知らないと損!年金の税金・控除・申告を徹底解説【確定申告・地方税まで完全網羅】

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この記事で得られること

年金受給を控えている方、すでに年金を受給中で税金について不安や疑問を抱えている方、確定申告や控除について正しく理解し、賢く節税したいと考えている方。

  1. 年金に税金はかかる?公的年金と私的年金の課税の基本
    1. 公的年金にかかる所得税と住民税の基本ルール
      1. 公的年金の課税ポイント
    2. 確定申告不要制度の条件と申告による還付のチャンス
      1. 確定申告不要の要件
    3. 私的年金の課税と住民税の取扱いについて知っておきたいこと
  2. 年金にかかる所得税・課税所得の計算方法と知っておくべきポイント
    1. 年金収入の課税対象と所得区分の基本を理解する
    2. 所得税の確定申告不要制度と申告した方がいいケース
      1. 確定申告を検討すべきケース
    3. 年金にかかる所得の計算方法と2025年の税制改正ポイント
  3. 年金受給者が使える控除の種類と節税のポイント(基礎控除・経費など)
    1. 公的年金等控除と基礎控除の仕組みと活用方法
    2. 医療費控除・社会保険料控除などその他の所得控除を活用するポイント
    3. 経費(必要経費)扱いと住民税の申告ポイントについて
  4. 年金受給者の確定申告:必要な人と手続き、給与所得との併用パターン
    1. 確定申告が必要な年金受給者とは?基本条件と注意点
      1. 確定申告をした方が良い主なケース
    2. 給与所得と年金所得の両立時の申告方法と留意点
    3. 確定申告の具体的な手続きと必要書類、住民税申告のポイント
      1. 確定申告で準備すべき主な書類
  5. 年金と地方税(住民税)の関係:計算方法と納付について
    1. 年金にかかる住民税の基本と課税対象
      1. 住民税の構成要素
    2. 年金所得の計算方法と公的年金等控除のしくみ
    3. 住民税の納付方法と確定申告の必要性
  6. まとめ
  7. よくある質問
    1. Q: 年金はいくらまでなら税金がかかりませんか?
    2. Q: 年金収入だけでも確定申告は必要ですか?
    3. Q: 給与と年金、両方ある場合の確定申告はどうすればいいですか?
    4. Q: 年金にかかる「経費」とは具体的に何ですか?
    5. Q: 住民税(地方税)は年金からどのように徴収されますか?

年金に税金はかかる?公的年金と私的年金の課税の基本

公的年金にかかる所得税と住民税の基本ルール

公的年金とは、老齢基礎年金や老齢厚生年金、企業年金などの公的な制度に基づく年金を指します。これらは所得税および住民税の課税対象となり、その課税形態は「雑所得」※に分類されます。雑所得とは、給与所得や事業所得などと異なり、主に退職金や年金、印税などが該当する所得のことです。反対に、障害年金や遺族年金は課税されず、非課税である点がポイントです。

所得税の計算は、公的年金の収入金額から「公的年金等控除額」と各種所得控除(社会保険料控除、基礎控除など)を差し引いて行われます。例えば、65歳以上の方の公的年金控除額は収入額に応じて変わり、受給額が少ない場合は控除額も小さくなります。また、住民税も所得に応じて課税され、所得割と均等割の2種類で構成されているため、居住する自治体によって税額が異なります。

公的年金の課税ポイント

  • 課税対象は老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金
  • 障害年金・遺族年金は非課税
  • 所得税は雑所得として控除後の金額に課税される
  • 住民税は所得割と均等割があり、自治体によって異なる

確定申告不要制度の条件と申告による還付のチャンス

公的年金受給者のうち、一定の条件を満たす場合は所得税の確定申告が不要となる制度があります。条件は次の2点のすべてを満たすことです。

確定申告不要の要件

  • 公的年金等の収入金額の合計が年400万円以下
  • 公的年金等の全てが源泉徴収の対象であること
  • 公的年金等以外の所得が年20万円以下

この制度を利用すれば、手間なく済ませられますが、所得控除を利用したい場合は確定申告をしたほうが税金が還付される可能性が高いです。例えば、医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などです。また、ふるさと納税で寄付金控除を受けたい場合や、災害・盗難に遭った場合も申告によって税金が戻る場合があります。

さらに、扶養親族等申告書の提出忘れや状況変化があった場合も、確定申告をして税金の精算を行うことが望ましいです。特に住宅ローン控除を利用する方は確定申告が必須となるため注意してください。

私的年金の課税と住民税の取扱いについて知っておきたいこと

私的年金とは、個人で加入する確定拠出年金(iDeCo)や個人年金保険、企業年金の一部など、公的年金以外に受け取る年金を指します。私的年金も課税対象となりますが、課税方式や控除額は契約形態や受給方法によって異なります

例えば個人年金保険の場合、年金として受け取ると「雑所得」として課税されますが、一時金として受け取る場合は「一時所得」となるため、控除額や課税額が変わります。確定拠出年金などは制度によって税制優遇があるため、受給開始時期や手続きにより課税が異なるケースもあります。具体的な契約内容で確認が必要です。

さらに、住民税に関しては公的年金と異なり、年金収入以外の所得と合わせて申告することが多いため、注意が必要です。住民税は前年の所得に基づき課税され、一部の自治体では年金からの天引き(特別徴収)が行われますが、収入や所得の状況によって納付方法が普通徴収になったり、住民税申告が必要となったりします。

2025年(令和7年)からは基礎控除の見直しもあるため、私的年金を含めた全収入の把握と適切な申告準備がさらに重要になるでしょう。まずは年金の種類や所得区分の確認から始めることをおすすめします。

年金にかかる所得税・課税所得の計算方法と知っておくべきポイント

年金収入の課税対象と所得区分の基本を理解する

まず初めに、年金にかかる税金の種類と課税される所得区分について正しく理解しましょう。公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金など)は「雑所得」として所得税および住民税の課税対象となります。逆に、障害年金や遺族年金は非課税であるため、これらは所得税申告の対象外です。

雑所得とは、他の所得区分に当てはまらない所得で、一時的な収入や副収入が含まれます。年金は毎年定期的に受け取る収入であっても雑所得に分類され、そのまま課税対象となります。これを知らないと、馴染みのない「雑所得」という言葉から誤解が生まれやすく、確定申告で必要以上の税金を払ってしまうリスクがあります。

たとえば、公的年金の収入が年300万円のAさんは雑所得の対象になりますが、障害年金を受給しているBさんはその金額が非課税となるため、申告の必要はありません。年金種類によって課税・非課税が異なることを踏まえ、まずは自分の受給している年金の種類を正確に確認することが重要です。

所得税の確定申告不要制度と申告した方がいいケース

年金所得者の多くが気になるのが確定申告の有無です。公的年金等の収入が年400万円以下かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得が年20万円以下で、すべての公的年金等が源泉徴収対象になっている場合は所得税の確定申告が不要となります。この「確定申告不要制度」は年金受給者の負担軽減を目的としています。

しかし、確定申告不要の対象者でも以下の状況に該当する場合は申告することで税金の還付が期待できるため、必ず対応を検討すべきです

確定申告を検討すべきケース

  • 高額な医療費を支払った場合の医療費控除
  • 社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などを利用したい場合
  • 扶養親族等申告書の提出漏れや扶養親族の状況変化による控除漏れ
  • ふるさと納税など寄付金控除の適用
  • 災害や盗難に遭い損失があった場合
  • 住宅ローン控除の適用を受ける場合

たとえば、70歳のCさんは年金収入が380万円で確定申告不要制度の条件を満たしていますが、昨年に高額な医療費を支払ったため医療費控除を受けようと確定申告をしました。その結果、数万円の税金が還付されました。このように、一度は申告不要でも自分の控除状況を見直し、申告による還付金獲得のチャンスを逃さないことが重要です。

年金にかかる所得の計算方法と2025年の税制改正ポイント

年金に対する所得税は、「年金収入金額」から「公的年金等控除額」や社会保険料控除、基礎控除などの各種所得控除を差し引いた残りの金額に対して課税されます。控除額は年齢や年金の受給額によって定められており、65歳以上の場合は控除が大きく設定されるなど差があります。

たとえば、65歳以上の受給者で年間の公的年金収入が200万円の場合、公的年金等控除額は120万円程度となるため、課税対象となる所得は80万円ほどに抑えられます。この仕組みを理解しておくことで、課税所得を正しく見積もり過不足のない納税ができるようになります。

さらに、2025年(令和7年)からは税制改正として基礎控除の見直しにより公的年金の源泉徴収対象となる年金額の上限が引き上げられます。具体的には、65歳未満の源泉徴収対象基準が108万円未満から155万円未満に、65歳以上は158万円未満から205万円未満に引き上げられ、より多くの年金受給者が源泉徴収の対象外となります。

また、「特定親族特別控除」等の控除を受ける場合は原則として確定申告が必要となるため、これまで申告不要だった人でも申告の必要性が増す可能性があります。税制改正に伴う影響を事前に確認して、将来の確定申告に備えることが大切です。

年金受給者が使える控除の種類と節税のポイント(基礎控除・経費など)

公的年金等控除と基礎控除の仕組みと活用方法

公的年金受給者が節税の第一歩として押さえておきたい控除が、公的年金等控除基礎控除です。公的年金等控除は、年金収入額に応じて一定の控除額が自動的に差し引かれる仕組みで、所得税と住民税の課税所得を減らします。例えば、65歳以上の場合、公的年金等の収入金額が120万円以下なら控除額は70万円、130万円の場合は75万円が控除されます※。この控除を受けることで、課税所得が減り、節税につながります。

一方、基礎控除はすべての納税者に適用される控除で、令和7年(2025年)からは所得に応じて上限が変わる新しい制度に変わる予定です。現在は48万円が控除されますが、今後は所得が2400万円を超える場合に段階的に控除額が減額される仕組みとなります。年金所得とその他の所得を合算したうえで正確に計算することが大切です。

さらに、2025年の税制改正により、65歳以上の年金受給者については、公的年金の源泉徴収の対象外となる年金額が205万円未満に引き上げられます。つまり、年金収入がこの範囲内なら源泉徴収なしで受け取れるため、確定申告で還付を狙うチャンスが広がります。基礎控除と公的年金等控除を正しく理解し、年金収入に合わせて節税対策を検討しましょう。

※公的年金等控除の具体的な控除額は、年齢や年金収入により変動しますので、最新の国税庁資料を必ずご確認ください。

医療費控除・社会保険料控除などその他の所得控除を活用するポイント

年金受給者が確定申告を行う際、医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などの所得控除を活用することで、節税効果を大きく高めることが可能です。これらは年金収入額だけでなく、自己負担した各種費用を申告することで、課税所得を減少させ、所得税や住民税の負担軽減につなげられます。

たとえば、年間に10万円以上の医療費を支払った場合、医療費控除を受けられます。控除額は、実際の医療費から10万円(または所得の5%のいずれか少ない方)を差し引いた金額です。高血圧や糖尿病などの治療で多額の医療費がかかった年金受給者は、この控除を活用しないと損になります。

社会保険料控除は、年金保険料や国民健康保険料、介護保険料など支払った分が全額控除されます。特に65歳以上で国民健康保険や介護保険料を支払っている方は必ず申告しましょう。また、生命保険料控除や地震保険料控除も控除対象なので、支払証明書を準備して確定申告に活用してください。

いずれも確定申告不要制度の対象でも、条件によっては申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があります。ふるさと納税など寄付金控除も活用すれば、地方税の負担軽減も期待できますので、年金受給者はこれらの控除のポイントをしっかり押さえましょう。

経費(必要経費)扱いと住民税の申告ポイントについて

年金受給者であっても、副業やアルバイトなどで所得がある場合、経費(必要経費)として支出した費用は所得から差し引けます。例えば、仕事に必要な交通費や通信費、器具購入費などが該当します。こうした経費を正確に計上することで、課税所得が減り、所得税や住民税の負担が軽減されるため節税に大きく役立ちます。

ただし、公的年金の分類では、経費控除という考え方は基本的に用いられません。年金は「雑所得」として扱われ、公的年金等控除が自動的に認められるため、別途経費を申告する必要はありません。一方で、年金以外の所得に経費がある場合は確定申告で必ず計上してください。

住民税については、所得税の確定申告が不要でも申告が必要な場合があります。特に65歳以上で年間所得18万円以上の年金受給者は、年金からの特別徴収(天引き)が原則となりますが、対象にならないケースでは普通徴収となり、別途申告や納付が必要になります。また、令和6年度からは住民税の均等割に森林環境税が加算される点にも注意が必要です。

以上より、経費の取り扱いと住民税申告のポイント把握は、年金受給者の節税対策に不可欠です。正しい知識を持ち、必要な申告や経費計上を漏れなく行いましょう。

年金受給者の確定申告:必要な人と手続き、給与所得との併用パターン

確定申告が必要な年金受給者とは?基本条件と注意点

年金受給者のうち、公的年金等の収入金額が400万円を超える場合や、年金以外の所得が20万円を超える場合は所得税の確定申告が原則必要です。これは、公的年金等が「雑所得」として所得税の対象となるためで、該当しない障害年金や遺族年金は非課税となっています。

一方で、公的年金等の収入が400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下の場合は、源泉徴収が適正に行われていれば原則として確定申告不要制度の対象となります。ただし、この制度でも以下のようなケースでは確定申告を行うことで税金の還付を受けられる可能性が高くなります

確定申告をした方が良い主なケース

・医療費控除を受けたい(年間高額な医療費がかかった場合)
・社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除を利用したい場合
・扶養親族等申告書の提出忘れや扶養状況の変更があった場合
・ふるさと納税などの寄付金控除を申告したい場合
・災害や盗難に遭い損害があった場合
・住宅ローン控除の適用を受けたい場合

これらは確定申告によって所得控除が増え、納めすぎた税金の還付が期待できます。特にふるさと納税や医療費控除は還付金額が大きくなることもあるため、年金受給者の方は必ずチェックしておきましょう。

給与所得と年金所得の両立時の申告方法と留意点

年金を受給しながら給与所得がある場合、確定申告の取扱いは複雑になります。給与所得と年金所得の合計で所得税が計算されるため、両方の所得を合算して申告が必要です

例えば、給与収入が年間300万円、年金収入が年間150万円の方の場合、両方の所得をそれぞれ必要経費や控除額を差し引いて所得に計算します。給与所得には給与所得控除、年金所得には公的年金等控除が適用されるため、それぞれの控除額を正確に理解して計算する必要があります。

給与所得と年金所得の合計所得が確定申告不要制度の範囲を超えると、申告義務が生じます。具体的には、公的年金の収入が400万円以下でも、給与所得と年金所得の合計額が一定額を超えれば申告しなければならないケースがあります。

また、会社で「扶養控除等申告書」を提出していない場合や、年末調整で控除を漏らしている場合は、確定申告を行うことで過払い税金の還付を受けられます。給与所得と年金所得の両方がある人は、ぜひ年末までにどちらの収入も含めた所得計算を行い、正しい申告手続きで損をしないようにしましょう。

確定申告の具体的な手続きと必要書類、住民税申告のポイント

年金受給者が確定申告を行う際は、国税庁の確定申告書作成コーナーからオンライン申告(e-Tax)が便利です。 e-Taxを利用すれば自宅で申告手続きが完結し、書面提出にかかる時間や手間を削減できます。

必要書類は以下の通りです。

確定申告で準備すべき主な書類

・公的年金等の源泉徴収票(年金機構や事業者から送付)
・給与所得の源泉徴収票(勤務先から受取)
・控除証明書(医療費領収書、生命保険料控除証明書、寄付金受領証など)
・マイナンバーカードもしくは通知カード(本人確認のため)

確定申告により所得税が精算されますが、住民税も別途申告が必要な場合があります。住民税は前年の所得に基づいて課税され、65歳以上の公的年金受給者で年金額が18万円以上の場合は、多くが年金からの特別徴収(天引き)になっています

一方、特別徴収の対象外の方や年金以外に所得がある場合は、住民税の申告や納付書による普通徴収が必要です。また、令和6年度から均等割に森林環境税が加算される点も留意しておきましょう。

確定申告と住民税申告の手続きは別物ですが、申告内容が連動しているため、所得計算や控除の内容は一貫して正確に申告することが重要です。これにより、年金受給者でも適正な税負担で済み、過払いを防ぐことが可能です。

年金と地方税(住民税)の関係:計算方法と納付について

年金にかかる住民税の基本と課税対象

公的年金は所得税だけでなく、地方税にあたる住民税も課税対象となります。ただし、住民税に課税されるのは老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金であり、障害年金や遺族年金は非課税です。

住民税は、前年の所得に基づいて計算されるため、年金収入に対する課税は前年の受給額が基準となります。具体的には、65歳以上の公的年金受給者で年間の年金収入が18万円以上の場合は、年金からの特別徴収(天引き)が原則適用されます。一方、これに該当しない場合や年金以外に所得がある人は、普通徴収(納付書での支払い)となり、住民税の申告が必要となる可能性があります。

住民税の構成要素

  • 所得割:所得に応じて課税される税金
  • 均等割:地域ごとに一律に課税される税金。令和6年度から森林環境税が均等割に加算されます。

このように、住民税は単純に年金収入だけで決まるわけではなく、自治体の条例や受給者の所得状況により徴収方法や税額が異なるため、理解しておくことが重要です。

年金所得の計算方法と公的年金等控除のしくみ

年金にかかる住民税・所得税の計算は、まず年金の収入金額から公的年金等控除が差し引かれ、その後に社会保険料控除や基礎控除など各種所得控除が適用される仕組みです。

公的年金等控除の額は年齢や年金収入額によって異なり、控除が大きいほど課税所得が減り、納める税金が少なくなります。例えば、65歳以上の受給者で年金収入が約220万円の場合、控除額はおよそ120万円前後となり、差し引きで課税対象額を算出します。

さらに、確定申告や住民税の申告時に社会保険料控除や生命保険料控除を申請することで、課税所得がさらに減るため、税負担を軽減できます。年金収入を正しく申告し、適用できる控除を漏れなく利用することが節税の第一歩です。

住民税の納付方法と確定申告の必要性

住民税の納付方法は大きく二つに分かれます。年金から差し引かれる「特別徴収」と、自身で納付書を使って支払う「普通徴収」です。65歳以上の年金受給者で年間の年金額が18万円以上の場合は、原則として特別徴収が実施されます。

しかし、年金以外の所得がある人や特別徴収の対象外の人は普通徴収になるため、地方自治体への住民税申告が必要になることがあります。住民税の申告は、確定申告をしていない年金受給者でも必要な場合があり、特に所得税の確定申告が免除されていても住民税申告は怠らないように注意が必要です。

また、令和6年度から均等割に森林環境税が加わることにより、住民税の負担が若干増える可能性があります。住民税の納付方法や対象の判断は、お住まいの自治体の案内や税務署・市区町村役場に相談し、正しく手続きを行うことが重要です

まとめ

年金の税金は複雑に見えますが、公的年金と私的年金の課税の違い、所得税・課税所得の計算方法、そして利用できる控除の種類を理解することが重要です。特に、確定申告の要否や給与所得との併用、そして地方税の仕組みを把握することで、賢く節税し、手取り額を増やすことができます。不安な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談することを検討しましょう。

よくある質問

Q: 年金はいくらまでなら税金がかかりませんか?

A: 公的年金には、年齢や収入によって非課税となる基準があります。例えば、65歳未満は年間108万円以下、65歳以上は年間158万円以下(公的年金等控除額と基礎控除額の合計)であれば、所得税はかかりません。ただし、これは所得税に関する基準であり、住民税の非課税限度額は市区町村によって異なります。また、私的年金は原則として全額課税対象となります。


Q: 年金収入だけでも確定申告は必要ですか?

A: 公的年金等の収入が年間400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得が年間20万円以下である場合は、確定申告は不要です。ただし、医療費控除や生命保険料控除などで還付を受けたい場合、または所得税が源泉徴収されている年金収入がある場合は、確定申告を行うことで税金が還付される可能性があります。私的年金を受け取っている場合は、給与所得があるか否かで確定申告の要否が異なります。


Q: 給与と年金、両方ある場合の確定申告はどうすればいいですか?

A: 給与所得と公的年金等の所得がある場合、原則として確定申告が必要です。特に、給与所得が年間20万円を超え、かつ公的年金等の収入が年間400万円を超える場合は、確定申告が義務となります。給与所得と公的年金等の所得を合算し、各種控除を適用して所得税額を計算することになります。企業で年末調整をしていても、年金所得がある場合は別途確定申告が必要です。


Q: 年金にかかる「経費」とは具体的に何ですか?

A: 公的年金には原則として「経費」という概念はありませんが、公的年金等控除として一律の金額が所得から差し引かれます。私的年金(個人年金保険など)の場合は、支払った保険料が「必要経費」として扱われ、年金収入から差し引かれて課税所得が計算されます。ただし、個人年金保険料控除として別の控除が適用される場合もあります。


Q: 住民税(地方税)は年金からどのように徴収されますか?

A: 原則として、公的年金にかかる住民税は、年金から特別徴収(天引き)されます。これは、年金の支給月に合わせて自動的に徴収される仕組みです。ただし、年間の年金収入が一定額以下の場合や、年度途中で年金受給が始まった場合などは、一時的に普通徴収(自治体からの納付書で支払う)となることもあります。私的年金の場合は、確定申告の内容に基づいて住民税が計算され、普通徴収または給与からの特別徴収となります。