概要: マイナンバーカードを健康保険証として利用できるマイナ保険証について、その基本から使い方、確認方法までを解説します。さらに、デメリットや、変更・更新時の手続きについても詳しく説明します。
マイナ保険証の疑問を解決!使い方からデメリット、変更まで徹底解説
近年、メディアで頻繁に取り上げられる「マイナ保険証」。マイナンバーカードを健康保険証として利用するこの制度は、2024年12月2日から従来の健康保険証の新規発行が終了し、本格的な移行が始まっています。
「でも、実際どうやって使うの?」「メリットは?デメリットはないの?」といった疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんなマイナ保険証に関するあらゆる疑問を解決するため、基本から使い方、メリット・デメリット、そして変更手続きまで、徹底的に解説します。
今後の医療機関での受診に備えて、マイナ保険証について正しく理解し、安心して利用できるようになりましょう。
マイナ保険証とは?基本から理解を深めよう
マイナ保険証への移行は、私たちの医療機関での受診方法を大きく変える可能性があります。まずはその基本的な仕組みと、なぜこの制度が推進されているのかを理解しましょう。
マイナ保険証とは何か?制度の概要と背景
マイナ保険証とは、皆さんがお持ちのマイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みのことです。政府が推進する医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として導入され、医療現場の効率化と国民の利便性向上を目指しています。この制度は2024年12月2日から本格的に移行が始まり、従来の健康保険証の新規発行および再発行が終了しました。これに伴い、今後はマイナ保険証が医療機関を受診する際の基本的な確認ツールとなります。政府は、2025年12月2日以降はマイナ保険証が原則になるとの方針を示しており、移行期間が設けられています。
具体的な利用状況を見ると、移行が始まった当初は緩やかだったものの、徐々に利用率は上昇しています。2025年1月時点では25.42%だった利用率は、2025年4月には28.65%、そして2025年6月には30.64%と着実に増加傾向にあります。特に、2025年7月末には多くの自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れを迎えるため、マイナ保険証への移行がさらに加速すると見込まれています。実際に、2025年8月には市町村国保全体でのマイナ保険証利用率が43.6%にまで上昇し、その効果が表れています。このように、マイナ保険証は単なる健康保険証のデジタル化に留まらず、医療情報の円滑な連携を通じて、より質の高い医療提供を実現するための重要なインフラとして位置づけられています。
従来の保険証に慣れている方にとっては、新しいシステムへの切り替えに不安を感じるかもしれません。しかし、その背景には、医療情報の正確性向上、事務手続きの簡素化、そして国民全体の健康管理の最適化という大きな目的があります。例えば、過去の診療履歴や服用している薬剤情報が医療機関間でスムーズに共有されることで、重複する検査や処方を避けたり、患者さんの体質や既往歴に合わせたより適切な治療方針を立てたりすることが可能になります。また、災害時など緊急を要する場面でも、患者さんの同意があれば、かかりつけ医以外の医療機関でも必要な医療情報が速やかに参照できるようになり、迅速で的確な医療を受けることにも繋がります。
従来の健康保険証との違い
従来の健康保険証とマイナ保険証には、いくつかの決定的な違いがあります。最も大きな違いは、物理的なカード一枚に複数の機能が集約される点です。従来の保険証は健康保険の資格を証明する機能しかありませんでしたが、マイナンバーカードは身分証明書、行政手続き、そして健康保険証としての機能を併せ持ちます。これにより、複数のカードを持ち歩く手間が省け、紛失のリスクも相対的に低減されます。例えば、運転免許証と保険証を別々に携帯する必要がなくなるため、財布の中身もスッキリするでしょう。
情報共有の面でも大きな差があります。従来の保険証では、医療機関を受診するたびに問診票に記入したり、過去の診療履歴や服用薬を口頭で伝えたりする必要がありました。しかし、マイナ保険証では、患者の同意があれば過去の診療履歴や薬剤情報、特定健診の情報などが医療機関間で共有されます。これにより、医師は患者さんの状態をより正確に把握し、重複する検査や不必要な投薬を避けることができるため、医療の質の向上に直結します。例えば、新しい病院を受診する際に、以前かかっていた病院での薬の情報が共有されることで、飲み合わせによる副作用のリスクを軽減できる可能性があります。
また、手続きの効率化も重要な違いです。転職や引っ越し、結婚などで保険情報に変更があった場合、従来の保険証では新たな保険証が発行されるまでに時間がかかり、その間は保険証なしで受診することになるケースもありました。マイナ保険証の場合、新しい情報がマイナンバーカードに紐付けられるため、原則として新しいカードが発行されるのを待つ必要がなく、継続して利用できます。これにより、医療機関での資格確認がよりスムーズになり、窓口での待ち時間の短縮にも繋がります。さらに、高額療養費制度における限度額適用認定証も、マイナ保険証があれば不要となり、窓口での高額な医療費の一時立て替えがなくなります。
なぜマイナ保険証への移行が進められるのか
マイナ保険証への移行が進められる背景には、主に三つの大きな目的があります。一つ目は、政府が掲げる「医療DX」の推進です。医療分野におけるデジタル化を加速させ、情報連携を強化することで、より効率的で質の高い医療提供体制を構築しようとしています。これは、少子高齢化が進む日本において、持続可能な医療制度を維持するために不可欠な取り組みと言えるでしょう。デジタル技術の活用により、医療現場の負担を軽減し、患者さん一人ひとりに合わせた最適な医療を提供することを目指しています。
二つ目は、患者さんの利便性向上です。マイナ保険証を利用することで、様々な手続きが簡素化され、患者さんの負担が軽減されます。例えば、医療費控除の確定申告がマイナポータルとe-Taxの連携により自動入力されるため、これまでの領収書保管や手入力の手間が大幅に削減されます。また、高額療養費制度の利用時も、限度額適用認定証を事前に申請・持参する必要がなくなり、窓口での一時的な高額な支払いを心配する必要がなくなります。これにより、安心して医療を受けられる環境が整います。
三つ目は、医療現場の負担軽減と業務効率化です。医療機関では、保険証の確認や情報の入力、資格確認などに多くの時間と労力を費やしています。マイナ保険証が普及することで、受付業務が効率化され、人的ミス(入力ミスや資格誤りなど)の防止にも繋がります。これにより、医療従事者は本来の業務である診療や看護に、より多くの時間を割けるようになります。将来的には、2026年度以降にマイナ保険証が医療費助成の受給者証としても利用可能になる予定であり、さらなる医療現場の負担軽減と、患者さんの利便性向上に繋がると期待されています。政府は、このような多角的なメリットを追求することで、国民全体の医療サービスを向上させようとしているのです。
マイナ保険証の紐付け・確認方法をステップで解説
マイナ保険証を利用するためには、まずご自身のマイナンバーカードを健康保険証として紐付ける(登録する)必要があります。ここではその登録方法と、正しく紐付けられているかを確認する方法を詳しく見ていきましょう。
マイナ保険証の登録方法
マイナ保険証としての利用登録は、様々な方法で手軽に行うことができます。主な登録方法は以下の通りです。
- スマートフォンからの登録:「マイナポータルアプリ」をダウンロードし、アプリの指示に従ってマイナンバーカードを読み取り、顔認証または暗証番号で本人確認を行うことで登録できます。最も手軽で時間や場所を選ばない方法です。
- パソコンからの登録:マイナンバーカード対応のICカードリーダーを準備し、マイナポータルサイトにアクセスして登録を進めます。
- 医療機関・薬局の窓口での登録:顔認証付きカードリーダーが設置されている医療機関や薬局の受付で、職員の案内に従って登録することができます。受診のついでに登録できるため、多くの方が利用しています。
- セブン銀行ATMからの登録:全国のセブン銀行ATMでも、画面の指示に従って登録手続きを行うことが可能です。
これらの方法で一度登録を済ませれば、次回以降はマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになります。
ただし、登録は任意であり、中には利用登録を解除するケースも報告されています。例えば、2025年4月単月で14,593件、累計では98,825件の利用登録解除が確認されており(2025年5月23日時点)、2025年6月単月では12,263件、累計で124,003件に達しました(2025年7月23日時点)。これは、システムへの不安や操作の複雑さなどが背景にあると考えられます。しかし、制度が定着するにつれて、解除件数は減少傾向にあると予測されます。利用する際は、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選び、不明な点があれば自治体や医療機関の窓口に相談するようにしましょう。
紐付け状況の確認方法
マイナンバーカードと健康保険証の紐付けが正しく行われているかを確認することは、安心してマイナ保険証を利用するために非常に重要です。最も確実な確認方法は、マイナポータルサイトを利用することです。マイナポータルにログインし、「わたしの情報」から「健康・医療」の項目に進むと、ご自身の健康保険証の資格情報(保険者番号、記号・番号など)が表示されます。ここで情報が正しく表示されていれば、紐付けは完了していると判断できます。もし情報が表示されない、または内容に誤りがある場合は、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口、またはご加入の健康保険組合に問い合わせる必要があります。
また、医療機関や薬局の窓口でも、顔認証付きカードリーダーを使って確認することが可能です。カードリーダーにマイナンバーカードをかざした際に、保険資格情報が表示されれば、問題なく紐付けされています。この方法であれば、実際に医療機関を受診する際に同時に確認できるため、事前に不安を解消することができます。初めてマイナ保険証を利用する際には、受付で「マイナ保険証でお願いします」と伝え、念のため確認を依頼してみるのも良いでしょう。
紐付けに関する疑問や不安がある場合は、放置せずに早めに確認することが大切です。特に、引っ越しや転職などで保険情報に変更があった場合は、自動的に情報が更新されるとはいえ、念のためにマイナポータルで確認することをお勧めします。万が一、紐付けがうまくいっていない状態で医療機関を受診すると、一時的に全額自己負担となる可能性もあるため、事前の確認がトラブル回避に繋がります。正確な情報確認を通じて、マイナ保険証をスムーズに利用し、そのメリットを最大限に享受しましょう。
スマートフォンでの利用開始と今後の展望
マイナ保険証の利便性は、今後さらに向上する見込みです。特に注目すべきは、2025年9月19日から対応機種のスマートフォンをマイナ保険証として利用できるようになるという点です。これにより、物理的なマイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマートフォン一つで医療機関を受診できるようになります。これは、マイナンバーカードの紛失リスクを軽減し、より気軽にマイナ保険証を利用できる大きな一歩と言えるでしょう。スマートフォンは多くの人が常に携帯しているため、カードの持参忘れも防げ、急な体調不良時にも安心して医療機関を受診できるようになります。
スマートフォンでの利用には、事前にマイナポータルアプリを通じた登録が必要となりますが、一度設定を済ませてしまえば、カードリーダーにかざす代わりにスマートフォンをかざすだけで本人確認と資格確認が完了します。対応機種は順次拡大される予定ですが、現時点では特定のスマートフォンモデルに限定される可能性もあるため、ご自身のスマートフォンの対応状況については、事前に公式サイトなどで確認することをお勧めします。この機能は、特に若年層やテクノロジーに慣れた層にとっては非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
さらに、将来的には、マイナ保険証が様々な医療費助成制度の受給者証としても利用可能になる予定です。2026年度以降には、現在別途提示が必要な公費負担医療制度の受給者証情報がマイナ保険証と一体化されることが検討されており、これにより、医療機関の窓口での手続きがさらに簡素化されます。また、服薬状況や特定健診の結果などのデータがより広範囲で活用されることで、個々人に最適化された予防医療や健康管理サービスが提供される可能性も広がります。マイナ保険証は、単なる健康保険証の代替ではなく、日本の医療システム全体のデジタル化と効率化を推進する基盤として、今後も進化し続けることが期待されています。
マイナ保険証の具体的な使い方とメリット
「顔認証付きカードリーダーってどう使うの?」「マイナ保険証って具体的にどんな良いことがあるの?」ここでは、そんな疑問を解消し、マイナ保険証の具体的な使い方と、患者さんや医療機関にとってのメリットを詳しくご紹介します。
実際の医療機関での使い方
マイナ保険証の使い方は非常にシンプルで、一度慣れてしまえば従来の保険証よりもスムーズに受付を済ませることができます。医療機関や薬局を受診する際には、受付に設置されている顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードをかざすだけです。カードリーダーがマイナンバーカードを読み取ると、画面に本人確認の方法が表示されます。通常は、顔認証を行うか、事前に設定した4桁の暗証番号を入力するかのいずれかを選択します。顔認証は、マスクを外してカメラを見るだけで完了するため、非常に手軽です。暗証番号入力も、タッチパネル操作で行えます。
本人確認が完了すると、次に「情報提供の同意」を求められます。これは、過去の診療履歴や薬剤情報などを医療機関と共有することに同意するかどうかを確認するものです。同意することで、医師は患者さんの状態をより正確に把握し、重複投薬の防止や、アレルギー情報などを踏まえた適切な治療に繋がります。同意しない場合でも、マイナ保険証として利用することは可能です。これらのステップを終えれば、受付は完了です。
ただし、注意点として、公費負担医療制度(例:難病医療費助成、ひとり親家庭等医療費助成など)を利用している場合は、別途、各制度の受給者証を提示する必要があることを覚えておきましょう。将来的にはこれらもマイナ保険証に統合される予定ですが、現時点では併用が求められます。また、一部の医療機関ではまだ顔認証付きカードリーダーが設置されていない場合もありますので、その際は従来の保険証と同じように、マイナンバーカードを窓口で提示し、健康保険証情報を提供してもらう形になります。事前に受診予定の医療機関がマイナ保険証に対応しているか確認しておくと安心です。
患者にとっての主なメリット
マイナ保険証の導入は、患者さんにとって数多くのメリットをもたらします。最も大きなメリットの一つは、医療情報の共有による質の高い医療提供です。過去の診療履歴や服用薬剤、特定健診の結果などが、患者さんの同意のもとで医療機関間で共有されるため、医師はより詳細な情報を基に診断や治療を行うことができます。これにより、重複する検査や不必要な投薬を防ぎ、患者さん一人ひとりに最適化された治療を受けることが可能になります。例えば、旅行先で急な体調不良に見舞われた際でも、かかりつけ医以外の医療機関で迅速かつ適切な処置を受けやすくなります。
また、事務手続きの簡素化も大きな利点です。特に、医療費控除の確定申告が劇的に楽になります。マイナポータルとe-Taxを連携させることで、一年間の医療費情報が自動で入力されるため、領収書を一枚一枚集めて計算する手間が不要になります。これにより、多忙な方でも確定申告をよりスムーズに行えるようになります。さらに、高額療養費制度を利用する際も、限度額適用認定証の持参が不要となるため、窓口で一時的に高額な医療費を立て替える必要がなくなります。これは、急な入院や手術などで高額な医療費が発生した場合の患者さんの経済的負担を大幅に軽減するものです。
その他にも、引っ越しや転職、結婚などによる保険情報の変更時にも、新しい保険証の発行を待つ必要がなく、マイナンバーカードを継続して利用できるため、手続きの手間が省けます。これにより、保険証の切り替え期間中に医療機関を受診できないという心配もなくなります。災害時など、いざという時にも身分証明書と保険証の機能を兼ね備えたマイナンバーカードがあれば、必要な医療を受けやすくなるなど、安心感に繋がるメリットも大きいと言えるでしょう。これらのメリットは、患者さんがより便利に、そして安心して医療サービスを利用できるようになるための重要な要素です。
医療機関側にとってのメリット
マイナ保険証の導入は、患者さんだけでなく、医療機関側にも多くのメリットをもたらします。まず、最も顕著なのは受付業務の効率化です。従来の保険証では、記号や番号の入力、有効期限の確認、資格の有無の照会など、多くの手作業が必要でした。しかし、マイナ保険証の場合、顔認証付きカードリーダーにかざすだけでこれらの情報が自動的に読み取られ、確認が完了します。これにより、受付スタッフの業務負担が大幅に軽減され、患者さんの待ち時間短縮にも繋がります。特に、混雑する時間帯や少人数の医療機関では、この効率化は非常に大きな助けとなります。
次に、入力ミスや資格誤りの防止です。手作業での情報入力は、どうしてもヒューマンエラーのリスクを伴います。保険証の記号・番号の打ち間違いや、有効期限の確認漏れなどが発生すると、後から事務処理の訂正や患者さんへの連絡が必要となり、余計な手間とコストが発生していました。マイナ保険証であれば、システムが正確な情報を自動で読み取るため、これらのミスを根本的に防ぐことができます。資格情報の確認もリアルタイムで行われるため、無資格者による受診や、資格喪失後の利用といった不正利用のリスクも低減され、医療保険制度の健全な運用に貢献します。
さらに、質の高い医療提供への貢献も重要なメリットです。患者さんの同意があれば、過去の診療履歴や処方薬、特定健診の結果などの情報を参照できるため、医師はより正確な情報を基に診断・治療を行うことができます。これにより、重複投薬や禁忌薬の処方を避けたり、患者さんの既往歴やアレルギー情報を考慮した適切な治療方針を立てやすくなります。特に、初診の患者さんや、かかりつけ医以外の医療機関を受診する患者さんに対して、より安全で質の高い医療を提供できるようになるでしょう。これは、医療現場全体の負担軽減だけでなく、患者さんへの安心・安全な医療サービスの提供にも直結する、非常に意義深いメリットと言えます。
マイナ保険証のデメリットと注意点
便利なマイナ保険証ですが、利用にあたって注意すべきデメリットやリスクも存在します。ここでは、いざという時に困らないために知っておくべきポイントを解説します。
利用できないケースと準備しておくべきこと
マイナ保険証は非常に便利ですが、現時点では全て医療機関で利用できるわけではないという点に注意が必要です。顔認証付きカードリーダーが未設置の一部の医療機関や薬局では、マイナ保険証での資格確認ができません。そのため、受診する前に医療機関がマイナ保険証に対応しているかを確認しておくことが賢明です。対応状況は、各医療機関のウェブサイトや厚生労働省のウェブサイトで確認できます。また、システム障害、停電、マイナンバーカードの破損など、不測の事態により一時的に利用できなくなる可能性も考慮しておく必要があります。
万が一、マイナ保険証が利用できない場合は、従来の保険証と同様に、窓口で全額自己負担となる可能性があります。その場合でも、後日、医療機関に領収書や診療明細書を提出し、保険分の払い戻しを受けることは可能です。しかし、一時的に高額な医療費を立て替えることになるため、ある程度の現金やクレジットカードを持参しておくことをお勧めします。
さらに、2025年12月2日以降は従来の健康保険証が原則廃止されますが、マイナ保険証を持たない人には「資格確認書」が発行されます。これは、マイナンバーカードを取得していない方や、何らかの理由でマイナ保険証を利用できない方が医療機関を受診する際に、保険資格を証明するためのものです。この資格確認書は、当面の間、マイナ保険証に代わるものとして利用できますので、もしマイナンバーカードを持っていない、または利用に不安がある場合は、自治体等に資格確認書の発行を依頼することを検討しましょう。公費負担医療制度を利用している場合は、受給者証の別途提示が必要である点も忘れてはなりません。
紛失・情報漏洩のリスクと対策
マイナンバーカードは健康保険証としての機能を持つため、紛失した場合のリスクは従来の保険証よりも大きくなります。マイナンバーカードを紛失すると、身分証明書としての機能だけでなく、保険証としての機能も失われ、再発行には時間と手間がかかります。その間は医療機関を受診する際に不便が生じる可能性があります。また、紛失による個人情報の漏洩リスクも懸念される点です。マイナンバーカードには氏名、生年月日、住所といった基本情報に加え、顔写真も含まれるため、悪用される危険性もゼロではありません。
紛失した場合は、速やかに適切な対処を行うことが重要です。まずは、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に連絡し、マイナンバーカードの一時利用停止の手続きを行いましょう。これにより、カードの悪用を防ぐことができます。その後、警察に遺失物届を提出し、受理番号を受け取ります。そして、お住まいの市区町村窓口で再発行の手続きを行います。再発行には、新しいカードが手元に届くまでに数週間かかる場合がありますので、その間は資格確認書などを利用することになるかもしれません。
情報漏洩リスクについては、マイナンバーカード自体に個人情報が直接記録されているわけではなく、カードのICチップにアクセスするための暗証番号が設定されているため、通常利用において第三者に情報が漏れる可能性は低いとされています。しかし、暗証番号が知られてしまったり、顔認証システムを突破されたりするリスクは、理論上は存在します。カードの保管には十分注意し、暗証番号の管理を徹底することが求められます。また、不審なサイトやメールに安易にアクセスしないなど、デジタルリテラシーを高めることも、情報漏洩を防ぐ上で重要です。
有効期限と更新手続き、操作の難しさ
マイナンバーカードには有効期限があり、それに伴いマイナ保険証としての利用にも影響が出ます。マイナンバーカード本体の有効期限は、発行から10回目の誕生日まで(未成年者は5回目の誕生日まで)ですが、カードに搭載されている電子証明書(署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書)の有効期限は5年間です。この電子証明書がマイナ保険証の本人確認などに利用されるため、有効期限が切れるとマイナ保険証として利用できなくなります。有効期限が近づくと、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から有効期限通知書が送付されるので、期限内に更新手続きを行う必要があります。更新手続きは、市区町村窓口や、スマートフォン・パソコンからオンラインで行うことができます。
また、マイナ保険証の利用における「操作の難しさ」も課題の一つとして挙げられます。特に、高齢者の方々にとっては、顔認証付きカードリーダーの操作や暗証番号の入力が難しいと感じる場合があります。機器の操作に不慣れな方や、視力・聴力に不安がある方にとっては、スムーズな利用が困難となる可能性もあります。医療機関の窓口では、操作をサポートする体制が整えられていますが、それでも不安を感じる方は少なくありません。
このような操作の難しさに対する対策として、各医療機関でのサポート体制の強化や、より分かりやすい説明資料の提供が求められています。また、家族や周囲のサポートも重要になります。政府も、誰でも安心して利用できるよう、機能改善や周知活動に力を入れています。例えば、2025年9月19日からはスマートフォンをマイナ保険証として利用できるようになるなど、多様なニーズに応えるための取り組みが進められています。有効期限の管理を怠らないこと、そして操作に不安がある場合は遠慮なく医療機関のスタッフに声をかけることが、スムーズなマイナ保険証利用の鍵となります。
マイナ保険証の変更・更新手続きについて
引っ越しや結婚、さらにはマイナンバーカード自体の有効期限切れなど、ライフイベントや時間の経過によってマイナ保険証に関する手続きが必要となる場合があります。ここでは、変更や更新に関する手続きについて解説します。
住所や氏名が変わった時の手続き
引っ越しや結婚などで住所や氏名が変わった場合、従来の健康保険証では、自治体や勤務先の健康保険組合を通じて新しい保険証の発行手続きが必要でした。しかし、マイナ保険証の場合は、この手続きが大幅に簡素化されます。なぜなら、マイナンバーカードの住所や氏名情報は、市町村窓口で変更手続きを行うことで、カード本体の情報が更新されるからです。このマイナンバーカードの基本情報が更新されれば、健康保険証の情報も自動的に連携されるため、改めて健康保険証の発行手続きをする必要がありません。
具体的には、転居した場合は、住民票の異動手続きと同時にマイナンバーカードの住所変更手続きを行います。婚姻などで氏名が変わった場合も、戸籍変更の手続き後にマイナンバーカードの氏名変更手続きを行うことで、カード情報が更新されます。これにより、新しい保険証が届くまでの期間、医療機関を受診できないといった心配がなくなります。保険証の切り替え期間に医療機関を受診する必要がある場合でも、スムーズに利用を継続できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、注意点として、マイナンバーカードの情報を更新しない限り、保険情報も更新されないため、必ず速やかに市区町村窓口で手続きを完了させることが重要です。また、健康保険組合によっては、念のため連絡が必要な場合もありますので、勤務先の担当部署や加入している健康保険組合に確認することをお勧めします。このような手続きの簡素化は、国民の利便性を高めるとともに、行政や医療機関における事務負担の軽減にも繋がります。
有効期限切れへの対応
マイナンバーカード本体と、その中に搭載されている電子証明書にはそれぞれ有効期限が設定されており、マイナ保険証として継続して利用するためには、これらの有効期限切れに適切に対応する必要があります。マイナンバーカード本体の有効期限は、発行から10回目の誕生日(20歳未満は5回目の誕生日)ですが、マイナ保険証の利用に必須となる電子証明書(署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書)の有効期限は5年間です。どちらか一方が期限切れになると、マイナ保険証として利用できなくなる可能性があります。
有効期限が近づくと、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から、登録されている住所宛に「有効期限通知書」が郵送されます。この通知書が届いたら、速やかに更新手続きを行いましょう。更新手続きは、市区町村窓口で直接行う方法と、スマートフォンやパソコンからオンラインで行う方法があります。オンラインでの手続きは24時間対応しており、場所を選ばずに手続きできるため便利です。
もし有効期限を過ぎてしまった場合でも、すぐにマイナンバーカードが無効になるわけではありませんが、マイナ保険証としての利用や、その他のオンラインサービス(マイナポータルログインなど)が利用できなくなります。その際は、再度市区町村窓口で更新手続きを行うことで、機能を回復させることができます。ただし、更新せずに長期間放置すると、カードが失効する可能性もありますので、注意が必要です。有効期限の管理を怠らず、計画的に更新手続きを行うことが、マイナ保険証を継続して利用するための重要なポイントです。
資格確認書とは?今後の保険証利用の選択肢
2024年12月2日以降、従来の健康保険証の新規発行・再発行が終了したことにより、今後はマイナ保険証が原則となります。しかし、マイナンバーカードを持っていない方や、様々な理由でマイナ保険証の利用を希望しない方のために、新たな選択肢として「資格確認書」が発行されることになります。この資格確認書は、マイナンバーカードを保有していない方や、マイナ保険証の利用登録をしていない方でも、これまで通り健康保険の資格があることを証明し、医療機関を受診できるためのものです。
資格確認書は、2025年12月2日以降、原則としてマイナ保険証を持たない人に交付されます。有効期限は最長1年となっており、この期間中は従来の健康保険証と同様に医療機関で提示して利用することができます。交付は、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口や、加入している健康保険組合に申請することで受けられます。特に、2025年7月末には多くの自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れを迎えるため、この時期には資格確認書への移行を検討する方が増えると予想されます。
後期高齢者医療制度に加入している方についても、2026年7月末までには資格確認書が交付される予定です。これは、すべての国民が安心して医療を受けられるようにするための移行措置であり、マイナ保険証へのスムーズな移行を促しつつ、国民の選択肢を確保する狙いがあります。したがって、マイナンバーカードの取得は法律上の義務ではないため、資格確認書を選択することも可能です。しかし、長期的な視点で見れば、マイナ保険証には多くのメリットがあるため、自身の状況やライフスタイルに合わせて、どちらの利用方法が最適か慎重に検討することをお勧めします。
まとめ
よくある質問
Q: マイナ保険証とは具体的に何ですか?
A: マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたものです。これまでの健康保険証が不要になり、マイナンバーカード1枚で医療機関や薬局を利用できます。
Q: マイナ保険証の紐付けはどのように確認できますか?
A: マイナポータルや、対応している医療機関・薬局の受付窓口で確認できます。マイナポータルでは、ご自身の保険証情報が正しく紐付けられているかを確認できます。
Q: マイナ保険証を使うメリットは何ですか?
A: 医療費控除の自動連携、限度額適用認定証の事前申請不要、自己負担限度額を超えた場合の払い戻し手続きの簡略化、薬剤情報や特定健診情報の共有などが挙げられます。
Q: マイナ保険証のデメリットや注意点はありますか?
A: カードを忘れた場合や、システムトラブル発生時には、従来の保険証が必要になることがあります。また、カードの顔写真が古くなった場合、本人確認ができない可能性も考慮する必要があります。
Q: マイナ保険証の登録情報が変わった場合はどうなりますか?
A: 氏名や住所などに変更があった場合は、マイナンバーカードの記載内容も更新する必要があります。保険証情報についても、マイナポータル等で最新の状態になっているか確認することが重要です。
