納品書、メールで送る?郵送?迷ったらチェック!

納品書の送付方法について、メールと郵送のどちらが良いか迷っていませんか?

現代のビジネスシーンでは、様々な送付方法が選択肢として存在します。主に「郵送」「納品物と同梱」「FAX」「PDFにしてメールで送付」の4つが挙げられます。

ここでは、最新の傾向とデータをもとに、それぞれのメリット・デメリット、そして最適な選び方を解説します。

納品書をメールで送るメリット・デメリット

デジタル化が進む現代において、納品書をメールで送付することは非常に一般的になりつつあります。この方法には多くの利点がある一方で、注意すべき点も存在します。

メリット1:時間とコストの劇的削減

メールでの送付は、納品書作成後すぐに送信できるため、郵送のような物理的なタイムラグがありません。

これにより、取引先への書類到着までの時間を大幅に短縮できます。また、印刷代、封筒代、郵送費、切手代といった直接的なコストが一切不要になります。

さらに、書類の保管スペースも削減できるため、間接的なコスト削減にも繋がります。

参考情報によれば、電子請求書への変更で年間120時間以上の業務時間削減につながった企業もあると報告されており、納品書においても同様の効率化が期待できます。

ファイル名やメール本文のテンプレートを一度整えれば、業務時間のさらなる軽減も期待できるでしょう。

メリット2:業務効率化とDX推進への貢献

メールで納品書を送付することは、単なるコスト削減に留まらず、企業全体の業務効率化とデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に大きく貢献します。

電子データは、紙の書類のように手作業で整理・保管する必要がなく、検索性も格段に向上します。電子帳簿保存法にも対応しているため、法的な要件を満たしつつペーパーレス化を進めることが可能です。

参考情報では、電子データ取引保存を推進する理由として、「書類の保管スペースが必要ないため」や「セキュリティの強化に繋がるため」が挙げられています。

働き方改革やDX推進の流れの中で、納品書の電子化は、業務プロセスの見直しと効率化を促進する重要なステップとなるのです。</

デメリット:ヒューマンエラーと取引先の対応

メール送付は多くのメリットがある一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。

まず、メール本文の作成、件名入力、PDF添付といった一連の作業は、一件ごとに手作業で行う必要があります。この過程で、添付忘れや送信先の間違いといったヒューマンエラーが発生するリスクがあります。

誤送信は情報漏洩に繋がりかねないため、厳重な注意と対策が必要です。また、最も重要な点として、全ての取引先がメールでの納品書受領に対応しているわけではないという現実があります。

特に、昔からの取引がある企業や、小規模な事業者の中には、紙の書類を希望するケースも少なくありません。送付前に必ず取引先の対応状況を確認することが不可欠です。

この確認を怠ると、書類の再送や取引先からの不満に繋がる可能性があります。

メールで送る際の注意点と例文

納品書をメールで送る際は、いくつかの重要な注意点を押さえることで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズなやり取りを実現できます。

注意点1:誤送信防止とセキュリティ対策

メールでの書類送付において、最も気をつけなければならないのが誤送信と情報漏洩のリスクです。

添付忘れや送信先間違いといったヒューマンエラーは、企業の信頼を損なうだけでなく、重大なセキュリティ事故に発展する可能性もあります。これを防ぐためには、以下のような対策が有効です。

  • 送信前チェックリストの活用:宛先、件名、添付ファイルの有無、ファイルの内容などを複数人で確認する体制を構築します。
  • パスワード付きPDFの利用:納品書PDFにパスワードを設定し、別途パスワードを通知することで、万が一の誤送信時にも情報漏洩のリスクを低減できます。(ただし、PPAP問題も考慮し、代替策の検討も必要です)
  • セキュアなファイル共有サービスの利用:大容量ファイルや機密性の高い文書の送付には、パスワード保護やアクセス制限が可能なファイル共有サービスを検討するのも良いでしょう。

社内での確認体制を確立し、担当者への定期的な教育を行うことで、ヒューマンエラーのリスクを最小限に抑えましょう。

注意点2:電子帳簿保存法への確実な対応

電子データで納品書を保存する場合、「電子帳簿保存法」に則った適切な保存が義務付けられています。

この法律は、国税関係帳簿書類を電子データで保存するための要件を定めており、特に電子取引で受領したデータは、原則として電子データのまま保存しなければなりません。

主な要件は以下の通りです。

  • 真実性の確保:訂正・削除履歴の残るシステムでの保存、または訂正・削除防止に関する事務処理規定の備付けと運用が必要です。
  • 可視性の確保:パソコンやディスプレイ、プリンタの設置、検索機能(日付、金額、取引先で検索できること)の確保が求められます。

これらの要件を満たさずに電子保存を行うと、税務調査時に問題となる可能性があります。

自社で利用している会計システムや文書管理システムが電子帳簿保存法に対応しているか、また、適切な運用体制が整っているかを事前に確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

例文:メール本文とファイル名の工夫

メールで納品書を送る際は、分かりやすく丁寧なメール本文と、内容がすぐに判別できるファイル名が重要です。

メール本文の例文

件名:【〇〇株式会社】納品書(〇月度分)のご送付について_貴社名

〇〇株式会社
経理部 〇〇様

いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の□□でございます。

この度、〇月〇日付のご注文(ご注文番号:12345)に関しまして、
納品書を添付いたしましたので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認をお願いいたします。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

----------------------------------------------------
株式会社△△
□□ □□
部署:営業部
電話:00-0000-0000
Email:xxx@example.com
----------------------------------------------------

添付ファイル名の例

ファイル名は、受け取った側が内容をすぐに理解できるよう、以下の情報を盛り込むと良いでしょう。

  • 日付:20240331_
  • 会社名:貴社名_
  • 書類の種類:納品書_
  • 関連情報:案件名または製品名

例:20240331_〇〇株式会社_納品書_〇〇システム開発一式.pdf

このように、統一された命名規則を用いることで、管理がしやすくなり、取引先も混乱することなく処理を進められます。

納品書を郵送する場合の基本

電子化が進む中でも、納品書を郵送する方法は依然として多くの企業で採用されています。郵送には、デジタルにはない独自のメリットとデメリットがあります。

郵送の現状と一般的な慣習

納品書の郵送は、長年の商習慣として根強く残っており、特に大企業や歴史のある企業では、現在でも紙の書類での受領を希望するところが多く見られます。

参考情報でも、請求書発行関連業務に携わるビジネスパーソンを対象とした調査で、約6割が「紙の割合が高い」と回答していることが示されており、紙媒体へのニーズが依然として高いことが分かります。

送付状を添えることで、より丁寧な印象を与え、取引先との信頼関係を築く上での配慮と受け取られる場合もあります。

特に新規取引先や、まだ関係が浅い取引先に対しては、郵送が安心感を与える選択肢となるでしょう。紙媒体は、目視での確認や物理的な保管に慣れている担当者にとっては、扱いやすいという側面も持ち合わせています。

郵送時にかかるコストと時間

郵送には、電子送付にはない様々なコストと時間が発生します。これらは、日々の業務の中で見過ごされがちですが、積み重なると企業にとって大きな負担となる可能性があります。

  • 直接的なコスト:
    • 印刷代(用紙代、トナー代)
    • 封筒代
    • 郵送費(切手代)
    • 人件費(印刷、封入、宛名書き、投函作業)
  • 時間的なコスト:
    • 書類の準備から発送までの時間
    • 発送から取引先への到着までの配送時間
    • 紛失や誤配送が発生した場合の再発行・再送の時間

これらのコストは、書類の量が増えるほど比例して増加します。

特に、発送から到着までに時間がかかるため、急ぎで書類を送る必要がある場合には、不向きな方法と言えるでしょう。

長期的な視点で見た場合、これらのコストが企業の経営に与える影響も考慮に入れる必要があります。

「信書」としての適切な送付方法

納品書は、法律上「信書」に該当します。「信書」とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を伝える文書」のことで、郵送には細かなルールが定められています。

信書は、日本郵便が提供する郵便サービス、または特定信書便事業者が提供する信書便サービス以外で送付することは、法律で禁止されています。具体的には、宅配便やメール便で信書を送ることはできません。

もし誤って信書をこれらサービスで送付した場合、「信書便法違反」となり、差出人だけでなく運送業者も罰則の対象となる可能性があります。

納品書を送る際は、必ず郵便(定形郵便、レターパックなど)または特定信書便サービスを利用するように徹底しましょう。

このような法的要件を正しく理解し、適切な方法で送付することが、企業のコンプライアンス遵守において非常に重要です。

郵送する場合の例文と注意点

郵送で納品書を送付する際には、ただ書類を送るだけでなく、いくつかの工夫と注意点を守ることで、より丁寧で円滑な取引に繋げることができます。

送付状を添えるメリットと例文

納品書を郵送する際、送付状(添え状)を同封することは、ビジネス上のマナーとして非常に有効です。

送付状は、単に「何を同封したか」を伝えるだけでなく、取引先への感謝の気持ちや、今後も良好な関係を継続したいという意思を伝える役割も果たします。これにより、丁寧な対応という好印象を与え、取引先との信頼関係をより一層深める効果が期待できます

送付状の例文

送付状

〇年〇月〇日

〇〇株式会社
経理部 〇〇様

株式会社△△
代表取締役 □□ □□

拝啓

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

この度、〇月〇日付のご発注(ご注文番号:12345)に基づき、
下記書類をご送付いたしましたので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。

敬具

記

送付書類:
  • 納品書(1部)
以上

送付状には、日付、宛名、差出人名、簡単な挨拶、同封書類のリスト、今後の取引に関する一言などを簡潔に記載しましょう。

郵送時のチェックリストと注意喚起

郵送作業は手作業が多いため、ヒューマンエラーが発生しやすい場面でもあります。

封入ミス、宛名間違い、切手不足などは、書類の遅延や取引先への不信感に繋がりかねません。これらを防ぐために、以下のようなチェックリストを活用することをお勧めします。

  • 書類の内容確認:日付、金額、宛名、品目などが正しいか。
  • 必要枚数の確認:納品書は規定の枚数が全て揃っているか。
  • 送付状の同封:送付状は正しく作成され、同封されているか。
  • 宛名の確認:封筒の宛名、会社名、部署名、担当者名が正確か。
  • 切手の確認:郵便物の重さに応じた適切な金額の切手が貼付されているか。
  • 封入ミスの防止:他の取引先の書類と混同していないか、複数の目で確認する。

また、郵送は紛失や誤配送のリスクもゼロではありません。特に重要な書類の場合は、追跡サービス付きの郵便(簡易書留、特定記録郵便など)を利用することも検討しましょう。

これらの対策を講じることで、郵送におけるトラブルを最小限に抑え、確実な書類送付を実現できます。

複数書類の同封と信書便法

納品書を郵送する際、請求書や案内資料など、他の書類も同封したいと考えるケースもあるでしょう。

しかし、ここで注意が必要なのが「信書便法」です。前述の通り、納品書は信書に該当しますが、同封する他の書類が信書に当たるかどうかで、送付方法のルールが変わってきます。

  • 信書に該当する書類:請求書、契約書、見積書、領収書、お礼状など
  • 信書に該当しない書類:カタログ、パンフレット、商品の説明書、カレンダーなど

信書である納品書と、信書ではないカタログなどを同封して、宅配便やメール便で送ることは、信書便法に違反します。複数の信書を同封する場合も、もちろん郵便または特定信書便サービスを利用しなければなりません。

もし、信書ではない書類を信書と一緒に送りたい場合は、全てを郵便物として送るか、信書ではない書類は別途宅配便などで送るかのいずれかの方法を取る必要があります。

誤った認識で送付すると、法的な問題に発展する可能性があるため、同封する書類の種類と送付方法について、常に正しい判断を下すことが重要です。

納品書の渡し方:相手に合わせた最適な方法とは?

納品書の送付方法は、自社の都合だけでなく、取引先の状況や今後の関係性も考慮して選択することが重要です。最適な方法を見つけるためのチェックポイントを見ていきましょう。

相手企業の電子化への対応状況を確認

納品書の送付方法を決定する上で、最も重要なのは「取引先がどのような形式での受領に対応しているか」を事前に確認することです。

メールでの受領を希望する企業も増えていますが、一方で紙の書類を必須とする企業もまだまだ存在します。

参考情報によれば、受領する請求書の電子化を「希望する」と回答した人は全体の54.9%と過半数を超えており、特に月に30件以上の請求書を受領する企業では、電子化への要望が顕著です。

このデータは、多くの企業が電子化への移行を望んでいることを示唆していますが、裏を返せば、約半数の企業は紙媒体でも問題ない、あるいは紙媒体を好む可能性があるということです。

新しい取引先の場合や、長らく郵送でやり取りしている取引先に電子化を提案する場合は、まず担当者に電話やメールで意向を確認することから始めましょう。

確認せずに一方的に送付方法を変更すると、相手に手間をかけさせたり、失礼な印象を与えたりする可能性があるため注意が必要です。

自社の業務効率とコストを考慮した選択

取引先の意向を確認した上で、次に自社の業務効率とコストを考慮した最適な方法を選びます。

長期的な視点で見ると、納品書の電子化はコスト削減と業務効率化に繋がる可能性が高いです。印刷代、郵送費などの直接的なコストだけでなく、書類の保管スペースや管理の手間も削減できます。

自社が電子化を進めているのであれば、積極的にメールでの送付を検討し、社内体制を整えるべきです。具体的には、誤送信を防ぐための確認体制の構築や、電子帳簿保存法に対応した適切な保存方法の確立が求められます。

一方で、取引先が郵送しか受け付けない場合や、自社のシステムが電子化に完全に対応できていない場合は、無理に電子化を進めるよりも、従来の郵送方法を継続する方が、かえってスムーズな業務運営に繋がることもあります。

自社の現状と将来的な目標を比較検討し、最もバランスの取れた選択をしましょう。

未来を見据えた電子化への移行準備

現在の取引先の状況や自社の体制を考慮し、一時的に郵送を選択するとしても、将来的には電子化への移行を視野に入れるべきです。

働き方改革やDX推進の流れの中で、納品書を含むビジネス文書の電子化(ペーパーレス化)は、企業にとって避けられない流れとなっています。

参考情報でも、電子化へのニーズが高いことが示されています。

電子データ取引保存を中心に推進する理由として、「書類の保管スペースが必要ないため」や「セキュリティの強化に繋がるため」が挙げられており、これらのメリットは今後ますます重要になっていくでしょう。

今すぐに全ての取引先で電子化に切り替えられなくても、段階的に移行計画を立てることが推奨されます。例えば、まずは電子受領に積極的な取引先からメール送付に切り替える、社内の電子帳簿保存法対応システムを導入・強化する、といったステップを踏むことが考えられます。

未来を見据え、柔軟に対応できる体制を整えることが、持続可能なビジネス運営には不可欠です。