるコミュニケーションギャップ
OJTにおいて「相性が悪い」と感じる場合、その根源には指導者と受講者間のコミュニケーションギャップが大きく影響しています。
人間関係である以上、性格や価値観の不一致が生じるのは避けられません。例えば、ロジカルに説明する指導者に対し、感覚的に理解したい受講者。あるいは、細かい指示を求める受講者に対し、自主性を重んじる指導者など、指導スタイルと学習スタイルのミスマッチはOJTの効果を大きく阻害します。
このようなギャップは、しばしば双方の「指導方法の画一性・押し付け」や「自分に合わないと感じる」という感情に繋がります。
OJT担当者が、自身の成功体験に基づく一方的な指導を行い、受講者の理解度や背景を考慮しない場合、受講者は質問すること自体をためらうようになります。その結果、必要な情報が伝わらず、業務理解が遅れるといった悪循環に陥るのです。
重要なのは、指導者と受講者双方が「多様性を認め合うこと」を共通認識として持つことです。お互いの考え方や進め方が異なることを理解し、尊重する姿勢が、相性の問題を乗り越える上で不可欠となります。まずは、何が原因でうまくいっていないのか、率直に話し合う直接的なコミュニケーションが解決への第一歩となります。
異動や環境変化がOJTにもたらす影響
OJTの相性問題は、個人の特性だけでなく、異動や職場環境の変化によっても顕在化することがあります。
例えば、新しい部署への異動は、OJT担当者にとっても受講者にとっても大きな環境の変化を意味します。異動直後は、OJT担当者自身が新しい業務に慣れる必要があり、十分な指導時間を確保しづらくなることがあります。
また、受講者も新しい人間関係や企業文化に適応することに加え、OJTというプレッシャーの中で、より不安を感じやすくなるでしょう。
業務内容が大きく変わる場合も同様です。以前の部署でのOJT経験が新しい部署では通用しなかったり、OJT担当者自身も過去の経験だけでは指導しきれない複雑な業務が増えたりすることがあります。
このような環境変化は、従来のOJT体制では対応しきれない課題を生み出す可能性があります。例えば、新たな専門知識の習得が必要になったり、これまでとは異なるコミュニケーションスタイルが求められたりすることが挙げられます。
OJTを効果的に機能させるためには、異動や環境変化のたびに、OJTの目的や内容、指導体制を再評価し、必要に応じて柔軟に見直すことが不可欠です。これにより、変化に適応したOJTを提供し、受講者のスムーズな移行を支援できるでしょう。
メンタルヘルスとOJTの相性
OJTが合わないと感じる状況は、受講者のメンタルヘルスに深刻な影響を与える可能性があります。
OJTは本来、新入社員や異動者が安心して業務を習得するためのサポートですが、そのプロセスで「自分に合わない」「うまくいかない」という感情が募ると、大きなストレスとなります。
特に、指導方法が一方的で質問しにくい雰囲気であったり、担当者との相性が悪くコミュニケーションが円滑に進まない場合、受講者は孤立感や無力感を抱きやすくなります。プレッシャーを感じながらの学習は、不安や抵抗感を増幅させ、本来の学習意欲を著しく低下させてしまうでしょう。
このような状況が続くと、業務へのモチベーションが失われるだけでなく、心身の不調を引き起こすリスクも高まります。不眠や食欲不振、集中力の低下など、様々な症状が現れることもあります。
OJTは指導者側の負担も大きいため、指導者自身がストレスを感じ、それが指導の質に影響することもあります。
組織としては、OJTが受講者のメンタルヘルスに悪影響を与えていないかを定期的にチェックする仕組みが必要です。定期的なフォローアップ面談(人事担当者などが実施)や、困ったときに相談できる窓口の設置は非常に重要です。
OJTは単なる業務指導だけでなく、受講者が安心してキャリアをスタートするための大切なプロセスであることを、組織全体で認識する必要があります。
OJTを成功させるための具体的な改善策とアンケート活用術
指導計画の策定と標準化による質向上
OJTを成功に導くためには、場当たり的な指導ではなく、体系的なアプローチが不可欠です。
まず、「指導計画の策定と標準化」が重要な改善策となります。OJTの目的、目標、期間、そして具体的な内容を明確にすることで、指導者と受講者の間で共通認識を持つことができます。
例えば、特定の業務スキルをいつまでに、どのレベルまで習得するかを具体的に定めることが重要です。これにより、指導者は計画に基づいて一貫性のある指導を提供でき、受講者は自身の進捗を把握しやすくなります。
指導内容の標準化には、共通の指導マニュアルやチェックリストの作成が効果的です。これにより、OJT担当者ごとの指導のばらつきを防ぎ、どのOJT担当者から指導を受けても一定の品質が保たれるようになります。
厚生労働省は「職業能力評価基準」や「OJTコミュニケーションシート」などのツールを提供しており、これらを活用することで、より専門的かつ効率的な指導計画を立てることが推奨されています(出典: 厚生労働省)。
また、OJT担当者への指導スキルやコミュニケーションスキル向上のための研修も欠かせません。指導者が適切なスキルを身につけることで、受講者の特性や能力、価値観に合わせた柔軟な指導が可能になり、OJTの質を大きく向上させることができます。
デジタルツールとOJT担当者育成の強化
現代のOJTにおいては、デジタルツールの積極的な活用とOJT担当者の育成強化が、指導の質と効率を両立させる鍵となります。
OJT担当者の負担を軽減しつつ、受講者が自身のペースで学べる環境を整備するために、動画マニュアルやeラーニングなどのデジタルツールが非常に有効です。これらを活用することで、反復学習が可能となり、OJT担当者はより高度な実践指導やメンターとしての役割に集中できます。
例えば、業務手順の基本的な説明は動画に任せ、OJT担当者は受講者の疑問解消や応用スキルの指導に時間を割くといった分業が可能です。これにより、OJT担当者の「時間がない」という課題も緩和されやすくなります。
加えて、OJT担当者自身の育成も強化する必要があります。指導スキルだけでなく、受講者のモチベーションを引き出すコーチングスキルや、異なる世代や価値観を持つ人材とのコミュニケーションスキル向上のための研修は不可欠です。
厚生労働省が推奨する「実習併用職業訓練」のように、OJTとOff-JTを組み合わせることで、体系的な知識と実践的なスキルをバランス良く習得できる環境を整えることも重要です(出典: 厚生労働省)。
OJT担当者の業務量を見直し、チームで育成に関わる体制を構築するなど、組織全体でOJTをサポートする仕組みづくりも、OJTの成功には欠かせません。
アンケートを活用したOJT改善サイクル
OJTの質を継続的に向上させるためには、現状把握と改善を繰り返すサイクルを確立することが重要です。そのための強力なツールが「アンケート」の活用です。
定期的に受講者とOJT担当者双方からアンケートを収集することで、OJTの有効性や課題を客観的に把握することができます。
受講者からは、指導内容の分かりやすさ、指導時間、OJT担当者とのコミュニケーション状況、達成度、OJTに対する満足度などを尋ねます。OJT担当者からは、受講者の学習意欲、OJTの負担、組織からのサポート状況、指導上の課題などをヒアリングします。
アンケート項目例:
- OJTの内容は業務に役立っていますか?(はい/いいえ/どちらともいえない)
- OJT担当者の説明は分かりやすいですか?(5段階評価)
- OJT中に困ったことや改善してほしい点はありますか?(自由記述)
- OJTを通じて達成できたことや成長したと感じる点はありますか?(自由記述)
- OJT担当者として、指導時間や内容に不足はありませんか?(はい/いいえ)
これらのアンケート結果を集計・分析し、OJTの課題を特定します。例えば、「指導時間が不足している」という意見が多ければ、OJT担当者の業務量見直しや、デジタルツールの導入を検討します。
「特定のOJT担当者の指導が分かりにくい」という声があれば、その担当者への追加研修や指導方法の見直しを行います。
このように、アンケートを通じて得られたフィードバックを元に改善策を講じ、その効果を次のアンケートで確認するというPDCAサイクルを回すことで、OJTの質を持続的に高めることができます。OJT担当者の貢献を適切に評価する仕組みと組み合わせることで、更なる改善を促進するでしょう。
OJT担当者への挨拶とメールで良好な関係を築くコツ
初対面の印象を左右する「挨拶」の重要性
OJT担当者との良好な関係を築く上で、初対面での挨拶は非常に重要です。第一印象は、その後のコミュニケーションの円滑さに大きく影響を与えるからです。
OJTが始まる際、まずは明るく、はっきりと自己紹介をしましょう。「今日からお世話になります〇〇です。どうぞよろしくお願いいたします」といった基本的な挨拶に加え、「一日も早く貢献できるよう、精一杯頑張ります」といった意欲を示す言葉を添えると、より良い印象を与えられます。
挨拶の際は、笑顔を心がけ、相手の目を見て話すことが大切です。これにより、誠実さや前向きな姿勢が伝わり、OJT担当者も安心して指導にあたることができます。
また、OJTが始まる前に、OJT担当者の名前や担当業務を事前に調べておくのも良いでしょう。少しの準備が、よりスムーズな自己紹介や質問に繋がります。
初日は、自分の学習スタイルや不安なことなどを率直に伝えることで、OJT担当者も受講者の特性を理解しやすくなります。例えば、「新しいことを学ぶのが少し苦手なので、繰り返し質問するかもしれませんが、ご容赦ください」などと伝えておくことで、お互いの認識のずれを減らすことができます。
丁寧な挨拶と積極的な姿勢は、OJT担当者との信頼関係構築の第一歩となり、質問しやすい雰囲気を作り出す上でも非常に効果的です。
感謝と質問を伝える「OJT後メール」の活用術
OJTが終わった後には、感謝の気持ちと今日の学び、そして残った疑問点を伝えるメールを送ることが、良好な関係を継続する上で非常に効果的です。
まず、OJTで指導してもらったことに対する感謝の言葉を具体的に伝えましょう。「本日はお忙しい中、〇〇の業務について丁寧にご指導いただき、誠にありがとうございました」といった形で、何について指導を受けたのかを明確にすると、より気持ちが伝わります。
次に、今日のOJTで学んだことや、特に印象に残った点を簡潔にまとめます。これにより、OJT担当者は受講者がきちんと話を聞いていたこと、理解しようと努めていることを確認できます。
そして、OJT中に解消できなかった疑問点や、改めて確認したい点を具体的に質問しましょう。一度にたくさんの質問をするのではなく、優先順位をつけ、簡潔にまとめることが大切です。例えば、箇条書きで分かりやすく記載すると、相手も回答しやすくなります。
メールの例文:
件名:本日のOJTのお礼とご質問(〇〇 [氏名])
〇〇OJT担当者様
本日もOJTのご指導、誠にありがとうございました。
〇〇(具体的な業務内容)について、手順から注意点まで、非常に分かりやすくご説明いただき、大変勉強になりました。
特に、〇〇のポイントは、これからの業務で意識して取り組んでいきたいと存じます。
つきましては、恐れ入りますが、一点ご質問がございます。
・〇〇(質問内容)について、〇〇(不明な点)はどのように考えればよろしいでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
〇〇(氏名)
このようなメールは、OJT担当者へのリスペクトを示し、今後の円滑なコミュニケーションを促す大切なツールとなります。
定期的な報連相とフィードバックの共有
OJT期間中を通じて、定期的な報告・連絡・相談(報連相)と、建設的なフィードバックの共有は、OJT担当者と受講者の信頼関係を深め、OJTの質を高める上で不可欠です。
報連相は、業務の進捗状況をOJT担当者にタイムリーに伝え、問題が発生した際に早期に相談することで、大きなトラブルを未然に防ぎます。受講者は、疑問や不安を抱え込まず、積極的にOJT担当者に相談する姿勢を持つことが重要です。
OJT担当者も、受講者が気軽に話しかけられるような雰囲気づくりを心がけましょう。例えば、毎日決まった時間に短い進捗確認の時間を設けるなど、意図的にコミュニケーションの機会を作るのも良い方法です。
フィードバックの共有も、 OJTにおいて非常に重要です。OJT担当者は、受講者の良い点や改善すべき点を具体的に伝え、受講者はそれを真摯に受け止め、自身の課題改善に繋げる姿勢が求められます。
また、受講者からも、OJT担当者へのフィードバックを伝える機会があれば、積極的に行いましょう。例えば、「〇〇の説明がとても分かりやすかったです」「〇〇について、もう少し詳しく知りたいと感じました」といった具体的な意見は、OJT担当者自身の指導スキル向上にも繋がります。
このような双方向のコミュニケーションを継続することで、お互いの理解が深まり、誤解や認識のずれを防ぎながら、より効果的なOJTを実現できるでしょう。
OJTの疑問を解消!よくある質問と回答
OJT担当者が忙しそうで話しかけにくい場合
OJT担当者が常に忙しそうで、なかなか話しかけるタイミングが見つけられないと悩む受講者は少なくありません。
このような状況では、まず「話しかけるタイミングの見極め」が重要です。OJT担当者が集中しているときや会議中を避け、少し手が空いた休憩時間や、業務の区切りが良いタイミングを見計らってみましょう。相手の表情やデスクの状況を観察することも大切です。
次に、質問を効率的に行うための工夫も必要です。質問したい内容を事前にメモにまとめておき、一度に複数の疑問を簡潔に尋ねるようにしましょう。例えば、「〇〇について3点質問があります」と切り出すことで、担当者も時間の配分を意識しやすくなります。
どうしてもOJT担当者との直接的なやり取りが難しい場合は、「チーム内の他のメンバーや、上司に相談する」ことも検討してください。チーム全体で新人育成に関わる体制が整っていれば、別の先輩がサポートしてくれる可能性もあります。
また、動画マニュアルや社内FAQなどのデジタルツールが整備されている場合は、積極的に活用しましょう。基本的な内容は自分で学習し、どうしても解決できない応用的な質問だけをOJT担当者に尋ねることで、負担を軽減できます。
状況が改善しない場合は、人事部門などの第三者に相談し、サポート体制の強化を促すことも視野に入れましょう。
OJTの内容が自分に合わないと感じたらどうする?
OJTの指導内容や進め方が、自分の学習スタイルや期待と異なる場合、「自分に合わない」と感じてしまうことがあります。
このような状況に直面したら、まずは「具体的な問題点を整理する」ことから始めましょう。「なぜ合わないと感じるのか」「具体的にどの点が困っているのか」を明確にすることで、次の行動に移りやすくなります。
例えば、「座学よりも実践で学びたい」「指示が抽象的で理解しにくい」など、具体的な理由を言語化してください。
次に、その整理した内容を「OJT担当者に直接相談する」ことが第一歩です。感情的にならず、「〇〇について、私はこのように感じるのですが、何か他に良い方法はありますでしょうか」といった建設的な姿勢で伝えましょう。OJT担当者も、受講者のニーズを把握することで、指導方法を改善するきっかけになります。
もしOJT担当者に直接伝えにくい場合や、相談しても状況が改善しない場合は、「上司や人事部門などの第三者に相談する」ことを検討してください。第三者を交えることで、客観的な視点から問題が分析され、解決策が見つかることがあります。
組織によっては、OJT担当者の変更や、OJTとOff-JTの組み合わせの見直しなど、より根本的な改善策が講じられる可能性もあります。
一人で抱え込まず、積極的に周囲にSOSを出すことが、自分に合った学習環境を整えるための重要なステップです。
OJTは労働時間に含まれる?法的な側面
OJTは業務の一環として行われるため、その時間が労働時間に含まれるのかどうかは、受講者にとって重要な関心事です。
結論として、企業が「業務命令として行う研修・教育訓練」の時間は、原則として労働時間に含まれます(出典: 労働基準法)。
これは、労働者がその研修や訓練を拒否できない状況であり、企業が労働者に対して業務遂行のために義務付けている場合に該当します。たとえ研修内容が直接的な業務と異なっていても、企業が業務上必要と判断し、参加を義務付けている場合は労働時間として扱われます。
具体的には、OJT中に業務指示を受けている時間や、OJT担当者の指導のもとで実務を行っている時間などは、すべて労働時間とみなされます。この場合、企業は労働者に対し、労働基準法に基づき賃金を支払う義務があります。
ただし、例外も存在します。例えば、労働者が「自由意思で参加する研修」で、それが業務遂行上義務づけられていないものは、労働時間に含まれない場合があります。この判断は、研修への参加が任意であるか、参加しないことによって不利益を被らないか、といった要素を総合的に考慮して行われます。
この取り扱いについては、労働基準法に基づき、個々のケースで正確な判断が必要です。もしOJTの労働時間に関する疑問や懸念がある場合は、会社の担当部署(人事部など)や労働基準監督署に確認することをお勧めします。
まとめ
よくある質問
Q: OJTが「意味ない」と感じてしまうのはなぜですか?
A: OJTが「意味ない」と感じる原因として、明確な目標設定の欠如、指導内容の偏り、実践的な機会の少なさ、指導者との相性の不一致などが挙げられます。期待する成果が得られない場合、無駄だと感じてしまうことがあります。
Q: OJTで「うまくいかない」場合に、まず何をすべきですか?
A: OJTがうまくいかない場合は、まず現状の課題を具体的に把握することが重要です。指導者とのコミュニケーション不足、理解できていない部分の放置、不安や疑問の解消ができていないなどが考えられます。指導者や上司に相談し、フィードバックを求めることから始めましょう。
Q: OJTの担当者との相性が悪いと感じたら、どうすればいいですか?
A: 担当者との相性が悪いと感じる場合は、感情的にならず、まずは業務に集中し、学びを得ようとする姿勢を見せることが大切です。それでも改善が見られない場合は、上司に相談し、場合によっては担当者の変更や、第三者を交えた面談を検討することも有効です。
Q: OJTのアンケートはどのように活用すれば効果的ですか?
A: OJTのアンケートは、指導者へのフィードバックだけでなく、自身の学習進捗や課題を客観的に把握するためにも活用できます。アンケート結果を分析し、改善点を見つけて、次のOJTに活かすことが重要です。また、企業側はアンケート結果を元にOJTプログラムの改善に繋げることができます。
Q: OJT担当者への挨拶やメールでは、どのような点に注意すべきですか?
A: OJT担当者への挨拶やメールは、感謝の気持ちを伝え、丁寧な言葉遣いを心がけることが基本です。具体的な質問や相談内容を明確に伝え、相手の時間を尊重する姿勢を示すことが、良好な関係構築に繋がります。アイコンやイラストなどは、親しみやすさを演出するために効果的な場合がありますが、相手との関係性や状況に合わせて使い分けることが重要です。
