概要: 請求書の送付期限や、メール・郵送での正しい送り方、受け取った際の対応まで、ビジネスシーンで必須の知識を網羅しました。請求書の折り方や再発行依頼についても解説し、スムーズな取引をサポートします。
ビジネスにおいて欠かせない「請求書」。いつまでに送るべきか、どう受け取るべきか、そしてもしもの時の再発行など、その基本マナーは多岐にわたります。適切に対応することで、取引先との信頼関係を築き、スムーズなビジネス運営を維持できます。本記事では、請求書の送付・受取・再発行に関する最新の基本マナーを網羅的に解説し、具体的なポイントや注意点をご紹介します。
請求書はいつまでに送るのが一般的?期限と期日
請求書の発行タイミングと基本原則
請求書の発行タイミングは、取引の性質によって異なりますが、最も一般的な原則は「商品やサービスの納品が完了した後、または納品と同時に発行・送付する」ことです。納品が完了していない段階で請求書を発行することは、原則としてありません。これは、請求書が取引内容を証明する重要な「証憑書類」であるため、実際の取引状況と整合性が取れている必要があるからです。
発行日は、多くの場合、納品完了日やサービスの提供完了日を記載します。この日付は、後々の税務調査などで重要な根拠となるため、正確に記載することが求められます。また、発行・受領した請求書には保存義務があり、法人は10年間、個人事業主は7年間、適切に保管しておく必要があります。これは、確定申告や税務調査の際に、取引の正当性を証明するために不可欠な書類となるためです。
発行の際には、取引先との間で事前に取り決めた契約内容を遵守することが何よりも重要です。契約書に発行に関する具体的な取り決めがある場合は、それに従って発行日や送付方法を決定しましょう。もし取り決めがない場合でも、一般慣行やこれまでの取引履歴を参考に、相手に不利益が生じないよう配慮することが大切です。
都度方式と掛売方式の違いと適用
請求書の発行方式には、大きく分けて「都度方式」と「掛売方式」の2種類があります。それぞれの方式には特徴があり、取引内容や業界慣習によって使い分けられます。
-
都度方式
商品やサービスの納品が完了するたびに、その都度請求書を発行する方式です。単発の取引や、取引ごとに内容が大きく異なる場合に適しています。発行日は、原則として商品やサービスの納品が完了した日となります。例えば、特定のプロジェクトが終了するたびに請求書を発行する場合や、小売業で顧客ごとに決済を行う場合などがこれに該当します。この方式は、取引内容と請求内容が明確に紐づきやすいため、経理処理が比較的シンプルになるメリットがあります。 -
掛売方式
一定期間(通常は1ヶ月間)の取引をまとめて、月に一度請求書を発行する方式です。継続的な取引がある企業間でよく用いられます。この場合、事前に定められた「締め日」に合わせて請求書を発行します。例えば、「月末締め、翌月10日発行」といった形で、締め日までの取引を集計し、まとめて請求します。これにより、頻繁な請求書の発行・受領の手間が省け、経理処理の効率化が図れます。ただし、締め日と発行日の取り決めを明確にし、取引先と共有しておくことが重要です。
どちらの方式を選ぶかは、取引先との契約内容や双方の業務フローによって決定されます。初めての取引先の場合は、事前にどちらの方式を希望するか、または対応可能かを確認しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
支払い期限の確認と遅延時の対応
請求書の「支払い期限」は、ビジネスにおいて非常に重要な要素です。一般的に、企業の支払い期限は「月末締め、翌月末払い」や「月末締め、翌々月末払い」といったケースが多く見られます。しかし、これはあくまで一般的な傾向であり、取引先や業界、契約内容によって大きく異なります。請求書が届いたら、まずは支払い期限を速やかに確認し、自社の支払いスケジュールに組み込むことが重要です。
特に、下請法が適用される取引の場合、資本金1,000万円を超える企業が業務を委託する際には、役務提供日または納品日から60日以内の支払いが義務付けられています。これは、下請事業者を保護するための重要な規定であり、親事業者はこれを遵守する必要があります。もし支払い期限が極端に短いなど、自社の支払いサイクルと合わない場合は、無理に支払いを進めるのではなく、速やかに取引先に延長が可能か相談を申し出ることが適切です。
万が一、支払い期限が過ぎてしまった場合は、絶対に放置してはいけません。気づいた時点で、速やかに取引先に電話またはメールで連絡を取り、支払い遅延の事実を伝え、支払い意思があることを明確に示しましょう。この際、誠意ある謝罪と具体的な支払い予定日を伝えることが不可欠です。連絡を怠ると、取引先からの信用を大きく損なうだけでなく、取引の停止や損害賠償請求に発展する可能性もあります。迅速かつ誠実な対応を心がけることで、信用回復に努めましょう。
請求書の正しい送り方:メール・郵送・送付状のポイント
電子請求書(メール送付)のメリットと注意点
近年、デジタル化の波に乗って「電子請求書」の利用が急速に拡大しています。特に、メールでの請求書送付は、その手軽さと迅速性から多くの企業で採用されています。主なメリットとしては、郵送費や印刷費といったコストの削減、送付から受領までの時間短縮、そして保管場所の削減などが挙げられます。
メールで請求書を送付する際は、一般的にPDF形式のファイルを添付します。PDFは、環境に左右されずに表示でき、改ざんのリスクも低い安全な形式です。メール本文には、請求書を添付した旨や、取引内容、請求金額、支払い期限などを簡潔に記載し、受領者が必要な情報を一目で確認できるように配慮しましょう。また、重要なポイントとして、必ずパスワード設定を行うか、別途パスワードを伝える方法を取るなど、セキュリティ対策を講じることが不可欠です。情報漏洩のリスクを避けるためにも、セキュリティソフトの導入や暗号化された通信経路の利用も検討すべきです。
注意点としては、取引先によっては電子請求書に対応していない場合や、特定のファイル形式を求めている場合があるため、事前に確認が必要です。また、メールが迷惑メールフォルダに振り分けられたり、添付ファイルがブロックされたりする可能性も考慮し、送付後は受領確認の連絡を求める、または電話で確認するなど、確実に相手に届いたことを確認する手間を惜しまないことが重要です。電子請求書は便利ですが、紙の請求書とは異なる配慮が必要となる点を理解しておきましょう。
郵送時の基本的なマナーと準備
電子請求書が普及する一方で、いまだ多くの企業では「郵送」による請求書送付が主流です。郵送で請求書を送る際には、ビジネスマナーとしていくつかの重要なポイントがあります。
まず、請求書を郵送する際には、「送付状(添え状)」を同封するのが一般的です。送付状は、単に請求書を添付したことを知らせるだけでなく、挨拶や感謝の気持ちを伝え、同封書類の内容を明確にする役割を果たします。これにより、受け取った側は内容をスムーズに確認でき、丁寧な印象を与えることができます。送付状には、日付、宛名、差出人、件名、「拝啓」「敬具」などの挨拶文、そして「記」として同封書類の名称と枚数を記載しましょう。
次に、封筒の選び方と宛名の書き方です。A4サイズの請求書を三つ折りにして入れる場合、長形3号の封筒が一般的です。封筒の色は、白や薄い青など、ビジネス文書に適した落ち着いた色を選びましょう。宛名書きは、会社名、部署名、役職名、担当者名を正確に記載し、敬称は「株式会社〇〇御中」「〇〇部 御担当者様」または個人名には「〇〇様」を使用します。誤字脱字がないよう、細心の注意を払ってください。また、封筒の表面には「請求書在中」と朱書きすることで、内容が重要文書であることを相手に知らせ、開封を促すことができます。
切手は、料金不足がないように適切な金額のものを貼付します。重さに応じて料金が変わるため、事前に確認しておきましょう。これらの準備を丁寧に行うことで、ビジネスマナーに則ったプロフェッショナルな印象を与えることができます。
送付状の作成ポイントと記載すべき情報
送付状は、請求書を郵送する際に添付する重要なビジネス文書です。単なる添え状ではなく、取引先への敬意を示すとともに、同封書類の内容を明確にする役割を担っています。適切な送付状を作成することで、スムーズな情報伝達と良好な関係構築につながります。
送付状に記載すべき主な項目は以下の通りです。
- 日付: 発行年月日を正確に記載します。
- 宛先: 取引先の会社名、部署名、担当者名を正式名称で記載し、敬称を正しく使います(例:株式会社〇〇 御担当者様)。
- 差出人: 自社の会社名、住所、電話番号、担当者名を記載します。
- 件名: 「請求書送付のご案内」など、内容が明確にわかる件名を記載します。
- 挨拶文: 頭語(拝啓など)と結語(敬具など)を使用し、季節の挨拶や日頃の感謝の言葉を添えます。
- 記書き:
- 「記」と中央に書き、その下に同封書類の名称と枚数を箇条書きで記載します。
- 例:
- 請求書 1通
記
以上
- 補足事項: 必要に応じて、振込期限や振込先、その他連絡事項などを記載します。
送付状は、簡潔かつ丁寧な言葉遣いを心がけ、誤字脱字がないよう細心の注意を払いましょう。テンプレートを活用すると効率的に作成できますが、単なる形式的な文書とならないよう、取引先への配慮が感じられる内容にすることが大切です。これにより、受け取った側は安心して請求書の内容を確認することができ、貴社への信頼感も増すでしょう。送付状は、ビジネスにおける細やかな気遣いを表現する有効な手段と言えます。
請求書を受け取ったら?メールでの確認と注意点
請求書受領後の速やかな確認と流れ
取引先から請求書を受け取ったら、まずは速やかに内容を確認することが重要です。確認を怠ると、誤った内容で支払いを進めてしまったり、支払い遅延につながったりするリスクがあります。受領後に行うべき主な確認事項と流れは以下の通りです。
- 記載項目のチェック:
- 請求書番号、発行日、支払い期限
- 請求元・請求先の会社名、住所
- 商品・サービスの名称、数量、単価、金額
- 消費税額、合計請求金額
- 振込先情報(銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義)
これらの項目に誤りや不足がないかを確認します。
- 発注内容との照合:
自社が発注した際の注文書や契約書、納品書と請求書の内容(品目、数量、金額など)を照らし合わせ、相違がないかを厳しくチェックします。特に金額の計算ミスや二重請求がないかを入念に確認しましょう。 - 疑問点の連絡:
内容に不明な点や誤りを発見した場合は、速やかに請求元に連絡を取り、確認または訂正を依頼します。この際、具体的などの部分に疑問があるのかを明確に伝えることが大切です。 - 支払い準備:
内容が正しく、問題がないことを確認したら、支払い期限に間に合うよう、速やかに支払い手続きの準備を進めます。支払い承認フローがある場合は、期日までに完了するように手配しましょう。 - 保管:
確認が完了した請求書は、適切にファイリングし、法人は10年間、個人事業主は7年間、保存義務に従って保管します。
これらの手順を踏むことで、正確な経理処理とトラブル防止につながります。
メールで受領確認を行う重要性
特に電子請求書をメールで受け取った場合、その受領確認をメールで返信することは、ビジネスマナーとして非常に重要です。このひと手間が、後々の誤解やトラブルを防ぐ上で大きな役割を果たします。
受領確認メールを送る主な理由は以下の通りです。
-
請求元への安心感:
請求書を送った側は、相手に無事届いたか、内容を確認してもらえたか不安に感じるものです。受領確認メールを送ることで、「確かに請求書を受け取り、内容を確認しました」というメッセージを伝え、相手を安心させることができます。 -
未達トラブルの防止:
メールは、迷惑メールフォルダへの誤振り分けや、システムエラーなどで相手に届かない可能性もゼロではありません。受領確認メールを返信することで、万が一、請求書が届いていなかった場合の早期発見にもつながります。 -
丁寧なビジネス対応:
迅速な受領確認は、相手に対する敬意と丁寧なビジネス姿勢を示すものです。これにより、取引先との良好な関係構築・維持に貢献します。
受領確認メールは、以下の例文のように簡潔に作成しましょう。
件名:【〇〇株式会社】請求書受領のご確認(貴社名)
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△でございます。
この度は、〇月分の請求書を確かに受領いたしました。
内容を確認し、期日までに支払い手続きを進めさせていただきます。
ご手配いただき、誠にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
-----------
株式会社△△
△△
電話番号:
メールアドレス:
-----------
このように、感謝の意を伝えつつ、内容を確認し、支払いを進める旨を伝えることで、請求元は安心して次のステップに進むことができます。
支払い遅延のリスク軽減策と支払い管理
請求書を受け取った側にとって、最も避けたい事態の一つが「支払い遅延」です。未払いや遅延が発生する原因は多岐にわたり、自社のミス、取引先のミス、あるいは取引先が故意に支払わないケースなどが考えられます。これらのリスクを軽減し、適切な支払い管理を行うためには、以下の対策が有効です。
-
業務フローの見直しと管理体制の強化:
請求書受領から支払い承認、支払い実行までの社内業務フローを明確化し、複数人によるチェック体制を確立します。担当者の変更時にも滞りなく引き継ぎができるよう、マニュアル整備も重要です。経理部門だけでなく、発注部門との連携も密にし、発注内容と請求内容の齟齬がないか確認する仕組みを構築しましょう。 -
与信管理の徹底:
新規取引開始時や定期的に、取引先の信用状況(経営状況、支払い能力など)を適切に管理します。信用度の低い取引先に対しては、前払いや手付金を設定するなどの対策を検討することも必要です。 -
請求業務の効率化とシステム導入:
請求書管理システムや会計ソフトを導入することで、請求書情報のデータ化、支払い期限のアラート機能、支払い履歴の自動記録などが可能となり、ヒューマンエラーの削減と業務効率の大幅な向上が期待できます。これにより、支払い漏れや遅延のリスクを大きく軽減できます。
万が一、未払いが発生してしまった場合は、まず自社にミスがないか(支払処理忘れ、データ入力ミスなど)を確認します。問題がない場合は、速やかに電話やメールで取引先に連絡を取り、状況を確認しましょう。それでも解決しない場合は、催促状や督促状を送付し、最終的には法的措置(少額訴訟、債権回収など)を検討することになります。未然防止が最善ですが、発生時の迅速かつ冷静な対応も非常に重要です。
請求書の折り方と郵送時のマナー:失礼のない対応
請求書の正しい折り方と封筒への入れ方
郵送で請求書を送る際、書類の折り方一つにもビジネスマナーが宿ります。受け取る相手に失礼がなく、かつスムーズに内容を確認してもらえるように、正しい折り方と封筒への入れ方をマスターしましょう。
A4サイズの請求書を一般的な長形3号封筒に入れる場合、最も推奨されるのは「三つ折り」です。三つ折りには主に2つの方法があります。
-
内三つ折り(C折り):
書類を3等分し、下部を内側に折り、次に上部をその上から折る方法です。この折り方は、封筒から取り出した際に、請求書の表題や宛先(自社名)がすぐに目に入るように調整します。封筒の窓付き部分に宛名が来るように折り目を調整すると、よりプロフェッショナルな印象を与えられます。 -
Z折り:
書類を3等分し、下部を手前に折り、次に上部を奥に折る方法です。Zの形に折れることからこう呼ばれます。こちらも、封筒から出したときに宛名がすぐに見えるように調整することがポイントです。
どちらの折り方でも、共通して重要なのは以下の点です。
- 折り目の均等さ: 3等分が均等になるように丁寧に折りましょう。雑な折り方は、相手に不快感を与える可能性があります。
- 宛名との位置合わせ: 窓付き封筒を使用する場合は、折ったときに請求書の宛名が窓にきれいに収まるように調整します。
- 複数枚の場合: 複数枚の請求書がある場合は、順番がバラバラにならないよう、クリップなどでまとめてから丁寧に折り、封筒に入れます。
封筒に入れる際は、請求書が封筒の底にきれいに収まるように、また封筒内で書類が折れ曲がらないように注意して挿入しましょう。これらの細やかな配慮が、ビジネスにおける信頼関係構築に貢献します。
郵送時の封筒の選び方と宛名書きの基本
請求書を郵送する際には、適切な封筒の選択と正しい宛名書きが重要です。これらは、受け取る側の第一印象を左右し、ビジネス文書としての品格を示す要素となります。
【封筒の選び方】
- サイズ: A4サイズの請求書を三つ折りで送る場合、最も一般的なのは長形3号封筒(120mm×235mm)です。A4用紙がぴったり収まるサイズで、見た目もすっきりします。
- 色: 白や薄いグレー、クリーム色など、ビジネス文書に適した落ち着いた色を選びましょう。特に白はフォーマルな印象を与え、清潔感があります。
- 素材: 厚手のしっかりした素材を選ぶと、郵送中に書類が傷みにくく、丁寧な印象を与えられます。
- 窓付き封筒: 宛名書きの手間を省き、誤記のリスクを減らすために、窓付き封筒を利用する企業も多いです。その場合、請求書の折り方を調整して、宛名が窓から正確に見えるようにする必要があります。
【宛名書きの基本】
- 会社名: 正式名称を省略せずに記載します(例:株式会社〇〇、有限会社△△)。
- 部署名・役職名: 部署や担当部署が分かっている場合は、正確に記載します(例:経理部 御担当者様)。特定の担当者名が分かっている場合は、部署名の後に記載します。
- 氏名: 個人名が分かっている場合は、氏名の後に「様」を付けます。部署宛ての場合は「御中」を使用し、「御中様」と併用しないように注意しましょう。
- 「請求書在中」: 封筒の表面、左下または右下の空いているスペースに「請求書在中」と朱書きしましょう。これは、受け取った側が内容を把握し、重要書類として速やかに開封・処理するための配慮です。市販のスタンプを利用すると便利です。
- 差出人: 封筒の裏面、左下に自社の住所、会社名、担当者名を記載します。
これらの基本マナーを守ることで、請求書がスムーズに相手に届き、貴社の信頼性を高めることにつながります。
郵送以外の送付方法におけるマナー
現代のビジネス環境では、郵送以外にも請求書を送付する多様な方法が存在します。どの方法を選ぶにしても、それぞれの特性に応じたマナーと配慮が求められます。
-
手渡しの場合:
直接相手に請求書を手渡す場合は、むき出しのままではなく、封筒に入れるかクリアファイルに挟むのがマナーです。封筒に入れる場合も、表面に「請求書在中」と記載し、誰宛てかが分かるようにしましょう。相手の目の前で封筒を開けて内容を確認してもらうことで、透明性も確保できます。 -
FAXの場合:
緊急時や相手の要望に応じてFAXで送ることもありますが、その際は必ず「FAX送付状」を添付しましょう。送付状には、宛先、差出人、日付、枚数、「請求書」という件名を明確に記載します。また、FAXは文字が不鮮明になりがちなので、送付後は電話で相手に確認し、内容がきちんと伝わったかを確かめる配慮が必要です。原本は別途郵送または保管し、FAXはあくまで一時的な手段と捉えるのが一般的です。 -
オンラインプラットフォーム利用の場合:
近年では、クラウド型の請求書発行システムや専用の取引プラットフォームを通じて請求書を送付するケースも増えています。この場合、プラットフォームの指定された手順やルールに厳密に従うことが最重要です。ログインIDやパスワードの管理を徹底し、セキュリティ対策にも十分注意を払いましょう。送付完了後、システム上で通知される場合は問題ありませんが、そうでない場合は、別途メールなどで相手に通知する気遣いも有効です。
どのような方法を選ぶにしても、最も大切なのは「相手への配慮」と「確実な送達」です。取引先の希望を最優先し、それぞれの方法に応じた丁寧な対応を心がけましょう。
請求書再発行の依頼方法と注意点
再発行を依頼する際の基本マナー
請求書を紛失してしまったり、記載内容に誤りがあったりして再発行が必要になることは、ビジネスの現場で起こり得る事態です。このような場合、取引先に再発行を依頼することになりますが、その際にはいくつかの基本マナーを守ることが重要です。
まず、再発行が必要であると判明したら、速やかに、かつ丁寧な言葉で取引先に連絡を取りましょう。時間が経てば経つほど、相手の手間が増え、また支払い遅延のリスクも高まります。連絡手段は、メールや電話が一般的ですが、その際には以下の点を明確に伝えることが重要です。
- 対象となる請求書の情報: いつ発行されたどの取引の請求書か(請求書番号、発行日、金額、取引内容など)を具体的に伝えます。
- 再発行が必要な理由: 紛失、破損、記載内容の誤り(具体的にどの項目か)など、なぜ再発行が必要なのかを正直に、かつ簡潔に説明します。特に自社側の都合(紛失など)で再発行を依頼する場合は、その旨を明確に伝え、お詫びの言葉を添えることが不可欠です。
- お礼と配慮: 相手に手間をかけることへの感謝と、迅速な対応をお願いする旨を伝えます。
メールで依頼する場合は、件名を「【再発行依頼】〇月分請求書(貴社名)」のように分かりやすく設定し、本文は上記の情報を盛り込みつつ、丁寧な文章を心がけましょう。電話で依頼する場合は、担当者につながったらまず自己紹介し、状況を簡潔に説明した上で、再発行の依頼をします。再発行依頼は、相手に余計な手間をかけさせる行為であるため、常に謙虚な姿勢で依頼することが肝心です。
再発行時の発行日と手数料の考え方
請求書の再発行にあたっては、特に「発行日」と「手数料」に関して注意すべき点があります。
【発行日】
請求書を再発行する場合でも、原則として「発行日」は変更しません。これは、元の請求書と同じ日付を記載することで、取引の事実関係と会計処理の一貫性を保つためです。もし再発行のたびに発行日を変更してしまうと、二重払いのリスクが生じたり、取引の改ざんや架空取引ではないかと疑われたりする可能性があります。税務調査の際にも、発行日の不一致は不要な疑念を招く原因となりかねません。そのため、たとえ再発行日が本来の発行日より後であっても、元の請求書と同じ日付を記載するのが正しい対応です。
【再発行手数料】
請求書の再発行には、手数料がかかる場合があります。これは、主に紛失など受領側の都合で再発行が必要になった場合に発生することが多いです。請求書発行側にとっては、再発行作業は新たな手間とコスト(印刷費、郵送費など)を伴うため、その負担を受領側に求める形となります。
近年、大手企業でも請求書再発行手数料を導入する動きが加速しています。例えば、NTTファイナンスでは、2026年10月1日以降に発行される請求書の再発行には、1通あたり220円(税込)の手数料がかかる予定です。また、NTTドコモでも、2021年4月請求分より、請求書等の再発行に手数料を設定しています。このように、再発行に手数料がかかることは珍しくなく、今後さらに一般化していく可能性があります。
トラブルを避けるためにも、再発行を依頼する前に、取引先のホームページなどで手数料に関する規定を確認するか、直接問い合わせて手数料の有無や金額について事前に合意しておくことが重要です。手数料が発生する場合は、その支払い方法についても確認しておきましょう。
再発行依頼のメール文例とテンプレート
請求書の再発行をメールで依頼する際は、丁寧さと明確さを兼ね備えた文章を作成することが重要です。以下に、再発行依頼のメール文例と、メール作成時のポイントをご紹介します。
件名:【再発行依頼】〇月分 請求書(請求書番号:XXXXX)_貴社名
〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の△△でございます。
この度は、大変お手数をおかけし申し訳ございませんが、
下記請求書の再発行をお願いしたく、ご連絡いたしました。
-------------
【対象請求書情報】
・発行日:YYYY年M月D日
・請求書番号:XXXXX
・ご請求金額:〇〇〇,〇〇〇円
・取引内容:〇〇サービス利用料(〇月分)
-------------
誠に恐縮ながら、弊社の不手際により、上記請求書を紛失してしまいました。
支払い期限が〇月〇日に迫っており、早急に支払い手続きを進めたく存じます。
つきましては、お手数をおかけいたしますが、
上記請求書を再度発行いただけますようお願い申し上げます。
(もし手数料が発生するようでしたら、別途ご教示いただけますと幸いです。)
お忙しいところ大変恐縮ですが、
ご対応いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
-----------
株式会社△△
△△
電話番号:
メールアドレス:
-----------
【メール作成のポイント】
-
件名:
一目で内容が分かるように「【再発行依頼】」と明記し、対象の請求書に関する具体的な情報(月分、請求書番号、貴社名など)を盛り込みましょう。 -
挨拶:
丁寧な挨拶から始め、相手に手間をかけることへのお詫びの言葉を必ず添えます。 -
対象請求書の明確化:
「発行日」「請求書番号」「金額」「取引内容」など、再発行してほしい請求書を特定できる情報を正確に記載します。これにより、相手がスムーズに処理を進めることができます。 -
理由の説明:
再発行が必要となった理由を簡潔に伝えます(例:紛失、記載ミスなど)。自社側の都合である場合は、その旨を正直に伝え、再度お詫びしましょう。 -
手数料について:
再発行手数料が発生する可能性があることを念頭に置き、確認の言葉を添えておくと親切です。 -
迅速な対応依頼:
支払い期限が迫っている場合は、その旨を伝え、可能な範囲での迅速な対応をお願いする言葉を添えますが、あくまで低姿勢で依頼しましょう。
このような丁寧な依頼をすることで、取引先も快く対応してくれる可能性が高まります。
まとめ
よくある質問
Q: 請求書はいつまでに送るべきですか?
A: 一般的には、納品月末や月末締め翌月払いの場合は翌月〇日までに送付するのが通例ですが、取引先との契約内容や商習慣によって異なります。事前に確認しておくことが大切です。
Q: 請求書をメールで送る際の注意点は?
A: PDF形式で送付し、ファイル名を分かりやすくすることが重要です。また、本文には挨拶、請求書の内容、送付日などを明記し、取引先がすぐに内容を把握できるように配慮しましょう。
Q: 請求書を受け取りましたメールへの返信はどうすればいい?
A: 「請求書受領のご連絡」として、いつ受け取ったか、内容に相違ないかなどを確認した旨を返信するのが丁寧です。期日までに支払いができる旨を添えると、さらに安心感を与えられます。
Q: 請求書を郵送する際の送付状は必要ですか?
A: はい、送付状は必須ではありませんが、添えることで丁寧な印象を与えます。送付状には、宛名、日付、差出人、件名、請求書の内訳などを記載しましょう。
Q: 請求書を紛失した場合、再発行はしてもらえますか?
A: はい、請求書の再発行は可能です。取引先に連絡し、紛失した旨を伝え、再発行を依頼しましょう。再発行手数料がかかる場合もあるので、事前に確認してください。
