年金手帳は会社保管が当たり前?返却や廃止について徹底解説

「年金手帳は会社が預かっているもの」という認識、まだ持っていませんか? 実は、年金手帳の取り扱いは近年大きく変化しています。
2022年4月1日には年金手帳が廃止され、新たに「基礎年金番号通知書」が導入されたことで、会社での保管方法や手続きにも大きな影響が出ています。
この記事では、年金手帳の会社保管に関する疑問から、廃止後の変更点、そして私たち個人が知っておくべきことまで、詳しく解説していきます。

会社が年金手帳を保管する理由とは?

かつて一般的だった会社保管の背景

かつて、入社手続きや厚生年金への加入手続きのため、会社が従業員の年金手帳を預かることは一般的でした。
当時は紙媒体での管理が主流で、会社がまとめて保管することで紛失リスクを減らし、氏名や住所変更といった各種手続きをスムーズに進める目的がありました。
これは、事務処理の効率化を図る上での合理的な手段と考えられていたのです。

法律上の提出・保管義務はあるの?

実は、年金手帳の法律上の提出義務や会社での保管義務は存在しません。会社は、厚生年金加入手続きなどに必要な基礎年金番号さえ確認できれば良いとされています。
そのため、コピー提出で済ませたり、確認後にすぐに従業員に返却するケースも少なくありませんでした。
法律で義務付けられているわけではなく、会社の判断や慣習に委ねられていたのが実情です。

マイナンバー制度導入による変化

2018年3月5日以降、公的年金に関する手続きがマイナンバーでも行えるようになったことで、年金手帳の取り扱いは大きく変わりました。
企業によっては年金手帳の提出を求めないケースが増加し、マイナンバー提出で住所記入が不要になるなど、手続きの簡素化も進んでいます。
これにより、年金手帳を会社に預ける必要性は以前より薄れてきています。

年金手帳が返却されない!そんな時の対処法

まずは会社の人事・総務部に確認

もし会社に年金手帳を預けたまま、返却されていない場合は、まずは会社の人事部や総務部に確認しましょう。保管状況や返却時期について問い合わせることが第一歩です。
特に退職時には、会社から従業員へ年金手帳を返却する義務があります。
丁寧な言葉で、ご自身の年金手帳の所在を確認し、返却を依頼してください。

退職時に返却されない場合の対応

退職後も年金手帳が返却されない場合は、書面で返却を要請することも検討しましょう。万が一、会社が年金手帳を紛失してしまった場合は、その後の対応について確認が必要です。
個人情報が含まれる重要な書類ですので、紛失となると個人情報保護の観点からも問題になり得ます。
状況によっては、年金事務所に相談することも視野に入れましょう。

基礎年金番号が分からなくなった時の再確認方法

年金手帳が手元になく、基礎年金番号が分からない場合は、以下の方法で確認できます。

  • 年金事務所への問い合わせ:電話や窓口で確認。
  • 「ねんきんネット」の利用:登録すればいつでも確認可能。
  • 基礎年金番号通知書の再交付:年金手帳の紛失・き損時は、これが再発行されます(2022年4月1日以降)。

慌てずに、これらの方法を試してみてください。

年金手帳が廃止されるって本当?いつから?

年金手帳廃止の決定と時期

はい、年金手帳は廃止されました。2022年4月1日以降に新たに年金制度に加入する方や、紛失・き損により再発行を希望する方には、年金手帳に代わって「基礎年金番号通知書」が交付されています。
これにより、新規に年金手帳が発行されることはなくなりました。

廃止された背景と目的

年金手帳が廃止された背景には、主に以下の理由があります。

  • 年金制度のシステム管理化の進展。
  • マイナンバー制度の導入による、個人識別手段の多様化。

これらの変化により、紙媒体である年金手帳で基礎年金番号を管理する必要性が薄れ、業務の簡素化と効率化を図る目的で廃止が決定されました。

既存の年金手帳はどうなる?

既に年金手帳をお持ちの方は、引き続きその手帳を基礎年金番号を明らかにする書類として利用可能です。特別な手続きをして「基礎年金番号通知書」に切り替える必要はありません。
ただし、もし既存の年金手帳を紛失したり破損したりした場合には、再発行として基礎年金番号通知書が交付されることになります。

年金手帳廃止後の手続きや注意点

「基礎年金番号通知書」とは?

基礎年金番号通知書」は、年金手帳に代わって交付される、ご自身の基礎年金番号を証明する大切な書類です。
名刺サイズの紙媒体で、氏名、生年月日、そして基礎年金番号が記載されています。
これは、今後年金に関する各種手続きを行う際に、ご自身の基礎年金番号を証明する主要な書類となります。大切に保管しましょう。

廃止後の会社での取り扱いの変化

年金手帳の廃止後、会社での年金関連手続きはさらにマイナンバーを中心に進められることが多くなっています。
新規の入社者には年金手帳ではなく基礎年金番号通知書が交付されるため、会社が「年金手帳」の提出を求める機会は減少していくでしょう。
会社は従業員の基礎年金番号を確認できれば良いため、通知書のコピー提出などで対応するケースが増えると考えられます。

個人で気をつけるべき保管と利用のポイント

年金手帳(または基礎年金番号通知書)は、ご自身の年金情報を管理する上で非常に重要な書類です。
紛失しないよう、自宅で大切に保管しましょう。今後の年金に関するあらゆる手続きにおいて、この基礎年金番号が必要となります。
必要な時にすぐ取り出せるよう、他の重要な書類と一緒に保管場所を決めておくと安心です。

会社保管や廃止に関するよくある疑問

年金手帳がなくても入社できる?

はい、年金手帳が手元になくても入社は可能です。法律上の提出義務がないため、会社は基礎年金番号やマイナンバーで手続きを進めることができます。
もし会社から提出を求められた場合でも、基礎年金番号が分かれば問題ありませんし、マイナンバーでの代替も可能です。
会社によってはコピーを提出するなどの対応で済む場合もありますので、まずは採用担当者に相談してみましょう。

転職先で年金手帳の提出を求められたら?

転職先で年金手帳の提出を求められた場合でも、慌てる必要はありません。
もし手元に既存の年金手帳があればそれを提示できますし、2022年4月1日以降に年金制度に加入した方や再発行を受けた方は「基礎年金番号通知書」を提出しましょう。
また、会社によってはマイナンバーでの手続きも可能な場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

会社が保管し続けることのリスクと個人の対策

会社が年金手帳を保管し続けることには、会社側にとって紛失や個人情報漏洩のリスクがあります。また、従業員が退職する際に返却忘れが生じる可能性もゼロではありません。
個人としては、ご自身で基礎年金番号通知書(または年金手帳)を管理することが最も重要です。もし会社が保管している場合は、返却を依頼し、自身で大切に保管するよう心がけましょう。
「会社保管が当たり前」という認識は、もはや古い考え方になっています。