【103万とマイナンバー】提出しなくてもバレる?見逃しがちなリスクと注意点
この記事で得られること
扶養内で働きたいパート・アルバイトの方、マイナンバーの提出に疑問や不安を感じている方、自身の情報管理に不安がある方。
【103万とマイナンバー】提出しなくてもバレる?見逃しがちなリスクと注意点
働き方が多様化する現代において、「103万円の壁」や「マイナンバー」という言葉は、多くの人にとって漠然とした不安の種になっているのではないでしょうか。特に副業をしていたり、扶養家族として働いていたりする場合、「自分の所得がどこまで把握されているのか」「マイナンバーを提出しなくても大丈夫なのか」「うっかり見逃しているリスクはないか」といった疑問は尽きません。
本記事では、そんな皆さんの疑問や不安を解消するため、103万円の壁とマイナンバー制度の関係性、情報が行政機関にどのように「バレる」のか、そして、もしマイナンバーの提出を「出してない」「無視した」場合にどのようなリスクがあるのかを、最新の情報に基づいて詳しく解説します。ぜひこの記事を参考に、適切な情報管理と申告を行い、安心して働くための知識を身につけてください。
103万円の壁とマイナンバー、なぜ多くの人が不安に感じるのか?
「103万円の壁」という言葉は、パートやアルバイトで働く方々にとって、所得税や扶養控除の適用を考える上で非常に重要なキーワードです。一般的に、給与収入が年間103万円を超えると、ご自身の所得に所得税が課され、また配偶者や親の扶養控除の対象から外れる可能性があるため、手取りが減ったり、扶養者の税負担が増えたりするという不安に繋がります。しかし、この「103万円の壁」は、所得税に関する一つの目安に過ぎません。実は、給与収入が103万円以下であっても住民税は課税される可能性があり、給与を支払う企業は金額の大小にかかわらず、すべての従業員の給与支払報告書を市区町村に提出する義務があります。
さらに、この「壁」の概念は今後大きく変わろうとしています。2025年からは、所得税の「103万円の壁」が最大160万円まで引き上げられることが決定しました。これは、基礎控除の上乗せによるもので、年収200万円以下の給与所得者が対象となります。ただし、所得税法上の配偶者控除の収入上限は123万円に変更されるため、引き続き注意が必要です。
そして、この所得情報がより正確に把握されるようになった背景には、「マイナンバー」制度の存在があります。マイナンバーは国民一人ひとりに割り当てられた12桁の番号で、社会保障・税・災害対策の分野で個人の情報を効率的に管理するために導入されました。これにより、複数の勤務先からの収入や、扶養家族の所得なども行政機関によって正確に紐付けられるようになり、過去には見逃されがちだった所得の申告漏れや、不正な扶養控除の適用が発覚しやすくなっているため、多くの人が不安を感じるようになっています。
マイナンバー提出は義務?企業が求める本当の理由とは
「マイナンバー提出は義務なの?」と疑問に感じる方は少なくありません。結論から言うと、事業者(企業)は、社会保障や税に関する手続きを行う際に、従業員からマイナンバーを収集・提出することが法律で義務付けられています。具体的には、給与所得の源泉徴収票や雇用保険、健康保険、厚生年金の資格取得届など、様々な書類にマイナンバーを記載して行政機関に提出する必要があるためです。したがって、企業が従業員にマイナンバーの提出を求めるのは、法律で定められた義務を果たすためであり、決して任意の協力をお願いしているわけではありません。
しかし、従業員がマイナンバーの提出を「出してない」「無視した」場合、直ちに罰則が科せられるわけではありません。マイナンバーの提供はあくまで「協力義務」であり、法律上、国民に直接の提供義務や罰則は設けられていないためです。そのため、「マイナンバーを出さないと給料がもらえない」「解雇される」といった話は誤解である場合が多いでしょう。
ただし、従業員がマイナンバーの提出を拒否した場合でも、企業は給与支払報告書などの税務書類をマイナンバーなしで行政機関に提出することができます。この際、企業は「マイナンバーの提供を拒否された」旨の記録を残しておくなど、きちんと対応したことを示す必要があります。結果として、マイナンバーが提出されないことで、企業側の事務負担が増加することになります。また、将来的にマイナンバーを用いた行政手続きがさらに簡素化・効率化される中で、提出拒否が長期化すると、何らかの不利益や事務処理上の問題が生じる可能性もゼロではありません。企業がマイナンバーを求めるのは、決して個人情報を不適切に利用するためではなく、法令遵守と円滑な行政手続きのためであることを理解することが重要です。
「103万円超え」と「マイナンバー未提出」で情報はどうバレる?
「103万円を超えてもマイナンバーを出してないから大丈夫」と考えている方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。マイナンバー自体が直接、副業が本業の会社に「バレる」原因となることはほとんどありません。なぜなら、マイナンバーは行政機関が個人の所得や社会保障情報を一元的に管理するためのものであり、企業間で情報が直接やり取りされることはないからです。しかし、間接的な経路であなたの所得情報、ひいては副業の存在などが行政機関に把握され、結果的に「バレる」リスクは確実に存在します。
最も典型的な例が、住民税の仕組みです。複数の会社から給与を受け取っている場合、それらすべての所得が合算されて住民税の金額が決定されます。この住民税の通知書は、通常、本業の会社に送付されます。もし副業の収入が住民税の課税対象になるほどあれば、本業の会社が受け取る住民税額が通常よりも高額になり、「なぜこの従業員の住民税が高いのだろう?」と疑問を持たれることで副業が発覚することがあります。これが、副業がバレる最も一般的な原因とされています。
また、企業は従業員に支払った給与について、給与支払報告書を市区町村に提出する義務があります。この報告書にはマイナンバーが記載されているため、行政機関はあなたのすべての給与収入を正確に把握することができます。さらに、マイナンバー制度により、行政機関は個人の所得情報をより詳細に、そして正確に把握・名寄せすることが可能になりました。例えば、A社とB社から給与を受け取っている場合、両社からの給与支払報告書があなたのマイナンバーに紐付けられ、すべての所得が合算されて行政機関に共有されるため、申告漏れや過少申告は容易に判明します。
マイナンバーを「出してない」「無視した」場合のリスクとペナルティ
マイナンバーの提出を拒否したり、意図的に「無視」したりしたからといって、それ自体が即座に法的ペナルティに繋がることは、現時点ではほとんどありません。しかし、問題なのは、マイナンバーを提出しないことで、所得の正確な申告を怠ってしまうこと、あるいは所得が行政機関に正確に把握されないと安易に考えてしまうことです。これが、後々大きなリスクやペナルティに発展する可能性が非常に高いのです。
最も深刻なリスクは「無申告(脱税)」です。例えば、年間の副業収入が20万円を超えているにもかかわらず確定申告をしない場合、所得税法上の無申告となり、悪質な場合は脱税とみなされます。マイナンバーによってあなたのすべての所得が行政機関に正確に把握されるため、無申告や過少申告は以前よりもはるかに発覚しやすくなっています。もし発覚した場合、本来納めるべき税金に加えて、無申告加算税や延滞税といった追徴課税が課せられ、本来よりもはるかに高額な税金を支払うことになるでしょう。悪質なケースでは、刑事罰の対象となる可能性もゼロではありません。
また、扶養家族(例えばアルバイトをしている学生の子どもなど)が「103万円の壁」を超える所得があるにもかかわらず、その事実を申告せず、親が扶養控除を受け続けている場合も、不正とみなされます。この場合も、マイナンバーによって家族全体の所得情報が紐付けられるため、扶養控除の不正適用が発覚しやすくなります。不正が発覚すれば、過去にさかのぼって扶養控除を取り消され、親が追徴課税を受けることになります。
さらに、マイナンバーは個人に紐づく生涯不変の番号であり、前職を含む過去の所得情報も関連付けられています。そのため、転職や複数の仕事を掛け持ちしている場合でも、すべての所得が行政機関に把握され、申告内容との突合が行われる可能性があります。「前職の分だからバレないだろう」といった見逃しは通用しない時代になっていることを理解することが重要です。
情報管理の落とし穴を避ける!正しいマイナンバーの取り扱いと注意点
マイナンバー制度が導入され、個人の所得情報がより透明化された現代において、「情報管理の落とし穴」を避けるためには、正確な知識と適切な対応が不可欠です。マイナンバーの提出を「出してない」状況や「無視した」対応は、ご自身の所得が正確に把握されないという誤解を生み、結果的に無申告や過少申告というリスクに繋がりかねません。
まず、最も重要なのはご自身の所得を正確に把握し、適切に申告することです。特に副業収入がある場合は、年間20万円を超える所得があるかどうかに注意してください。20万円を超える場合は確定申告が必要となります。この際、マイナンバーを提出していなくても、行政機関は給与支払報告書などを通じてあなたの所得情報を把握していますので、申告漏れは必ず発覚すると考えて行動すべきです。
### 住民税の徴収方法に注意する
副業が本業にバレるリスクを減らしたいのであれば、住民税の徴収方法を「特別徴収(給与天引き)」ではなく、「普通徴収(自分で納付)」に切り替えることを検討してください。確定申告の際に、住民税の納付方法を普通徴収にチェックを入れることで、副業分の住民税納付書が自宅に届き、本業の会社に通知されることを防げます。
### 扶養控除の確認を怠らない
配偶者や子どもの扶養に入っている場合、その扶養家族の所得が「103万円の壁」などを超えていないか、定期的に確認することが重要です。扶養家族の収入が増えた場合は、速やかに扶養を外す手続きを行いましょう。見逃しや意図的な隠蔽は、扶養者の追徴課税に繋がります。
### マイナンバー制度の目的を理解する
マイナンバーは、国民の利便性向上や行政の効率化のために導入されたものです。個人の所得情報がより正確に把握されるようになったことは、納税の公平性を高めるという側面もあります。そのため、制度の目的を理解し、誠実に納税義務を果たすことが、最もリスクの少ない対応と言えるでしょう。
もし、ご自身の所得状況やマイナンバーに関する手続きで不安な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。正しい知識と適切な行動で、安心して経済活動を行いましょう。
まとめ
マイナンバーの提出は法的な義務であり、103万円の扶養控除ラインとは別の問題です。マイナンバーを提出しない、あるいは虚偽の申告をすると、税務署への情報連携が阻害され、税金や扶養に関する問題が発覚するリスクが高まります。特に「バレる」という不安は、税務署が持つ情報と個人の申告情報との間に齟齬が生じた場合に顕在化します。不利益を避けるためにも、マイナンバーに関する正しい知識を持ち、企業からの提出要請には適切に対応し、自身の情報管理に注意を払うことが重要です。
よくある質問
Q: Q1: マイナンバーを会社に提出しないとどうなりますか?
A: A1: 会社は従業員のマイナンバーを税務署や市区町村に提出する義務があります。提出がない場合、会社は税務署から指導を受ける可能性があり、従業員自身も不利益を被る可能性があります。例えば、年末調整が正確に行われなかったり、住民税の通知が遅れるなどの不都合が生じることがあります。
Q: Q2: 103万円を超えてもマイナンバー提出は不要と聞きましたが本当ですか?
A: A2: 所得が103万円を超えるかどうかに関わらず、給与を支払う会社は従業員全員のマイナンバーを税務署に提出する義務があります。103万円は扶養控除の基準であり、マイナンバー提出の義務とは直接関係ありません。
Q: Q3: 前職のマイナンバー情報が現在の働き方に影響することはありますか?
A: A3: 前職で提出したマイナンバーは、その会社が税務署に提出し、個人の所得情報として管理されます。現在の会社がマイナンバーを求めるのは、その会社での所得を正しく申告するためです。基本的には直接的な影響はありませんが、過去の申告漏れなどがあれば、税務署の調査の対象となる可能性はあります。
Q: Q4: マイナンバーの提出を「見逃し」ていた場合、後からどうすれば良いですか?
A: A4: 「見逃し」ていた場合は、速やかに勤務先にマイナンバーを提出することが最も重要です。勤務先が既に税務署に提出済みの場合でも、後から正しい情報を連携することで問題は解消されます。不明な点があれば、勤務先の人事・経理担当者に相談しましょう。
Q: Q5: マイナンバーの情報が漏洩するリスクはありますか?
A: A5: マイナンバーは非常に重要な個人情報であり、厳重な管理が求められています。企業には特定個人情報保護委員会が定める安全管理措置の義務があり、情報漏洩には罰則が設けられています。しかし、完全にリスクがゼロというわけではないため、不審な連絡には注意し、自身でも安易に情報を開示しないことが重要です。